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はずれなりに

26話 決着

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激痛
言葉にならないような痛みが全身を駆け巡る
右手は使い物にならない
よりによって利き手とは
もう少し集中していれば、、
とにかくもう二度とやらない
檻の前でもがいている場合でもない
この状況で生きて帰るのは至難の業だ
大したことないとか、俺が馬鹿だった
とめどなく溢れる血が、小さな池を作る
子供が長靴を履いて飛び込める程度だ
致命傷になる事だろう
止まる気配はまったくない
今すぐにでも救急車と結婚したかった
とにかくだ、隻腕であいつに勝つなんて無理だ
両腕あっても足りない相手だぞ
なにか、考えるんだ
俺の力じゃ勝てないんだ

なにか方法

なにか、、、そうだ!

青メーターを全開にした状態で、俺は倒れた
作戦を思いついた途端
意識がどこかに飛んでいくような
今なら空も飛べる気がした
理由はすぐ分かる
出血多量だ
せっかく、勝機があったのに
成功するかは知らないけど
いけるかも、、しれないのに

腕を伸ばした先に、やつの靴が見える
とどめを刺しに来たのか
怖くて震えが止まらない
何か作戦を、、
そうだ、、思い付いたぞ
赤を全開にする

「助けてくれ!ヒーロー!俺はここだ!!」

全力で叫んだ
咄嗟の判断で、こうした
僅かでも、チャンスがあるんなた
どうか、俺を、、

「ふっ、、お前はちょうどいいな」

俺はすぐに牢屋に移された
最初考えていた作戦はこうだ
全力で距離を取りつつ、相手の攻撃を待つ
相手の弱点は分かっていた
自分から遠くなればなるほど、密度は薄くなる
あとは頃合を見計らって
距離を詰めて本体を叩く
コンクリートは連続で生産できないから、これなら通るはず
そう思っていたのだが、死ぬ寸前でもうひとつ分かった
そのために牢屋にぶち込まれたのだ
ちゃんと目的の少女は生きている
なんだか心做しかげっそりしているのは気の所為だろうか
まあとにかく

やつは有能だ
全力の拳でも傷一つ入らない粘土を出せる
本当に性能がいい

ハズレのリスクでさえ、補ってくれるぐらいに

俺は壁に手を置いた
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