最強の大魔導師は静かに隠居生活がしたい

がい

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5話 ファウストの憂鬱

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「いやぁー、美味しかったです!こんなに美味しい食事は数百年振りでした!」

やはり貴族、しかも公爵家だけあって食事は豪華絢爛だった。
パン一つにしても美味し過ぎて手が止まらなかった程なので恐ろしい。

「あっはっは!マルクス殿は大袈裟だな!しかし、ここまで喜んで貰えるとこちらも嬉しい。料理長もそうだろう?」

「はい!公爵様!作り甲斐があるってもんです!」

コック服の厳ついおじさんが喜んでるが、どうやらあの人が料理長らしい。

「いやいやお世辞抜きでとても美味しかったですよ!お礼にこんな豪華なご飯をご馳走していただきありがとうございました!」

さて、そろそろ…とお暇しようか考えていると、リーシアさんが待ってました!と元気いっぱいに質問して来た。

「マルクス様!ではそろそろ!あの時使用した魔法を教えて下さいませ!」

「ふむ、ただその前に街の方で宿を取って来てもよろしいでしょうか?明日の朝には王都に向かわなければならないのです」

食事もご馳走になったし、これ以上の長居はあまり良くない。
なのでトンズラしようと考えたが、流石は政治にも強い公爵様だった。

「何を言うのだ、恩人の貴殿を放り出す訳がなかろう。今日は泊まっていって魔法の話を聞かせてくれ。酒は飲めるのだろう?」

「僕のような庶民には勿体ないですが、分かりました。リーシア様にもお約束してましたしね?おっと、少し酔ってしまったのでその前に一度、夜風に当たっても?」

少し足元がふらついた様子を見せるとテラスに案内されたので、そこで煙草を取り出し火を付けた。

「フゥ…ファウスト、美味しかったかい?」

「ありがとうございます、主人」

食べるフリをして影に入れた料理にファウストも満足した様子で安心した。

しかし、貴族の屋敷に一泊するのは想定外だった。
ご飯を食べて2時間ぐらいで帰るつもりが失敗だ。

「それが君の使い魔かね?」

後ろからレオン公爵が声を掛けて来た。

「これは失礼を。流石に食事の場で同席させるのはと思いまして」

僕は一礼するが、レオン公爵は良い良いと手をかざす。

「一流の魔術師は使い魔も一流と聞く。気が利かずすまなかったな。明日の朝食は同席してもらって構わないよ」

「お気遣いありがとうございます。じゃあファウスト、挨拶しようか?」

レオン公爵に感謝し声を掛けると、影からいつもより静かにファウストが現れた。

「お気遣い感謝します、公爵様。影狼シャドウウルフのファウストと申します」

煙草をいつものように塵にしてファウストと一礼する。
すると、後ろから少女の可愛らしい怒る声が聞こえた。

「あーっ!お父様ずるいです!私が先に約束してたんですよ!あっ!可愛い!マルクス様の使い魔さんですよね!?撫でても大丈夫ですか!」

「大丈夫ですよー!ファウスト、お嬢様のお相手頼むよ?」

クゥーンと狼らしからぬ声を出すファウストを見てレオン公爵と笑いながら晩酌する夜に、たまには悪くないかとワインの入ったグラスを傾けて、久しぶりの騒がしい夜を過ごした。
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