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一章
challenge 1
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恍惚とした表情を一変させた黒は研究者のような、真面目で冷静でそして機械のように無表情な顔となった。
それを見た蒼はまたも驚く、無表情なのはいつものことだから置いておくとして、目が知り合いの目ではないのだ。これは目の色が違うと言う事ではなく。相手を射抜くような隅々まで調べ尽くすかのような目をしているからだ。
蒼「黒?さっきから大丈夫?」
黒「…」
蒼に聞かれても答えない、無視しているのだろうか、それとも聞こえてないのか。口に手を当てて、されど目の前の人物からは目線を外さずに。
そして何か考えついたのだろうか、黒が口から手を離して、ポンと掌に拳を置いた。今にも頭の上に豆電球が光っているのが見えそうだ。
黒「そうか、魔力を纏ってないのか…」
またも変なことを呟く。そしてそんな無防備な瞬間を逃す事なく襲撃者が襲い掛かる。今度は先ほどのような手を抜いた攻撃ではなく明確な殺意と力を込めた攻撃だ。
襲撃者A「&@\(;&@」
襲撃者が聞き慣れない言葉を放ちながら迫りくる。
それに対して黒がとった行動は回避でも防御でもなく、攻めだった。
襲撃者Aはさっきの後ろ回し蹴りで少し黒のことが分かったのだろうギョッとしただけでその後の行動はいたって冷静だった。
攻めてきた黒に対し襲撃者Aは手に持っていた短刀を腰についている鞘に戻し、背中から直剣を抜き放つ。この一連の動作だけで襲撃者Aが強者という事がわかる。
その動作を見た黒はまたもや恍惚とした表情となる。
黒「おじさん、この国じゃ相当強いでしょ?」
恍惚とした表情のまま襲撃者に語りかかる。
語りかけられたことにより襲撃者は立ち止まった。それはなぜか?急に黒の言葉が翻訳されたからだ、なぜ翻訳されたのか。
…作者の都合によりと言うことで…
襲撃者A「何故言葉が…いや、それよりもワシが相当強い…か…舐められたものじゃな」
そう答えると更に殺気が鋭くなり、その殺気を真正面から受ける黒は恍惚な表情が更に酷くなった。
黒「たまんないね、おじさん?」
襲撃者A「生意気な童めが!」
直剣を縦一線に振りかざす。それを紙一重で避けると、バックステップで距離をとる。
黒「《想像》刀を生成」
地面の石でできた床におもむろに手をかざすとふれた箇所が崩れ、金属に変わっていく。
その金属の形をさらに変え刀を生成させた。
襲撃者A「童、スキルホルダーか!」
黒「そういや、前はそんなことも言われてたっけ?」
刀の峰を肩に当てポンポンとしながら、物思いにふける。
一方で蒼と襲撃者Bは二人に目を取られたかのように見入っていた。
黒「さて今度はこっちから行くよ」
肩に担いでいた刀を腰に納めそのまま襲撃者にじりじりと向かい、間合いに入った瞬間腰に納めた刀を横一線に抜刀する。
襲撃者は初めて見る剣術に直剣を正眼に構えたまま防御の体制に移る。パリンッと破裂音がすると直剣が柄と少しの刀身を残し真っ二つ分かれた。
襲撃者A「…童何をした?」
驚きを隠せないのか床に落ちた刀身と手に持っている柄を交互に見ている。
黒「何と言われても、刀を抜刀し横一線しただけだけど?」
平然と言いのける黒に恐怖を覚える襲撃者は、再度緊張感を高め深く目の前の少年に集中する。
腰にしまった短刀を取り出し、忍びのようにかまえる。
襲撃者A「童が規格外の強さって事はわかった。じゃがのこっちも簡単には引けんのだよ!」
何かを決意した顔の襲撃者は捨て身の特攻を繰り出す。
襲撃者A「童、最後じゃが名前はなんと申す?」
特攻の最中襲撃者がそんなことを聞いてくる。
黒「《白銀流多流武術》開祖、白銀 黒だ」
襲撃者A「《白銀流》か、懐かしい流派を聞いたもんだ」
襲撃者は白銀流を聞いたことがあるのか。
懐かしむような顔をしたあと、首を傾げ特攻をやめる。
襲撃者A「うん…おかしなことを言う童よの
白銀流はわしが若い頃に最強と言う二文字を思うままにした武術だぞ?それの開祖だと?」
もっともなことを疑問に思う襲撃者は問いただす。
黒「最強か…まだその頂には到達できてないんだが、随分と有名になったものだな」
黒を襲っていた、襲撃者は何かを思い出したのか目を白黒させている。
襲撃者A「思い出した《白銀流》開祖は、スキルホルダーで石や木などを金属に変えて武器にする《想像するもの》と言うスキルがあっts…」
自分が襲っている相手が格上だと分かったからなのか。後退を始めるも黒の後ろから投げナイフが飛んできてそれが目の前の襲撃者の足に刺さる。
何事かと後ろを振り向いた黒は襲撃者の仲間が投げナイフを投げたことを知る。
襲撃者A「これが暗殺者の掟かのぉ…」
暗殺者の足に刺さったナイフから毒々しい緑の液体がついており、間も無く襲撃者は息を引き取った。
襲撃者が一人息を引き取ると、どこからともなく沢山の兵士が出てきた。
蒼は最初に襲ってきた襲撃者により手錠をかけられ、何かをする間も無く取り押さえられてしまう。
黒は抵抗しようとしたが、蒼が捕らえられていることに気づき抵抗することを許されなかった。
黒「お手柔らかに」
そんな軽口をたたくも黒の表情に余裕はない。
連行され顔に黒い布を被された2人は何かに乗って移動させられた。
数時間または数十時間経ったかもしれない、黒い布をかぶせられているため時間感覚も麻痺し始めた時、乗り物が止まった。止まるや否や被せられた黒い布を乱暴に取られ、出ろと命令させられる。
暗い景色から、急に明るい景色になったため瞳孔が開く。
黒「眩しすぎだろ」
兵士A「黙って歩け」
棒状の器具で後ろから乱暴に押される。乱暴に押されたため少し怒気を含んだ顔で後ろを向く。
黒「顔…覚えたかんな…」
怒気を含んだ顔とは、別に無機質な声で呟く、呟きが聞こえた兵士はもう一度乱暴に押すが、棒を持っている手が微かに震えていた。
蒼はと言うと、メイド長らしき人物からエスコートされて、黒い布も丁寧に取ってもらっている。
黒「この差は、日頃の行いか…?」
と苦笑しながら進む。黒は乱雑に蒼は丁寧に建物の中の衣装室へと案内され、ものすごく高そうな衣装へと着替えさせられた。
兵士「貴様等には、これから国王と会ってもらう、くれぐれも失礼がないように」
兵士が言うには、これからこの国の王と会うことになっているらしい。
蒼は綺麗な衣装に身を包まれて喜んでいるが、王に会うことを聞いて緊張したのか青い一色に染まる。
黒「蒼、さっきから表情が凄いことなってるぞ?」
蒼「だって、この国の王様よ?私達を襲うように仕向けた本人よ?」
それもそうだと思い、蒼の言葉に頷きで返す。
黒と蒼が少し雑談したところで、新しい人物が入ってきた、国王様がお待ちだから素早く準備をしろと言う内容を伝え、すぐに立ち去ってしまう。
蒼「忙しない人ね」
テキパキと準備をしながらそんなことを口にする蒼、それに対し黒は頷くだけで返事を済ませてしまう。
兵士「準備ができたら、部屋の外で待機している執事の案内に従って行動するように」
乱暴な口調でそれだけを伝えると、衣装室の扉を開け、目線で早く出ろと諭す。
黒「感じ悪いな」
蒼の耳に届く小さな声で呟くと、蒼もさっきの言葉に対し少しムッとしていたのか即座に頷き返してくれた。
衣装室から出て、執事の案内に従い長い廊下を渡り国王のいる広々としている巨大な空間へと出た。
綺麗な装飾が施してある乗り心地の良さそうな椅子にもたれかかっている人物がいる。
その人物こそこの国の国王であり、齢50年で先王に反乱を起こした張本人でもある。
王「君達が、異世界から召喚された人物だね?」
黒「そう言うあなたは、先王を殺した方かな?」
国王の質問に、質問です。
蒼もこの部屋に案内した執事も王の後ろで待機している近衛兵も全員が黒をギョッとした目で見つめ、場の空気が凍った。
王「ほう、国王であるこの僕にそんな口を聞く不届きものがいるとはね」
蒼「黒、謝りなさい!」
いつも通りのオカン台詞を吐きながら黒の頭を一生懸命下げさせようとしている。
黒「断る。先王にはかなりお世話になった…それに先王はこの国のために尽くした」
さも当然のように、清々しいまでの言葉を吐く。
二回目の大馬鹿者発言に青筋を起てた国王は後ろに控えている近衛兵から剣を抜き取り、黒に向かって投擲するもあっさりとキャッチされてしまう。
国王「君は…死にたいらしいな」
黒「こんな煽りに乗る馬鹿に先王が討たれたなんて…どうせ寝込みでも襲ったんだろうけど…」
黒に言われたことが図星だったのか、青筋をピクピクさせている。
蒼は会話を聞いてるだけで目眩がしていたが、頑張って倒れないように堪えているようだ。
国王「話は終わりだ…君はここで殺す」
頑張って倒れるのを堪えていた蒼だが、国王の発言により事切れたように倒れ込んだ。
国王「女が邪魔だ連れ出せ」
倒れた蒼を、先ほど案内してくれた執事が別室へと移動させる。
国王「衛兵、どんな手を使ってでもこの死にたがりを殺せ」
近衛兵一同「はッ!」
国王の命令に無駄にいい声で返事と敬礼をし黒に殺気を込めた視線を送る。
黒「……」
殺気を送られてことにより、黒の戦闘狂の顔が出てきた。
近衛兵が一糸乱れる連携で黒を包囲する。
手に持っている剣を《想像》の力で刀に変え、目の前にいる近衛兵に向かって走り出し刀の峰の部分で腹に一撃を入れる。
黒により昏倒させられた味方を見た近衛兵は怒り、次々に襲いかかってくる。これを流れ作業のように襲ってきた奴から首や胴に刀を当てていく、決して殺さないように手加減をして。
そこに他の近衛兵とは鎧の色が違う人物が立ちはだかる。
近衛兵の隊長格といった所だろう。
近衛隊長「貴様…何者だ?」
黒「《白銀流》開祖、白銀 黒だ」
近衛隊長「もう少しましな嘘をつくことだな!」
一蹴されてしまった。
近衛隊長「それで、何者だ?」
黒「だから《白銀流》開祖の白銀 黒だってば」
近衛隊長「もう、貴様が何者かどうでもいい!」
おちょくられていると思ったのか、顔を真っ赤にして怒鳴り散らし、手に持っていたロングソードで襲いかかってくる。
黒「信じないなら、それでいいよ」
黒はロングソードを刀でいなし、無防備になった横っ腹に一撃をたたき込む。
一瞬で壊滅した近衛兵達を見て国王は口を半開きで間の抜けた声を漏らす。
黒「これだけじゃないよね?」
そんな間抜け顔の王を横目に恍惚とした表情の黒が話しかける。
黒「まだ、国王のお抱え部隊がいるよね?」
この発言に国王の顔色が変わった。
先ほどまでの怒りの紅色から、思考するように指を顎にあてる。
そして、黒のことを実験動物のように無感情な瞳で見下ろす。
王「どこで知った?」
黒「だから先代の王にお世話になったっていったじゃん」
黒の返答にまた顎に手を当て思考する…というよりは何かを思い出すように頭を回転させていると言った印象だ。
王「ああ…《白銀流》開祖ってのはほんとだったのか」
何か思い出したのか、顎に添えていた指を離し、《白銀流》のことも口にした。
黒「久しぶりだな、馬鹿息子様」
王「お前の顔を思い出す日が来るとは思わなかったよ、クソ英雄殿」
顔見知りだったようで親しそうに互いを呼び合う。
王「だが、貴様は私に刃を向けた…一時は身内同然だったが、今では立派な敵同士だ!」
黒「だから呼べって言ってるだろ、俺の元部下達を」
そう、今から黒が戦おうとしているのは黒の直属の部下だった者達だ。
王「言われずとも…来い《challenger》!」
王がそう叫んだ瞬間、黒にむかって何者かが槍の投擲を行った。
飛んできた槍を躱した直後、巨大なハンマーによる叩き潰しの一撃が真上から繰り出される。
避けることが間に合わないと分かった黒は手に持っていて刀を棒状に変化させ、ハンマーの直撃とともに棒をハンマーの中心部へと置く。
巨大ハンマーの直撃でも壊れるどころか、ハンマーを弾いた棒を黒が拾い上げ、元の刀へと戻す。
黒「まだまだ甘いぞ、テメェら」
槍の男「クソガキ、ちょっとは当たりやがれ」
ハンマーの男「見事な判断能力…変わらんな…」
襲ってきた相手とは思えないような和やかな雰囲気で軽く話しをするが、その最中に魔法による攻撃が仕掛けられる。
魔法使いの女「このタイミングならどう?」
黒「危ねぇな」
完璧なタイミングで仕掛けられた、魔法攻撃を刀で斬り裂く、斬り裂かれた魔法は形状を保つことができなくなり、爆発を起こした。
魔法使いの女「なんで、今の当たらないの?」
魔法を斬り裂かれた魔法使いは何がいけなかったのか質問をしてきた。
黒「タイミングは良い、だが魔法が着弾するまでが遅すぎる」
魔法使いの女へ声をかけるが相手から帰ってきたには大きなため息だった。
魔法使いの女「団長…いや、元団長」
黒「な、なんだよ?」
魔法使いの女「これより早く撃てるのは…私が知る限り、あの人くらいです」
黒「…そうだな…」
以前何かあったのか、その場にいた全員が黙った…一人なんのことだか分かってない者もいるようだが、場の雰囲気と言う物を感じ取り何も聞かず黙っている。
王「集まったのはこれだけか?」
数分が経過しただろう時に王が《challenger》へと顔を向け聞く。
魔法使いの女「はい、今日集まったのは私たちだけでございます」
王の問いに、魔法使いの女が片方の膝を床につけ頭を下げ返答し、それに習い槍とハンマーの男も頭を下げた。
王「何故これだけしか集まらん?」
魔法使いの女「それが…初代《challenger》の皆様はお昼寝で忙しいと…命令を一蹴しました…」
魔法使いの女は申し訳なさそうな顔で答える。
黒「…変わんねーな…てか俺が消えて何年たった?」
ハンマーの男「40年はたっておる」
黒「40年か」
黒は俯きそう呟く。
その瞬間、扉を蹴破って何者かが入ってきた。
その人物は王が殺したはずの先王その人だ。
先王「懐かしい顔だな」
現王「あなたは…私が殺したはず…なぜだ」
先王の急な登場により場にいる全員が困惑する中、黒だけが先王をジーっと観察している。
先王「黒よ、観察したところで私が私であることとに変わりはないぞ」
観察されていることに気づいた先王は黒へと向き直り、虚で白く濁った瞳を向けた。
黒「随分、不気味になったな」
先王「人は変わるからな…」
黒の質問に簡素に答えた先王はいつのまにか黒の元へと移動していた。
誰もが先王に注目しているにもかかわらず誰もが先王が行動する瞬間を目撃することができなかったのだ。
黒「…とんだ化け物になったなジジイ」
黒の言葉がお気に召したのか、「そうだろう、そうだろう」と何度も頷いている。
先王「だが、ジジイは余計だ」
ご機嫌顔だった顔を顰めさせ先王は黒に更に近づき、軽く握りしめた拳を鳩尾に叩き込んだ。
またしても、誰にも知覚されずに。
黒「まじの化け物かよ…」
先王「凄まじい力だろ?だがこの力はまだ完成していない!」
綺麗に鳩尾に入ったのか、黒はその場から動くことができずに膝を突いて倒れ込む。
先王「《白銀流》開祖といえど魔神の力を取り込んだ私には無力だな」
黒「魔神だと?お前はあいつらと魂の契約を結んだのか!!」
魔神と言う単語に激しく反応する黒に先王は濁った瞳を向けコクリと首を縦に振る。
黒「…この40年で何があった?お前はどうしてそこまで堕ちた?」
先王「お前のせいだよ、お前が…お前が急に姿を消したからこの国は一度滅んだ!」
衝撃の一言にその場にいた現王も魔法使い達も固まっている。
現王「何を…言ってるんだ?この国は一度も滅んだこと…ない…はずだ…」
先王「滅んださ…この世界じゃない別の時間軸の私の国が…」
~先王の説明~
黒が消えたことにより襲ってきた魔神王の軍隊により国は滅んだ。
滅びた世界をどうにか修復できないかと先王自らが禁忌に身を染め《タイム》の魔法を使うところを魔神に見られ、阻止されそうになる。
阻止寸前で魔法が発動するも近くにいた魔神ごと魔法に取り込まれた。
魔神の絶大な魔力により魔法が暴走し、時間軸が乱れ魔神と先王が半ば強制的に融合して、乱れた時間軸の影響でこの世界に転移してきた…らしい。
~説明終了~
先王「と言う訳だからよ…この国頂いていくぜ」
説明が終わるな否やそう切り出す別次元の先王。
黒、現王「「は?」」
先王「俺の(時間軸の違う)国が滅んだからには、別の国奪って復讐する方が早いから…頂いていくぜ」
突拍子もないことを言い終えると同時に現王のそばに移動し終えた。
瞬間、現王の心臓を一撃で抉り飛ばす。
誰にも知覚されず、誰にも防がせなかった先王の一撃はまさに神速と言っても過言ではない一撃だろう。
黒「クソッ!」
全てが終わった後に反応した黒は死んだ現王の元へと駆け寄り、その死体を見下ろしている先王へと牽制する様に、中段蹴りを繰り出す。
先王「無駄だ」
牽制用に出された中段蹴りをエルボーで撃ち落とし、右側頭部に当たるように蹴りを返す。
先王「黒、どうだ?私の復讐に力を貸してくれないか?」
右側頭部へと当たる寸前で蹴りを止め、勧誘…と言うよりは実力差を分からせた脅しに近いもので誘ってくる。
黒「断る」
だが圧倒的な力の差があるにも関わらず、誘いを跳ね除けた。
先王「じゃあ…とっても心が痛むが、殺すしかねぇよな?」
勧誘を跳ね除けられた先王は頭に青筋を立て引っ込めた蹴りを再度繰り出す。
?「「「「「やらせねぇよ!!」」」」」
先王が繰り出した蹴りは5人の何者かにより防がれた。
黒「くそ爺いどもが…遅えんだよ」
黒が声の聞こえた方を向くと初老の魔法使い達がいた。
先王「初代《challenger》の面々か、めんどくさいな」
黒に倣ったかのようにその方向を見ると、先王は渋い顔になった。先王と黒が見ている先にいる人物達は5人とも顔に深い皺や傷があり小心者が見ればそれだけで逃げ出しそうな気迫を漂わせている。
5人「団長…久しぶりだな」
黒「ああ…長い間待たせた」
先王「感動の再会だが…貴様らが揃ったところで少々面倒になっただけだ」
目に手を当てて涙を拭っているような動作をする先王を横目に黒は昔自分の部下だった者たちに向き直り、合図を出す。彼らにしか分からない合図を…。
5人「本当にやるのか?」「冗談きついぜ団長…」
などよ口々に愚痴を溢すが、誰一人として嫌そうな顔をしてるものはおらず、口元には薄ら笑みさえ見て取れた。
黒「てめぇらも程々馬鹿だな」
5人「団長ほどじゃないけどな」
先王「相談は終わったようだな?」
黒「ああ」
先王「じゃあ遠慮無く…行かせてもらおうか!」
言うや否や、先王は黒に神速で近づいた…だが、近づいた先王が繰り出した必殺の一撃は膜によって止められる。
先王「魔法障壁か…」
五人の魔法使いはそれぞれが得意とする属性で黒を囲むように魔法障壁を張っている。
黒「次は俺のターンだ!」
目の前にいる先王に向けてそう宣言し自分のお腹付近で右拳を緩く握り、左手は相手に向ける。
黒「《白銀流 無刀一式 砲》!!」
全身の筋肉を使い最速、最大火力を先王にぶつける…が…一瞬のけ反っただけで、無傷のまま黒を見下ろす。
先王「久しぶりの痛みだ…が、所詮この程度か…」
失望したかのように、ため息混じりに黒の目の前で呟く。
黒「言ってくれるな」
先王「所詮人間、所詮子d…」
黒「《無刀二式 連》」
全身の力を抜き、抜け切ったら一瞬で足に力を入れ、地面を思いっきり踏み込む。地面からの反発を利用し、連打…連打…連打連打連打打打打打打打打打
先王「鬱陶しい」
嵐の如き連打をただの一撃で跳ね飛ばす。
羽虫が邪魔な時と同じように。
黒「《無刀三式 そk》」
先王「無駄だ」
足の筋肉に刺激を与え音速の攻撃…速…を仕掛けようとするも先生は黒へと神速で近づき…魔法障壁もろとも殴り飛ばす。
それを見た蒼はまたも驚く、無表情なのはいつものことだから置いておくとして、目が知り合いの目ではないのだ。これは目の色が違うと言う事ではなく。相手を射抜くような隅々まで調べ尽くすかのような目をしているからだ。
蒼「黒?さっきから大丈夫?」
黒「…」
蒼に聞かれても答えない、無視しているのだろうか、それとも聞こえてないのか。口に手を当てて、されど目の前の人物からは目線を外さずに。
そして何か考えついたのだろうか、黒が口から手を離して、ポンと掌に拳を置いた。今にも頭の上に豆電球が光っているのが見えそうだ。
黒「そうか、魔力を纏ってないのか…」
またも変なことを呟く。そしてそんな無防備な瞬間を逃す事なく襲撃者が襲い掛かる。今度は先ほどのような手を抜いた攻撃ではなく明確な殺意と力を込めた攻撃だ。
襲撃者A「&@\(;&@」
襲撃者が聞き慣れない言葉を放ちながら迫りくる。
それに対して黒がとった行動は回避でも防御でもなく、攻めだった。
襲撃者Aはさっきの後ろ回し蹴りで少し黒のことが分かったのだろうギョッとしただけでその後の行動はいたって冷静だった。
攻めてきた黒に対し襲撃者Aは手に持っていた短刀を腰についている鞘に戻し、背中から直剣を抜き放つ。この一連の動作だけで襲撃者Aが強者という事がわかる。
その動作を見た黒はまたもや恍惚とした表情となる。
黒「おじさん、この国じゃ相当強いでしょ?」
恍惚とした表情のまま襲撃者に語りかかる。
語りかけられたことにより襲撃者は立ち止まった。それはなぜか?急に黒の言葉が翻訳されたからだ、なぜ翻訳されたのか。
…作者の都合によりと言うことで…
襲撃者A「何故言葉が…いや、それよりもワシが相当強い…か…舐められたものじゃな」
そう答えると更に殺気が鋭くなり、その殺気を真正面から受ける黒は恍惚な表情が更に酷くなった。
黒「たまんないね、おじさん?」
襲撃者A「生意気な童めが!」
直剣を縦一線に振りかざす。それを紙一重で避けると、バックステップで距離をとる。
黒「《想像》刀を生成」
地面の石でできた床におもむろに手をかざすとふれた箇所が崩れ、金属に変わっていく。
その金属の形をさらに変え刀を生成させた。
襲撃者A「童、スキルホルダーか!」
黒「そういや、前はそんなことも言われてたっけ?」
刀の峰を肩に当てポンポンとしながら、物思いにふける。
一方で蒼と襲撃者Bは二人に目を取られたかのように見入っていた。
黒「さて今度はこっちから行くよ」
肩に担いでいた刀を腰に納めそのまま襲撃者にじりじりと向かい、間合いに入った瞬間腰に納めた刀を横一線に抜刀する。
襲撃者は初めて見る剣術に直剣を正眼に構えたまま防御の体制に移る。パリンッと破裂音がすると直剣が柄と少しの刀身を残し真っ二つ分かれた。
襲撃者A「…童何をした?」
驚きを隠せないのか床に落ちた刀身と手に持っている柄を交互に見ている。
黒「何と言われても、刀を抜刀し横一線しただけだけど?」
平然と言いのける黒に恐怖を覚える襲撃者は、再度緊張感を高め深く目の前の少年に集中する。
腰にしまった短刀を取り出し、忍びのようにかまえる。
襲撃者A「童が規格外の強さって事はわかった。じゃがのこっちも簡単には引けんのだよ!」
何かを決意した顔の襲撃者は捨て身の特攻を繰り出す。
襲撃者A「童、最後じゃが名前はなんと申す?」
特攻の最中襲撃者がそんなことを聞いてくる。
黒「《白銀流多流武術》開祖、白銀 黒だ」
襲撃者A「《白銀流》か、懐かしい流派を聞いたもんだ」
襲撃者は白銀流を聞いたことがあるのか。
懐かしむような顔をしたあと、首を傾げ特攻をやめる。
襲撃者A「うん…おかしなことを言う童よの
白銀流はわしが若い頃に最強と言う二文字を思うままにした武術だぞ?それの開祖だと?」
もっともなことを疑問に思う襲撃者は問いただす。
黒「最強か…まだその頂には到達できてないんだが、随分と有名になったものだな」
黒を襲っていた、襲撃者は何かを思い出したのか目を白黒させている。
襲撃者A「思い出した《白銀流》開祖は、スキルホルダーで石や木などを金属に変えて武器にする《想像するもの》と言うスキルがあっts…」
自分が襲っている相手が格上だと分かったからなのか。後退を始めるも黒の後ろから投げナイフが飛んできてそれが目の前の襲撃者の足に刺さる。
何事かと後ろを振り向いた黒は襲撃者の仲間が投げナイフを投げたことを知る。
襲撃者A「これが暗殺者の掟かのぉ…」
暗殺者の足に刺さったナイフから毒々しい緑の液体がついており、間も無く襲撃者は息を引き取った。
襲撃者が一人息を引き取ると、どこからともなく沢山の兵士が出てきた。
蒼は最初に襲ってきた襲撃者により手錠をかけられ、何かをする間も無く取り押さえられてしまう。
黒は抵抗しようとしたが、蒼が捕らえられていることに気づき抵抗することを許されなかった。
黒「お手柔らかに」
そんな軽口をたたくも黒の表情に余裕はない。
連行され顔に黒い布を被された2人は何かに乗って移動させられた。
数時間または数十時間経ったかもしれない、黒い布をかぶせられているため時間感覚も麻痺し始めた時、乗り物が止まった。止まるや否や被せられた黒い布を乱暴に取られ、出ろと命令させられる。
暗い景色から、急に明るい景色になったため瞳孔が開く。
黒「眩しすぎだろ」
兵士A「黙って歩け」
棒状の器具で後ろから乱暴に押される。乱暴に押されたため少し怒気を含んだ顔で後ろを向く。
黒「顔…覚えたかんな…」
怒気を含んだ顔とは、別に無機質な声で呟く、呟きが聞こえた兵士はもう一度乱暴に押すが、棒を持っている手が微かに震えていた。
蒼はと言うと、メイド長らしき人物からエスコートされて、黒い布も丁寧に取ってもらっている。
黒「この差は、日頃の行いか…?」
と苦笑しながら進む。黒は乱雑に蒼は丁寧に建物の中の衣装室へと案内され、ものすごく高そうな衣装へと着替えさせられた。
兵士「貴様等には、これから国王と会ってもらう、くれぐれも失礼がないように」
兵士が言うには、これからこの国の王と会うことになっているらしい。
蒼は綺麗な衣装に身を包まれて喜んでいるが、王に会うことを聞いて緊張したのか青い一色に染まる。
黒「蒼、さっきから表情が凄いことなってるぞ?」
蒼「だって、この国の王様よ?私達を襲うように仕向けた本人よ?」
それもそうだと思い、蒼の言葉に頷きで返す。
黒と蒼が少し雑談したところで、新しい人物が入ってきた、国王様がお待ちだから素早く準備をしろと言う内容を伝え、すぐに立ち去ってしまう。
蒼「忙しない人ね」
テキパキと準備をしながらそんなことを口にする蒼、それに対し黒は頷くだけで返事を済ませてしまう。
兵士「準備ができたら、部屋の外で待機している執事の案内に従って行動するように」
乱暴な口調でそれだけを伝えると、衣装室の扉を開け、目線で早く出ろと諭す。
黒「感じ悪いな」
蒼の耳に届く小さな声で呟くと、蒼もさっきの言葉に対し少しムッとしていたのか即座に頷き返してくれた。
衣装室から出て、執事の案内に従い長い廊下を渡り国王のいる広々としている巨大な空間へと出た。
綺麗な装飾が施してある乗り心地の良さそうな椅子にもたれかかっている人物がいる。
その人物こそこの国の国王であり、齢50年で先王に反乱を起こした張本人でもある。
王「君達が、異世界から召喚された人物だね?」
黒「そう言うあなたは、先王を殺した方かな?」
国王の質問に、質問です。
蒼もこの部屋に案内した執事も王の後ろで待機している近衛兵も全員が黒をギョッとした目で見つめ、場の空気が凍った。
王「ほう、国王であるこの僕にそんな口を聞く不届きものがいるとはね」
蒼「黒、謝りなさい!」
いつも通りのオカン台詞を吐きながら黒の頭を一生懸命下げさせようとしている。
黒「断る。先王にはかなりお世話になった…それに先王はこの国のために尽くした」
さも当然のように、清々しいまでの言葉を吐く。
二回目の大馬鹿者発言に青筋を起てた国王は後ろに控えている近衛兵から剣を抜き取り、黒に向かって投擲するもあっさりとキャッチされてしまう。
国王「君は…死にたいらしいな」
黒「こんな煽りに乗る馬鹿に先王が討たれたなんて…どうせ寝込みでも襲ったんだろうけど…」
黒に言われたことが図星だったのか、青筋をピクピクさせている。
蒼は会話を聞いてるだけで目眩がしていたが、頑張って倒れないように堪えているようだ。
国王「話は終わりだ…君はここで殺す」
頑張って倒れるのを堪えていた蒼だが、国王の発言により事切れたように倒れ込んだ。
国王「女が邪魔だ連れ出せ」
倒れた蒼を、先ほど案内してくれた執事が別室へと移動させる。
国王「衛兵、どんな手を使ってでもこの死にたがりを殺せ」
近衛兵一同「はッ!」
国王の命令に無駄にいい声で返事と敬礼をし黒に殺気を込めた視線を送る。
黒「……」
殺気を送られてことにより、黒の戦闘狂の顔が出てきた。
近衛兵が一糸乱れる連携で黒を包囲する。
手に持っている剣を《想像》の力で刀に変え、目の前にいる近衛兵に向かって走り出し刀の峰の部分で腹に一撃を入れる。
黒により昏倒させられた味方を見た近衛兵は怒り、次々に襲いかかってくる。これを流れ作業のように襲ってきた奴から首や胴に刀を当てていく、決して殺さないように手加減をして。
そこに他の近衛兵とは鎧の色が違う人物が立ちはだかる。
近衛兵の隊長格といった所だろう。
近衛隊長「貴様…何者だ?」
黒「《白銀流》開祖、白銀 黒だ」
近衛隊長「もう少しましな嘘をつくことだな!」
一蹴されてしまった。
近衛隊長「それで、何者だ?」
黒「だから《白銀流》開祖の白銀 黒だってば」
近衛隊長「もう、貴様が何者かどうでもいい!」
おちょくられていると思ったのか、顔を真っ赤にして怒鳴り散らし、手に持っていたロングソードで襲いかかってくる。
黒「信じないなら、それでいいよ」
黒はロングソードを刀でいなし、無防備になった横っ腹に一撃をたたき込む。
一瞬で壊滅した近衛兵達を見て国王は口を半開きで間の抜けた声を漏らす。
黒「これだけじゃないよね?」
そんな間抜け顔の王を横目に恍惚とした表情の黒が話しかける。
黒「まだ、国王のお抱え部隊がいるよね?」
この発言に国王の顔色が変わった。
先ほどまでの怒りの紅色から、思考するように指を顎にあてる。
そして、黒のことを実験動物のように無感情な瞳で見下ろす。
王「どこで知った?」
黒「だから先代の王にお世話になったっていったじゃん」
黒の返答にまた顎に手を当て思考する…というよりは何かを思い出すように頭を回転させていると言った印象だ。
王「ああ…《白銀流》開祖ってのはほんとだったのか」
何か思い出したのか、顎に添えていた指を離し、《白銀流》のことも口にした。
黒「久しぶりだな、馬鹿息子様」
王「お前の顔を思い出す日が来るとは思わなかったよ、クソ英雄殿」
顔見知りだったようで親しそうに互いを呼び合う。
王「だが、貴様は私に刃を向けた…一時は身内同然だったが、今では立派な敵同士だ!」
黒「だから呼べって言ってるだろ、俺の元部下達を」
そう、今から黒が戦おうとしているのは黒の直属の部下だった者達だ。
王「言われずとも…来い《challenger》!」
王がそう叫んだ瞬間、黒にむかって何者かが槍の投擲を行った。
飛んできた槍を躱した直後、巨大なハンマーによる叩き潰しの一撃が真上から繰り出される。
避けることが間に合わないと分かった黒は手に持っていて刀を棒状に変化させ、ハンマーの直撃とともに棒をハンマーの中心部へと置く。
巨大ハンマーの直撃でも壊れるどころか、ハンマーを弾いた棒を黒が拾い上げ、元の刀へと戻す。
黒「まだまだ甘いぞ、テメェら」
槍の男「クソガキ、ちょっとは当たりやがれ」
ハンマーの男「見事な判断能力…変わらんな…」
襲ってきた相手とは思えないような和やかな雰囲気で軽く話しをするが、その最中に魔法による攻撃が仕掛けられる。
魔法使いの女「このタイミングならどう?」
黒「危ねぇな」
完璧なタイミングで仕掛けられた、魔法攻撃を刀で斬り裂く、斬り裂かれた魔法は形状を保つことができなくなり、爆発を起こした。
魔法使いの女「なんで、今の当たらないの?」
魔法を斬り裂かれた魔法使いは何がいけなかったのか質問をしてきた。
黒「タイミングは良い、だが魔法が着弾するまでが遅すぎる」
魔法使いの女へ声をかけるが相手から帰ってきたには大きなため息だった。
魔法使いの女「団長…いや、元団長」
黒「な、なんだよ?」
魔法使いの女「これより早く撃てるのは…私が知る限り、あの人くらいです」
黒「…そうだな…」
以前何かあったのか、その場にいた全員が黙った…一人なんのことだか分かってない者もいるようだが、場の雰囲気と言う物を感じ取り何も聞かず黙っている。
王「集まったのはこれだけか?」
数分が経過しただろう時に王が《challenger》へと顔を向け聞く。
魔法使いの女「はい、今日集まったのは私たちだけでございます」
王の問いに、魔法使いの女が片方の膝を床につけ頭を下げ返答し、それに習い槍とハンマーの男も頭を下げた。
王「何故これだけしか集まらん?」
魔法使いの女「それが…初代《challenger》の皆様はお昼寝で忙しいと…命令を一蹴しました…」
魔法使いの女は申し訳なさそうな顔で答える。
黒「…変わんねーな…てか俺が消えて何年たった?」
ハンマーの男「40年はたっておる」
黒「40年か」
黒は俯きそう呟く。
その瞬間、扉を蹴破って何者かが入ってきた。
その人物は王が殺したはずの先王その人だ。
先王「懐かしい顔だな」
現王「あなたは…私が殺したはず…なぜだ」
先王の急な登場により場にいる全員が困惑する中、黒だけが先王をジーっと観察している。
先王「黒よ、観察したところで私が私であることとに変わりはないぞ」
観察されていることに気づいた先王は黒へと向き直り、虚で白く濁った瞳を向けた。
黒「随分、不気味になったな」
先王「人は変わるからな…」
黒の質問に簡素に答えた先王はいつのまにか黒の元へと移動していた。
誰もが先王に注目しているにもかかわらず誰もが先王が行動する瞬間を目撃することができなかったのだ。
黒「…とんだ化け物になったなジジイ」
黒の言葉がお気に召したのか、「そうだろう、そうだろう」と何度も頷いている。
先王「だが、ジジイは余計だ」
ご機嫌顔だった顔を顰めさせ先王は黒に更に近づき、軽く握りしめた拳を鳩尾に叩き込んだ。
またしても、誰にも知覚されずに。
黒「まじの化け物かよ…」
先王「凄まじい力だろ?だがこの力はまだ完成していない!」
綺麗に鳩尾に入ったのか、黒はその場から動くことができずに膝を突いて倒れ込む。
先王「《白銀流》開祖といえど魔神の力を取り込んだ私には無力だな」
黒「魔神だと?お前はあいつらと魂の契約を結んだのか!!」
魔神と言う単語に激しく反応する黒に先王は濁った瞳を向けコクリと首を縦に振る。
黒「…この40年で何があった?お前はどうしてそこまで堕ちた?」
先王「お前のせいだよ、お前が…お前が急に姿を消したからこの国は一度滅んだ!」
衝撃の一言にその場にいた現王も魔法使い達も固まっている。
現王「何を…言ってるんだ?この国は一度も滅んだこと…ない…はずだ…」
先王「滅んださ…この世界じゃない別の時間軸の私の国が…」
~先王の説明~
黒が消えたことにより襲ってきた魔神王の軍隊により国は滅んだ。
滅びた世界をどうにか修復できないかと先王自らが禁忌に身を染め《タイム》の魔法を使うところを魔神に見られ、阻止されそうになる。
阻止寸前で魔法が発動するも近くにいた魔神ごと魔法に取り込まれた。
魔神の絶大な魔力により魔法が暴走し、時間軸が乱れ魔神と先王が半ば強制的に融合して、乱れた時間軸の影響でこの世界に転移してきた…らしい。
~説明終了~
先王「と言う訳だからよ…この国頂いていくぜ」
説明が終わるな否やそう切り出す別次元の先王。
黒、現王「「は?」」
先王「俺の(時間軸の違う)国が滅んだからには、別の国奪って復讐する方が早いから…頂いていくぜ」
突拍子もないことを言い終えると同時に現王のそばに移動し終えた。
瞬間、現王の心臓を一撃で抉り飛ばす。
誰にも知覚されず、誰にも防がせなかった先王の一撃はまさに神速と言っても過言ではない一撃だろう。
黒「クソッ!」
全てが終わった後に反応した黒は死んだ現王の元へと駆け寄り、その死体を見下ろしている先王へと牽制する様に、中段蹴りを繰り出す。
先王「無駄だ」
牽制用に出された中段蹴りをエルボーで撃ち落とし、右側頭部に当たるように蹴りを返す。
先王「黒、どうだ?私の復讐に力を貸してくれないか?」
右側頭部へと当たる寸前で蹴りを止め、勧誘…と言うよりは実力差を分からせた脅しに近いもので誘ってくる。
黒「断る」
だが圧倒的な力の差があるにも関わらず、誘いを跳ね除けた。
先王「じゃあ…とっても心が痛むが、殺すしかねぇよな?」
勧誘を跳ね除けられた先王は頭に青筋を立て引っ込めた蹴りを再度繰り出す。
?「「「「「やらせねぇよ!!」」」」」
先王が繰り出した蹴りは5人の何者かにより防がれた。
黒「くそ爺いどもが…遅えんだよ」
黒が声の聞こえた方を向くと初老の魔法使い達がいた。
先王「初代《challenger》の面々か、めんどくさいな」
黒に倣ったかのようにその方向を見ると、先王は渋い顔になった。先王と黒が見ている先にいる人物達は5人とも顔に深い皺や傷があり小心者が見ればそれだけで逃げ出しそうな気迫を漂わせている。
5人「団長…久しぶりだな」
黒「ああ…長い間待たせた」
先王「感動の再会だが…貴様らが揃ったところで少々面倒になっただけだ」
目に手を当てて涙を拭っているような動作をする先王を横目に黒は昔自分の部下だった者たちに向き直り、合図を出す。彼らにしか分からない合図を…。
5人「本当にやるのか?」「冗談きついぜ団長…」
などよ口々に愚痴を溢すが、誰一人として嫌そうな顔をしてるものはおらず、口元には薄ら笑みさえ見て取れた。
黒「てめぇらも程々馬鹿だな」
5人「団長ほどじゃないけどな」
先王「相談は終わったようだな?」
黒「ああ」
先王「じゃあ遠慮無く…行かせてもらおうか!」
言うや否や、先王は黒に神速で近づいた…だが、近づいた先王が繰り出した必殺の一撃は膜によって止められる。
先王「魔法障壁か…」
五人の魔法使いはそれぞれが得意とする属性で黒を囲むように魔法障壁を張っている。
黒「次は俺のターンだ!」
目の前にいる先王に向けてそう宣言し自分のお腹付近で右拳を緩く握り、左手は相手に向ける。
黒「《白銀流 無刀一式 砲》!!」
全身の筋肉を使い最速、最大火力を先王にぶつける…が…一瞬のけ反っただけで、無傷のまま黒を見下ろす。
先王「久しぶりの痛みだ…が、所詮この程度か…」
失望したかのように、ため息混じりに黒の目の前で呟く。
黒「言ってくれるな」
先王「所詮人間、所詮子d…」
黒「《無刀二式 連》」
全身の力を抜き、抜け切ったら一瞬で足に力を入れ、地面を思いっきり踏み込む。地面からの反発を利用し、連打…連打…連打連打連打打打打打打打打打
先王「鬱陶しい」
嵐の如き連打をただの一撃で跳ね飛ばす。
羽虫が邪魔な時と同じように。
黒「《無刀三式 そk》」
先王「無駄だ」
足の筋肉に刺激を与え音速の攻撃…速…を仕掛けようとするも先生は黒へと神速で近づき…魔法障壁もろとも殴り飛ばす。
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