82 / 135
#5
3
しおりを挟む
戦地は、だだっ広い平地だった。
ちょうど、この世界に来た日にあたしを絶望させた、『寂しの森』の魔物の領域とそれ以外を隔てるあの雪原と似ている。
軍用荷馬車が到着し、荷物を下ろす。
そこら中にテントが張られていて、煙突から煙が上がっている。炊き出しが行われているらしい。
歩き回る男たちがむさ苦しいことを除けば、ちょっとしたフードイベントみたいで、あたしは肩透かしを食らった。
「ハイジ、戦争ってこんなものなの?」
「こんなものとは?」
「もっと、こう……戦略的に相手を囲んで、不意打ちとか、そういうのをイメージしてた」
「……それはもっと後だ。宣戦布告があれば、まずは儀礼戦だ。日時を示し合わせて戦う。そこで決着が付けばいいが、大抵は付かないな。その後はお前の言うように、何でもありだ」
「そうなのね。なんだかゲームみたいだと思っちゃった」
「ゲームではないな。殺し合いだ」
「いやまぁ、そうなんだろうけど」
「今回は長引くだろう。下手をすると一月くらいは続く」
(長引いて一月……そんなもんなのか。殺し合いなのに不謹慎かもしれないけど、短く感じるね)
(元の世界の戦争なら、年単位が当たり前だった、って言ったら驚くかな?)
まぁ、大体において、戦いの質が違うのだ。
元の世界の戦争では、重火器や遠距離攻撃が当たり前で、陸だけでなく、空から海まで全ての場所が戦場になる。
しかしこの世界では、兵同志が剣をぶつけ合うことがすなわち戦争なのだ。
元の戦争なら、どんなに優れた兵士でも、それ単体では大して戦局を左右しないだろう。しかしこの世界では、たった一人の英雄の存在が戦局を分けることになる。
だからこそ、例えばハイジのような存在が英雄譚として愛されることになる。
(本人は間違いなく嫌がってるけどね)
目立つのが嫌いで、変に自己評価が低い英雄様をちらりと見ると、何も気負っていない、いつもどおりの表情である。
(緊張感なんてないんだろうな)
(というか、逆か。日常全てが戦いなんだから、寝ても覚めても緊張感を持ってるって感じね)
疲れそうな生き方だこと、と思うが、よく考えてみればあたしも似たようなものだった。
「明日の正午には開戦だ。開戦前に手出しをするのは重大なルール違反だ。ちょっかいを掛けてくることはまずないはずだ。今のうちにしっかり休んでおけ」
「ん? ハイジはどうするの?」
「おれは司令室に呼ばれてる」
「……まさか、ハイジが司令官ってわけじゃないよね?」
あたしが驚くと、ハイジは「そんなわけがないだろう」と肩をすくめた。
「おれの役割は、何と言えばいいか……まぁ、兵士たちを鼓舞する神輿みたいなものだ」
「神輿?」
「ヴォリネッリの歴史上で、おれより多くの戦争に参加した戦士はいない。だがこの通りピンピンしているだろう?」
「そうね」
「だから、戦争を勝利に導く加護があると言われている」
「へぇ……でも、そんなもの持ってないわよね?」
「当たり前だ。おれは何と言うか……死神に嫌われてるだけだ」
偽悪的な表現に、あたしは思わずクスリと笑った。
「だが、おれがいれば戦争に勝利できる––––そう信じられることには意味がある」
戦争に勝つために必要なことなら、神輿にでも何でもなろう、とハイジは言った。
* * *
ハイジが居なくなって気付いたが、よく考えれば女はあたし一人だ。
他にも女兵士はいるのかもしれないが、少なくとも見渡す限りは全員男である。
面倒事になるのが嫌だったので、あたしは気配遮断し、魔力探知を ON にしておいた。
気配を完全に消したおかげで、誰にも気づかれずに戦地を見て回ることができた。
とりあえず、地形、敵や味方の兵の数や練度、武装の質も観察しておく。
(敵方は……思ったよりも練度が高いな。それに武器も良いものを揃えている)
荷馬車で聞かされた情報は確かなようだ。リヒテンベルクは軍資金と武器の提供を主として、派兵はほとんど行っていないようだ。
(つまり、リヒテンベルクにしてみれば、どちらが勝とうが得をする図式ってわけか。戦争屋の異名は伊達じゃないってわけね)
だが、士気はこちらのほうが高い。
それも当然だ。リヒテンベルクはともかく、ハーゲンベックの戦士たちは日々圧政に苦しんでいる。帰属意識や郷土愛など望むべくもない。士気も高まるはずもない。
しかしライヒ方はそうはいかない。ハーゲンベックの治世に戻ることは何としても避けたい。家族は当然として、故郷を守るために命がけの連中が揃っている。
見るべきところをあらたか見て回り、あたしは明日に備えて休むことにする。
ハイジとは落ち合う約束も何もしていないが、あたしも傭兵として行きていくと決めたのだ。一人だからと心細がっている場合ではないし、戦いは常に孤独なものだ。だから今この時にそばにいる必要はないし、一人でも戦う。
炊き出しでやけに贅沢なスープとパンを振る舞われた後、あたしは皆と離れたところでマントにくるまって眠った。
* * *
翌日、早朝に目を覚ましたあたしは、いよいよ始まる戦争に緊張を隠せなかった。
すでにこれまでに三人もの人間を殺した自分ではあるが、あれは向こうが勝手に襲ってきたのだ。
しかし、今回は敵と味方に分かれはいるものの、兵自体には罪はない。
ハーゲンベックの兵の全てが領主のような悪意に満ちていればやりやすいのだが、実際はそうではない。
中には戦いたくもないのに駆り出されたものも多いだろうし、家族が待っているものも多いだろう。
(迷っちゃダメだ)
そう、しかしそれはこちらも同じこと。
あたしたちが戦わなければ、ライヒ領が占領される。ライヒ伯爵の治世でようやく繁栄の道を歩み始めたエイヒムの街も、元の地獄に逆戻りだ。
エイヒムにはニコやペトラ、ミッラやヤーコブ達もいる。
敵方にとっては我々のほうが侵略者だという認識なのだろうが、それでも街を守るために戦わざるを得ない。
戦うならば、勝つ。
それだけだ。
正午になれば開戦ということだが、その数時間前には準備を済ませておかなければならない。戦いの直前に食事は取れないので、あたしは早めの朝食をもらって、戦いに備える。
あたしがもぐもぐとパンを食べていると、突然辺りに大きな声が鳴り響いた。
『聴け! 勇ましきライヒとオルヴィネリの兵どもよ! 時は来た!』
戦意高揚。
見ればかなり遠くで立派な身なりの兵が壇上で声を上げている。
どういう理屈なのか、その声はここまではっきりと聞こえてくる。そういう能力があるのかもしれない。
その声に反応して、周りの兵達が色めき立つ。
『覚えているか! ハーゲンベックの治世を! 誰もが飢え、明日が見えなかった、あの地獄のような光景を!』
兵たちが拳を上げてそれに応えた。
「おおっ! 覚えているぞ!」「忘れるものか!」「おれは子を失った!」
『覚えているか! ハーゲンベックの支配が終わった日のことを! ライヒ伯爵が勝利を治めた日のことを!』
「「「覚えているぞ! 覚えているぞ!!」」」
『はじめは不安だった! 支配者が変わっただけで、我々の生活が良くなるものかと……だがッ! ライヒ伯爵は我々の期待に応えてくれた!!』
「「「応えてくれた! 応えてくれた!!」」」
『覚えているか! 食うに困らなくなり、税に喘ぐこともなく、妻や子供を守れる様になったことを!』
「「「忘れるものか! 忘れるものか!」」」
『守りたくはないか?! 我々の平和を! 人々の安寧を!』
「「「守ってみせるとも! 守ってみせるとも!!」」」
『正義は我らに! 勝利は我らに!!」
「「「正義は我らに! 勝利は我らに!!」」」
兵たちの興奮のボルテージが上がっていくのがわかる。
『ライヒ領の兵は強い! その上リヒテンベルクの参戦だ! 不安を感じている者も多いだろう!』
「「「不安などないぞ! 不安などないぞ!!」」」
『そうとも! 案ずることはない!! 我らには英雄が付いている!! 我々の勝利は揺るがないッ!!』
その言葉に、兵たちがザワザワし始める。
「英雄?」「誰だ?」
『その英雄の名はッ! お前たちもよく知るところだろう! 彼のいる限り、我々に敗北の二文字はないッ!!』
「「「その名を言え! その名を言え!!」」」
『その名は『番犬!』!!! 魔物の森のハイジだ!!!』
「「「うぉぉぉおおおおおおーーーーーーーーッ!」」」
男たちの咆哮。
(うわ)
その声は大地すら揺るがすようで、あたしは思わず耳をふさいでしゃがみこんだ。
見れば、舞台にハイジが登場していた。
(ハイジってば、こんな風に思われてたのね)
(ハイジがいるだけで戦争が有利になるってのは、こういうことかぁ)
あたしは居心地が悪そうにむっつりとしているハイジを見て、思わず吹き出した。
戦闘開始の法螺貝が鳴り響いた。
ちょうど、この世界に来た日にあたしを絶望させた、『寂しの森』の魔物の領域とそれ以外を隔てるあの雪原と似ている。
軍用荷馬車が到着し、荷物を下ろす。
そこら中にテントが張られていて、煙突から煙が上がっている。炊き出しが行われているらしい。
歩き回る男たちがむさ苦しいことを除けば、ちょっとしたフードイベントみたいで、あたしは肩透かしを食らった。
「ハイジ、戦争ってこんなものなの?」
「こんなものとは?」
「もっと、こう……戦略的に相手を囲んで、不意打ちとか、そういうのをイメージしてた」
「……それはもっと後だ。宣戦布告があれば、まずは儀礼戦だ。日時を示し合わせて戦う。そこで決着が付けばいいが、大抵は付かないな。その後はお前の言うように、何でもありだ」
「そうなのね。なんだかゲームみたいだと思っちゃった」
「ゲームではないな。殺し合いだ」
「いやまぁ、そうなんだろうけど」
「今回は長引くだろう。下手をすると一月くらいは続く」
(長引いて一月……そんなもんなのか。殺し合いなのに不謹慎かもしれないけど、短く感じるね)
(元の世界の戦争なら、年単位が当たり前だった、って言ったら驚くかな?)
まぁ、大体において、戦いの質が違うのだ。
元の世界の戦争では、重火器や遠距離攻撃が当たり前で、陸だけでなく、空から海まで全ての場所が戦場になる。
しかしこの世界では、兵同志が剣をぶつけ合うことがすなわち戦争なのだ。
元の戦争なら、どんなに優れた兵士でも、それ単体では大して戦局を左右しないだろう。しかしこの世界では、たった一人の英雄の存在が戦局を分けることになる。
だからこそ、例えばハイジのような存在が英雄譚として愛されることになる。
(本人は間違いなく嫌がってるけどね)
目立つのが嫌いで、変に自己評価が低い英雄様をちらりと見ると、何も気負っていない、いつもどおりの表情である。
(緊張感なんてないんだろうな)
(というか、逆か。日常全てが戦いなんだから、寝ても覚めても緊張感を持ってるって感じね)
疲れそうな生き方だこと、と思うが、よく考えてみればあたしも似たようなものだった。
「明日の正午には開戦だ。開戦前に手出しをするのは重大なルール違反だ。ちょっかいを掛けてくることはまずないはずだ。今のうちにしっかり休んでおけ」
「ん? ハイジはどうするの?」
「おれは司令室に呼ばれてる」
「……まさか、ハイジが司令官ってわけじゃないよね?」
あたしが驚くと、ハイジは「そんなわけがないだろう」と肩をすくめた。
「おれの役割は、何と言えばいいか……まぁ、兵士たちを鼓舞する神輿みたいなものだ」
「神輿?」
「ヴォリネッリの歴史上で、おれより多くの戦争に参加した戦士はいない。だがこの通りピンピンしているだろう?」
「そうね」
「だから、戦争を勝利に導く加護があると言われている」
「へぇ……でも、そんなもの持ってないわよね?」
「当たり前だ。おれは何と言うか……死神に嫌われてるだけだ」
偽悪的な表現に、あたしは思わずクスリと笑った。
「だが、おれがいれば戦争に勝利できる––––そう信じられることには意味がある」
戦争に勝つために必要なことなら、神輿にでも何でもなろう、とハイジは言った。
* * *
ハイジが居なくなって気付いたが、よく考えれば女はあたし一人だ。
他にも女兵士はいるのかもしれないが、少なくとも見渡す限りは全員男である。
面倒事になるのが嫌だったので、あたしは気配遮断し、魔力探知を ON にしておいた。
気配を完全に消したおかげで、誰にも気づかれずに戦地を見て回ることができた。
とりあえず、地形、敵や味方の兵の数や練度、武装の質も観察しておく。
(敵方は……思ったよりも練度が高いな。それに武器も良いものを揃えている)
荷馬車で聞かされた情報は確かなようだ。リヒテンベルクは軍資金と武器の提供を主として、派兵はほとんど行っていないようだ。
(つまり、リヒテンベルクにしてみれば、どちらが勝とうが得をする図式ってわけか。戦争屋の異名は伊達じゃないってわけね)
だが、士気はこちらのほうが高い。
それも当然だ。リヒテンベルクはともかく、ハーゲンベックの戦士たちは日々圧政に苦しんでいる。帰属意識や郷土愛など望むべくもない。士気も高まるはずもない。
しかしライヒ方はそうはいかない。ハーゲンベックの治世に戻ることは何としても避けたい。家族は当然として、故郷を守るために命がけの連中が揃っている。
見るべきところをあらたか見て回り、あたしは明日に備えて休むことにする。
ハイジとは落ち合う約束も何もしていないが、あたしも傭兵として行きていくと決めたのだ。一人だからと心細がっている場合ではないし、戦いは常に孤独なものだ。だから今この時にそばにいる必要はないし、一人でも戦う。
炊き出しでやけに贅沢なスープとパンを振る舞われた後、あたしは皆と離れたところでマントにくるまって眠った。
* * *
翌日、早朝に目を覚ましたあたしは、いよいよ始まる戦争に緊張を隠せなかった。
すでにこれまでに三人もの人間を殺した自分ではあるが、あれは向こうが勝手に襲ってきたのだ。
しかし、今回は敵と味方に分かれはいるものの、兵自体には罪はない。
ハーゲンベックの兵の全てが領主のような悪意に満ちていればやりやすいのだが、実際はそうではない。
中には戦いたくもないのに駆り出されたものも多いだろうし、家族が待っているものも多いだろう。
(迷っちゃダメだ)
そう、しかしそれはこちらも同じこと。
あたしたちが戦わなければ、ライヒ領が占領される。ライヒ伯爵の治世でようやく繁栄の道を歩み始めたエイヒムの街も、元の地獄に逆戻りだ。
エイヒムにはニコやペトラ、ミッラやヤーコブ達もいる。
敵方にとっては我々のほうが侵略者だという認識なのだろうが、それでも街を守るために戦わざるを得ない。
戦うならば、勝つ。
それだけだ。
正午になれば開戦ということだが、その数時間前には準備を済ませておかなければならない。戦いの直前に食事は取れないので、あたしは早めの朝食をもらって、戦いに備える。
あたしがもぐもぐとパンを食べていると、突然辺りに大きな声が鳴り響いた。
『聴け! 勇ましきライヒとオルヴィネリの兵どもよ! 時は来た!』
戦意高揚。
見ればかなり遠くで立派な身なりの兵が壇上で声を上げている。
どういう理屈なのか、その声はここまではっきりと聞こえてくる。そういう能力があるのかもしれない。
その声に反応して、周りの兵達が色めき立つ。
『覚えているか! ハーゲンベックの治世を! 誰もが飢え、明日が見えなかった、あの地獄のような光景を!』
兵たちが拳を上げてそれに応えた。
「おおっ! 覚えているぞ!」「忘れるものか!」「おれは子を失った!」
『覚えているか! ハーゲンベックの支配が終わった日のことを! ライヒ伯爵が勝利を治めた日のことを!』
「「「覚えているぞ! 覚えているぞ!!」」」
『はじめは不安だった! 支配者が変わっただけで、我々の生活が良くなるものかと……だがッ! ライヒ伯爵は我々の期待に応えてくれた!!』
「「「応えてくれた! 応えてくれた!!」」」
『覚えているか! 食うに困らなくなり、税に喘ぐこともなく、妻や子供を守れる様になったことを!』
「「「忘れるものか! 忘れるものか!」」」
『守りたくはないか?! 我々の平和を! 人々の安寧を!』
「「「守ってみせるとも! 守ってみせるとも!!」」」
『正義は我らに! 勝利は我らに!!」
「「「正義は我らに! 勝利は我らに!!」」」
兵たちの興奮のボルテージが上がっていくのがわかる。
『ライヒ領の兵は強い! その上リヒテンベルクの参戦だ! 不安を感じている者も多いだろう!』
「「「不安などないぞ! 不安などないぞ!!」」」
『そうとも! 案ずることはない!! 我らには英雄が付いている!! 我々の勝利は揺るがないッ!!』
その言葉に、兵たちがザワザワし始める。
「英雄?」「誰だ?」
『その英雄の名はッ! お前たちもよく知るところだろう! 彼のいる限り、我々に敗北の二文字はないッ!!』
「「「その名を言え! その名を言え!!」」」
『その名は『番犬!』!!! 魔物の森のハイジだ!!!』
「「「うぉぉぉおおおおおおーーーーーーーーッ!」」」
男たちの咆哮。
(うわ)
その声は大地すら揺るがすようで、あたしは思わず耳をふさいでしゃがみこんだ。
見れば、舞台にハイジが登場していた。
(ハイジってば、こんな風に思われてたのね)
(ハイジがいるだけで戦争が有利になるってのは、こういうことかぁ)
あたしは居心地が悪そうにむっつりとしているハイジを見て、思わず吹き出した。
戦闘開始の法螺貝が鳴り響いた。
0
あなたにおすすめの小説
異世界に転移したら、孤児院でごはん係になりました
雪月夜狐
ファンタジー
ある日突然、異世界に転移してしまったユウ。
気がつけば、そこは辺境にある小さな孤児院だった。
剣も魔法も使えないユウにできるのは、
子供たちのごはんを作り、洗濯をして、寝かしつけをすることだけ。
……のはずが、なぜか料理や家事といった
日常のことだけが、やたらとうまくいく。
無口な男の子、甘えん坊の女の子、元気いっぱいな年長組。
個性豊かな子供たちに囲まれて、
ユウは孤児院の「ごはん係」として、毎日を過ごしていく。
やがて、かつてこの孤児院で育った冒険者や商人たちも顔を出し、
孤児院は少しずつ、人が集まる場所になっていく。
戦わない、争わない。
ただ、ごはんを作って、今日をちゃんと暮らすだけ。
ほんわか天然な世話係と子供たちの日常を描く、
やさしい異世界孤児院ファンタジー。
病弱な彼女は、外科医の先生に静かに愛されています 〜穏やかな執着に、逃げ場はない〜
来栖れいな
恋愛
――穏やかな微笑みの裏に、逃げられない愛があった。
望んでいたわけじゃない。
けれど、逃げられなかった。
生まれつき弱い心臓を抱える彼女に、政略結婚の話が持ち上がった。
親が決めた未来なんて、受け入れられるはずがない。
無表情な彼の穏やかさが、余計に腹立たしかった。
それでも――彼だけは違った。
優しさの奥に、私の知らない熱を隠していた。
形式だけのはずだった関係は、少しずつ形を変えていく。
これは束縛? それとも、本当の愛?
穏やかな外科医に包まれていく、静かで深い恋の物語。
※この物語はフィクションです。
登場する人物・団体・名称・出来事などはすべて架空であり、実在のものとは一切関係ありません。
宿敵の家の当主を妻に貰いました~妻は可憐で儚くて優しくて賢くて可愛くて最高です~
紗沙
恋愛
剣の名家にして、国の南側を支配する大貴族フォルス家。
そこの三男として生まれたノヴァは一族のみが扱える秘技が全く使えない、出来損ないというレッテルを貼られ、辛い子供時代を過ごした。
大人になったノヴァは小さな領地を与えられるものの、仕事も家族からの期待も、周りからの期待も0に等しい。
しかし、そんなノヴァに舞い込んだ一件の縁談話。相手は国の北側を支配する大貴族。
フォルス家とは長年の確執があり、今は栄華を極めているアークゲート家だった。
しかも縁談の相手は、まさかのアークゲート家当主・シアで・・・。
「あのときからずっと……お慕いしています」
かくして、何も持たないフォルス家の三男坊は性格良し、容姿良し、というか全てが良しの妻を迎え入れることになる。
ノヴァの運命を変える、全てを与えてこようとする妻を。
「人はアークゲート家の当主を恐ろしいとか、血も涙もないとか、冷酷とか散々に言うけど、
シアは可愛いし、優しいし、賢いし、完璧だよ」
あまり深く考えないノヴァと、彼にしか自分の素を見せないシア、二人の結婚生活が始まる。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
ハイエルフ少女と三十路弱者男の冒険者ワークライフ ~最初は弱いが、努力ガチャを引くたびに強くなる~
スィグトーネ
ファンタジー
年収が低く、非正規として働いているため、決してモテない男。
それが、この物語の主人公である【東龍之介】だ。
そんな30歳の弱者男は、飲み会の帰りに偶然立ち寄った神社で、異世界へと移動することになってしまう。
異世界へ行った男が、まず出逢ったのは、美しい紫髪のエルフ少女だった。
彼女はエルフの中でも珍しい、2柱以上の精霊から加護を受けるハイエルフだ。
どうして、それほどの人物が単独で旅をしているのか。彼女の口から秘密が明かされることで、2人のワークライフがはじまろうとしている。
※この物語で使用しているイラストは、AIイラストさんのものを使用しています。
※なかには過激なシーンもありますので、外出先等でご覧になる場合は、くれぐれもご注意ください。
『冷徹社長の秘書をしていたら、いつの間にか専属の妻に選ばれました』
鍛高譚
恋愛
秘書課に異動してきた相沢結衣は、
仕事一筋で冷徹と噂される社長・西園寺蓮の専属秘書を務めることになる。
厳しい指示、膨大な業務、容赦のない会議――
最初はただ必死に食らいつくだけの日々だった。
だが、誰よりも真剣に仕事と向き合う蓮の姿に触れるうち、
結衣は秘書としての誇りを胸に、確かな成長を遂げていく。
そして、蓮もまた陰で彼女を支える姿勢と誠実な仕事ぶりに心を動かされ、
次第に結衣は“ただの秘書”ではなく、唯一無二の存在になっていく。
同期の嫉妬による妨害、ライバル会社の不正、社内の疑惑。
数々の試練が二人を襲うが――
蓮は揺るがない意志で結衣を守り抜き、
結衣もまた社長としてではなく、一人の男性として蓮を信じ続けた。
そしてある夜、蓮がようやく口にした言葉は、
秘書と社長の関係を静かに越えていく。
「これからの人生も、そばで支えてほしい。」
それは、彼が初めて見せた弱さであり、
結衣だけに向けた真剣な想いだった。
秘書として。
一人の女性として。
結衣は蓮の差し伸べた未来を、涙と共に受け取る――。
仕事も恋も全力で駆け抜ける、
“冷徹社長×秘書”のじれ甘オフィスラブストーリー、ここに完結。
課長と私のほのぼの婚
藤谷 郁
恋愛
冬美が結婚したのは十も離れた年上男性。
舘林陽一35歳。
仕事はできるが、ちょっと変わった人と噂される彼は他部署の課長さん。
ひょんなことから交際が始まり、5か月後の秋、気がつけば夫婦になっていた。
※他サイトにも投稿。
※一部写真は写真ACさまよりお借りしています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる