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221話 期末テスト 17
しおりを挟む「待たせて悪かったな。」
「あれ? もう終わったんですか?」
「ああ。」
チラリと見えた書類は、けっこうな量があった気がしたけど、この短時間でその全てに目を通したのか。
それだけの仕事量を当たり前のようにこなしてケロリと涼しげにしている南原さんに、俺は目を見開いた。
こういう時、やっぱり南原さんは亜奈月高校の支配者で、凄腕の生徒会長なのだと改めて実感する。
「全く、俺の目の前で他の男と楽しそうにして...。そんなに俺に苛められたいのか? 」
「え? わっ!? ちょ...」
しかし、独占欲も人並み以上な南原さん。
ぐいっと俺の手を引き、無理矢理立ち上がらせると、俺の鞄まで勝手に持って、そのままスタスタと生徒会室を出ようとする。
もしかして、俺が西村さんと話してるのが面白くなくて、急いで仕事を終わらせたのか...?
以前は俺が目の前で酷いことをされていても助けなかったくせに、今ではこんなだ。
お仕置きとかは怖いけど、亜奈月の生徒の誰もが怖れる南原真也の心を俺が乱していると思うと、ちょっと優越感。
「西村。お前は帰る前に、それにサインして職員室へ提出しておけよ。」
「了解。」
クイっと顎で書類を示した南原さんに、西村さんがニコニコと敬礼のポーズを取る。
南原さんは、それだけ確認すると、ますます腕を引く力を強くした。
「も、痛い...! あの、西村さん! 高橋のこと、聞いてくれてありがとうございました! 」
南原さんに引きずられるようにして生徒会室を出る寸前の俺は、西村さんになんとか最低限の挨拶をする。
「いえいえ。楽しかったよー。今夜は頑張ってね~。」
「っ...! うぅ...」
既に姿の見えなくなった西村さんの声が、たった今連れ出された生徒会室の中から聞こえてきて、これから起こるであろうことを想像した俺はビクッと体を強ばらせた。
でも、本気で嫌な訳じゃない...。
そのあと、観念したように抵抗する力を弱めて従順に歩き始めると、南原さんは満足そうに高慢に笑った。
* * * * * * * * * *
《高橋 直樹side》
頭が痛い...。
体が重い...。
昨日もあまり眠れなかった。かといって勉強も全然進んでいない。今まで、こんなに心を乱されることなんてなかったのに。
俺は、ぼーっとする頭で、午後の授業を聞いていた。
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