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大暴走
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ドドドドドドドドドド…………
地響きが聞こえ始めたのは、ちょうどガイアスとの模擬戦が終わった時だった。それが、魔物の足音だと認識した瞬間に、俺たちは行動を始めた。ガイアスは街を守護する集団の指揮に、俺は街から出て魔の森の方に駆ける。出来るだけ早く。視界に入った魔物は剣の届く限りですれ違い時に斬りつけ、少しでもギルマスたちの疲労を減らす。とは言え、ここで立ち止まると余計に危険度が大きくなるから、致命傷に至ってなくとも足は止めずに、ただひたすら走る。
この時、シンは一つ思い違いをしていた。実は、この傷をつけて行ったおかげで本当に後ろで戦う者達の疲労を減らせていたのを、シンは後から知ることになる。
「ふぅ、ついた…。早速始めようか。母さんに気配察知の技術を習ったのが、幸いだったな。」
魔の森に、十五分の疾走で到着したシンはそう呟くと目を閉じる。気配を探知しているのだ。この技術は、親を超えれた数少ないモノの一つで、蟻一匹見逃さないほどの察知が魔の森の入り口に広がった…が、それらしい気配はない。
「まぁ、異常が起きていたのがわかったのもそれなりに森の深いところにいたし、これは予想できたんだがな。」
とりあえず、気配が無いのなら奥に進むしか無い、とシンは思い、森の奥に向かった。ちなみに、この森に入ってから、数匹のゴブリンがシンを襲ったが、極限まで集中していたシンは、無意識に切り捨てていた。このゴブリン達は、森の奥にあると思われるコアに呼ばれなかった弱い個体だった。
「…………!あった。これか?」
森に入ってから、そのまま数十分ほど森の奥に進み続けていたシンの足が止まった…いや、本格的に進み始めていた。コアを見つけたのだ。だが、シンはもう一つその近くにある気配を察知していた。圧倒的な力を持つ相手だが、シンは迷わず足をすすめる。久しぶりにやる「本気の戦い」の予感による昂りに乗りながら。
「GuooooaaaaAAAAAAAAAAA!!」
「やっぱり、あの気配はお前か…古龍‼︎」
コアの微弱だが異質な気配の側にあった気配…それは、古龍の気配だった。元々、ガイアスにこう言う事は知らされていたのだ。大規模な大暴走を引き起こすコアは、己の身の回りに強い魔物を控えさせておくと言う事を。そして、今回のでは古龍が出てもおかしく無いとも。だが、それを聞いたシンは喜んで了承した。この世界では、その身に宿る圧倒的な武力をぶつけれる人が限りなく少ないのだ。だからこそ、古龍に期待を抱いた。最強の一角なら、あるいは……と。
「まずは小手くらべだ。【魔力の泉】【氷の槍】【火踊り小人の怒り】。」
起動言を唱えたシンの両の掌から、それぞれ氷の槍が数十本とまるで待っているように激しく燃える炎が浮かぶ。どちらも、Aランク程度の魔物なら瞬殺できるような威力にシンが設定した魔法だ。それゆえ、魔力の消費が激しいが、シンにとってはその程度の消費、指の爪の垢程度にしかならないのだが。
「Guo?Guuuuuuuaaaaaaaaaaa!!」
痛みより、その鬱陶しさに無傷の古龍が吠えるが、シンはやはり怯まない。前世の幾つもの死線をくぐった経験と胆力が、ここで発揮されていた。とは言え、シンもこの魔法が効かないのなら、少なくとも魔法関連で出せる技は無い。そうやって一時、攻撃を止めていると、それを勝機と見た古龍が固有魔法を構築する。
「おお?ブレスか。古龍のブレスは一度視ておきたい。ここでカスタムできる暇はないが…後でならどうとでもなるしな。」
「GyooooooooooooooOOOO!」
古龍の口から、閃光が迸る______
地響きが聞こえ始めたのは、ちょうどガイアスとの模擬戦が終わった時だった。それが、魔物の足音だと認識した瞬間に、俺たちは行動を始めた。ガイアスは街を守護する集団の指揮に、俺は街から出て魔の森の方に駆ける。出来るだけ早く。視界に入った魔物は剣の届く限りですれ違い時に斬りつけ、少しでもギルマスたちの疲労を減らす。とは言え、ここで立ち止まると余計に危険度が大きくなるから、致命傷に至ってなくとも足は止めずに、ただひたすら走る。
この時、シンは一つ思い違いをしていた。実は、この傷をつけて行ったおかげで本当に後ろで戦う者達の疲労を減らせていたのを、シンは後から知ることになる。
「ふぅ、ついた…。早速始めようか。母さんに気配察知の技術を習ったのが、幸いだったな。」
魔の森に、十五分の疾走で到着したシンはそう呟くと目を閉じる。気配を探知しているのだ。この技術は、親を超えれた数少ないモノの一つで、蟻一匹見逃さないほどの察知が魔の森の入り口に広がった…が、それらしい気配はない。
「まぁ、異常が起きていたのがわかったのもそれなりに森の深いところにいたし、これは予想できたんだがな。」
とりあえず、気配が無いのなら奥に進むしか無い、とシンは思い、森の奥に向かった。ちなみに、この森に入ってから、数匹のゴブリンがシンを襲ったが、極限まで集中していたシンは、無意識に切り捨てていた。このゴブリン達は、森の奥にあると思われるコアに呼ばれなかった弱い個体だった。
「…………!あった。これか?」
森に入ってから、そのまま数十分ほど森の奥に進み続けていたシンの足が止まった…いや、本格的に進み始めていた。コアを見つけたのだ。だが、シンはもう一つその近くにある気配を察知していた。圧倒的な力を持つ相手だが、シンは迷わず足をすすめる。久しぶりにやる「本気の戦い」の予感による昂りに乗りながら。
「GuooooaaaaAAAAAAAAAAA!!」
「やっぱり、あの気配はお前か…古龍‼︎」
コアの微弱だが異質な気配の側にあった気配…それは、古龍の気配だった。元々、ガイアスにこう言う事は知らされていたのだ。大規模な大暴走を引き起こすコアは、己の身の回りに強い魔物を控えさせておくと言う事を。そして、今回のでは古龍が出てもおかしく無いとも。だが、それを聞いたシンは喜んで了承した。この世界では、その身に宿る圧倒的な武力をぶつけれる人が限りなく少ないのだ。だからこそ、古龍に期待を抱いた。最強の一角なら、あるいは……と。
「まずは小手くらべだ。【魔力の泉】【氷の槍】【火踊り小人の怒り】。」
起動言を唱えたシンの両の掌から、それぞれ氷の槍が数十本とまるで待っているように激しく燃える炎が浮かぶ。どちらも、Aランク程度の魔物なら瞬殺できるような威力にシンが設定した魔法だ。それゆえ、魔力の消費が激しいが、シンにとってはその程度の消費、指の爪の垢程度にしかならないのだが。
「Guo?Guuuuuuuaaaaaaaaaaa!!」
痛みより、その鬱陶しさに無傷の古龍が吠えるが、シンはやはり怯まない。前世の幾つもの死線をくぐった経験と胆力が、ここで発揮されていた。とは言え、シンもこの魔法が効かないのなら、少なくとも魔法関連で出せる技は無い。そうやって一時、攻撃を止めていると、それを勝機と見た古龍が固有魔法を構築する。
「おお?ブレスか。古龍のブレスは一度視ておきたい。ここでカスタムできる暇はないが…後でならどうとでもなるしな。」
「GyooooooooooooooOOOO!」
古龍の口から、閃光が迸る______
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