前世で薬漬けだったおっさん、エルフに転生して自由を得る

がい

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4章 剣聖と獣人の国編

魔力と気力

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1日の休息をもらい、心と身体の調子を整えて俺は新たな修行に入る為、朝日が少し顔を出し始めた早朝、屋敷の前で師匠が現れるのを静かに瞑想しながら待っていると、屋敷から2日前の厳しい表情と雰囲気とは違っていつもの飄々とした感じの雰囲気を纏い現れた。


俺が師匠に気付き瞑想をやめて顔を見据えると、師匠はニヤリとしながらこちらへ歩みを進め、俺へと声を掛ける。


「おはよう。ウルド、良い顔になったじゃないか。答えを聞くまでもないが、色々と覚悟して来たようだな?」


真っ直ぐ師匠を見つめて俺も師匠へと挨拶を返す。


「おはようございます師匠。覚悟…というか、余計な雑味が取れたという感じですかね。自分の今の強さを知ってこの世界に上が沢山いると聞いた時に、俺には大切な人達を守れないんじゃないかって、泉に投げた石が作り出した波紋のように色々と雑念が波のようになってしまい余計な事まで考え込んでしまいましたが…吹っ切れました。」






覚悟か…そんな物はオリビアを買い取った時にとっくに決まってるさ。






俺の話を真面目に聞いていた師匠が、俺の答えに満足したのか分からないが、俺の目を見つめニヤッと笑う。


「そうか。なら、まだまだ強くならなきゃいけないぞ?お前の大切な人達をちゃんと守れるぐらいには、な。よーしそろそろ出発するぞ。」


剣一本のみ携えて歩き始めた師匠の後に続き、昨日オリビアに魔法鞄を預けさせられた俺は最低限の荷物のみ持たされて、目的地が分からないまま新たな修行の為に歩き始めた。





ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー





黙々と師匠の後ろを離れないように着いていく。
既に約2時間は体感歩いているが、見渡す限り狩りの時に訪れた森と景観が変わらないので、方角や時間の感覚が麻痺してしまい変な感じがする。


そこから暫く進むと、変わらない木々に囲まれた景色の中で急に師匠が立ち止まりこちらへ振り返った。


「ここら辺にするか…よしウルド、まずこれからお前が新たに覚えようとしている力だが、“気力”と呼ばれる魔力とは全く違う性質の物だ。魔力が基本的に体外に力を行使する物だとして、気力は体内に力を行使する。ここまでは分かるか?」


今の説明で色々と納得した俺はすぐに頷いた。
今まで身体強化魔法の開発を色々と試行錯誤してきたが、気力という未知の力を知って今まで成功しなかった原因の特定が出来てスッキリしたまである。


「よし、次に気力だがかなり危険な力だ。だから気力が扱える実力がある者のみを選定して教える事にしている。何故なら未熟者が下手に使うと身体が耐えられず内側から破壊されるか、気力を限界以上に使用して干涸びて死ぬかのどちらかだろうからな。ここまでで質問はあるか?」


スッと手を挙げて師匠に質問する。


「干涸びて死ぬような力って事は命を削って使う力なんですか?」


「いや、気力は常に体内を巡っている生命力みたいな物だから普通は命の危険になる前に身体が勝手に待ったをかけるし、むしろ身につけて正しく扱えば寿命も伸びるし回復力も上がるからむしろお前に良い事の方が多いぞ。」


そこで師匠からこの修行に入る前の言葉を俺は思い出した。


『お前、自分の命を軽く見過ぎだ。これまでの経験もあるんだろうが、お前より強い者は大勢いるし、まだお前が生きているのは運が良かっただけなのを覚えておけ。…もし、お前がのたれ死んだらオリビアはどうなる?』


気力切れ=生命力の枯渇なら恐らく死ぬ。
師匠との修行前の俺がもしこの力を手に入れていたとしたら、これまで経験した死戦の中でそれが起こっていたのは間違いないと思うとゾッとする。


俺の表情を見て何を考えているのか想像がついただろう師匠が、更に言葉を続けた。


「今のお前なら大丈夫だと感じたからここへ来たんだからな?それじゃ早速修行の説明に入るぞ。お前にはこれからこの森で自分の気力を感じ取れるまで修行をするがその間、森から出るのは如何なる理由があっても禁止だ。それじゃお前が会得したら迎えに来るから死ぬなよ~。」


「ちょっ!?」


肝心のどうやって感じ取ればいいかを聞く前に師匠は去っていき、知らない森の奥深くに取り残された俺は暫くその場で立ち尽くしていた。


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