姉に婚約者を奪われて国外追放された私は冒険者に身を落としてしまいました……でも、幸せを掴んでみせます

aruka

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全てが私の敵

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「アーリア。君とはこれまでだ」
「え……?」

ある日のこと。
婚約者ユーウェルに呼び出された私はこう告げられて、絶句した。
彼は私に永遠の愛を誓ったはずの王子なのに。

目の前にいる彼は、冷酷な瞳で私を見下ろしていた。

「事情を聞かせてください、ユーウェル様……」
「そんなの決まっているじゃないか。私は君の姉であるアイリスと結婚することにしたからだよ」
「なっ……」

信じられない発言に言葉を失ってしまった。
他の人ならともかく、よりにもよって私の姉!?
どうしてなのか。今すぐにでも話を聞きたい。

そう思った途端、背後の扉が開かれる。
そして予定調和と言わんばかりのタイミングで姉が入って来た。純白のドレスに、薬指に指輪まではめ込んでいて――。
私への当てつけのようである。

「アイリスお姉様……」
「そういうことなの、アーリア」

やはり聞いていたのか、ニヤッと微笑んだ。
嘘なら良かったのに。夢でもいい。
けれど腕をつねっても痛みがあるばかりで夢が覚める気配はない。ただただ、目の前で二人が幸せなのを私は見せつけられるばかりだった。

「アーリアを捕らえよ!」
「な!?」

今度はなに!?
そう思って床に座り込んでいると、後ろから何人もの近衛兵がやってきて私の腕を拘束し始めた。
ユーウェル王子の父、ユリナス陛下までそこには立っていて――私を犯罪者でも見るかのような目つきで見下ろしていた。

そして目の前に一枚の紙切れを落とした。
その内容は、要約すると私を国外追放するとのことであった。あることないことつらつらと書かれている。

「聖女が売春婦にまで落ちるとはな……貴様はこの国の汚点だ」
「私はやっていません!」

色々な罪が書かれており、証拠と思われる写真まで提示されていた。確かに写真には私が映っているが――私は潔白だ。
それは私に似た誰かなのに!
けれど証明できるわけもない。

「分かり……ました……」

私はもう、受け入れるしかなかった。
この国にもはや私の居場所はないのだ。国家ぐるみで私をいじめるのが好きならもう勝手にすればいい。

「連れて行け。目的地はアンガス山脈だ」
「はっ」

私は馬車に乗せられた。
そして雪山まで連れて行かれることとなった。
過酷な環境で捨てられるのだ。こんなの、ほとんど死刑と変わらない……。
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