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99話 東山さん襲来 18
しおりを挟む「混ざるのか? 」
東山さんは、挑戦的な目を南原さんに向けて言った。それは多分、「坂北を助けるのか?」という意味を含んでいる。
「ククッ、据え膳だ。せっかく坂北くんが誘ってくれたのに、断るのも悪いだろう? 」
「チッ、どうだか。本当はほっとしてるんじゃねぇのか? 坂北を助ける大義名分ができて。」
「さぁな。だがまぁ、大事な玩具を壊されてしまうのも困るしね。俺も混ざらせて貰おうか。」
南原さんは立ち上がると、ゆったりとした動作で近づいてきた。
もしかして、お尻が裂けるのだけは、回避できた...?
「南原さん......あの...」
「ふ、坂北くん。安心しろ。望み通り、丁寧にシてやる。」
「っ......! 」
よ、良かった...かな...?
とりあえず、痛い思いをこれ以上しなくて済んだようで、ほっとする。
二人の相手をしなくちゃならなくなったけど、このまま突っ込まれるよりはいい。
「ふっ...えっ...みなみ、はらさっ...ぐすっ...」
一見無表情だが、心なしか柔らかな表情の南原さんに、力が抜けて、涙がぽろぽろこぼれていく。
本当に、怖かった...。
「あーチクショウ、なんでこう、南原に都合がいい言葉を吐いちまうんだお前は。俺は南原が、らしくもなくお前を助けるところが見たかったのによぉ...。」
東山さんは、片手を顔に当てて、悔しそうな表情を浮かべた。
「これじゃあ据え膳を食いに来ただけなのか、坂北を助けたかったのか、よくわかんねぇじゃねぇか。」
そんなの知ったことではない。
俺も、少し気になるところではあったけど、そこまで身をはれる程のものではなかった。
それよりも、固く閉じた蕾を無理矢理貫かれる方が、よっぽど嫌だから。
この非常時に、南原さんの弱点なんてものは後回しだ。
「それにしても、赤く腫れた胸の飾りに、複数の噛み痕。可哀想で可愛らしいな。こんなに泣かされて。」
南原さんに、そっと頬の涙を拭われる。俺の痛々しい状態を見て、やけに愉しそうな表情をしているあたり、さすがドS様だと思うが、その手つきは労るようで優しい気がした。
命令してきたのは、南原さんなのに。
「さて、そんじゃあ、とっとと続き、始めようぜ。」
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