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最終話「2024/2/15[二人だけの教室]」
しおりを挟む――我、獅子王にもままならぬ事が、あったか不覚実に不覚……!!――
「うわっ!?」
その、誤ってゲーム画面の「獅子王」のアイコンにタッチした時の、覇王のキャラボイスがうるさい。
「……えーと、どこまで話したっけ?」
「……さあ?」
まあ、その僕の「自慢話」は別に、彼女にとってはあまり面白くはないだろう。
「歴史上にいた、昔の英雄がモチーフでさ……」
でも、彼女は内心で、どう思っているかは、知らないが。
「暴君とも言えるけど、それは自分の国の民、全てはそれの為に、あえて悪行を行ったんだ!!」
「……へえ?」
一応、頬杖を付きながらも、新宮さんは僕の「高説」に付き合ってくれる。
「……私の叔父さん、みたい」
「……ん?」
「あっ、何でもないわ、小田切君」
シャ……
「うぉ!?」
「きゃ!?」
あれ、何だかいきなり。
「……まぶし!!」
「……わね、小田切君」
「あ、ああ……」
窓からの夕陽が、やけに強くなったな、なんだろ?
「……でも、僕も」
その強い、割れた窓ガラスを突き破りそうな、橙色の光に目を細めつつ、僕は。
「世の為、人の為なら、そういう道を」
それは、その考えは会社の「内部監査役」を努め、身内からも。
――まるで、あのひとはゲシュタボだよ――
と、陰口を叩かれながらも、仕事をしてきた、父親。
「たとえ苦しくても、進んでも……」
そして。
――いかなる善行を行っても、それが報われるとは――
――なんだよ、母さん?――
キリスト教の信者であり、婦人警察官を勤めていた、母親。
――決して思うなとの、イエスの言葉よ――
――何、それ?――
の、母さんの言葉の影響かもしれない。
「……それでも、苦難の道でも良いかも」
まあ、二人とも、あの日に死んだけど。
「知れないな、僕の人生は……」
「……ええ」
ん、あれ?
「……そうね」
ス、ウゥ……
「……!!」
な、何か今、新宮さんが、凄く、ミリ単位でしか解らない良い笑顔を、見せてくれた気が、気が!?
――これがギャルゲーなら、好感度は目に見えてアップしてたかも!?――
「夢は、きっと叶うから」
ニ、コォ……
ああ、やはり、凄く「好感度」がアップしている!!
――ならば!!――
ここまで来たら、この言葉でも言っちゃえ!!
「……僕の!!」
「?」
スタァン!!
「僕の、戦いは!!」
「……!?」
突然、椅子からスタンダップした僕に、新宮さんは驚きとまどっている、そりゃそうだ!!
「……これからだ!!」
グォン!!
その、僕の握り拳と共に放った、謎パワーに満ちた言葉。
「……小田切、君」
に、対して。
クゥ……
「あっ、ゴメンナサイ、新宮さん……」
クゥクウ、クゥ……
「……引いた、新宮さん?」
新宮さんは、忍び笑いを堪えつつも。
「……ごめん、新宮さん」
「……小田切君てさ、本当に」
「う、うん……」
彼女は、軽く笑みを浮かべつつ。
シャ、ア……
強く輝く、教室中を染めてきた、拡がる夕陽の光に包まれながら。
「……凄く」
軽く。
「凄く、良いね」
しとやかに。
「そ、そう……?」
そして、強く。
「うん、とても」
この、茜色と橙色が混ざった、光に満ちた「楽園」で。
「……好きになって、よかった」
「……えっ?」
シャ、アァ……!!
優しく、微笑んでいる。
「……い、今なんて!?」
その、僕達を、太陽は。
「……です、小田切君」
「……!!」
「どうか、私と……」
「あっ、あっ……!!」
何も言わず、ただ。
「……って、下さい」
慈愛の光でもって。
「……ダメ、かしら?」
「……よ、よよよ!!」
スァ……
「喜んで、新宮さん!!」
若き恋人達を、太陽は。
サァ……
「……これからも、よろしくね、小田切クン?」
「……やっぱり、本当に」
大きな夕陽は、紅く、茜色に。
「僕達の戦いは、これからだぁ!!」
「……フフ」
美しく、覆った……
~了~
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