116 / 135
#5
27 : Lynn
しおりを挟む
# Metsästäjät
馬車内に微妙な空気が流れる。
全員が「一体こいつは何を言ってるんだ?」という表情だ。
こういう空気になった時にそれを破るのは常にヘルマンニである。
「でもよぅ、ハイジ……お前、童貞じゃねぇか」
「ああ、だからノイエがおれの子だというのは、完全に勘違いだ。だが……彼がおれに会いにきた時には、誤解はすでに確信の域に達していた。母は父を裏切ったのだ、おれの子供を夫の子だと偽っているのだと熱弁していたな」
「はぁ?」
ヘルマンニが
「何故そんな考えに至るんだ? 何の理由もなくそんなことを考えるもんかよ?」
「父親とあまりに似ていないからだと言っていたな。だが、ノイエは黒目・黒髪だ。仮におれの子だとしたら、少なくとも目は青いはずだ」
この世界で身ごもれば『はぐれ』の血は淘汰される。髪の色はともかく、目だけは誤魔化しようがない。
ハイジは生粋の中つ国の人間だ。『はぐれ』に育てられたと言っても、その血に精霊の国の血は混じってはいないのだ。
「それじゃ、お前の子供のわけねぇじゃねぇか。まぁ仮にお前が宗旨変えして、カナタちゃんだっけ? あの子に手を出したとしても、ノイエが生まれてくるこたぁねぇよな」
「なんだ? その宗旨変えというのは……。別におれは、女と寝ないと決めているわけじゃないんだがな」
「娼館で遊びに誘っても、乗ってこねぇじゃねぇか」
「抱きたいと思う女がいなかっただけだ」
「ちょっと……女がいるって忘れてるんじゃないでしょうね? 旧知の男どものシモの話とか、あまり聞きたくないんだけど」
ペトラが形容し難い表情で文句を言う。
「そうだな。おれのことは関係ない。それよりノイエだ。おれはカナタに手を出したことはないこと、そして目と髪の色から、間違いなく二人の子供だということを説明した」
「で、わかってくれなかったってわけかい?」
「そうだ。自分の名前が証拠だと言っていたな」
「根拠としては、ちょいと薄いね」
呆れたようにペトラは肩をすくめる。
人間というのは、理由があって思い込むのではなく、思い込んだ時にその理由を探すものだ。ノイエもおそらく何かがあって疑念を抱き、あとはその疑念を強固なものにするために理由を探し続けていたのだろう。
「あの二人が子供におれと同じ名前をつけたのは、俺が奴隷商から連れ出してやったからだ。このミズガルズ風の名前の参考にしたかったのかもしれないな」
「ハイジ。たしか「ノイエ」という名もお前がつけたんじゃないかったか?」
「ああ。だがそれも、二人から依頼されたからだ。だからノイエの言う「本当の父親に名付けてもらいたかったからだ」という推理は完全に的を外している」
「じゃあ、完全な勘違いじゃねぇか」
アホらしい、とヘルマンニも呆れた表情だ。
「だから始めからそう言っている。だが、ノイエの髪はいわゆる巻毛だ。両親ともに直毛だったからな。それに母親の面影はあるが、たしかに父親の面影はない。ノイエが勘ぐりたくなるのも無理はない」
「巻毛……?」
「確かに珍しいが、身近にもいただろう。だが、両親ともに直毛だったのなら、隔世遺伝かもしれんな」
「それで? そのノイエは勘違いしたまま、両親を殺したってかい?」
「いや、何度も言うがそれはない。それでは能力を引き継げるわけがない」
「だが……モーリーとカナタは、どちらもアゼム師匠の死の継承を目の当たりにしている」
ハイジの言葉に、三人が目を見開いた。
「まさか」
「真相はわからん。だが、何らかの理由で死が迫っていれば、愛情の証として、ノイエに能力の継承をさせようとしても、不思議はない」
# Lynn
生まれてから一番惨めだった夜が明けた。
ネガティブな気持ちになっては角を砕くみたいな状態が続くうちに、だんだん開き直ってきた。
人間、そう長く落ち込みは続かない。
自分を責め続けていたが、考えてみればあの男は昔から言葉が足りないのだ。
あの時、あたしは初めてよくわからない能力で翻弄され、死の一歩手前だった。そんな中、ハイジが敵に容赦してるように見えれば、気が立つのも仕方ないではないか。
しかも『はぐれ』だから殺せない、ときた。
いや、あたしが目の前で殺されそうになってんのに、それはないだろ。
あたしを相棒と認めたからこそ、あたしを依頼に誘って同行させたんじゃなかったのか。
まぁいい、恨みことを言うのも筋違いだ。彼には彼の理由があって、それをあたしにうまく伝えられなかっただけなんだろうから。
口下手で、言葉が足りないハイジ。
そんなことははじめからわかっていたことではないか。
ならば、やっぱり悪いのはあたしだ。
でも、そのことでぐずぐずしているなんて、あたしらしくないではないか。
すでに人間かどうかもかなり怪しいあたしではあるけれど、、せめて自分らしくありたい。
▽
魔力が濃いところを探して彷徨ううちに、森はどんどん深くなっていく。
もはや平地ですらなくて、ずっと登山しているような有り様だ。多分、もう何年、何十年もしかするとそれ以上の時間、人の手は入っていないだろう。そのくらい鬱蒼としていて、見通しも悪い。
緑色が濃い。『寂しの森』とはえらい違いだ。
だというのに、あたしの視界は良好。
かなり遠くまで普通に見えるし、暗いところも細かいところまでしっかりと見える。なのに暗視カメラみたいな不自然さはなくて、まるっきり普通に見えるあたり、ああ自分はかなり魔物側の存在なのだなぁなどと思う。
魔力が濃くなって、少しずつ気分も楽になっていく。
ハイジのことを思い出すとやっぱり辛くなるが、人間としての感傷など、きっとそのうち綺麗サッパリ無くなってくれるに違いない。
人間をやめるのだから、人間の心だって必要ない。
▽
鬱蒼とした樹海を徘徊しているうちに、だんだん居心地が良くなってきた。
何故か全然お腹が空かないし、喉も渇かない。
魔力が潤沢なこの場所は、とても快適に感じる。
よし、ここを拠点にしよう。
ハイジや、他のみんなとの別れは寂しいけれど、『はぐれ』を受け入れてくれたエイヒムの人たちだって、さすがに角の生えた娘など受け入れられるはずもない。
いつか、どこかの狩人に狩られるまでは、半人半獣の黒山羊娘として、一人でここで生きていこう。
# Metsästäjät
「さてと、そろそろ目的地だな。今は死んだ『はぐれ』のことなんぞどうでもいい。それより依頼内容を忘れるな。ヘルマンニ」
「ああ。すでに覗いてるよ。リンのやつ、気配が前と違うからよくわかんねぇんだけど、一応は見失わずに追えてるぜ」
あっちのほうだな、と指をさす。
馬車はすでにマッキセリの果てである。
「……近いな」
「リンが何を目指してるか、覗けるか?」
「どうも、魔素が濃い方へ濃い方へと流されてるっぽいな。このままだと、マジで樹海に入る」
「……あのさぁ……」
ペトラが恐る恐る挙手する。
「もしかして、『谷』のほうへ向かってるってこと?」
「まだわからんが、この辺りでより強い魔素溜まりを探すとなると、『寂しの森』は遠いし、他の名のある魔物の領域も山越えが必要だったり、遠かったりするからな。『魔物の谷』の近くの樹海へ向かっている可能性は、低くはないだろうな」
「あそこかぁ……厄介だね。師匠も「森で生活するようなやつは正気じゃない」って言ってただろ。あれって、あの樹海のことだろ?」
「でもよ、ペトラ……もっと頭がおかしい環境で生活してるやつがいるだろ」
––––魔物の森のハイジ。
ヴォリネッリにある名のある魔物の領域の中でも随一の危険な領域『寂しの森』。
その中でも最も危険な中心部に家を建て、魔物を狩って生活しているという、文字通り正気を疑う存在だ。
「ヘルマンニ、忘れたのかい? リンだってあの家で生活してたんだよ。ハイジの留守を守って平気な顔をして過ごしてたんだ。そこが危険だという意識もなく」
「そういやそうだな。少なくとも俺はあの森で生活する勇気はねぇな」
「あの子は紛れもない化け物だよ。魔物化なんて必要ないね」
「ふむ……だが、そうなると厄介だな。魔物化したリンが、アゼム師匠ですら避けた森に逃げたと仮定すると、俺たちでも追うのは難しくなる」
「問題ない」
ハイジはいつもどおりの気負わぬ態度で言う。
「リンに森での生き方を教えたのは俺だ。リンの考えることなど、手にとるようにわかる」
「ま、年季が違うよな」
自信を見せるハイジに、ヘルマンニはヘラリと笑う。
「だから、ヘルマンニ。うまくリンを誘導してくれ。あいつには色々話しておきたいこともあるんでな」
「任せとけって」
ヘルマンニも同じく自信を見せる。
「ほら、森が見えてきたぞ。走って半日もすれば樹海だ。目的は……『魔物の谷』の近くの樹海で間違いなさそうだ」
「ククッ」
ヨーコが嬉しそうに笑った。
「よし。行くぞ。『黒山羊』をオレたちの庭にご招待だ」
馬車内に微妙な空気が流れる。
全員が「一体こいつは何を言ってるんだ?」という表情だ。
こういう空気になった時にそれを破るのは常にヘルマンニである。
「でもよぅ、ハイジ……お前、童貞じゃねぇか」
「ああ、だからノイエがおれの子だというのは、完全に勘違いだ。だが……彼がおれに会いにきた時には、誤解はすでに確信の域に達していた。母は父を裏切ったのだ、おれの子供を夫の子だと偽っているのだと熱弁していたな」
「はぁ?」
ヘルマンニが
「何故そんな考えに至るんだ? 何の理由もなくそんなことを考えるもんかよ?」
「父親とあまりに似ていないからだと言っていたな。だが、ノイエは黒目・黒髪だ。仮におれの子だとしたら、少なくとも目は青いはずだ」
この世界で身ごもれば『はぐれ』の血は淘汰される。髪の色はともかく、目だけは誤魔化しようがない。
ハイジは生粋の中つ国の人間だ。『はぐれ』に育てられたと言っても、その血に精霊の国の血は混じってはいないのだ。
「それじゃ、お前の子供のわけねぇじゃねぇか。まぁ仮にお前が宗旨変えして、カナタちゃんだっけ? あの子に手を出したとしても、ノイエが生まれてくるこたぁねぇよな」
「なんだ? その宗旨変えというのは……。別におれは、女と寝ないと決めているわけじゃないんだがな」
「娼館で遊びに誘っても、乗ってこねぇじゃねぇか」
「抱きたいと思う女がいなかっただけだ」
「ちょっと……女がいるって忘れてるんじゃないでしょうね? 旧知の男どものシモの話とか、あまり聞きたくないんだけど」
ペトラが形容し難い表情で文句を言う。
「そうだな。おれのことは関係ない。それよりノイエだ。おれはカナタに手を出したことはないこと、そして目と髪の色から、間違いなく二人の子供だということを説明した」
「で、わかってくれなかったってわけかい?」
「そうだ。自分の名前が証拠だと言っていたな」
「根拠としては、ちょいと薄いね」
呆れたようにペトラは肩をすくめる。
人間というのは、理由があって思い込むのではなく、思い込んだ時にその理由を探すものだ。ノイエもおそらく何かがあって疑念を抱き、あとはその疑念を強固なものにするために理由を探し続けていたのだろう。
「あの二人が子供におれと同じ名前をつけたのは、俺が奴隷商から連れ出してやったからだ。このミズガルズ風の名前の参考にしたかったのかもしれないな」
「ハイジ。たしか「ノイエ」という名もお前がつけたんじゃないかったか?」
「ああ。だがそれも、二人から依頼されたからだ。だからノイエの言う「本当の父親に名付けてもらいたかったからだ」という推理は完全に的を外している」
「じゃあ、完全な勘違いじゃねぇか」
アホらしい、とヘルマンニも呆れた表情だ。
「だから始めからそう言っている。だが、ノイエの髪はいわゆる巻毛だ。両親ともに直毛だったからな。それに母親の面影はあるが、たしかに父親の面影はない。ノイエが勘ぐりたくなるのも無理はない」
「巻毛……?」
「確かに珍しいが、身近にもいただろう。だが、両親ともに直毛だったのなら、隔世遺伝かもしれんな」
「それで? そのノイエは勘違いしたまま、両親を殺したってかい?」
「いや、何度も言うがそれはない。それでは能力を引き継げるわけがない」
「だが……モーリーとカナタは、どちらもアゼム師匠の死の継承を目の当たりにしている」
ハイジの言葉に、三人が目を見開いた。
「まさか」
「真相はわからん。だが、何らかの理由で死が迫っていれば、愛情の証として、ノイエに能力の継承をさせようとしても、不思議はない」
# Lynn
生まれてから一番惨めだった夜が明けた。
ネガティブな気持ちになっては角を砕くみたいな状態が続くうちに、だんだん開き直ってきた。
人間、そう長く落ち込みは続かない。
自分を責め続けていたが、考えてみればあの男は昔から言葉が足りないのだ。
あの時、あたしは初めてよくわからない能力で翻弄され、死の一歩手前だった。そんな中、ハイジが敵に容赦してるように見えれば、気が立つのも仕方ないではないか。
しかも『はぐれ』だから殺せない、ときた。
いや、あたしが目の前で殺されそうになってんのに、それはないだろ。
あたしを相棒と認めたからこそ、あたしを依頼に誘って同行させたんじゃなかったのか。
まぁいい、恨みことを言うのも筋違いだ。彼には彼の理由があって、それをあたしにうまく伝えられなかっただけなんだろうから。
口下手で、言葉が足りないハイジ。
そんなことははじめからわかっていたことではないか。
ならば、やっぱり悪いのはあたしだ。
でも、そのことでぐずぐずしているなんて、あたしらしくないではないか。
すでに人間かどうかもかなり怪しいあたしではあるけれど、、せめて自分らしくありたい。
▽
魔力が濃いところを探して彷徨ううちに、森はどんどん深くなっていく。
もはや平地ですらなくて、ずっと登山しているような有り様だ。多分、もう何年、何十年もしかするとそれ以上の時間、人の手は入っていないだろう。そのくらい鬱蒼としていて、見通しも悪い。
緑色が濃い。『寂しの森』とはえらい違いだ。
だというのに、あたしの視界は良好。
かなり遠くまで普通に見えるし、暗いところも細かいところまでしっかりと見える。なのに暗視カメラみたいな不自然さはなくて、まるっきり普通に見えるあたり、ああ自分はかなり魔物側の存在なのだなぁなどと思う。
魔力が濃くなって、少しずつ気分も楽になっていく。
ハイジのことを思い出すとやっぱり辛くなるが、人間としての感傷など、きっとそのうち綺麗サッパリ無くなってくれるに違いない。
人間をやめるのだから、人間の心だって必要ない。
▽
鬱蒼とした樹海を徘徊しているうちに、だんだん居心地が良くなってきた。
何故か全然お腹が空かないし、喉も渇かない。
魔力が潤沢なこの場所は、とても快適に感じる。
よし、ここを拠点にしよう。
ハイジや、他のみんなとの別れは寂しいけれど、『はぐれ』を受け入れてくれたエイヒムの人たちだって、さすがに角の生えた娘など受け入れられるはずもない。
いつか、どこかの狩人に狩られるまでは、半人半獣の黒山羊娘として、一人でここで生きていこう。
# Metsästäjät
「さてと、そろそろ目的地だな。今は死んだ『はぐれ』のことなんぞどうでもいい。それより依頼内容を忘れるな。ヘルマンニ」
「ああ。すでに覗いてるよ。リンのやつ、気配が前と違うからよくわかんねぇんだけど、一応は見失わずに追えてるぜ」
あっちのほうだな、と指をさす。
馬車はすでにマッキセリの果てである。
「……近いな」
「リンが何を目指してるか、覗けるか?」
「どうも、魔素が濃い方へ濃い方へと流されてるっぽいな。このままだと、マジで樹海に入る」
「……あのさぁ……」
ペトラが恐る恐る挙手する。
「もしかして、『谷』のほうへ向かってるってこと?」
「まだわからんが、この辺りでより強い魔素溜まりを探すとなると、『寂しの森』は遠いし、他の名のある魔物の領域も山越えが必要だったり、遠かったりするからな。『魔物の谷』の近くの樹海へ向かっている可能性は、低くはないだろうな」
「あそこかぁ……厄介だね。師匠も「森で生活するようなやつは正気じゃない」って言ってただろ。あれって、あの樹海のことだろ?」
「でもよ、ペトラ……もっと頭がおかしい環境で生活してるやつがいるだろ」
––––魔物の森のハイジ。
ヴォリネッリにある名のある魔物の領域の中でも随一の危険な領域『寂しの森』。
その中でも最も危険な中心部に家を建て、魔物を狩って生活しているという、文字通り正気を疑う存在だ。
「ヘルマンニ、忘れたのかい? リンだってあの家で生活してたんだよ。ハイジの留守を守って平気な顔をして過ごしてたんだ。そこが危険だという意識もなく」
「そういやそうだな。少なくとも俺はあの森で生活する勇気はねぇな」
「あの子は紛れもない化け物だよ。魔物化なんて必要ないね」
「ふむ……だが、そうなると厄介だな。魔物化したリンが、アゼム師匠ですら避けた森に逃げたと仮定すると、俺たちでも追うのは難しくなる」
「問題ない」
ハイジはいつもどおりの気負わぬ態度で言う。
「リンに森での生き方を教えたのは俺だ。リンの考えることなど、手にとるようにわかる」
「ま、年季が違うよな」
自信を見せるハイジに、ヘルマンニはヘラリと笑う。
「だから、ヘルマンニ。うまくリンを誘導してくれ。あいつには色々話しておきたいこともあるんでな」
「任せとけって」
ヘルマンニも同じく自信を見せる。
「ほら、森が見えてきたぞ。走って半日もすれば樹海だ。目的は……『魔物の谷』の近くの樹海で間違いなさそうだ」
「ククッ」
ヨーコが嬉しそうに笑った。
「よし。行くぞ。『黒山羊』をオレたちの庭にご招待だ」
0
あなたにおすすめの小説
異世界に転移したら、孤児院でごはん係になりました
雪月夜狐
ファンタジー
ある日突然、異世界に転移してしまったユウ。
気がつけば、そこは辺境にある小さな孤児院だった。
剣も魔法も使えないユウにできるのは、
子供たちのごはんを作り、洗濯をして、寝かしつけをすることだけ。
……のはずが、なぜか料理や家事といった
日常のことだけが、やたらとうまくいく。
無口な男の子、甘えん坊の女の子、元気いっぱいな年長組。
個性豊かな子供たちに囲まれて、
ユウは孤児院の「ごはん係」として、毎日を過ごしていく。
やがて、かつてこの孤児院で育った冒険者や商人たちも顔を出し、
孤児院は少しずつ、人が集まる場所になっていく。
戦わない、争わない。
ただ、ごはんを作って、今日をちゃんと暮らすだけ。
ほんわか天然な世話係と子供たちの日常を描く、
やさしい異世界孤児院ファンタジー。
病弱な彼女は、外科医の先生に静かに愛されています 〜穏やかな執着に、逃げ場はない〜
来栖れいな
恋愛
――穏やかな微笑みの裏に、逃げられない愛があった。
望んでいたわけじゃない。
けれど、逃げられなかった。
生まれつき弱い心臓を抱える彼女に、政略結婚の話が持ち上がった。
親が決めた未来なんて、受け入れられるはずがない。
無表情な彼の穏やかさが、余計に腹立たしかった。
それでも――彼だけは違った。
優しさの奥に、私の知らない熱を隠していた。
形式だけのはずだった関係は、少しずつ形を変えていく。
これは束縛? それとも、本当の愛?
穏やかな外科医に包まれていく、静かで深い恋の物語。
※この物語はフィクションです。
登場する人物・団体・名称・出来事などはすべて架空であり、実在のものとは一切関係ありません。
宿敵の家の当主を妻に貰いました~妻は可憐で儚くて優しくて賢くて可愛くて最高です~
紗沙
恋愛
剣の名家にして、国の南側を支配する大貴族フォルス家。
そこの三男として生まれたノヴァは一族のみが扱える秘技が全く使えない、出来損ないというレッテルを貼られ、辛い子供時代を過ごした。
大人になったノヴァは小さな領地を与えられるものの、仕事も家族からの期待も、周りからの期待も0に等しい。
しかし、そんなノヴァに舞い込んだ一件の縁談話。相手は国の北側を支配する大貴族。
フォルス家とは長年の確執があり、今は栄華を極めているアークゲート家だった。
しかも縁談の相手は、まさかのアークゲート家当主・シアで・・・。
「あのときからずっと……お慕いしています」
かくして、何も持たないフォルス家の三男坊は性格良し、容姿良し、というか全てが良しの妻を迎え入れることになる。
ノヴァの運命を変える、全てを与えてこようとする妻を。
「人はアークゲート家の当主を恐ろしいとか、血も涙もないとか、冷酷とか散々に言うけど、
シアは可愛いし、優しいし、賢いし、完璧だよ」
あまり深く考えないノヴァと、彼にしか自分の素を見せないシア、二人の結婚生活が始まる。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
ハイエルフ少女と三十路弱者男の冒険者ワークライフ ~最初は弱いが、努力ガチャを引くたびに強くなる~
スィグトーネ
ファンタジー
年収が低く、非正規として働いているため、決してモテない男。
それが、この物語の主人公である【東龍之介】だ。
そんな30歳の弱者男は、飲み会の帰りに偶然立ち寄った神社で、異世界へと移動することになってしまう。
異世界へ行った男が、まず出逢ったのは、美しい紫髪のエルフ少女だった。
彼女はエルフの中でも珍しい、2柱以上の精霊から加護を受けるハイエルフだ。
どうして、それほどの人物が単独で旅をしているのか。彼女の口から秘密が明かされることで、2人のワークライフがはじまろうとしている。
※この物語で使用しているイラストは、AIイラストさんのものを使用しています。
※なかには過激なシーンもありますので、外出先等でご覧になる場合は、くれぐれもご注意ください。
『冷徹社長の秘書をしていたら、いつの間にか専属の妻に選ばれました』
鍛高譚
恋愛
秘書課に異動してきた相沢結衣は、
仕事一筋で冷徹と噂される社長・西園寺蓮の専属秘書を務めることになる。
厳しい指示、膨大な業務、容赦のない会議――
最初はただ必死に食らいつくだけの日々だった。
だが、誰よりも真剣に仕事と向き合う蓮の姿に触れるうち、
結衣は秘書としての誇りを胸に、確かな成長を遂げていく。
そして、蓮もまた陰で彼女を支える姿勢と誠実な仕事ぶりに心を動かされ、
次第に結衣は“ただの秘書”ではなく、唯一無二の存在になっていく。
同期の嫉妬による妨害、ライバル会社の不正、社内の疑惑。
数々の試練が二人を襲うが――
蓮は揺るがない意志で結衣を守り抜き、
結衣もまた社長としてではなく、一人の男性として蓮を信じ続けた。
そしてある夜、蓮がようやく口にした言葉は、
秘書と社長の関係を静かに越えていく。
「これからの人生も、そばで支えてほしい。」
それは、彼が初めて見せた弱さであり、
結衣だけに向けた真剣な想いだった。
秘書として。
一人の女性として。
結衣は蓮の差し伸べた未来を、涙と共に受け取る――。
仕事も恋も全力で駆け抜ける、
“冷徹社長×秘書”のじれ甘オフィスラブストーリー、ここに完結。
課長と私のほのぼの婚
藤谷 郁
恋愛
冬美が結婚したのは十も離れた年上男性。
舘林陽一35歳。
仕事はできるが、ちょっと変わった人と噂される彼は他部署の課長さん。
ひょんなことから交際が始まり、5か月後の秋、気がつけば夫婦になっていた。
※他サイトにも投稿。
※一部写真は写真ACさまよりお借りしています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる