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三度目②
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底が尽きるまで魔力を使った訳ではないが、それでも普段以上に使ったせいで身体が重い。俺は深く息を吐き出し部屋のドアを開けた。
ドアの向こう側には石畳の廊下と壁から突き出た手すりのない石の階段があった。階段は上にも下にも続いている。少し悩んだ後、俺は階段を降りることにした。階段は人一人通れるぐらいの幅しかなく、ふらつく足で降りるのは結構怖かった。
壁に身体をくっつけながら三階下まで降りるとリビングのような場所にでた。リビングの中央には三人掛けソファ一つとテーブルを挟んで一人掛けのソファが二つ。壁際には暖炉と大きな古時計が設置されていた。それから外に通じる玄関が一つと、一人掛けのソファの奥にドアが一つ。そっちにも部屋がありそうな雰囲気だった。
そしてこっちに背を向けて三人掛けのソファに座っている金髪。
「……なあ」
「ひゃあっ!」
金髪に声を掛けると金髪はビクッと身体を跳ね上げバッとこっちを振り向いた。
「あ…君は…」
「悪い、白髪を見にいってほしいんだ。本がやたら多い部屋。寝てるだけだと思いたい」
金髪の言葉を遮って俺はそう伝えた。本当は「また来た」とか「また会ったな」とか言えればいいんだけど……。
(身体しんど……)
正直言って今立ってるだけでもしんどい。俺はなんとか階段を降りきって「悪いそこ座らせてくれ」と一人掛けのソファに腰を落とした。クッションのある椅子に座るのは前世ぶりだな。
「ど、どうしたの? ……その、ど、どこかぐ、具合悪いの?」
オロオロする金髪に俺は「平気、平気」とひらひらと左手を振った。
「俺のことより白髪のほうを頼む。場所はさっき言ったよな?」
「え? 白…髪? オーウェンのこと? ……え? い、一緒にいたの?」
あいつ、オーウェンって言うんだ。
「そいつの所に飛ばされたんだよ。はあ……悪い。そいつのことほったらかして来たから、見にいってくれないか? ……多分寝てるだけだと思うけど」
「ね、寝てる……?」
「多分な……頼む、あのままじゃ風邪引いちまう」
「あ……う、うん。わ、分かった……! す、すぐ戻るから!」
金髪が階段を駆け足で上がっていった後、俺はふぅと息を吐き出した。
なんだか身体がおかしい。
(なんで……こんなに……眠いんだ?)
強烈な睡魔に襲われ、俺はそのまま意識を手放した。
深い眠りに落ちてしまった俺は気付かなかった。
俺の目の前に魔女がいて、じっと俺のことを見下ろしていたことに……。
ドアの向こう側には石畳の廊下と壁から突き出た手すりのない石の階段があった。階段は上にも下にも続いている。少し悩んだ後、俺は階段を降りることにした。階段は人一人通れるぐらいの幅しかなく、ふらつく足で降りるのは結構怖かった。
壁に身体をくっつけながら三階下まで降りるとリビングのような場所にでた。リビングの中央には三人掛けソファ一つとテーブルを挟んで一人掛けのソファが二つ。壁際には暖炉と大きな古時計が設置されていた。それから外に通じる玄関が一つと、一人掛けのソファの奥にドアが一つ。そっちにも部屋がありそうな雰囲気だった。
そしてこっちに背を向けて三人掛けのソファに座っている金髪。
「……なあ」
「ひゃあっ!」
金髪に声を掛けると金髪はビクッと身体を跳ね上げバッとこっちを振り向いた。
「あ…君は…」
「悪い、白髪を見にいってほしいんだ。本がやたら多い部屋。寝てるだけだと思いたい」
金髪の言葉を遮って俺はそう伝えた。本当は「また来た」とか「また会ったな」とか言えればいいんだけど……。
(身体しんど……)
正直言って今立ってるだけでもしんどい。俺はなんとか階段を降りきって「悪いそこ座らせてくれ」と一人掛けのソファに腰を落とした。クッションのある椅子に座るのは前世ぶりだな。
「ど、どうしたの? ……その、ど、どこかぐ、具合悪いの?」
オロオロする金髪に俺は「平気、平気」とひらひらと左手を振った。
「俺のことより白髪のほうを頼む。場所はさっき言ったよな?」
「え? 白…髪? オーウェンのこと? ……え? い、一緒にいたの?」
あいつ、オーウェンって言うんだ。
「そいつの所に飛ばされたんだよ。はあ……悪い。そいつのことほったらかして来たから、見にいってくれないか? ……多分寝てるだけだと思うけど」
「ね、寝てる……?」
「多分な……頼む、あのままじゃ風邪引いちまう」
「あ……う、うん。わ、分かった……! す、すぐ戻るから!」
金髪が階段を駆け足で上がっていった後、俺はふぅと息を吐き出した。
なんだか身体がおかしい。
(なんで……こんなに……眠いんだ?)
強烈な睡魔に襲われ、俺はそのまま意識を手放した。
深い眠りに落ちてしまった俺は気付かなかった。
俺の目の前に魔女がいて、じっと俺のことを見下ろしていたことに……。
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