当たり能力1個より、ハズレ能力10個の方が良いに決まってる

ネムスター

文字の大きさ
30 / 48
俺には丁度いい

30話 平和の片鱗

しおりを挟む
一週間後に、旅行を予約できた
遊園地と温泉旅館が隣接していて、俺も妹も楽しめる
楽しみができるだけで、人はここまで明るくなれる
悪い事は考えず、楽に生きよう
皆がそうしてるように
とにかく、決めた
人を助けるためだとか
理由があったとしても、人は殺さない
人間と殺人鬼の一番わかりやすい境界線
ヒーローというのは、殺人鬼も超えた先に存在している
俺がもっと強かったら
当たり能力の持ち主だったら
拘束でも、なんでも出来たはず

俺には殺す以外の選択肢なんて、無かった
結局、俺のせいなのかもな

今日はもう寝よう
考え過ぎるのも俺の悪いくせだ
リモコンのボタンをそっと押した



また朝がやってきた
妹を起こして朝食を済ませる
あの子はすぐに学校へ向かった
俺は、部屋で授業を受ける
不登校生みたいな生活は嫌だったが、最近はライブ機能も向上している
最強の頭脳を持ったエンジニアが急増したためだろう
音声は記録され、教師に届く
内容を吟味した上で平常点に加算される
近未来的な授業だな
個人的には、黒板とノートで受けたかった



あっという間に一日が終わる
気が付けば、もう薄暗くなっていた
妹を迎えに行ってやる時間だ
靴を履き替え、ドアノブをひねる
目の前には、いつも通りの風景が広がっていた
これも、一ヶ月前は考えられなかった事だ
人間だって結構、悪いところばかりじゃ無いのかも
どうして俺が人間じゃない側に回ったのか謎だったが、そう感じた
足元には小石が3粒、蹴りながら進んだ
街灯には虫が群がっていた
見え隠れする月に照らされて、ゴミ袋が不気味に色を変えていた
心にゆとりが生まれたのか
世の中がやけに美しく見える
この時も俺の頭上を人が通る
でも、目にすら入らない存在だ
慣れとは結構凄いもので
最初にドアを開けた時、空飛ぶ人を見て心底驚いたものだが
今は特に何も感じない
例えるならなんだろう
自転車で走っている中をスケボーが1台通ってる
そんな感じだ、ちょっと目立つ
考えていると、駅までの道が短くなった
妹が手を振っている
満面の笑みを浮かべて
この子には、幸せになって欲しい
はずれの俺が望むのは、それだけだ
しおりを挟む
感想 28

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

魅了の対価

しがついつか
ファンタジー
家庭事情により給金の高い職場を求めて転職したリンリーは、縁あってブラウンロード伯爵家の使用人になった。 彼女は伯爵家の第二子アッシュ・ブラウンロードの侍女を任された。 ブラウンロード伯爵家では、なぜか一家のみならず屋敷で働く使用人達のすべてがアッシュのことを嫌悪していた。 アッシュと顔を合わせてすぐにリンリーも「あ、私コイツ嫌いだわ」と感じたのだが、上級使用人を目指す彼女は私情を挟まずに職務に専念することにした。 淡々と世話をしてくれるリンリーに、アッシュは次第に心を開いていった。

(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」

音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。 本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。 しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。 *6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。

お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます

菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。 嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。 「居なくていいなら、出ていこう」 この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし

冷遇王妃はときめかない

あんど もあ
ファンタジー
幼いころから婚約していた彼と結婚して王妃になった私。 だが、陛下は側妃だけを溺愛し、私は白い結婚のまま離宮へ追いやられる…って何てラッキー! 国の事は陛下と側妃様に任せて、私はこのまま離宮で何の責任も無い楽な生活を!…と思っていたのに…。

ダンジョンに行くことができるようになったが、職業が強すぎた

ひまなひと
ファンタジー
主人公がダンジョンに潜り、ステータスを強化し、強くなることを目指す物語である。 今の所、170話近くあります。 (修正していないものは1600です)

転生幼女のチートな悠々自適生活〜伝統魔法を使い続けていたら気づけば賢者になっていた〜

犬社護
ファンタジー
ユミル(4歳)は気がついたら、崖下にある森の中に呆然と佇んでいた。 馬車が崖下に落下した影響で、前世の記憶を思い出したのだ。前世、日本伝統が子供の頃から大好きで、小中高大共に伝統に関わるクラブや学部に入り、卒業後はお世話になった大学教授の秘書となり、伝統のために毎日走り回っていたが、旅先の講演の合間、教授と2人で歩道を歩いていると、暴走車が突っ込んできたので、彼女は教授を助けるも、そのまま跳ね飛ばされてしまい、死を迎えてしまう。 享年は25歳。 周囲には散乱した荷物だけでなく、さっきまで会話していた家族が横たわっている。 25歳の精神だからこそ、これが何を意味しているのかに気づき、ショックを受ける。 大雨の中を泣き叫んでいる時、1体の小さな精霊カーバンクルが現れる。前世もふもふ好きだったユミルは、もふもふ精霊と会話することで悲しみも和らぎ、互いに打ち解けることに成功する。 精霊カーバンクルと仲良くなったことで、彼女は日本古来の伝統に関わる魔法を習得するのだが、チート魔法のせいで色々やらかしていく。まわりの精霊や街に住む平民や貴族達もそれに振り回されるものの、愛くるしく天真爛漫な彼女を見ることで、皆がほっこり心を癒されていく。 人々や精霊に愛されていくユミルは、伝統魔法で仲間たちと悠々自適な生活を目指します。

クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?

青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。 最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。 普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた? しかも弱いからと森に捨てられた。 いやちょっとまてよ? 皆さん勘違いしてません? これはあいの不思議な日常を書いた物語である。 本編完結しました! 相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです! 1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…

処理中です...