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チンジャオロースー
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ピーマンは、現世のものとは少し違ったけど。
山の方へ行けば、それっぽいのが生えているのを知っている。
オイスターソースは――
海の魔獣を壺に入れて放置していたら、「腐ってる」「臭い」と騒がれていたアレ。
多分、あれはオイスターソースになってる。
醤油の実はある。
塩胡椒も、肉に使っている。
砂糖は……ない。
まあ、それは後で探せばいいか。
鶏ガラは鳥の魔獣から取れる。
よし、まずは鶏ガラを煮出そう。
その間にピーマンを取りに行けば効率がいい。
⸻
「帰ったよー! ちょっとお腹すいたから、調理場貸して!」
「おー、いいぞー。邪魔にならんように隅っこでやれよ」
「はーい」
返事をしながら、カゴに積まれていたパンを一つ掴んで、そのままかじる。
いつもは、パンを食べて、肉を焼いて終わり。
でも、今こうして思うと――
(現世で5歳が肉焼いてたら、結構怒られるよな)
そんなことを考えつつ、余っている寸胴鍋を探す。
鳥を解体した後の骨が入っているバケツから、ちょうど良さそうな骨を取り出す。
洗って、沸かしておいた寸胴に入れ、一度お湯を捨てる。
そこに水と、この辺りで使われている酒を投入。
ネギと生姜は……ない。
でも、ニンニクは獣避けとして、あちこちに吊るしてある。
(これでいいや)
ニンニクを取ってきて、鍋に放り込む。
⸻
「ちょっと森行ってくるー! これ止めないで置いといてね? すぐ戻るから!」
「おー? なんだ? ……おー?」
多分、分かってないけど、放っておいてくれるはず。
それにしても、煮物文化がないのに、なんで寸胴があるんだ?
……ああ、焼いた肉の保管用か。
昼前に焼いておいて、忙しい時間帯に温め直すやつだな。
そんなことを考えていると、山の入り口が見えてきた。
たまに魔獣が出るから危険だけど……
(今のところ、気配なし)
少し森に入り、入り口が見えなくなったあたりで、脇道にそれる。
⸻
「あった!」
鑑定してみる。
(うん、やっぱりピーマンだ)
5個くらいあれば十分だな。
ほくほく顔で収穫し、ルンルンで帰る。
戻ってからは、鍋を覗き込みながら、丁寧にアクを取る。
ピーマンのついでに拾ってきた果物をかじりつつ、
1時間半ほど、ちまちまとアク取り。
そろそろ良さそうだ。
⸻
ピーマン、肉、じゃがいもを細く切る。
次に、オイスターソースになっていると思われる壺を確認しに行く。
蓋を開けて鑑定。
(……なるほど、上澄みだけ使えばいいのか)
適量をすくって、戻る。
スープをこして、いよいよ炒め開始。
じゃがいもを切って水にさらした後、沈殿したデンプンを肉にまぶす。
肉。
筍代わりのじゃがいも。
ピーマン。
順に炒め、合わせておいた鶏ガラスープと調味料を投入。
水分を飛ばせば――完成。
「なかなか、うまそー」
ルンルンで皿を取りに行くと、父さんに声をかけられた。
「なんか美味そうな匂いするな? 俺の分も少し置いといてくれよ」
(全部食べようと思ってたのに……)
仕方なく、少しだけ皿に取って横に置く。
⸻
次に、冷たくて硬いパンをフライパンへ。
多めの油で揚げ焼きにする。
砂糖をまぶしたいけど、ないのでそのまま。
チンジャオロースの横に添えて――
「いただきます!」
⸻
うまい。
顔の筋肉が緩みまくる。
幸せすぎて、周りのことが全部どうでもよくなる。
夢中で食べていると、横から声が聞こえた。
……いつからいた?
譲られて、ようやく気づく。
「なに!? 今食べてるんだけど?」
「これ、なんだ? うまいな! 何入れた? どうやって作った?」
一通り説明する。
「チンジャオロースっていうの!
美味しいもの食べたくて考えて作った!」
すると――
「ニンニク入ってんのか!? 毒だぞあれは! 魔物避けだ!」
少し怒られた。
「ちゃんと加熱してあるから大丈夫だって……」
すると、急に身を乗り出してくる。
「おい、これ……店で出してもいいか!?」
なかなかの勢いで迫られて、
「お、おう……」
と、許可してしまった。
まあ、いいか。
俺の食事時間は邪魔しないって約束してくれたし、
材料も好きに使っていいって言ってくれた。
その代わり、父さんにも食べさせろ、とのこと。
(次から、少し多めに作るか)
⸻
満足したし、お昼寝しよう――と思ったら。
「ピーマンの場所、教えろ」
そう言われて、結局山へ案内することに。
帰ってきたら、寝よう。
おやすみー。
山の方へ行けば、それっぽいのが生えているのを知っている。
オイスターソースは――
海の魔獣を壺に入れて放置していたら、「腐ってる」「臭い」と騒がれていたアレ。
多分、あれはオイスターソースになってる。
醤油の実はある。
塩胡椒も、肉に使っている。
砂糖は……ない。
まあ、それは後で探せばいいか。
鶏ガラは鳥の魔獣から取れる。
よし、まずは鶏ガラを煮出そう。
その間にピーマンを取りに行けば効率がいい。
⸻
「帰ったよー! ちょっとお腹すいたから、調理場貸して!」
「おー、いいぞー。邪魔にならんように隅っこでやれよ」
「はーい」
返事をしながら、カゴに積まれていたパンを一つ掴んで、そのままかじる。
いつもは、パンを食べて、肉を焼いて終わり。
でも、今こうして思うと――
(現世で5歳が肉焼いてたら、結構怒られるよな)
そんなことを考えつつ、余っている寸胴鍋を探す。
鳥を解体した後の骨が入っているバケツから、ちょうど良さそうな骨を取り出す。
洗って、沸かしておいた寸胴に入れ、一度お湯を捨てる。
そこに水と、この辺りで使われている酒を投入。
ネギと生姜は……ない。
でも、ニンニクは獣避けとして、あちこちに吊るしてある。
(これでいいや)
ニンニクを取ってきて、鍋に放り込む。
⸻
「ちょっと森行ってくるー! これ止めないで置いといてね? すぐ戻るから!」
「おー? なんだ? ……おー?」
多分、分かってないけど、放っておいてくれるはず。
それにしても、煮物文化がないのに、なんで寸胴があるんだ?
……ああ、焼いた肉の保管用か。
昼前に焼いておいて、忙しい時間帯に温め直すやつだな。
そんなことを考えていると、山の入り口が見えてきた。
たまに魔獣が出るから危険だけど……
(今のところ、気配なし)
少し森に入り、入り口が見えなくなったあたりで、脇道にそれる。
⸻
「あった!」
鑑定してみる。
(うん、やっぱりピーマンだ)
5個くらいあれば十分だな。
ほくほく顔で収穫し、ルンルンで帰る。
戻ってからは、鍋を覗き込みながら、丁寧にアクを取る。
ピーマンのついでに拾ってきた果物をかじりつつ、
1時間半ほど、ちまちまとアク取り。
そろそろ良さそうだ。
⸻
ピーマン、肉、じゃがいもを細く切る。
次に、オイスターソースになっていると思われる壺を確認しに行く。
蓋を開けて鑑定。
(……なるほど、上澄みだけ使えばいいのか)
適量をすくって、戻る。
スープをこして、いよいよ炒め開始。
じゃがいもを切って水にさらした後、沈殿したデンプンを肉にまぶす。
肉。
筍代わりのじゃがいも。
ピーマン。
順に炒め、合わせておいた鶏ガラスープと調味料を投入。
水分を飛ばせば――完成。
「なかなか、うまそー」
ルンルンで皿を取りに行くと、父さんに声をかけられた。
「なんか美味そうな匂いするな? 俺の分も少し置いといてくれよ」
(全部食べようと思ってたのに……)
仕方なく、少しだけ皿に取って横に置く。
⸻
次に、冷たくて硬いパンをフライパンへ。
多めの油で揚げ焼きにする。
砂糖をまぶしたいけど、ないのでそのまま。
チンジャオロースの横に添えて――
「いただきます!」
⸻
うまい。
顔の筋肉が緩みまくる。
幸せすぎて、周りのことが全部どうでもよくなる。
夢中で食べていると、横から声が聞こえた。
……いつからいた?
譲られて、ようやく気づく。
「なに!? 今食べてるんだけど?」
「これ、なんだ? うまいな! 何入れた? どうやって作った?」
一通り説明する。
「チンジャオロースっていうの!
美味しいもの食べたくて考えて作った!」
すると――
「ニンニク入ってんのか!? 毒だぞあれは! 魔物避けだ!」
少し怒られた。
「ちゃんと加熱してあるから大丈夫だって……」
すると、急に身を乗り出してくる。
「おい、これ……店で出してもいいか!?」
なかなかの勢いで迫られて、
「お、おう……」
と、許可してしまった。
まあ、いいか。
俺の食事時間は邪魔しないって約束してくれたし、
材料も好きに使っていいって言ってくれた。
その代わり、父さんにも食べさせろ、とのこと。
(次から、少し多めに作るか)
⸻
満足したし、お昼寝しよう――と思ったら。
「ピーマンの場所、教えろ」
そう言われて、結局山へ案内することに。
帰ってきたら、寝よう。
おやすみー。
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