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170話 結果オーライ
しおりを挟む昼休み。
俺は、ニヤニヤと生暖かい目をした高橋、東山さん、西村さんに、屋上へ連行されていた。
昼食は南原さんに誘われていたのに...。
どうやら解放してくれる気は無さそうなので、仕方なく弁当を広げる。
「ねぇねぇ、坂北くん♪ あれからどうなったの? 」
なんの躊躇いも気遣いもなく、ズケズケと聞いてくる西村さん。
高橋と東山さんも興味深そうにこちらを見ている。
「っ...! 」
昨日のことを思い出してしまい、ドキリと心臓が跳ねた。
どうなったかって...
どうなったかってっ...
「...散々な目に合いました! 」
真っ赤な顔で乱暴に叫ぶ。
暗所恐怖症がバレるわ、本当のことを話せと変な薬を使って脅されるわ、それでも必死に耐えたのにもう会わないと言われて告白してしまうわ、本当に散々だった。
「ふーん? でもそれだけじゃないでしょー?」
西村さんは、俺の答えなんて分かりきってるみたいに聞いてくる。
っ...ま、まぁ、その後酷くされたりはしたけど、南原さんの本音を聞けて、恋人同士になれた。
「一応...はい...。」
「やっぱりね! 昨日の今日で、南原が俺たちに何も危害を加えて来ないから、そうだと思ったんだよね! おめでとー! 」
俯きながらボソッと答えた俺から全てを悟ったらしい西村さんが、パーっと明るい声を上げる。
「......。」
しかし俺は、素直に祝福される気にはなれなかった。
とりあえず、俺の恋は上手くいった。でも、ここまで賭けに出なくても、もっとやり方があったのではないかと思う。
「やり方が乱暴すぎますっ...。 これでもし関係が悪化してたらどうするつもりだったんですか...!」
結果的に恋人同士になれたけど、かなり荒療治だった気が...。
「そしたらその時、責任もってまた作戦を練ってあげるつもりだったよ。」
それは本当なのかどうなのか。西村さんは、真意を探らせない笑顔でニコリと笑う。
「南原の弱点を作り出せるチャンスだったしね。」
え...?
「え、待って坂北。話が見えねぇんだけど。結局どうなったんだ? 」
「とりあえず上手くいったんだとよ。」
あまり察しがよくない高橋が首を傾げていると、東山さんがかなり大雑把に説明してくれた。
「あーあ。俺も早く恋人欲しいわ。なぁ高橋。」
「っ...こっち見んな...」
東山さんの視線を感じてフイッとそっぽを向く高橋。居心地が悪そうに、目を泳がせていた。
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