『人外×少女』:人ならざる魔物に転生した僕は、可愛い少女とあれこれする運命にあると思う。

栗乃拓実

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第一章『人外×幻想の魔物使い』

第28話:順調な日々

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 それからの日々は順調だった。
 良くも悪くもめぼしいイベントは起きず、冒険者稼業においてもフラム先輩というB級殺戮マシーンがいてくれるおかげで危険が少ないし楽でいい。

 なんていうか、エルウェとの距離を縮めるために頑張ろう! って意気込んでたわけだけど、このままでもいいかなって思い始めてきた。怠慢ラブ。

 それはそうと、日常と化してきている一日の流れを辿ってみよう。
 まず、僕の一日はエルウェのおっぱいの中から始まるんだ。

 冒険者の朝は早い……訳ではないが、僕らは朝八時までには起床するようにしている。

 起き抜けに寝ぼけたふりをして数度もみもみしながら顔を深く埋め、艶めかしいエルウェの声を聞くのが目覚めをよくする秘訣だ。是非とも朝起きられない子供達に教えてあげたいね。目が冴えちゃって逆に二度寝なんてできなから。

 朝に弱いのかぼけーっとしているエルウェは、その時間帯に限って怒らない。
 だからこのチャンスを逃す手はないのだ。もみもみ、もみもみ。

 ベットを出ると覚束ない足取りでテーブルへ。
 貧乏暮らしのため、朝食は拳二つ分程のパンを三等分。果物のジャムが出る日はエルウェの機嫌が良い日だ。わかりやすい性格をしている。そして可愛い。

 僕は魔素を吸って生きてるような不可思議な鎧の魔物。
 食事は必要ないため、お腹をぎゅるるるとならしているフラム先輩ではなく寝起きでも可愛いエルウェに譲ることにしている。

 そこで変な遠慮をして欲しくなかったから、エルウェの柔らかい太股の上に座らせてもらうことで手を打った。ここでも後頭部にあたる感触がよきよき。ていうか、そもそも椅子は一脚しかないのだよ。

 食器を水に浸すと、狭い洗面所へ。

 シャカシャカと歯を磨くエルウェの隣で、同じようにブラシを用いて面甲ベンテールを磨くのが今の僕のスタンス。事の始まりはフラム先輩が尻尾で器用に歯を磨いているのを見たから。仲間はずれにされるのが嫌だったわけじゃないんだからね!

 顔を洗ったエルウェがポンポンとタオルで水気を取るのを待ってから、両手を斜め上に伸ばした格好でじばらく固まっていれば、やれやれと嘆息した彼女に抱っこしてもらえる。歯磨き粉で泡だった面甲ベンテールを冷たい水で流し、ガシガシとタオルで拭いて貰うまでが一連の流れ。

 さて、次は魔物との戦闘に身を投じる上でかかせない身支度だ。

 大胆に下着姿になって着替えをしているエルウェ――最初は僕の視線を気にしている様子だったが、今ではもう諦めたみたい――を体育座りをしながらガン見するのが日課になりつつある。それが僕の準備。やる気を蓄えてるのさ。

 着替えが終われば、ボロボロの宿の床を抜かないようにそろそろと廊下を歩いて階段を降り、百歳は超えてるんじゃないかと思われるよぼよぼの笑顔が可愛い大家さんに挨拶。フラム先輩は肩、僕は太股という定位置につくと、好奇の視線を浴びながら冒険者組合へと向かうのはもう慣れっこだ。

 なお、慣れているのは僕とフラム先輩だけであって、エルウェは年頃故か微妙に頬を染めて俯き気味だ。多分だけど、大腿にしがみついている眷属が羞恥を感じる主な要因になっているようだ。はは、どこの誰だよそんな真似をする眷属とやらは、変態かっての。ええ、変態です。

 冒険者組合では決まってヨキさんと言葉を交わしてから依頼を受ける。
 他人行儀な態度をとるエルウェだけど、強がっているだけで実は甘々なのかもしれない。ヨキさんのエルウェに対する愛は言わずと知れている。テューミア支部に軽率に手を出してくるような輩はいない。

 受注する以来としては、採取以来だったり討伐依頼だったりで、報酬の少ない雑用系の依頼はやっていない。屋敷のお掃除とかペットのお散歩代行とか雑務の有名どころも人のためになるけれど、やはり新人冒険者向けなのか収入が少ないのだ。

 今の僕たちは《荒魔の樹海クルデ・ヴァルト》の浅域で活動しているため、フラム先輩が無双して即終了。平均して二つ、多いときには一日に三つの依頼を受けられる時さえある。頑張り屋さんだ。

 夕暮れ前にはギルドに帰還、やはりそわそわと帰りを待っているヨキさんと顔を合わせてから彼の家へ。歓迎してくれるサエさんと雑談しながらドラゴンの卵に魔力を注ぐ。本当にいつ孵ることやら、僕もエルウェの目を盗んでこっそり魔力注入しておいた。

 言うんだ、僕後輩が出来たら(君は後輩だと言い張る予定)言うんだ。

「おいおいおい、何言ってるんだい……? 君は僕の魔力を吸って育ったんだ、ちゅーちゅー、ちゅーちゅーってね。ちゅまりだ、何が言いたいかわかるね? 君の身体は僕の魔力でできている! じゃぁ君の身体は僕のものだっ! 拒んでも無駄さ、残念だったね!? 君は既に犯されているんだよ! この僕にッ!!」

 ってね! つまり既成事実をつくったのである。

 昔からよく言うもんね。一人殺せば何人殺しても同じだって。そうそうその原理。将来美少女(だと思い込んでる)に人化するドラゴンちゃん(雌だと思い込んでる)に保険をかけたってわけ。天才かよ。

 ……完全な悪役ではあるけど。
 まぁいいんじゃないかな。僕って人外だし。人のモラルとか持ち出されても僕って人外だし。大事なことだから二回エトセトラ。

 と、まぁ宿に戻ったらすぐに、宿で出される夕食を食べる。
 おばあちゃんの味というやつだろうか、大家さんの作るご飯は絶品だ。……絶品らしい。僕は食べてる姿を見てるだけだからわかんないんだよこんちくしょう。

 その後も、便所に向かった彼女の後を当たり前のようについていって蹴り飛ばされたり、彼女が浸かっている浴場のお湯の中からザバン、と登場して蹴り飛ばされたり、先に帰ってろと命令されたからエルウェのパンツを被って自室に戻ると、しばらくしてリネン服の裾を手で押さえて真っ赤になった彼女に蹴り飛ばされたり。

 こうして一つ一つ思い返すと、僕ってただの変態じゃね……なんて思い始めてしまうから恐ろしい。変態は変態でも、美少女限定で欲情する変態なのである。ブスは無理。

 それから、僕もフラム先輩とお揃いのポーチを持たされ、お小遣いを貰うことになった。
 その金額は勿論だが多くなく、【風天】に飯を奢った際に支払ったフラム先輩のあの金は何年かけて貯まった物だったのやら……少しだけ申し訳なく思う。

 その中でも記憶に新しいのが、貯まったお金を好きに使いなさいと言われた際に、これといって欲しいものなどなかったからエルウェに履いて欲しい可愛いパンツをプレゼントしたら凄い複雑な顔をされたこと。肌触りの良い黒の生地に紅いリボンと、良いセンスしてたと思うんだけどなぁ。

 そんな感じで、魔物使いの眷属として健全なしもべとなった僕の一日が終わる。

 エルウェとフラム先輩と僕、一人と二匹でたわいもない話をするのは楽しかった。
 僕に限っては洞窟で一人旅をしていた経験があるせいか、それだけで至上の幸せを感じていた。些細なことに嬉々たる反応を示す僕に、二人は若干引き気味ではあったけれどね。

 ギコギコと軋むベットに一人と二匹が身を寄せ合い、二枚の毛布を一緒に被る。
 フラム先輩の体温が高いため、冬は重宝するらしい。因みに尻尾の炎は魔素マナの放出によって作り出された幻覚のようなものなので、発火する心配はない。

 僕がしばらく無言でエルウェの目を見つめ圧力をかけていると、彼女は一度こほん、と咳払い。ちょっとだけ赤くなった顔を見られたくないように、伸ばした両手を僕の兜に回し――むぎゅっと抱きしめる。

 顔面を覆う極上の感触。睡魔なんて来ない。やってくるはずがなくて。
 相変わらず良い匂いだ、なんて思いながらエルウェを堪能していると、寝付きの良い彼女の寝息が直ぐに聞こえてくる。起こしてしまうといけないから、無駄に触ったりはしない。

 僕の一日の終わりも、やはりエルウェのおっぱいの中なのだ。

 紫紺の瞳を閉じると、薄闇の世界でうたた寝をしているシェルちゃんに会うことが出来る。
 彼女は僕が来るのを待っていたようで、僕に気がつくと嬉しそうな顔をするんだ。ああ、なんて罪な男なのだろうか、こうして二人の少女をたぶらか――シェルちゃんはノーカンか。そうだな。そうだよ。

 そうして、お腹にもたれかかる僕を包むように身体を丸めたシェルちゃんと共に、僕は深い眠りに落ちるのであった。
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