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<第二巻:温厚無慈悲な奴隷商人>
第一話:奴隷商人は奴隷を躾ける
しおりを挟む俺は片山仁人二十三歳。と言っても、今は異世界のニート・ソレの肉体に宿り、年齢も十九歳からスタートした異世界転移者だ。
漫画やアニメで見ていた異世界転生モノって、チート能力が備わって最強だったりするわけだが、俺はそういう能力はなさそうだ。
念のため、ステータスオープン! と叫んだこともあったが、何も起こらなかった。魔法が使えるかもと、真似事をしても何も起きなかった。
そう、俺にはアニメのようなチート能力はなかった。
しかし、俺にもチートと呼べるものがいくつかある。それは、今の地位だ。
まず、奴隷商人の息子になれたことだ。しかも、そこそこのお金持ち。
お金持ちの息子に生まれてくることだけでも、神様からのギフトだと思う。すでにスタートラインから違う人生が歩めるのだ。しかも、俺の中での憧れの職業『奴隷商人』になった。
周りには美少女たちが、俺の命じるままに動いてくれるんだ。こんなすごいことはない。
ただ、残念なことに女の子に対して奥手、甘い、優しい、ということで、俺は奴隷少女を好きに弄ぶなんてことはできなかった。
それでも、ラッキースケベを期待して、奴隷たちを眺めているだけの楽しい毎日を満喫している。
「旦那様。また、何か変な考え事をしてます?」
「あっ、違う違う。いろいろと考えたいことがあるんだ」
パオリーアは、俺の専属奴隷となり、アルノルトと同じ執事になってもらった。というのも、アルノルトがこの屋敷から出て行ったのだ。アルノルトだけではない、他の二人も一緒にだ。
数日前、親父が三人を連れて旅に出ると言い、そそくさと出て行ったのだ。もう、戻らないから屋敷も自由にしなさいと。
信じられん親だが、のんびり田舎で暮らしたいらしい。
俺としては、親父はいなくてもかまわないが、アルノルトたち三人がいないのは辛い。
なにしろ、今まで屋敷の雑用を全てやってもらっていたのだから。食料品ひとつ買うのも自分でやったことがない。
幸い、アルノルトが食料品や日用品の仕入先など、必要なことは全て書き残してくれていた。
本当に気が効く男だ。
「リーア。今は俺たちの料理ってどうしてるんだ?」
パオリーアの大きなおしりにタッチして聞いた。あはっと笑顔になるパオリーア。
スキンシップって大切だよね。
「アーヴィアが、料理ができるので、彼女の指示で奴隷たちと作っていますわ」
「そうか。あーちゃんには苦労かけるけど、しばらくはそれでお願いね」
あーちゃんこと、アーヴィアは狐人族の少女だ。見た目は身長百四十センチほどしかない幼女だが、すでに十六歳で成人している。
そう、この世界では十六歳で成人らしい。もちろん結婚できる年齢だ。
しかし、見た目は小学生なのに、そんなに大きいとは驚きだ。
「では、水汲みなどの重労働は?」
「マリレーネが何名か奴隷を従えて、やってくれています」
うまい具合に三人の個性がかぶっていなくて良かった。ただ、彼女たちに負担が大きくなっていないか心配だ。
なにしろ、今は完全に男手が不足していた。俺が手伝ってもいいが、パオリーアはそれを許さなかった。
俺も本音では働きたくないんだけどね……
実は、男奴隷を仕入れようかとも考えた。
しかし、男奴隷を屋敷に入れるとなると部屋も女たちと分ける必要があり、トイレも新設する必要がある。
もし、男奴隷が暴れはじめたら、この屋敷で対抗できる者もいない。マリレーネは力は強いけど女の子だ。怪我でもしたら大変だ。
男奴隷はしばらく入れなくてもいいとの結論に達したのだ。
「リーアちゃん、今日の予定は?」
パオリーアに、午後からの予定を聞く。
「今日から、マナーの先生がいらっしゃる予定です」
「あっ、そうか。今日からだったな」
俺はそう言うと、大きなソファにゴロンと寝転んだ。
立派なソファだ。おそらく高価なものだろう。この部屋は、親父が使っていたが、今は俺が使っている。
そして、アルノルトたちが使っていた個室は、今は三人の奴隷たちの個室になっていた。
「マナーの先生ってどんな人だろうな……」
マナーと躾については、きちんとした先生に教えてもらった方がいいのではないかと思い、下着屋の女将が来た時に紹介してくれと頼んでいたのだ。
そして、その先生が来るのが今日だった。
名前すら知らされていないが、マナー講師ってことは女性だろうか。きっとおばちゃんだろうな。
経歴としては、王都ダバオの公爵令嬢などにもマナーを教えていたそうで、経歴に問題はなかった。
ただ、下着屋の女将さんは「厳しい人であちこちのお貴族様を怒らせていたのよ」なんて、耳打ちされたもんだから、戦々恐々としている。
「お前たちも、今後のために先生にしっかりマナーを習っておいた方がいいぞ」
「はい、かしこまりました。しっかりと身につけて、旦那様に恥をかかせないようにいたします」
しっかりした女の子だなあ、と大きなおっぱいを見ながら感心した。
今までの貫頭衣姿も可愛いと思ったが、今は赤いハーレムパンツに、上は赤いビキニブラだけだ。
おっぱいが大きすぎて、市販品では無理なので、わざわざ仕立ててもらっていた。
ついでに言うと、マリレーネも特注品だ。アーヴィアだけはサイズが合ったので市販品にしたら、「どうせ私なんて……」と拗ねるもんだから、なだめるのに一苦労だった。
「俺は、昼まで寝るから、ここはもういい。パオリーアも仕事があるのなら行って来い」
「ありがとうございます……あの、旦那様……一緒に寝てもいいですか?」
「はぁ? いいけど、なんで? 眠いの?」
頬を紅潮させたパオリーアが、そんなこと聞かないでもわかってくださいって小声で俺を責める。
ああ、そういうことね。鈍感でごめんね。
当然、一緒に寝るとなると、おとなしく眠れるわけもなく……。
明るいうちから、エッチしてごめんなさい。
◆
一台の馬車が、屋敷の門をくぐる。パオリーアが、迎えに出たようだった。
俺は客間に行き、そこで待つことにした。
出迎えようと思ったが、パオリーアに俺が雇い主なのだから客間で待っていてくださいと言われた。
最近、パオリーアも執事らしくなってきた。うんうん、かわいい執事っていいね!
マナー講師かぁ。もし、歳を召したお婆さんだったら、キャンセルしてもいいかな?
風俗のようにチェンジってわけにもいかないよな。紹介してくれた下着屋の女将の顔もあるし。
――――コンコンコン
ノックに返事をすると、ドアが開き、パオリーアが姿を見せた。
「躾の先生がいらっしゃいました。どうぞお入りください」
パオリーアに促されて、姿を見せたのは赤髪をポニーテールのように結った美女!
だが、その姿に俺は驚きすぎて、声も出なかった。
黒革のハイレグパンツに、黒革のブラ……ご丁寧にテカテカと黒光りしている。
入ってきたのはボンテージ姿の、フェロモン漂う美人のお姉さんだった。
えっと、躾ってSM? もしかして、俺が躾けられるのかな?
アーヴィアの冷たい視線を感じながら、俺は立ち上がるとボンテージの女王様に向かって言った。
「ようこそ、奴隷商人ソレの館へ! 俺がこの奴隷館の当主ニート・ソレだ!」
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