デブの俺、異世界行ったらイケメン最強!

ゆぃ♫

文字の大きさ
1 / 1

良いことしてみたら…

しおりを挟む
飯塚亮太、18歳。
中華屋の息子。

まだまだこれからの長い人生、面白おかしく生きていこうと思ってた。
……なのに、なんでこうなった?

――あれは、今から1時間ほど前の話だ。

学校からの帰り道。
自転車をこぎながら、今日の晩ごはんを考えていた。

麻婆豆腐が一番好き。
でも今日は餃子もいいな。
帰ったら四食目だな、なんて考えながら、いつもの道を走っていた。

そのとき、ふと横の溝が目に入った。

――子供が、溺れそうになっている。

考えるより先に体が動いた。
自転車を放り出し、溝に飛び込む。

助け上げた、その瞬間。

「……やばい」

人生で初めて、足が攣った。
今じゃなくてもよくない?

痛みに耐えきれず暴れているうちに、意識が遠のいて――



気がつくと、真っ白な空間にいた。

なぜか、こたつに入っている。
手にはみかん。

状況が理解できないまま、勧められるがまま食べている。
これで四つ目だ。

目の前には、真っ白なおじいちゃんが座っていて、静かにお茶を啜っている。

「……え?」

視線をずらすと、テレビがあった。
そこには、自分が映っている。

学校帰り、子供を助け、足が攣って暴れて――ここに来たらしい。

テレビの中では、助けた子供が母親らしき人に泣きながら抱きしめられていた。

「……よかった」

その瞬間、胸が少し軽くなった。

「俺、親より先に死ぬとか……親不孝だよな」

すると、おじいちゃんが口を開いた。

「このあと、お主は“勇敢な少年”としてニュースになるのじゃ」

「中華屋も今以上に繁盛する。
両親は悲しむが、忙しさに追われながら、人生を全うするじゃろう」

……ちょっと待って。

「え、俺は?」

おじいちゃんは、みかんを一つ取りながら言った。

「本題じゃがな」

「お主、良いことをして命を落とした。
そこでじゃ――」

「ワシを神と崇める世界に、転生できるがどうする?」

「魂のまま無に還り、やり直すか。
今の魂を持ったまま、転生するかじゃ」

頭が追いつかない。

「……それって」

俺は、思わず聞いていた。

「好きなだけ食べられる食べ物屋さんとか、なれますか?」

食べることは、俺にとって一番大事だ。
一日六食とか食べたい。
好きなだけ食べたい。

でも、できれば太りたくない。
……いや、やっぱり食べる方が大事だ。

「無いことはないが」

神様は俺を見る。

「其方、料理はできるか?」

「はい、できます」

即答だった。

「なら大丈夫じゃな」

よく分からないが、納得したらしい神様は、満足そうに頷いた。

「ワシの助けが必要なときは、
ワシを思いながら眠りにつきなさい。夢で会おう」

「……はい」

そう答えた瞬間、淡い光に包まれて――



次に目を開けると、河原に立っていた。

澄んだ水。
気持ちのいい風。

でも――

「……俺、5歳くらいじゃない?」

そう思った瞬間、記憶が一気に流れ込んでくる。

五歳までの人生。
まるで早送りで生きたような感覚。

「……違う人に入った?」

いや、違う。
これは、俺の人生だ。

水汲みに来ていたことも思い出した。

そして、神様が「料理ができるか」と聞いた理由も。

――この世界、飯がまずい。

魔獣肉を焼くだけ。
硬いパン。
軽く焼いただけの、ゴリゴリしたじゃがいも。

どこで食べても、たいして美味くない。

「……なるほどな」

水を汲み終え、家に向かいながら考える。

今ある材料で、何が作れる?

――さて。

まずは、腹ごしらえからだ。
しおりを挟む
感想 0

この作品の感想を投稿する

あなたにおすすめの小説

私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。

MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。

主人公の恋敵として夫に処刑される王妃として転生した私は夫になる男との結婚を阻止します

白雪の雫
ファンタジー
突然ですが質問です。 あなたは【真実の愛】を信じますか? そう聞かれたら私は『いいえ!』『No!』と答える。 だって・・・そうでしょ? ジュリアーノ王太子の(名目上の)父親である若かりし頃の陛下曰く「私と彼女は真実の愛で結ばれている」という何が何だか訳の分からない理屈で、婚約者だった大臣の姫ではなく平民の女を妃にしたのよ!? それだけではない。 何と平民から王妃になった女は庭師と不倫して不義の子を儲け、その不義の子ことジュリアーノは陛下が側室にも成れない身分の低い女が産んだ息子のユーリアを後宮に入れて妃のように扱っているのよーーーっ!!! 私とジュリアーノの結婚は王太子の後見になって欲しいと陛下から土下座をされてまで請われたもの。 それなのに・・・ジュリアーノは私を後宮の片隅に追いやりユーリアと毎晩「アッー!」をしている。 しかも! ジュリアーノはユーリアと「アッー!」をするにしてもベルフィーネという存在が邪魔という理由だけで、正式な王太子妃である私を車裂きの刑にしやがるのよ!!! マジかーーーっ!!! 前世は腐女子であるが会社では働く女性向けの商品開発に携わっていた私は【夢色の恋人達】というBLゲームの、悪役と位置づけられている王太子妃のベルフィーネに転生していたのよーーーっ!!! 思い付きで書いたので、ガバガバ設定+矛盾がある+ご都合主義。 世界観、建築物や衣装等は古代ギリシャ・ローマ神話、古代バビロニアをベースにしたファンタジー、ベルフィーネの一人称は『私』と書いて『わたくし』です。

愛された側妃と、愛されなかった正妃

編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。 夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。 連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。 正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。 ※カクヨムさんにも掲載中 ※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります ※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。

敗戦国の姫は、敵国将軍に掠奪される

clayclay
恋愛
架空の国アルバ国は、ブリタニア国に侵略され、国は壊滅状態となる。 状況を打破するため、アルバ国王は娘のソフィアに、ブリタニア国使者への「接待」を命じたが……。

王子を身籠りました

青の雀
恋愛
婚約者である王太子から、毒を盛って殺そうとした冤罪をかけられ収監されるが、その時すでに王太子の子供を身籠っていたセレンティー。 王太子に黙って、出産するも子供の容姿が王家特有の金髪金眼だった。 再び、王太子が毒を盛られ、死にかけた時、我が子と対面するが…というお話。

強面夫の裏の顔は妻以外には見せられません!

ましろ
恋愛
「誰がこんなことをしろと言った?」 それは夫のいる騎士団へ差し入れを届けに行った私への彼からの冷たい言葉。 挙げ句の果てに、 「用が済んだなら早く帰れっ!」 と追い返されてしまいました。 そして夜、屋敷に戻って来た夫は─── ✻ゆるふわ設定です。 気を付けていますが、誤字脱字などがある為、あとからこっそり修正することがあります。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

今夜は帰さない~憧れの騎士団長と濃厚な一夜を

澤谷弥(さわたに わたる)
恋愛
ラウニは騎士団で働く事務官である。 そんな彼女が仕事で第五騎士団団長であるオリベルの執務室を訪ねると、彼の姿はなかった。 だが隣の部屋からは、彼が苦しそうに呻いている声が聞こえてきた。 そんな彼を助けようと隣室へと続く扉を開けたラウニが目にしたのは――。

処理中です...