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4章 剣聖と獣人の国編
美しい女性には裏がある?
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もう二度と聞く事は無いと思っていた、というか頭の片隅にすら無かったまさかの京訛りで挨拶したユキという妖狐族の女性に衝撃を受けたが、オリビアに思い切り足を踏まれて我に返り、俺は挨拶を返す。
「痛っ!…あー、初めまして、俺は冒険者のウルドと申します。こっちは娘のオリビアで、一緒に旅をしています。よろしくお願いします。」
「むー…オリビアです。ウルドとは一緒に暮らしてます。」
俺達の自己紹介が終わると、ユキさんが悪戯っぽい笑いをしてオリビアを見る。
「うふふっ!オリビアちゃんったら可愛いわね?大丈夫よ、大事なパパを取ったりせんから。…でも、パパの方がその気なら…ね?」
ユキさんが俺に近付き耳元でそう囁く。
「ウルドっ!デレデレするのダメだからねっ!すぐそうやって色んな女の人と仲良くするの良くないと思うの!」
「…オリビアさん?俺そういうキャラじゃないから勘弁してもらっていい…?ユキさんもオリビアを揶揄うのはそれぐらいにして下さいよ?…本当に後で怖いので。」
…確かにベルナルドさんから聞いた通り、格好ぐらいじゃ何も言わなそうだな?
ただその代わり、気を付けないとオリビアに口を聞いてくれなくなりそうだ…。
「あらあら!オリビアちゃんはパパがえらい好きなんやね!…さて、これくらいにしとかな、ほんまに嫌われてまうさかいやめとくわな?ベルナルドの護衛、改めて感謝致します。ザガルタの英雄、“魔弓”と繋がりを得られるなんて、ほんまに素晴らしい日やわ。」
改めて俺達は握手を交わして着席した。
流石は商会長、異名持ちとはいえCランクの俺を予めある程度は調べてから来たようで、利用されるのは御免なので顔には出さないが少しだけ俺の中での警戒度を上げる。
ただ、ひとつだけ絶対に聞きたい質問があるのだ。
「ところでユキさんの喋り方、こちらではあまり聞かないんですがこの国独特の物なんですか?」
「あら、早速興味を持ってくれたみたいで嬉しい。そやけどこら何代も前のご先祖様からみたいでうちも発祥はわからへんの。堪忍してな?」
ユキさんがウインクで返す。
どうやらユキさんの種族全てが京訛りな訳じゃないらしい。
「いえ、ありがとうございます。初めて聞く喋り方で少し気になっただけなんで気にしないで下さい。」
俺も下手な事は言わずにすぐに引き下がった。
あまり食い付いて余計な情報を渡す事は避けたかったし、敵対はないと信じたいが万が一の可能性もあるからだ。
「いやはや、商会長なら絶対にウルド様を気に入ると思いましたよ!それで、先程の続きで恐縮ですが、“剣聖”とはどういったご関係で?いやいや!話したくないなどありましたら大丈夫ですが!」
ベルナルドさんが気になるのも分かるので、この件に関しては隠していた所ですぐバレるし話してしまう事にする。
「いえ大丈夫ですよ。結論から言うと弟子入りしました。元々この国に来た理由が、ローガンさんに誘われて師匠への弟子入りする予定だったんですが、実力を測る為の模擬戦で少しやり過ぎちゃいましてね、この通りボコられました。」
「あのソフィエラ様が新たな弟子を!?流石のうちも驚いたわ…!」
今まで飄々としていたユキさんが初めて動揺したように見えた。
やはり同じ獣人族のSランクとなると注目度も違うのだろうし、何よりあのローガンさん以来の新たな弟子入りなのもあるはずだ。
「今は師匠の指示で怪我を治せと言われているので、宿にこもってても暇だったから来てみました。良いタイミングだったみたいで良かったです。」
「そうやったのね。ますます興味を持ったさかい早速本題に入りましょ。ウルド様が狩った魔物の素材、少しこちらに売っていただけへん?勿論、こちらも勉強させていただくわ。」
思っていたよりこちらに損がない内容だ。
いや、損がなさ過ぎて逆に怖い。
「なんで俺なんです?それこそローガンさんもいるし、この国には俺以上の実力者もいるのでは?」
「“剛剣”はAランクやん?他の実力者もそうやけど、そないな方達は他ともそないな契約をしてるわ。せやったら貴方みたいなまだCランクやけどソフィエラ様に弟子入りする程の有望株と契約した方将来的にも利益になると判断した。いわば青田買いやね?」
商人としては真っ当な意見だ。
恐らく俺も商いをして生きていくなら同じ事を考えるだろう。
だけどなんか裏がありそうなんだよなぁ…。
まぁ、この国にいる間はお互い利益を得る関係が築ければ何もない、か?
「分かりました。ただ、冒険者として活動をするよりも修行をメインでこちらに来たので、あまり納品する事は出来ないと思いますが大丈夫ですか?」
「勿論!言うたはずよ?こら青田買いだって。もし冒険者活動をする事があった時、納品義務がある魔物以外で構わへんわ。ほな、契約成立でええな?」
俺達は握手を交わし、この国での新たな繋がりを作れたのは今後の活動において大きいはずと考える。
美しい女性には裏がある、そう直感で考えてしまう俺は、目の前でニコニコとしているユキさんに隙を見せないように気を付けようと考えつつ、こちらも笑顔を返すのだった。
「痛っ!…あー、初めまして、俺は冒険者のウルドと申します。こっちは娘のオリビアで、一緒に旅をしています。よろしくお願いします。」
「むー…オリビアです。ウルドとは一緒に暮らしてます。」
俺達の自己紹介が終わると、ユキさんが悪戯っぽい笑いをしてオリビアを見る。
「うふふっ!オリビアちゃんったら可愛いわね?大丈夫よ、大事なパパを取ったりせんから。…でも、パパの方がその気なら…ね?」
ユキさんが俺に近付き耳元でそう囁く。
「ウルドっ!デレデレするのダメだからねっ!すぐそうやって色んな女の人と仲良くするの良くないと思うの!」
「…オリビアさん?俺そういうキャラじゃないから勘弁してもらっていい…?ユキさんもオリビアを揶揄うのはそれぐらいにして下さいよ?…本当に後で怖いので。」
…確かにベルナルドさんから聞いた通り、格好ぐらいじゃ何も言わなそうだな?
ただその代わり、気を付けないとオリビアに口を聞いてくれなくなりそうだ…。
「あらあら!オリビアちゃんはパパがえらい好きなんやね!…さて、これくらいにしとかな、ほんまに嫌われてまうさかいやめとくわな?ベルナルドの護衛、改めて感謝致します。ザガルタの英雄、“魔弓”と繋がりを得られるなんて、ほんまに素晴らしい日やわ。」
改めて俺達は握手を交わして着席した。
流石は商会長、異名持ちとはいえCランクの俺を予めある程度は調べてから来たようで、利用されるのは御免なので顔には出さないが少しだけ俺の中での警戒度を上げる。
ただ、ひとつだけ絶対に聞きたい質問があるのだ。
「ところでユキさんの喋り方、こちらではあまり聞かないんですがこの国独特の物なんですか?」
「あら、早速興味を持ってくれたみたいで嬉しい。そやけどこら何代も前のご先祖様からみたいでうちも発祥はわからへんの。堪忍してな?」
ユキさんがウインクで返す。
どうやらユキさんの種族全てが京訛りな訳じゃないらしい。
「いえ、ありがとうございます。初めて聞く喋り方で少し気になっただけなんで気にしないで下さい。」
俺も下手な事は言わずにすぐに引き下がった。
あまり食い付いて余計な情報を渡す事は避けたかったし、敵対はないと信じたいが万が一の可能性もあるからだ。
「いやはや、商会長なら絶対にウルド様を気に入ると思いましたよ!それで、先程の続きで恐縮ですが、“剣聖”とはどういったご関係で?いやいや!話したくないなどありましたら大丈夫ですが!」
ベルナルドさんが気になるのも分かるので、この件に関しては隠していた所ですぐバレるし話してしまう事にする。
「いえ大丈夫ですよ。結論から言うと弟子入りしました。元々この国に来た理由が、ローガンさんに誘われて師匠への弟子入りする予定だったんですが、実力を測る為の模擬戦で少しやり過ぎちゃいましてね、この通りボコられました。」
「あのソフィエラ様が新たな弟子を!?流石のうちも驚いたわ…!」
今まで飄々としていたユキさんが初めて動揺したように見えた。
やはり同じ獣人族のSランクとなると注目度も違うのだろうし、何よりあのローガンさん以来の新たな弟子入りなのもあるはずだ。
「今は師匠の指示で怪我を治せと言われているので、宿にこもってても暇だったから来てみました。良いタイミングだったみたいで良かったです。」
「そうやったのね。ますます興味を持ったさかい早速本題に入りましょ。ウルド様が狩った魔物の素材、少しこちらに売っていただけへん?勿論、こちらも勉強させていただくわ。」
思っていたよりこちらに損がない内容だ。
いや、損がなさ過ぎて逆に怖い。
「なんで俺なんです?それこそローガンさんもいるし、この国には俺以上の実力者もいるのでは?」
「“剛剣”はAランクやん?他の実力者もそうやけど、そないな方達は他ともそないな契約をしてるわ。せやったら貴方みたいなまだCランクやけどソフィエラ様に弟子入りする程の有望株と契約した方将来的にも利益になると判断した。いわば青田買いやね?」
商人としては真っ当な意見だ。
恐らく俺も商いをして生きていくなら同じ事を考えるだろう。
だけどなんか裏がありそうなんだよなぁ…。
まぁ、この国にいる間はお互い利益を得る関係が築ければ何もない、か?
「分かりました。ただ、冒険者として活動をするよりも修行をメインでこちらに来たので、あまり納品する事は出来ないと思いますが大丈夫ですか?」
「勿論!言うたはずよ?こら青田買いだって。もし冒険者活動をする事があった時、納品義務がある魔物以外で構わへんわ。ほな、契約成立でええな?」
俺達は握手を交わし、この国での新たな繋がりを作れたのは今後の活動において大きいはずと考える。
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