チートな家臣はいかがですか?

織田っち

文字の大きさ
11 / 157
第一章~家臣~

独立、そして改姓3

しおりを挟む
大和国に着いた刹那は目的の人物の住んでいるところに向かった。そこは小さな村の1つの家だった。

「すみません。」

刹那はそう言いながら戸を叩いた。すると中から一人の男が出てきた。

「はい、どちらさまでしょうか。」

「お初にお目にかかります。私は三河の松平元康に仕えております、神威刹那と申します。あなたは島左近殿でございますか?」

「はい、いかにも私が島左近でございますが、三河のお武家様が私のような者にどのようなご用でしょうか。」

「はい、あなたを是非私に力を貸していただきたいと思い足を運んで参りました。」

刹那がそう言うとこんなところではと中に入れてもらうことができた。

そこで筒井の家臣であったが主人に諫言などをした結果、今は浪人の身となっていることを教えてくれた。

「このような私ですから、神威殿のお側においていただいたところで厄介に思われるだけかと思いますが。」

話を聞いているだけだった刹那がそこで、

「いいえ、そのように主に諫言してくれる家臣こそ何よりの忠臣。大事にしなければいけない存在にございます。主とて人だ。間違うことだって多い。それを注意してくれる者をありがたいと思えど、疎ましいと思うなどもってのほかだ。」

刹那が暑くそう語ると左近は涙を見せながら、

「そのように言ってくださるかたがいようとは。この島左近、これより神威刹那様を殿とお呼びしとうございまする。」

「左近、よろしくお願いします。私が間違っている時はいつでも諫言してくださいね。」

「はいっ。」

こうして長安に続き刹那の第一の忠臣となる男、島左近を家臣に刹那は加えたのである。

大和国で左近を家臣にした刹那は三河に向かうため、伊勢にいた。

「殿、このようにのんびりと帰られて問題はないのですか。」

「今は情勢も安定しているし、遠江では長安が仕事をこなしてくれているはずだから、大丈夫。」

「それならば、良いのですが。」

「左近、ここがどこだかわかるかい?」

「ここは朝熊山の麓の村でございます。」

「あれが朝熊山なのか。名前は知っていたが、訪れたことはなかったから。よかったよ。」

刹那はせっかくだからと村人と交流してこの地域のことなどを知ろうと考えた。
そんな村人との会話の中で、どうやらここより更に朝熊山の近くに熊のような男が出ると言う噂を聞いた。

それに興味を持った刹那は左近と共にその噂の場所へと向かった。

「左近、そんなに警戒して歩かなくても大丈夫だと思うよ。そんなんじゃ疲れるでしょ。」

「いえ、主に何かあっては一大事にございます。」

「何かあったらその時はよろしく頼むから今はとりあえずもう少し普通にしてね。」

刹那がそう言うならばと左近も警戒を少し緩めると、前から刀を持った男が現れた。
それが正しく毛むくじゃらな熊のような男だった。

「出たっ。」

「殿、おさがりください。」

ジリジリと近づいてくる男に刀を持って応戦しようとする左近。

「金をよこせ。」男はそう繰り返しながら左近に襲いかかった。

しかし、その刀は虚しく空を切り、逆に左近の刀が男の喉元へと向けられた。

「左近、殺しちゃダメだぞ。とりあえず、無力化は出来た。刀を収めて。」

左近に刀を収めさせて刹那は男に近寄り、持っていたおにぎりを渡した。

「足取りがおぼついていなかったところを見るとよっぽどの空腹だったのだろう。これでも食べて落ち着きなさい。」

刹那がそう言うと男はおにぎりを頬張り涙を流した。
おにぎりを食べ落ち着きを取り戻した男に刹那は色々と質問をしていく元いた場所を奪われ、命を長らえるために逃げている最中だと言うことを知る。

刹那は話を聞き終わると懐に手を入れ、袋を取り出すと男に渡した。

「たいした額ではないが、持っていくといい。私はこれから帰るだけだからそこまで金子を持つ必要もないからね。」

刹那はそう言うと男に背を向けて立ち去ろうとした。

「お待ちください。」

刹那がその場を離れようとすると男がそう言って刹那の前に回り込んで土下座をした。

「これほどの金子を私のような者に下さるとは相当な身分の方かと存じます。どうか、お名前をお聞かせ願えませんでしょうか。」

「あぁ、まだ名乗っていなかったね。私は三河の松平元康に仕える神威刹那と言うものです。隣の者は私の家臣の島左近。」

「神威様でございますか。どうか、私をご家来衆に加えてはいただけないでしょうか。」

男にそう言われた刹那は少し考えると

「あなたは得意なことを持っていますか?」

そう質問した。男はその質問に「水軍の知識がございます。」と即答した。
それを聞いた刹那は使えると判断し男を家臣に加えることにした。

「あなたの名前を聞いていませんでしたね。」

「これは申し遅れました。私は九鬼嘉隆と申します。以前は兄が収めた九鬼水軍のおりました。」

こうして後に神威水軍の頭として他の水軍に恐れられることになる九鬼嘉隆が刹那の家臣に新たに加わり、大久保長安、島左近、九鬼嘉隆と言う三人の男達が神威家に士官したのである。
しおりを挟む
感想 9

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます

菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。 嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。 「居なくていいなら、出ていこう」 この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし

国外追放だ!と言われたので従ってみた

れぷ
ファンタジー
 良いの?君達死ぬよ?

三十年後に届いた白い手紙

RyuChoukan
ファンタジー
三十年前、帝国は一人の少年を裏切り者として処刑した。 彼は最後まで、何も語らなかった。 その罪の真相を知る者は、ただ一人の女性だけだった。 戴冠舞踏会の夜。 公爵令嬢は、一通の白い手紙を手に、皇帝の前に立つ。 それは復讐でも、告発でもない。 三十年間、辺境の郵便局で待ち続けられていた、 「渡されなかった約束」のための手紙だった。 沈黙のまま命を捨てた男と、 三十年、ただ待ち続けた女。 そして、すべてを知った上で扉を開く、次の世代。 これは、 遅れて届いた手紙が、 人生と運命を静かに書き換えていく物語。

冷遇妻に家を売り払われていた男の裁判

七辻ゆゆ
ファンタジー
婚姻後すぐに妻を放置した男が二年ぶりに帰ると、家はなくなっていた。 「では開廷いたします」 家には10億の価値があったと主張し、妻に離縁と損害賠償を求める男。妻の口からは二年の事実が語られていく。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

服を脱いで妹に食べられにいく兄

スローン
恋愛
貞操観念ってのが逆転してる世界らしいです。

【完結】離縁ですか…では、私が出掛けている間に出ていって下さいね♪

山葵
恋愛
突然、カイルから離縁して欲しいと言われ、戸惑いながらも理由を聞いた。 「俺は真実の愛に目覚めたのだ。マリアこそ俺の運命の相手!」 そうですか…。 私は離婚届にサインをする。 私は、直ぐに役所に届ける様に使用人に渡した。 使用人が出掛けるのを確認してから 「私とアスベスが旅行に行っている間に荷物を纏めて出ていって下さいね♪」

処理中です...