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俺には丁度いい
47話 困惑と策略
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考えられる要因は2つ。
敵の攻撃、または先程の代償。
後者だった場合は絶望的だ。
それを解く方法は今のところ全くわからない。
敵だった場合も、深刻な事に変わりはない訳だが。
「不思議だろう」
どこかから声が聞こえる。
辺りが薄暗い事もあるが、それでも影すら目視できない。
首を様々な方向に捻っても何も分からず見えないまま。
しかし、はっきりしたことが1つある。
敵から攻撃を受けているんだ。
おそらくこの空間には、もう一人の人間がいる。
だとしたら、抜け出すのは簡単だ。
この壁も、結局は普通の鉄板。
壁に手のひらを押し当て、赤ゲージを最大まで上げた。
ミシミシと音を立てながら、腕が鉄板を押し広げていく。
そしてものの数秒で、鉄板に巨大な亀裂が入った
その穴に、さらに片方の腕を突っ込み押し広げる。
火花を散らしながら、人が通れる程度の穴が空いた。
その奥に広がっている景色が本物かは分からない。
だが、それでも逃げる事はできる。
そう思った俺は、早速右腕から外に出し、体を捻って入れようとする。
「ゆっくりしていきなよ」
またこの声だ、振り払うように頭を振って、再び外へ...。
そこには、既に穴なんてなかった。
そして、穴の向こう側にあったはずの左腕は、既になくなっていた。
また一人、少女の亡骸が放り込まれた。
一体何分間立ったのだろうか。
無限に続くような時間の中で、少女の頭に1つの考えが。
自分と同じように座っている人の耳に、そっと一言。
その人は多少戸惑いながらも、少女の問に答えてくれた。
そしてその人もまた、他の人間に耳打ちする。
それを繰り返していくうちに、全体的な話の輪ができた。
その後、一人の少女が手を合わせ、手品師のような手付きで龍を出した。
フワフワと浮いている小さなそれは、意思次第ではどこまでも大きくできる。
その場に残っている数十人が、龍の上に乗った。
あとは頭を撫でられた龍が、浮かび上がるだけ。
小さな勇者が、作戦を開始した。
敵の攻撃、または先程の代償。
後者だった場合は絶望的だ。
それを解く方法は今のところ全くわからない。
敵だった場合も、深刻な事に変わりはない訳だが。
「不思議だろう」
どこかから声が聞こえる。
辺りが薄暗い事もあるが、それでも影すら目視できない。
首を様々な方向に捻っても何も分からず見えないまま。
しかし、はっきりしたことが1つある。
敵から攻撃を受けているんだ。
おそらくこの空間には、もう一人の人間がいる。
だとしたら、抜け出すのは簡単だ。
この壁も、結局は普通の鉄板。
壁に手のひらを押し当て、赤ゲージを最大まで上げた。
ミシミシと音を立てながら、腕が鉄板を押し広げていく。
そしてものの数秒で、鉄板に巨大な亀裂が入った
その穴に、さらに片方の腕を突っ込み押し広げる。
火花を散らしながら、人が通れる程度の穴が空いた。
その奥に広がっている景色が本物かは分からない。
だが、それでも逃げる事はできる。
そう思った俺は、早速右腕から外に出し、体を捻って入れようとする。
「ゆっくりしていきなよ」
またこの声だ、振り払うように頭を振って、再び外へ...。
そこには、既に穴なんてなかった。
そして、穴の向こう側にあったはずの左腕は、既になくなっていた。
また一人、少女の亡骸が放り込まれた。
一体何分間立ったのだろうか。
無限に続くような時間の中で、少女の頭に1つの考えが。
自分と同じように座っている人の耳に、そっと一言。
その人は多少戸惑いながらも、少女の問に答えてくれた。
そしてその人もまた、他の人間に耳打ちする。
それを繰り返していくうちに、全体的な話の輪ができた。
その後、一人の少女が手を合わせ、手品師のような手付きで龍を出した。
フワフワと浮いている小さなそれは、意思次第ではどこまでも大きくできる。
その場に残っている数十人が、龍の上に乗った。
あとは頭を撫でられた龍が、浮かび上がるだけ。
小さな勇者が、作戦を開始した。
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