とある剣士の異世界転生!〜極大魔法?超越魔法?要りませんよ。ただの基本魔法で十分です……コピーもできますし?〜

朱雀

文字の大きさ
22 / 30
新しいSSランク冒険者と、「覚醒者」

2

しおりを挟む
 俺は今日、新たなSSランク冒険者(俺)のお披露目ということで王城に来ていた。その時、貴族の一人のいちゃもんをつけられたので、(ちょっとイラッとして)自分の力を見せるために、俺の持つ魔法の一つである、【神の権能ゴッド・ヘゲモニー】を使って王城にの上空にあった雲を消し飛ばしたのだが、その時に何かが王都に落ちてきた。それが王都に突っ込む前に何か確認するために、飛翔術式で飛び上がった。

 そして現在、俺の目の前には白銀の長い髪を持つ女性が跪いていた。

 もう少し、時は巻き戻る。

「さてさて…何が落ちてきてんだ?…とりあえず、【神の権能】《日常用術式No.セカンドを起動。術式展開。発動。》」

 【神の権能】日常用術式、No.二は「共同次元転移」。これは、自分とその他の生物や非生物を指定して自分の言ったことのある場所に飛ぶ術式だ。転移できる場所の条件は自分の言ったことのある場所。今回、シンが指定した場所は魔の森と王都と魔の森の間にある平原のど真ん中だった。

 そして、転移対象として指定された者の正体は……

「龍?」

 白銀の鱗を持つ、前世の世界で考えられるイメージだろう龍だった。長い髭を持ち、蛇のように細長い体躯に四本の手足がついている。その全長はおそらく百や二百メートルは下らないだろう。

 これは、伝説とされる白銀の龍、銀煌龍帝。過去に来た古代勇者の友だったと言われている。…が、もちろんシンはこのことを知らず、ただの綺麗な銀色の龍としか見ていない。

「…ん、なんか怪我しているみたいだな……ってん?俺の光線は1箇所に高火力の攻撃をするもののはずだが…なんでこんなに傷が多いんだ?」

 その龍は、体の数カ所に大きな怪我を負っている上に、鱗もところどころ剥がれていたり、焼けていたりと、かなり洒落にならない傷を負っていた。とは言っても、やはり一番傷が酷かったのはシンの光線によって焼かれた場所だったが。

「…仕方ない。【神の権能】《日常用術式No.サードを起動。術式展開。発動。》……《全術式解除、展開終了》。」

 【神の権能】、第三術式。これは回復用の術式で、魔力の込め具合によって回復度合いの調整、回復部位の選択が可能。これによって龍の怪我は完全に完治した。

「…ここは…。」
「ん、起きたか。ここはフレデリク王国、王都周辺だ。俺は冒険者のシン。お前、なんで落ちてきたんだ?」
「む?われか?我は、ちょっと面倒な奴との戦闘があってな。倒したのはよかったが、かなりの怪我を負ったので急いで住処に戻っている時に…そうだ、思い出した!異常な魔力が込められた光線に撃ち落とされて…。」
「あ~やっぱりか。すまん!それ、俺が撃ったやつだと思う。まさかあんな所にちょうどいるとは思わなくてな。…結構手加減して打ったはずだが。」
「……あれで、手加減?」
「ああ。手加減しないと反動で王都が消し飛んでしまう。それは本意じゃないからな。本当にすまなかった。お詫びに怪我は完全に治癒させたよ。」

 ん~これは、【神の権能】の使う場所を考えないといけなくなったな。かなり便利だが…日常用術式とかの攻撃系じゃないやつは、良いにしても攻撃術式じゃ、光線が最弱の術だからなぁ…。

「なぁ、もう一度、我に撃った物を空に撃ってくれんか?」
「……まぁいいが。【#神の権能】《攻撃術式No.ワンを起動。術式展開。》《発射》。」

 今回も収縮発動にした。…実はこの術式、本来の使い方は、爆発させてのものだ。収縮発動は、そのエネルギーを文字通り収縮させてぶっ放す。だが、この収縮発動は、かなりのエネルギーがエネルギーを集める方に使われるから、威力としてはだいぶ落ちる。

「むぅ…これで手加減…か。我の仕えるべき主人が見つかったな。……シン様、どうか我を配下に加えて頂けんか?」
「あぁ、いいぞ。………ん!?いま、なんと?」
「我を配下に、と言っておるのだが…。これでも家事全般はできるし、戦闘面でもシン様まではないがあるつもりだ。役に立てると思うが。」
「…本気、みたいだな。まぁ、いいか。聖霊もいるし、もう一人伝説みたいな人が入っても…あ、そのサイズはどうにかならんか?」
「…聖霊?……まぁわかった。小さくなろう。」

 龍はそう言って、何事か言うと光り始めた。光が消えた時、そこにいたのは跪く、白銀の長い髪を持つ絶世の美女だった。

「わぁお…。あの姿がここまで綺麗に…?もっとゴツゴツだと思っていたけど…。」
「どうだろうか、シン様?」
「ん、ああ。綺麗…だが、その服はどこから出てきたのだ?」
「これは…我の鱗を変質させたものだ。」
「なるほどな。まぁ、これからよろしく。」
「ああ。これからも頼むぞ!主様。」


…どうやら、めっちゃヤバそうな龍が仲間になったようだ。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

異世界で魔法が使えない少女は怪力でゴリ押しします!

ninjin
ファンタジー
病弱だった少女は14歳の若さで命を失ってしまった・・・かに思えたが、実は異世界に転移していた。異世界に転移した少女は病弱だった頃になりたかった元気な体を手に入れた。しかし、異世界に転移して手いれた体は想像以上に頑丈で怪力だった。魔法が全ての異世界で、魔法が使えない少女は頑丈な体と超絶な怪力で無双する。

クラス全員で転移したけど俺のステータスは使役スキルが異常で出会った人全員を使役してしまいました

髙橋ルイ
ファンタジー
「クラス全員で転移したけど俺のステータスは使役スキルが異常で出会った人全員を使役してしまいました」 気がつけば、クラスごと異世界に転移していた――。 しかし俺のステータスは“雑魚”と判定され、クラスメイトからは置き去りにされる。 「どうせ役立たずだろ」と笑われ、迫害され、孤独になった俺。 だが……一人きりになったとき、俺は気づく。 唯一与えられた“使役スキル”が 異常すぎる力 を秘めていることに。 出会った人間も、魔物も、精霊すら――すべて俺の配下になってしまう。 雑魚と蔑まれたはずの俺は、気づけば誰よりも強大な軍勢を率いる存在へ。 これは、クラスで孤立していた少年が「異常な使役スキル」で異世界を歩む物語。 裏切ったクラスメイトを見返すのか、それとも新たな仲間とスローライフを選ぶのか―― 運命を決めるのは、すべて“使役”の先にある。 毎朝7時更新中です。⭐お気に入りで応援いただけると励みになります! 期間限定で10時と17時と21時も投稿予定 ※表紙のイラストはAIによるイメージです

セーブポイント転生 ~寿命が無い石なので千年修行したらレベル上限突破してしまった~

空色蜻蛉
ファンタジー
枢は目覚めるとクリスタルの中で魂だけの状態になっていた。どうやらダンジョンのセーブポイントに転生してしまったらしい。身動きできない状態に悲嘆に暮れた枢だが、やがて開き直ってレベルアップ作業に明け暮れることにした。百年経ち、二百年経ち……やがて国の礎である「聖なるクリスタル」として崇められるまでになる。 もう元の世界に戻れないと腹をくくって自分の国を見守る枢だが、千年経った時、衝撃のどんでん返しが待ち受けていて……。 【お知らせ】6/22 完結しました!

高校生の俺、異世界転移していきなり追放されるが、じつは最強魔法使い。可愛い看板娘がいる宿屋に拾われたのでもう戻りません

下昴しん
ファンタジー
高校生のタクトは部活帰りに突然異世界へ転移してしまう。 横柄な態度の王から、魔法使いはいらんわ、城から出ていけと言われ、いきなり無職になったタクト。 偶然会った宿屋の店長トロに仕事をもらい、看板娘のマロンと一緒に宿と食堂を手伝うことに。 すると突然、客の兵士が暴れだし宿はメチャクチャになる。 兵士に殴り飛ばされるトロとマロン。 この世界の魔法は、生活で利用する程度の威力しかなく、とても弱い。 しかし──タクトの魔法は人並み外れて、無法者も脳筋男もひれ伏すほど強かった。

貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。

黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。 この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。

魔道具頼みの異世界でモブ転生したのだがチート魔法がハンパない!~できればスローライフを楽しみたいんだけど周りがほっといてくれません!~

トモモト ヨシユキ
ファンタジー
10才の誕生日に女神に与えられた本。 それは、最強の魔道具だった。 魔道具頼みの異世界で『魔法』を武器に成り上がっていく! すべては、憧れのスローライフのために! エブリスタにも掲載しています。

備蓄スキルで異世界転移もナンノソノ

ちかず
ファンタジー
久しぶりの早帰りの金曜日の夜(但し、矢作基準)ラッキーの連続に浮かれた矢作の行った先は。 見た事のない空き地に1人。異世界だと気づかない矢作のした事は? 異世界アニメも見た事のない矢作が、自分のスキルに気づく日はいつ来るのだろうか。スキル【備蓄】で異世界に騒動を起こすもちょっぴりズレた矢作はそれに気づかずマイペースに頑張るお話。 鈍感な主人公が降り注ぐ困難もナンノソノとクリアしながら仲間を増やして居場所を作るまで。

【完結】異世界で魔道具チートでのんびり商売生活

シマセイ
ファンタジー
大学生・誠也は工事現場の穴に落ちて異世界へ。 物体に魔力を付与できるチートスキルを見つけ、 能力を隠しつつ魔道具を作って商業ギルドで商売開始。 のんびりスローライフを目指す毎日が幕を開ける!

処理中です...