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夢は醒めた
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やるべきことがはっきりした俺は、自分の状況をちゃんと整理することにした。
俺は今腹を刺され、血を流している。
刺した張本人である男は今目の前にいる。
周りには、後輩と一緒に後輩を運んできた4人の男。
後輩は今、出血が酷いせいで意識が朦朧としており、他の男どもは状況を読めずに立ち尽くしている。
改めて整理してみても、意味の分からない状況だが、ここを乗りきらねばみんなの命は無い。
今考えられる選択肢は限られている。
まず1つ目は戦うことだ。
目の前の男を俺含めて男5人で取り押さえれば、何とかなるだろう。
だが、相手はナイフを持っている。
5人で一斉にかかっても、誰かは刃物で怪我をするかもしれない。それに、辺りどころが悪ければ死んでしまうことも。そうなれば、俺には責任がとれない。
これの方法は取れない。リスクが大きすぎる。
2つ目は逃げることだ。
だが、これも逃げきれるかどうかの話になる。
後輩を置いていけば、俺を含めて他全員が生き延びられるだろう。でも、そんなことは出来ない。
そもそも、こいつを助けるためにここまで来たのだ。だというのに、その後輩を置いていけばそれこそ本末転倒だ。
この方法も取れない。
なら、どうすればいい?
俺の頭はフル回転でこの状況を打開する方法を考えている。
だが、大体のものは確実とは言えない。加えて、ほとんどのものが誰かが危険になることが分かっている方法しか、俺には思い付かない。
「先輩!俺を置いて行ってください!そうすれば、全員とは言えないですが、誰かは助かります!」
後輩は必死に叫んだ。
俺を置いて行け!と。
正直、あそこに倒れているのが俺であったなら、同じことを言っただろう。
だが、反対もしかり。
だが、その選択肢だけは無い。
後輩が俺の立場であったなら、こう言っただろう。
「お前は絶対に置いていかないぞ!」
そう言ってはみるが、正直万策尽きた。
どの案を考えようとも、こいつから逃げられる術が一向に見つからない。
バンッ!
そうやって、悩ませていた頭を1つの大きな音が遮った。
「うぁ……」
その音のせいなのか、目下問題の種であったナイフを持った男は、その場に倒れこんだ。
「大丈夫ですか!」
後ろから大きな声で現れたのは、警官の制服に身を包んだ男性だ。
片方の手には、鉄砲と思しきものを握りしめている。
先ほどの大きな音は、どうやら警官が放った銃の音らしかった。
それから、続々と警官の人たちが押し押せてきた。
その中には救急隊員の姿もあり、大多数は並べられた人たちの方へ、一部は会社の建物の中へ。残りは、後輩や俺の元にやってきた。
「助かった!」
周りが安堵の声を上げ始める。
そうだ、助かったのだ。これで、ようやく真理の参観に行ける。
そう思っているのだが、思うように動かない。
「これは……もう……」
俺に駆け寄ってきていた救急隊員の人は俺に聞こえるか聞こえないかの声で呟いた。
でも、その顔が物語っていた。
大丈夫ではないと。
それはそうだ。
お腹を刺されたのだ。
大丈夫な方がどうかしている。
そう思って、笑って。そして、俺は意識を失った。
俺は今腹を刺され、血を流している。
刺した張本人である男は今目の前にいる。
周りには、後輩と一緒に後輩を運んできた4人の男。
後輩は今、出血が酷いせいで意識が朦朧としており、他の男どもは状況を読めずに立ち尽くしている。
改めて整理してみても、意味の分からない状況だが、ここを乗りきらねばみんなの命は無い。
今考えられる選択肢は限られている。
まず1つ目は戦うことだ。
目の前の男を俺含めて男5人で取り押さえれば、何とかなるだろう。
だが、相手はナイフを持っている。
5人で一斉にかかっても、誰かは刃物で怪我をするかもしれない。それに、辺りどころが悪ければ死んでしまうことも。そうなれば、俺には責任がとれない。
これの方法は取れない。リスクが大きすぎる。
2つ目は逃げることだ。
だが、これも逃げきれるかどうかの話になる。
後輩を置いていけば、俺を含めて他全員が生き延びられるだろう。でも、そんなことは出来ない。
そもそも、こいつを助けるためにここまで来たのだ。だというのに、その後輩を置いていけばそれこそ本末転倒だ。
この方法も取れない。
なら、どうすればいい?
俺の頭はフル回転でこの状況を打開する方法を考えている。
だが、大体のものは確実とは言えない。加えて、ほとんどのものが誰かが危険になることが分かっている方法しか、俺には思い付かない。
「先輩!俺を置いて行ってください!そうすれば、全員とは言えないですが、誰かは助かります!」
後輩は必死に叫んだ。
俺を置いて行け!と。
正直、あそこに倒れているのが俺であったなら、同じことを言っただろう。
だが、反対もしかり。
だが、その選択肢だけは無い。
後輩が俺の立場であったなら、こう言っただろう。
「お前は絶対に置いていかないぞ!」
そう言ってはみるが、正直万策尽きた。
どの案を考えようとも、こいつから逃げられる術が一向に見つからない。
バンッ!
そうやって、悩ませていた頭を1つの大きな音が遮った。
「うぁ……」
その音のせいなのか、目下問題の種であったナイフを持った男は、その場に倒れこんだ。
「大丈夫ですか!」
後ろから大きな声で現れたのは、警官の制服に身を包んだ男性だ。
片方の手には、鉄砲と思しきものを握りしめている。
先ほどの大きな音は、どうやら警官が放った銃の音らしかった。
それから、続々と警官の人たちが押し押せてきた。
その中には救急隊員の姿もあり、大多数は並べられた人たちの方へ、一部は会社の建物の中へ。残りは、後輩や俺の元にやってきた。
「助かった!」
周りが安堵の声を上げ始める。
そうだ、助かったのだ。これで、ようやく真理の参観に行ける。
そう思っているのだが、思うように動かない。
「これは……もう……」
俺に駆け寄ってきていた救急隊員の人は俺に聞こえるか聞こえないかの声で呟いた。
でも、その顔が物語っていた。
大丈夫ではないと。
それはそうだ。
お腹を刺されたのだ。
大丈夫な方がどうかしている。
そう思って、笑って。そして、俺は意識を失った。
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