当たり能力1個より、ハズレ能力10個の方が良いに決まってる

ネムスター

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俺には丁度いい

36話 不信感

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朝がやってきた
起きた途端は、家では無い事に戸惑う
そしてすぐに旅館だと気付くのだ
後から起きた妹も、キョロキョロした後頷いた
不思議なものだ、短時間なのに忘れてしまう
朝食は旅館の3階
妹の手を取り向かった
ごくごく普通の朝食で、変わったものは無い
近所のレストランでは食べられない
普通の味付けだ
この頃は中毒になるほど美味しい料理なんかも出現している
荒稼ぎのためなんだろうが、ちょっと違う
自分のためだけに能力を使うのか

そういうやつは、いつか潰れる

妹は無言で食べ続けている
そういえば、昨日のラーメンはまだ食べていないのか
新しいのを買ってやろう
温泉にもまだ入っていない
遊園地にも行かなくては
こんなに沢山やる事があるのは久々だ
それにしても、どうしてここまで客が少ないのだろうか
やはり、昨日のような惨劇があったからか
俺と妹を含めて10数人しか居なかった
人気があると聞いていたが、、、
テーブルの下で携帯を開き、情報を確認する
浮かれていたせいで見逃していた
旅館についてのレビューは、神からの声が届く前で終わっていた
落ち着いた雰囲気というのは、以前通りだが
客は多くて食事場なんかはすこし騒がしいという事だったが
能力が開花してなにか変わったのか
能力を使いたくてたまらないやつにとって
ここは窮屈な場所なのかもしれない
見渡す限りの山景色も
綺麗な湖も温泉も
確かに、派手のはの字もない感じだ
周りが変なんじゃなくて、俺らが奇抜なのか
朝食をとりおわった妹は満足そうに微笑む
俺も満腹になり、二人とも満たされている
それにしても、綺麗が過ぎるほどに整っている旅館だ
テーブルクロスは布製なのにシミ1つない
カーペットだって、埃すらついていなかった
掃除を怠らない結果か、少し窮屈だった
この頃人間をまっすぐ信じられなくなっている
俺が心から信じるのは家族ぐらい
友人の言葉ひとつ取ったって、信用ならないほど
全部不審に思うのはよそう
周囲より劣っているからといって、蔑むのは間違っている
このあとは遊園地か
楽しませてあげられるといいな、なんて、、
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