異世界悪党伝 〜 裏稼業の元勇者が力と女で成り上がる!〜

桜空大佐

文字の大きさ
42 / 56
第三章:ヴァンパイア王妃

閑話:リーファの酒場

しおりを挟む

セイヤがアルーナを出発し1日が経った頃、カールトン国で唯一ダンジョンのある街ニブル。
その中でも冒険者が多く集まるのが西地区バーンだ。

冒険者が多いため、酒場も大小合わせても二十ほどが軒を連ねていたが、最近は閉める店が増えてきた。
ニブルの街で最大の店アンダルシアが改装し、さらに客席を設けたため、客のほとんど掻っ攫われてしまい、小さな店は閉めるところもではじめたのだ。


「なぁ、この店は閉めたりしないよな?」

鼻の頭を赤くした髪の薄い男が、カウンターの中で酒を作る女に言った。

「私はその日が楽しく行きていけたらいいの。常連さんと毎日噂話を聞いたり武勇伝を聞いたりして、楽しく過ごせたらいいわ」

そう答えると長い耳に髪をかけ直す。褐色の肌に流れるようなウェーブのかかった銀髪は映える。
今夜は常連の八百屋の店主が一人で飲みにきているだけだ。
店はカウンターに四席、さらに四人座ることができるボックス席が二つある。
しかし、ボックスが埋まることは稀であった。

「ところで、リーファはどこの出身だったっけ?」

八百屋のオヤジは、褐色のエルフに話しかけた。
ジョッキにエールを注ぎ込み、カウンターにコトリと置くとリーファは答えた。

「ルーセン国の片田舎よ。何もないところ。あるのは山と畑くらいの辺鄙なところ」

カウンターから身を乗り出し、客の前に炒った豆を置く。酒のつまみだ。
八百屋のオヤジは、皿から豆をひとつまみ取ると、自分の口に放り込んだ。

「ルーセン国って言ったら、竜牙会の親分さんもあっちの人らしいじゃないか」
「ええそうよ。あの人が十四歳だったかな、私が八歳頃からの友達よ」

 リーファは、この豆もルーセン国のエルフの森で取れた豆よと言いながら、八百屋のオヤジに豆を手渡す。

「親分さんと幼馴染ってやつか。へぇ、そのときの話を聞かせてくれよ」

「いいわよ。私があの人と知り合ったのは、私が小娘だった時よ。森の集落で薬草を摘んでいたとき、あの人と知り合ったの」

 そこまで言うとリーファは、自分もジョッキを出しエールを注いだ。
そして、皿から豆をひとつ摘むと、八百屋のオヤジの口元に持っていった。
食べさせてくれるのかいとオヤジが目尻を垂らして口をあんぐりと開けると、リーファは豆をオヤジの口に放り入れた。

「ダークエルフのお前さんが小娘の頃って、いったい何年前だよ」
「あら、私ってそんなに老けて見える? これでもまだ十八歳よ」

 リーファは、縦ロールにした銀髪の髪をかき上げポーズを取る。
八百屋のオヤジは、目尻を下げてリーファを見ると、エールをグビグビと音を鳴らして飲み干した。
 リーファはもう空になったジョッキを取り、エールを注ぐと話の続きを語った。

「私の家族は森の集落に住んでいたの。ダークエルフだけで十ほどの世帯があったわ。薬草を摘んで街で売ったり、木の実を売って生活していたの。」

 八百屋のオヤジはじっと耳を傾けている。聞いているのか聞いていないのかわからないが、エールを一口飲むとリーファのほうに向き直る。
子供時代のリーファもきっと可愛らしかったのだろうと、まるで我が娘を見るかのようにリーファを見ていた。
リーファは、思い出を語るように八百屋のオヤジに、ぽつりぽつりと語った。

◇◇

 リーファが八つの頃だった。いつものようにエルフの集落を離れて薬草を摘んでいた。
いつもは、父親と一緒に収穫に出ていたが、前日に雨が降り、街に薬草を売りに出られなかったため、この日は父親は街へ出てリーファだけで森に入った。
 魔物が出たり、獣が出たりするような危険な山ではなかった。
そのため、父も気をつけて行きなさいとは言っていたが、油断してリーファはつい森深くまで入り込んでしまった。

「ひいっ!」

リーファは、短く悲鳴をあげた。
薬草を摘んでいたリーファがふと顔を上げると、そこにゴブリンが二体立っていた。手には木でできた剣を持っていた。
まだ少女だったリーファは、ゴブリンを見たのはこれが初めでだったが、風貌から兄弟に聞かされていたゴブリンだとすぐに気がついた。
鼻が潰れたような醜い顔の魔物は、涎を垂らしながらリーファに向かって駈けて来ていた。
恐怖に足がすくみ、逃げることもできずただ身をかがめて、小さくうずくまった。たとえ木の剣でも魔物の一撃を受けると、子供ならあっさりと切り刻まれる。
リーファにはそこまでの知識はなかったが、ただ危険だと言うことは本能で嗅ぎ取っていた。

《こわい……たすけてっ、とうさん!!》

もうダメかもしれないと、半ば諦めていた時に少年が目の前に現れた。

 小さく木の幹の根元でうずくまるリーファに、飛びかかったゴブリン一体が、弧を描き遠くの木の幹へ激突した。
ペシャリと音がして、リーファは耳を塞ぎ目を固くつぶった。何かが起きているのはわかったが、助けが入ったとは思っていなかった。
ただただ、震えながら身を固くしていたのだった。

 リーファは、しばらくするとゴブリンが来ないことを不思議に思い、耳から手を離した。
小枝を踏み折る音、誰かが近づいてくる。
 さらに身を固くしてリーファは身構えたとき、肩を叩かれた。

「おいっ、大丈夫か?」

 少年の声がした。リーファは、ゆっくりと身を起こし声の主を見た。
 そこには、皮鎧をつけた少年が立っていた。漆黒の髪の男の子……助かったと思うと急に体の力が抜け気を失った。

 リーファが目を覚ました時、沢のほとりに寝かせられていた。毛布が掛けられている。

「目が覚めたみたいよ」

 女の子の声が聞こえた。見ると、自分と同い年くらいの人間の女の子が覗き込んでいる。
 リーファは、慌てて起き上がると周りを見回し、助けてくれた少年を探した。

《お礼を言わなくちゃ……あの子はどこ?》

「ああ、セイヤを探してるの? あいつは今は狩に行ってる。鹿が見えたんだってさ」

「そうなんですか……あの、助けてくれてありがとう」

 リーファは、冒険者風の女の子にお礼を言うと、女の子はいいのいいのと手を振って笑顔で答えた。

 そのあと、セイヤが鹿を引きずるようにして戻って来たため、改めてお礼を言った。

「ああ、かまわない」

リーファに少年はぶっきらぼうに返事をした。

《迷惑をかけちゃったから、嫌われたのかな……》

 どうしていいのかわからなくてオロオロするリーファを見て、冒険者の女が手を握って言った。

「こいつ、あなたがゴブリンに襲われているのを見て、慌てて走って行ったんだよ。あと少し遅かったらやばかったわね」
「そうなんですか……ありがとうございました」
「いいの、いいの。でも、この森の奥には魔物が住む洞窟があるから気をつけなきゃダメよ。あっ、私はヘレナ」

 冒険者の女はヘレナと名乗った。ブラウンの髪は柔らかいウェーブがかかり肩で切り揃えられている。
耳かけされた髪に両脇に流された前髪はいかにも活発な女の子の雰囲気を醸し出していた。
よく似合ってるとリーファは思った。

「こんなところで薬草摘み?」
「はい。薬草を摘んで父さんが街で売っているんです。私は今日は一人でお手伝いしていて……」
「奥に入りすぎたってわけね」

 腕組みをして首を縦に何度も振りながら、ヘレナは答えた。

「ダークエルフの子供って初めて見たが、お前たちの村には子供も多いのか?」

 セイヤが剣で鹿の皮を剥ぎながらリーファに話しかけて来た。よく通る声で、リーファはもっと話しかけて欲しいと思った。
だが、鹿の方を向いたままのセイヤは、それ以上は聞いて来なかった。
 ダークエルフの村といってもダークエルフの世帯か自然に肩を寄り添って生きているだけで、村長などはいなかった。
もちろん、子供もいるのだが子供同士で遊ぶほど歳が近い子は少なかった。

ダークエルフのほとんどが、森で収穫したものを自給自足で生きていて、衣服でさえも自分たちで糸を紡ぎ、布を織り、服を縫っていた。
森には自然の恵みが多く、貧しいとは思わなかったが、リーファの父親はお金を稼ぎ貯めていた。
他の村人からは、金なんて持ってたって何に使うんだと働く父を笑う者もいた。
父を笑う人の子供から、リーファはよくいじめられて泣かされたりもした。
だが、父は間違っていないと信じていた。
リーファがその数年後に村を出るときに餞別として金を持たせてくれた。
父は、兄弟や自分が村を出る時のことを考えてお金を貯めてくれていたのだ。

あの集落で一生過ごすよりも、外で人間や亜人たちと接する人生をリーファは選んだ。

 ヘレナが、村までリーファを送ってくれたとき、いろいろと話をしてくれた。
気さくで明るいヘレナの話に、リーファはゴブリンに襲われたことを忘れてしまうほどだった。

 ヘレナとセイヤは二人で冒険者の駆け出しとしてペアを組んだばかりだった。
 セイヤは、領主のサルバトーレ様のご子息というのもこの時に聞いた。無口だったが、言葉の端々に優しさを感じたし、気配りもしてくれた。
 同い年の男たちは、自分をからかったり泣かせようといじめたりすることが多かったが、セイヤはそんなガキではなかった。
 リーファは、その後たびたびセイヤたちが魔物退治をした後に、村に寄ってくれておしゃべりする仲になっていた。

◇◇

「あのとき、ゴブリンに私が襲われていなかったらセイヤとの出会いはなかったわ」
「親分さんって子供の時から、強かったんだな」
「ええ、しかも素手で魔物を倒していたわ。剣を持っていたけど、ヘレナが言うには剣は奪われたら終わり。素手は腕がなくならない限り戦えるって言ってた」

 リーファは、エールをあおると、八百屋のオヤジのジョッキと自分のジョッキにエールを注いだ。

「素手とは恐れ入ったな。そりゃ、悪華組デモゴルゴンが一晩で壊滅させられるはずだ!」

 八百屋のオヤジは、機嫌よく笑う。この街の者は悪華組には搾取され続けていた。
 しかし、セイヤが率いる竜牙会ドラゴンファングがこの街を縄張りにしてからは、生活に安心感が出たと言う者が増え、歓迎されていた。
 だから、八百屋のオヤジも一晩でセイヤが悪華組を壊滅させた話は、酒を飲むたびに一度は話題にするほど好きだった。

「リーファは、親分さんのことが好きだった……ってことか?」

 八百屋のオヤジは、赤い鼻を指で擦りながらリーファに無粋なことを聞いた。

「ええ、好きよ。今もずっと……今でも時々だけど会ってるわ。いつもあの人は無口だけど、私がこの街に来たときも、この店を始めた時も会いに来てくれた。しかも、無口で無愛想なのに花束とか持ってくるんだから、笑っちゃうでしょ」
「おいおい、そりゃキザだねぇ。女に花束を贈るって王都の貴族みたいじゃないか」
「似たようなものよ。領主のご子息だった人よ。でも、全然そんな感じがしない……不思議な人よ」

 八百屋のオヤジは、ひょー色男だねぇと高い声を出して煽ったが、リーファはその言葉には反応しなかった。

「で、ヘレナって女の子はどうしたんだい? こっちに来ているのか?」
「……いいえ、亡くなったの。ルーセン国のダンジョン攻略中だったって。あっ、豆……遠慮の一個が残っているわよ、食べて」

 リーファはそう言うと、皿に残った豆を摘んでオヤジの口元に運んだ。
それをオヤジは唇を尖らせてリーファの指から吸い取る。リーファはクスッと笑ったのでオヤジも笑う。

「リーファの好きな人が親分さんなら、俺は嫉妬なんてしやしないぜ。応援するぞ」
「応援なんていいわ。彼は人間……先に死んでしまうのよ。それにまだ彼の心の中にはヘレナがいるわ」

 リーファは、ニコリと笑うとエールを飲み干した。

「そのヘレナさんって人のことを親分さんはまだ……?」
「そうだと思う。でも、この街で知り合ったミオンって娘がいたんだけど、あっ数ヶ月前だっけ? この街で殺人事件があったじゃない? あの時の殺された子なんだけど、ミオンはヘレナに生き写しでセイヤもかなり目をかけていたみたいなの……」
「ヘレンさんも亡くなって、ミオンって娘まで殺されたって……親分さんも苦労してるんだな。それに、お前も」

 そう言うと、八百屋のオヤジは小袋を取り出すと銅貨を二十枚カウンターに置いた。

「俺も、そろそろ帰ってカミさんを安心させてやらないと、いつ死んじまうかわからんからな」

 赤ら顔の八百屋のオヤジは、はにかみながら席を立った。

「また、いつでも来てね。今度は、楽しい話をしましょう」

 リーファは、店の出口まで八百屋のオヤジと手を組んで見送った。

 今夜はもう客は来ないだろう。もう、この店も長くは続かないかもしれない。
 でも、きっとまたあの人は来てくれる。私にも会いに来てくれるための場所が必要、だからこの店は潰さない。
 リーファは、一人になった店で、自分のためにもう一杯エールを注いだ。

<つづく>

しおりを挟む
感想 42

あなたにおすすめの小説

【超速爆速レベルアップ】~俺だけ入れるダンジョンはゴールドメタルスライムの狩り場でした~

シオヤマ琴@『最強最速』発売中
ファンタジー
ダンジョンが出現し20年。 木崎賢吾、22歳は子どもの頃からダンジョンに憧れていた。 しかし、ダンジョンは最初に足を踏み入れた者の所有物となるため、もうこの世界にはどこを探しても未発見のダンジョンなどないと思われていた。 そんな矢先、バイト帰りに彼が目にしたものは――。 【自分だけのダンジョンを夢見ていた青年のレベリング冒険譚が今幕を開ける!】

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

異世界召喚でクラスの勇者達よりも強い俺は無能として追放処刑されたので自由に旅をします

Dakurai
ファンタジー
クラスで授業していた不動無限は突如と教室が光に包み込まれ気がつくと異世界に召喚されてしまった。神による儀式でとある神によってのスキルを得たがスキルが強すぎてスキル無しと勘違いされ更にはクラスメイトと王女による思惑で追放処刑に会ってしまうしかし最強スキルと聖獣のカワウソによって難を逃れと思ったらクラスの女子中野蒼花がついてきた。 相棒のカワウソとクラスの中野蒼花そして異世界の仲間と共にこの世界を自由に旅をします。 現在、第四章フェレスト王国ドワーフ編

素材ガチャで【合成マスター】スキルを獲得したので、世界最強の探索者を目指します。

名無し
ファンタジー
学園『ホライズン』でいじめられっ子の生徒、G級探索者の白石優也。いつものように不良たちに虐げられていたが、勇気を出してやり返すことに成功する。その勢いで、近隣に出没したモンスター討伐に立候補した優也。その選択が彼の運命を大きく変えていくことになるのであった。

45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる

よっしぃ
ファンタジー
2巻決定しました! 【書籍版 大ヒット御礼!オリコン18位&続刊決定!】 皆様の熱狂的な応援のおかげで、書籍版『45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる』が、オリコン週間ライトノベルランキング18位、そしてアルファポリス様の書店売上ランキングでトップ10入りを記録しました! 本当に、本当にありがとうございます! 皆様の応援が、最高の形で「続刊(2巻)」へと繋がりました。 市丸きすけ先生による、素晴らしい書影も必見です! 【作品紹介】 欲望に取りつかれた権力者が企んだ「スキル強奪」のための勇者召喚。 だが、その儀式に巻き込まれたのは、どこにでもいる普通のサラリーマン――白河小次郎、45歳。 彼に与えられたのは、派手な攻撃魔法ではない。 【鑑定】【いんたーねっと?】【異世界売買】【テイマー】…etc. その一つ一つが、世界の理すら書き換えかねない、規格外の「便利スキル」だった。 欲望者から逃げ切るか、それとも、サラリーマンとして培った「知識」と、チート級のスキルを武器に、反撃の狼煙を上げるか。 気のいいおっさんの、優しくて、ずる賢い、まったり異世界サバイバルが、今、始まる! 【書誌情報】 タイトル: 『45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる』 著者: よっしぃ イラスト: 市丸きすけ 先生 出版社: アルファポリス ご購入はこちらから: Amazon: https://www.amazon.co.jp/dp/4434364235/ 楽天ブックス: https://books.rakuten.co.jp/rb/18361791/ 【作者より、感謝を込めて】 この日を迎えられたのは、長年にわたり、Webで私の拙い物語を応援し続けてくださった、読者の皆様のおかげです。 そして、この物語を見つけ出し、最高の形で世に送り出してくださる、担当編集者様、イラストレーターの市丸きすけ先生、全ての関係者の皆様に、心からの感謝を。 本当に、ありがとうございます。 【これまでの主な実績】 アルファポリス ファンタジー部門 1位獲得 小説家になろう 異世界転移/転移ジャンル(日間) 5位獲得 アルファポリス 第16回ファンタジー小説大賞 奨励賞受賞 第6回カクヨムWeb小説コンテスト 中間選考通過 復活の大カクヨムチャレンジカップ 9位入賞 ファミ通文庫大賞 一次選考通過

勇者パーティーを追放されたので、張り切ってスローライフをしたら魔王に世界が滅ぼされてました

まりあんぬさま
ファンタジー
かつて、世界を救う希望と称えられた“勇者パーティー”。 その中で地味に、黙々と補助・回復・結界を張り続けていたおっさん――バニッシュ=クラウゼン(38歳)は、ある日、突然追放を言い渡された。 理由は「お荷物」「地味すぎる」「若返くないから」。 ……笑えない。 人付き合いに疲れ果てたバニッシュは、「もう人とは関わらん」と北西の“魔の森”に引きこもり、誰も入って来られない結界を張って一人スローライフを開始……したはずだった。 だがその結界、なぜか“迷える者”だけは入れてしまう仕様だった!? 気づけば―― 記憶喪失の魔王の娘 迫害された獣人一家 古代魔法を使うエルフの美少女 天然ドジな女神 理想を追いすぎて仲間を失った情熱ドワーフ などなど、“迷える者たち”がどんどん集まってくる異種族スローライフ村が爆誕! ところが世界では、バニッシュの支援を失った勇者たちがボロボロに…… 魔王軍の侵攻は止まらず、世界滅亡のカウントダウンが始まっていた。 「もう面倒ごとはごめんだ。でも、目の前の誰かを見捨てるのも――もっとごめんだ」 これは、追放された“地味なおっさん”が、 異種族たちとスローライフしながら、 世界を救ってしまう(予定)のお話である。

身寄りのない少女を引き取ったら有能すぎて困る(困らない)

長根 志遥
ファンタジー
命令を受けて自らを暗殺に来た、身寄りのない不思議な少女エミリスを引き取ることにした伯爵家四男のアティアス。 彼女は彼と旅に出るため魔法の練習を始めると、才能を一気に開花させる。 他人と違う容姿と、底なしの胃袋、そして絶大な魔力。メイドだった彼女は家事も万能。 超有能物件に見えて、実は時々へっぽこな彼女は、様々な事件に巻き込まれつつも彼の役に立とうと奮闘する。 そして、伯爵家領地を巡る争いの果てに、彼女は自分が何者なのかを知る――。 ◆ 「……って、そんなに堅苦しく書いても誰も読んでくれませんよ? アティアス様ー」 「あらすじってそういうもんだろ?」 「ダメです! ここはもっとシンプルに書かないと本編を読んでくれません!」 「じゃあ、エミーならどんな感じで書くんだ?」 「……そうですねぇ。これはアティアス様が私とイチャイチャしながら、事件を強引に力で解決していくってお話ですよ、みなさん」 「ストレートすぎだろ、それ……」 「分かりやすくていいじゃないですかー。不幸な生い立ちの私が幸せになるところを、是非是非読んでみてくださいね(はーと)」 ◆HOTランキング最高2位、お気に入り1400↑ ありがとうございます!

友人(勇者)に恋人も幼馴染も取られたけど悔しくない。 だって俺は転生者だから。

石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていた魔法戦士のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもない状態だった。 だが、此の状態は彼にとっては『本当の幸せ』を掴む事に必要だった 何故なら、彼は『転生者』だから… 今度は違う切り口からのアプローチ。 追放の話しの一話は、前作とかなり似ていますが2話からは、かなり変わります。 こうご期待。

処理中です...