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三章「遭遇」
#6
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「Nocturnality(夜目)」という魔術がある。
ものすごく発音が難しいが、要するに暗いところでも周りが見えるというもので、何故か土魔法だったりする。
今のところ使えるのは、カナちゃんだけ。
他のメンバーには使えないので、ダンジョンに潜るときには灯りが必須だ。
そうなるとカナちゃんにとってはいらない魔術になる。
と思っていたんだけど……。
「ノクトルナリティ!」
「違う違う、「ヌォクトゥォルナルィティ(夜目)」だよ」
「ノークトールナーリティー!」
「ノクトールナリーティ!」
「ノークトルナリティ」
「うーん、アリサが近いかな。もう一度、「ヌォクトゥォルナルィティ(夜目)」」
絶賛練習中。
カナちゃんは魔術を覚えるのに熱心なので、大人ダイチ(皆曰く『ダイチさん』……正直やめてほしい)が現れるたびに、新しい魔術をせがんでいる。
だから、使える魔術の数も段違い。
使えないまでも「知っている魔術」だけなら、かなりの数になる。
これもその中の一つだ。
カナちゃんもはじめは使えなかったが、一人で練習して、使えるようになってから僕たちに提案してきたのだ。
全員それなりに位階が上がっているお陰で、ダンジョン内で灯りがなくとも、それなりに周りが見えるようにはなっている。
が、戦いとなるとさすがに心もとない。
だから暗いところでも周りが見える「Nocturnality(夜目)」はうってつけなのだ。
この魔術は効率がよく、土属性の魔石一つでかなりの長時間保つ。
土属性の魔石が一つあれば、全員が丸一日潜っていても大丈夫なくらいだ。
だから、ぼくたちはカナちゃんの提案どおり、全員が「Nocturnality(夜目)」を覚えるまで、ダンジョンに潜らないと決めた。
ちなみに1つの魔石を複数人で使うときは、石を握った上から握ればいい。カナちゃんの手を握ったぜ、ひゃっほー!
だけど、欠点が三つ。
一つは、土属性の魔石がレアなこと。使い捨てにするには惜しい。
が、今のところぼくたちは他の土属性の魔術を使えないので、どのみち宝の持ち腐れだ。
次に、魔術は発音だけでなく、発動の結果どうなるかが明確にイメージ出来ている必要がある。
例えば攻撃魔法の「Stiria(氷の槍よ)」なんかは、一度見てしまえばイメージできるけど、「暗い中でもはっきり目が見える」という状態はイメージしづらい。だから発動が難しい。
でも、これについてはカナちゃんの「映画やホラー番組に出てくる暗視カメラの映像に似ているよ」という発言によりなんとかクリア。
問題は、最後の一つ。
「カナ、どうしても無理?」
「無理。位階が上がればわかんないけど、自分以外にかけるのはできないみたい」
使えるのは自分に対してのみ。
つまり「全員がこの難しい詠唱を習得しなくてはならない」のだ。
「「Nocturnality(夜目)」!」
「あっ、アリサすごい! 完璧だよ!」
「カナの口真似をしたからね……(ボソ)」
「あっ、くっそー! なんで女ばっかすぐ上手くなるんだよ! 「ヌオークトールナーリティ!」」
「ケンゴくん、違うよー。「ヌォクトゥォルナルィティ(夜目)」」
「無理!!!」
ケンゴがひっくり返る。
「無理! じゃないよケンゴ。前衛のケンゴが使えなかったら、灯り魔法が必要になるじゃん。ダンジョン潜れないじゃん」
「そうだよ、せっかくカナちゃんが教えてくれてるんだから、起き上がってさっさと練習する!」
「はい、起きてケンゴくん。「Nocturnality(夜目)」。さん、はい」
「わーったよ! 「ヌォクトゥォルナリティ」!」
「あっ! 今のは良かったよ!」
「「ヌォクトゥォルナレティ」」
「ダイチくんも上手い!」
ちょっと巻き舌っぽいというか、やたら難しい……。これと比べたら「Lumen(光あれ)」なんて日本語と大差ないよ。
「「Nocturnality(夜目)」」
「おおー、コータくん完璧! ほら、みんなもうちょっと頑張ろう、ね?」
はい、頑張ります!
ものすごく発音が難しいが、要するに暗いところでも周りが見えるというもので、何故か土魔法だったりする。
今のところ使えるのは、カナちゃんだけ。
他のメンバーには使えないので、ダンジョンに潜るときには灯りが必須だ。
そうなるとカナちゃんにとってはいらない魔術になる。
と思っていたんだけど……。
「ノクトルナリティ!」
「違う違う、「ヌォクトゥォルナルィティ(夜目)」だよ」
「ノークトールナーリティー!」
「ノクトールナリーティ!」
「ノークトルナリティ」
「うーん、アリサが近いかな。もう一度、「ヌォクトゥォルナルィティ(夜目)」」
絶賛練習中。
カナちゃんは魔術を覚えるのに熱心なので、大人ダイチ(皆曰く『ダイチさん』……正直やめてほしい)が現れるたびに、新しい魔術をせがんでいる。
だから、使える魔術の数も段違い。
使えないまでも「知っている魔術」だけなら、かなりの数になる。
これもその中の一つだ。
カナちゃんもはじめは使えなかったが、一人で練習して、使えるようになってから僕たちに提案してきたのだ。
全員それなりに位階が上がっているお陰で、ダンジョン内で灯りがなくとも、それなりに周りが見えるようにはなっている。
が、戦いとなるとさすがに心もとない。
だから暗いところでも周りが見える「Nocturnality(夜目)」はうってつけなのだ。
この魔術は効率がよく、土属性の魔石一つでかなりの長時間保つ。
土属性の魔石が一つあれば、全員が丸一日潜っていても大丈夫なくらいだ。
だから、ぼくたちはカナちゃんの提案どおり、全員が「Nocturnality(夜目)」を覚えるまで、ダンジョンに潜らないと決めた。
ちなみに1つの魔石を複数人で使うときは、石を握った上から握ればいい。カナちゃんの手を握ったぜ、ひゃっほー!
だけど、欠点が三つ。
一つは、土属性の魔石がレアなこと。使い捨てにするには惜しい。
が、今のところぼくたちは他の土属性の魔術を使えないので、どのみち宝の持ち腐れだ。
次に、魔術は発音だけでなく、発動の結果どうなるかが明確にイメージ出来ている必要がある。
例えば攻撃魔法の「Stiria(氷の槍よ)」なんかは、一度見てしまえばイメージできるけど、「暗い中でもはっきり目が見える」という状態はイメージしづらい。だから発動が難しい。
でも、これについてはカナちゃんの「映画やホラー番組に出てくる暗視カメラの映像に似ているよ」という発言によりなんとかクリア。
問題は、最後の一つ。
「カナ、どうしても無理?」
「無理。位階が上がればわかんないけど、自分以外にかけるのはできないみたい」
使えるのは自分に対してのみ。
つまり「全員がこの難しい詠唱を習得しなくてはならない」のだ。
「「Nocturnality(夜目)」!」
「あっ、アリサすごい! 完璧だよ!」
「カナの口真似をしたからね……(ボソ)」
「あっ、くっそー! なんで女ばっかすぐ上手くなるんだよ! 「ヌオークトールナーリティ!」」
「ケンゴくん、違うよー。「ヌォクトゥォルナルィティ(夜目)」」
「無理!!!」
ケンゴがひっくり返る。
「無理! じゃないよケンゴ。前衛のケンゴが使えなかったら、灯り魔法が必要になるじゃん。ダンジョン潜れないじゃん」
「そうだよ、せっかくカナちゃんが教えてくれてるんだから、起き上がってさっさと練習する!」
「はい、起きてケンゴくん。「Nocturnality(夜目)」。さん、はい」
「わーったよ! 「ヌォクトゥォルナリティ」!」
「あっ! 今のは良かったよ!」
「「ヌォクトゥォルナレティ」」
「ダイチくんも上手い!」
ちょっと巻き舌っぽいというか、やたら難しい……。これと比べたら「Lumen(光あれ)」なんて日本語と大差ないよ。
「「Nocturnality(夜目)」」
「おおー、コータくん完璧! ほら、みんなもうちょっと頑張ろう、ね?」
はい、頑張ります!
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