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第一章~家臣~
独立、そして改姓3
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大和国に着いた刹那は目的の人物の住んでいるところに向かった。そこは小さな村の1つの家だった。
「すみません。」
刹那はそう言いながら戸を叩いた。すると中から一人の男が出てきた。
「はい、どちらさまでしょうか。」
「お初にお目にかかります。私は三河の松平元康に仕えております、神威刹那と申します。あなたは島左近殿でございますか?」
「はい、いかにも私が島左近でございますが、三河のお武家様が私のような者にどのようなご用でしょうか。」
「はい、あなたを是非私に力を貸していただきたいと思い足を運んで参りました。」
刹那がそう言うとこんなところではと中に入れてもらうことができた。
そこで筒井の家臣であったが主人に諫言などをした結果、今は浪人の身となっていることを教えてくれた。
「このような私ですから、神威殿のお側においていただいたところで厄介に思われるだけかと思いますが。」
話を聞いているだけだった刹那がそこで、
「いいえ、そのように主に諫言してくれる家臣こそ何よりの忠臣。大事にしなければいけない存在にございます。主とて人だ。間違うことだって多い。それを注意してくれる者をありがたいと思えど、疎ましいと思うなどもってのほかだ。」
刹那が暑くそう語ると左近は涙を見せながら、
「そのように言ってくださるかたがいようとは。この島左近、これより神威刹那様を殿とお呼びしとうございまする。」
「左近、よろしくお願いします。私が間違っている時はいつでも諫言してくださいね。」
「はいっ。」
こうして長安に続き刹那の第一の忠臣となる男、島左近を家臣に刹那は加えたのである。
大和国で左近を家臣にした刹那は三河に向かうため、伊勢にいた。
「殿、このようにのんびりと帰られて問題はないのですか。」
「今は情勢も安定しているし、遠江では長安が仕事をこなしてくれているはずだから、大丈夫。」
「それならば、良いのですが。」
「左近、ここがどこだかわかるかい?」
「ここは朝熊山の麓の村でございます。」
「あれが朝熊山なのか。名前は知っていたが、訪れたことはなかったから。よかったよ。」
刹那はせっかくだからと村人と交流してこの地域のことなどを知ろうと考えた。
そんな村人との会話の中で、どうやらここより更に朝熊山の近くに熊のような男が出ると言う噂を聞いた。
それに興味を持った刹那は左近と共にその噂の場所へと向かった。
「左近、そんなに警戒して歩かなくても大丈夫だと思うよ。そんなんじゃ疲れるでしょ。」
「いえ、主に何かあっては一大事にございます。」
「何かあったらその時はよろしく頼むから今はとりあえずもう少し普通にしてね。」
刹那がそう言うならばと左近も警戒を少し緩めると、前から刀を持った男が現れた。
それが正しく毛むくじゃらな熊のような男だった。
「出たっ。」
「殿、おさがりください。」
ジリジリと近づいてくる男に刀を持って応戦しようとする左近。
「金をよこせ。」男はそう繰り返しながら左近に襲いかかった。
しかし、その刀は虚しく空を切り、逆に左近の刀が男の喉元へと向けられた。
「左近、殺しちゃダメだぞ。とりあえず、無力化は出来た。刀を収めて。」
左近に刀を収めさせて刹那は男に近寄り、持っていたおにぎりを渡した。
「足取りがおぼついていなかったところを見るとよっぽどの空腹だったのだろう。これでも食べて落ち着きなさい。」
刹那がそう言うと男はおにぎりを頬張り涙を流した。
おにぎりを食べ落ち着きを取り戻した男に刹那は色々と質問をしていく元いた場所を奪われ、命を長らえるために逃げている最中だと言うことを知る。
刹那は話を聞き終わると懐に手を入れ、袋を取り出すと男に渡した。
「たいした額ではないが、持っていくといい。私はこれから帰るだけだからそこまで金子を持つ必要もないからね。」
刹那はそう言うと男に背を向けて立ち去ろうとした。
「お待ちください。」
刹那がその場を離れようとすると男がそう言って刹那の前に回り込んで土下座をした。
「これほどの金子を私のような者に下さるとは相当な身分の方かと存じます。どうか、お名前をお聞かせ願えませんでしょうか。」
「あぁ、まだ名乗っていなかったね。私は三河の松平元康に仕える神威刹那と言うものです。隣の者は私の家臣の島左近。」
「神威様でございますか。どうか、私をご家来衆に加えてはいただけないでしょうか。」
男にそう言われた刹那は少し考えると
「あなたは得意なことを持っていますか?」
そう質問した。男はその質問に「水軍の知識がございます。」と即答した。
それを聞いた刹那は使えると判断し男を家臣に加えることにした。
「あなたの名前を聞いていませんでしたね。」
「これは申し遅れました。私は九鬼嘉隆と申します。以前は兄が収めた九鬼水軍のおりました。」
こうして後に神威水軍の頭として他の水軍に恐れられることになる九鬼嘉隆が刹那の家臣に新たに加わり、大久保長安、島左近、九鬼嘉隆と言う三人の男達が神威家に士官したのである。
「すみません。」
刹那はそう言いながら戸を叩いた。すると中から一人の男が出てきた。
「はい、どちらさまでしょうか。」
「お初にお目にかかります。私は三河の松平元康に仕えております、神威刹那と申します。あなたは島左近殿でございますか?」
「はい、いかにも私が島左近でございますが、三河のお武家様が私のような者にどのようなご用でしょうか。」
「はい、あなたを是非私に力を貸していただきたいと思い足を運んで参りました。」
刹那がそう言うとこんなところではと中に入れてもらうことができた。
そこで筒井の家臣であったが主人に諫言などをした結果、今は浪人の身となっていることを教えてくれた。
「このような私ですから、神威殿のお側においていただいたところで厄介に思われるだけかと思いますが。」
話を聞いているだけだった刹那がそこで、
「いいえ、そのように主に諫言してくれる家臣こそ何よりの忠臣。大事にしなければいけない存在にございます。主とて人だ。間違うことだって多い。それを注意してくれる者をありがたいと思えど、疎ましいと思うなどもってのほかだ。」
刹那が暑くそう語ると左近は涙を見せながら、
「そのように言ってくださるかたがいようとは。この島左近、これより神威刹那様を殿とお呼びしとうございまする。」
「左近、よろしくお願いします。私が間違っている時はいつでも諫言してくださいね。」
「はいっ。」
こうして長安に続き刹那の第一の忠臣となる男、島左近を家臣に刹那は加えたのである。
大和国で左近を家臣にした刹那は三河に向かうため、伊勢にいた。
「殿、このようにのんびりと帰られて問題はないのですか。」
「今は情勢も安定しているし、遠江では長安が仕事をこなしてくれているはずだから、大丈夫。」
「それならば、良いのですが。」
「左近、ここがどこだかわかるかい?」
「ここは朝熊山の麓の村でございます。」
「あれが朝熊山なのか。名前は知っていたが、訪れたことはなかったから。よかったよ。」
刹那はせっかくだからと村人と交流してこの地域のことなどを知ろうと考えた。
そんな村人との会話の中で、どうやらここより更に朝熊山の近くに熊のような男が出ると言う噂を聞いた。
それに興味を持った刹那は左近と共にその噂の場所へと向かった。
「左近、そんなに警戒して歩かなくても大丈夫だと思うよ。そんなんじゃ疲れるでしょ。」
「いえ、主に何かあっては一大事にございます。」
「何かあったらその時はよろしく頼むから今はとりあえずもう少し普通にしてね。」
刹那がそう言うならばと左近も警戒を少し緩めると、前から刀を持った男が現れた。
それが正しく毛むくじゃらな熊のような男だった。
「出たっ。」
「殿、おさがりください。」
ジリジリと近づいてくる男に刀を持って応戦しようとする左近。
「金をよこせ。」男はそう繰り返しながら左近に襲いかかった。
しかし、その刀は虚しく空を切り、逆に左近の刀が男の喉元へと向けられた。
「左近、殺しちゃダメだぞ。とりあえず、無力化は出来た。刀を収めて。」
左近に刀を収めさせて刹那は男に近寄り、持っていたおにぎりを渡した。
「足取りがおぼついていなかったところを見るとよっぽどの空腹だったのだろう。これでも食べて落ち着きなさい。」
刹那がそう言うと男はおにぎりを頬張り涙を流した。
おにぎりを食べ落ち着きを取り戻した男に刹那は色々と質問をしていく元いた場所を奪われ、命を長らえるために逃げている最中だと言うことを知る。
刹那は話を聞き終わると懐に手を入れ、袋を取り出すと男に渡した。
「たいした額ではないが、持っていくといい。私はこれから帰るだけだからそこまで金子を持つ必要もないからね。」
刹那はそう言うと男に背を向けて立ち去ろうとした。
「お待ちください。」
刹那がその場を離れようとすると男がそう言って刹那の前に回り込んで土下座をした。
「これほどの金子を私のような者に下さるとは相当な身分の方かと存じます。どうか、お名前をお聞かせ願えませんでしょうか。」
「あぁ、まだ名乗っていなかったね。私は三河の松平元康に仕える神威刹那と言うものです。隣の者は私の家臣の島左近。」
「神威様でございますか。どうか、私をご家来衆に加えてはいただけないでしょうか。」
男にそう言われた刹那は少し考えると
「あなたは得意なことを持っていますか?」
そう質問した。男はその質問に「水軍の知識がございます。」と即答した。
それを聞いた刹那は使えると判断し男を家臣に加えることにした。
「あなたの名前を聞いていませんでしたね。」
「これは申し遅れました。私は九鬼嘉隆と申します。以前は兄が収めた九鬼水軍のおりました。」
こうして後に神威水軍の頭として他の水軍に恐れられることになる九鬼嘉隆が刹那の家臣に新たに加わり、大久保長安、島左近、九鬼嘉隆と言う三人の男達が神威家に士官したのである。
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