23 / 157
第二章~国持ち大名~
焦りと発展6
しおりを挟む
刹那が自室で家臣達からの報告書を読んでいると思わぬ来客が霧山御所にやってきた。
「刹那様、よろしいでしょうか。」
「貞昌か、どうした?」
「刹那様に来客です。真田殿と申される方がいらしゃっていますが、どうなさいましょうか?」
「幸隆殿が?そうか、ではお通ししてくれ。」
「はいっ。」
貞昌の最初は拙かった小姓ぶりがだんだんと板についてきたのを見て刹那は静かに微笑んだ。
「これはこれは幸隆殿お久しゅうございます。」
「刹那殿があれ以来来てくださらんからこちらから来てしまったわ。」
「申し訳ありません。なかなか忙しいもので。」
「よいよい、徳川の成長の影には刹那殿の力が大きいこと武田では皆が知っている。その刹那殿が忙しいのは当たり前のことだ。」
「私はそのようなたいした男ではございませんよ。それで今日はどうしてわざわざ伊勢までお越しに?」
「我が殿から家康殿に贈り物として馬を送られてな。その使者がわしだったのだ。それで浜松まで来たついでに刹那殿と語らいたくてな。共の者を数人だけ残してほかは先に返してしまった。」
幸隆はそう言って笑ってみせた。
「そうでしたか、それでは盛大なおもてなしをしなければなりませんね。今日はゆっくりしていってくだされ。お供の方も交えて宴会と行きましょう。」
「おっ、それは楽しみだ。伊勢の名物ももちろん出るのであろう?」
「ええ、新鮮な海産物をたんと召し上がっていただきます。」
刹那はその夜に自分の重臣達を全員集め、幸隆一行を盛大にもてなした。
「いやぁ、これほど海の幸を食べることができるとは幸せだ。」
「武田家の領地は海に面してないため新鮮な海産物を食すことが難しいですからね。」
「そうなのだ。どうにかできれば良いのだがな。」
「それを可能にするには速やかな輸送方法を確立しなければならないので、戦国の世では難しいかもしれませんね。同じ領主の元なら街道を整備し、馬でかけることができるようにするなど工夫がございましょうが。」
「それも群雄割拠の時代ゆえ、無理であろうな。」
刹那と幸隆は酒を酌み交わしながらも話すのは領地経営のこれからの有り様であった。
「実は折り入って刹那殿に頼みたいことがあるのだが。聞いてはいただけないだろうか。」
「頼みでございますか?幸隆殿の頼みとあれば無下にはしたくありませんが、内容によりますよ。」
刹那がそう言うと幸隆は刹那に土下座をした。
「えっ、幸隆殿?」
「どうか、我が息子の昌幸を刹那殿の家臣に加えてはもらえないだろうか。」
その場にいたすべての者が視線を幸隆に向けた。
「御子息を我が家臣に。どうゆうことでしょうか。」
幸隆は頭をあげると話始めた。
「わしには信綱、昌輝、昌幸、信尹と四人の息子がおるが、真田の家督を継ぐのは信綱だ。しかし、昌幸には優れた才能があるとわしは見ておる。しかし、わしの元に居てはそれを発揮させてやることができん。だが、今川の属国となっていた徳川をここまでの大名にした功労者である刹那殿の元なら昌幸の才を存分に活かしてやれると思ったのだ。厚かましい願いだとは重々承知しているが、どうか、お願いできないだろうか。」
「幸隆殿、まことにありがたきお言葉です。当家は今人材不足に嘆いています。それに武田の頭脳とも言える幸隆殿がそれほどの才を持っていると言われる御子息なら尚更です。」
「では。」
しかし刹那は首を横に振った。
「そこまで申してくれるならなぜなのだ。」
「幸隆殿、私は主従関係と言うものは主に惚れるからこそ、力を出せるものだと思うのです。また主も家臣をそばに置きたいと。力になってほしいと思うこと。両者が望まなければ強固な信頼関係を築くことは出来ないと思うのです。いくら父である幸隆殿の命で私に仕えたとしてもご子息自身が私に魅力を感じなければそれは互いにとって有益とは申せません。」
刹那はそこまで言うと幸隆の連れてきた供の者達の一番後ろに座っていた若者を見た。
「誰に仕えるかを決めるのはあそこに座っているご子息、昌幸殿自信が決めるものですよ。」
「なっ、あれが昌幸だと気付いていたのかっ。」
「先ほどの幸隆殿の願い出の時に私よりも驚いた顔をしておりましたから、それで気が付きました。」
刹那はそう言いながら笑った。
「なるほど。昌幸、こっちへ来い。」
幸隆がそう言うと昌幸は幸隆の近くまでやって来た。
「昌幸よ、お主はどうしたい。」
「わっ、私は。」
「幸隆殿、そう答えを焦らせては昌幸殿も困ってしまいますよ。昌幸殿、今日はゆっくり休むがよろしい。幸隆殿もそれでよろしいですか?」
こうして宴会は終わった。
「刹那様、よろしいでしょうか。」
「貞昌か、どうした?」
「刹那様に来客です。真田殿と申される方がいらしゃっていますが、どうなさいましょうか?」
「幸隆殿が?そうか、ではお通ししてくれ。」
「はいっ。」
貞昌の最初は拙かった小姓ぶりがだんだんと板についてきたのを見て刹那は静かに微笑んだ。
「これはこれは幸隆殿お久しゅうございます。」
「刹那殿があれ以来来てくださらんからこちらから来てしまったわ。」
「申し訳ありません。なかなか忙しいもので。」
「よいよい、徳川の成長の影には刹那殿の力が大きいこと武田では皆が知っている。その刹那殿が忙しいのは当たり前のことだ。」
「私はそのようなたいした男ではございませんよ。それで今日はどうしてわざわざ伊勢までお越しに?」
「我が殿から家康殿に贈り物として馬を送られてな。その使者がわしだったのだ。それで浜松まで来たついでに刹那殿と語らいたくてな。共の者を数人だけ残してほかは先に返してしまった。」
幸隆はそう言って笑ってみせた。
「そうでしたか、それでは盛大なおもてなしをしなければなりませんね。今日はゆっくりしていってくだされ。お供の方も交えて宴会と行きましょう。」
「おっ、それは楽しみだ。伊勢の名物ももちろん出るのであろう?」
「ええ、新鮮な海産物をたんと召し上がっていただきます。」
刹那はその夜に自分の重臣達を全員集め、幸隆一行を盛大にもてなした。
「いやぁ、これほど海の幸を食べることができるとは幸せだ。」
「武田家の領地は海に面してないため新鮮な海産物を食すことが難しいですからね。」
「そうなのだ。どうにかできれば良いのだがな。」
「それを可能にするには速やかな輸送方法を確立しなければならないので、戦国の世では難しいかもしれませんね。同じ領主の元なら街道を整備し、馬でかけることができるようにするなど工夫がございましょうが。」
「それも群雄割拠の時代ゆえ、無理であろうな。」
刹那と幸隆は酒を酌み交わしながらも話すのは領地経営のこれからの有り様であった。
「実は折り入って刹那殿に頼みたいことがあるのだが。聞いてはいただけないだろうか。」
「頼みでございますか?幸隆殿の頼みとあれば無下にはしたくありませんが、内容によりますよ。」
刹那がそう言うと幸隆は刹那に土下座をした。
「えっ、幸隆殿?」
「どうか、我が息子の昌幸を刹那殿の家臣に加えてはもらえないだろうか。」
その場にいたすべての者が視線を幸隆に向けた。
「御子息を我が家臣に。どうゆうことでしょうか。」
幸隆は頭をあげると話始めた。
「わしには信綱、昌輝、昌幸、信尹と四人の息子がおるが、真田の家督を継ぐのは信綱だ。しかし、昌幸には優れた才能があるとわしは見ておる。しかし、わしの元に居てはそれを発揮させてやることができん。だが、今川の属国となっていた徳川をここまでの大名にした功労者である刹那殿の元なら昌幸の才を存分に活かしてやれると思ったのだ。厚かましい願いだとは重々承知しているが、どうか、お願いできないだろうか。」
「幸隆殿、まことにありがたきお言葉です。当家は今人材不足に嘆いています。それに武田の頭脳とも言える幸隆殿がそれほどの才を持っていると言われる御子息なら尚更です。」
「では。」
しかし刹那は首を横に振った。
「そこまで申してくれるならなぜなのだ。」
「幸隆殿、私は主従関係と言うものは主に惚れるからこそ、力を出せるものだと思うのです。また主も家臣をそばに置きたいと。力になってほしいと思うこと。両者が望まなければ強固な信頼関係を築くことは出来ないと思うのです。いくら父である幸隆殿の命で私に仕えたとしてもご子息自身が私に魅力を感じなければそれは互いにとって有益とは申せません。」
刹那はそこまで言うと幸隆の連れてきた供の者達の一番後ろに座っていた若者を見た。
「誰に仕えるかを決めるのはあそこに座っているご子息、昌幸殿自信が決めるものですよ。」
「なっ、あれが昌幸だと気付いていたのかっ。」
「先ほどの幸隆殿の願い出の時に私よりも驚いた顔をしておりましたから、それで気が付きました。」
刹那はそう言いながら笑った。
「なるほど。昌幸、こっちへ来い。」
幸隆がそう言うと昌幸は幸隆の近くまでやって来た。
「昌幸よ、お主はどうしたい。」
「わっ、私は。」
「幸隆殿、そう答えを焦らせては昌幸殿も困ってしまいますよ。昌幸殿、今日はゆっくり休むがよろしい。幸隆殿もそれでよろしいですか?」
こうして宴会は終わった。
10
あなたにおすすめの小説
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
還暦の性 若い彼との恋愛模様
MisakiNonagase
恋愛
還暦を迎えた和子。保持する資格の更新講習で二十代後半の青年、健太に出会った。何気なくてLINE交換してメッセージをやりとりするうちに、胸が高鳴りはじめ、長年忘れていた恋心に花が咲く。
そんな還暦女性と二十代の青年の恋模様。
その後、結婚、そして永遠の別れまでを描いたストーリーです。
全7話
最難関ダンジョンをクリアした成功報酬は勇者パーティーの裏切りでした
新緑あらた
ファンタジー
最難関であるS級ダンジョン最深部の隠し部屋。金銀財宝を前に告げられた言葉は労いでも喜びでもなく、解雇通告だった。
「もうオマエはいらん」
勇者アレクサンダー、癒し手エリーゼ、赤魔道士フェルノに、自身の黒髪黒目を忌避しないことから期待していた俺は大きなショックを受ける。
ヤツらは俺の外見を受け入れていたわけじゃない。ただ仲間と思っていなかっただけ、眼中になかっただけなのだ。
転生者は曾祖父だけどチートは隔世遺伝した「俺」にも受け継がれています。
勇者達は大富豪スタートで貧民窟の住人がゴールです(笑)
クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?
青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。
最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。
普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた?
しかも弱いからと森に捨てられた。
いやちょっとまてよ?
皆さん勘違いしてません?
これはあいの不思議な日常を書いた物語である。
本編完結しました!
相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです!
1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…
【完結】離縁ですか…では、私が出掛けている間に出ていって下さいね♪
山葵
恋愛
突然、カイルから離縁して欲しいと言われ、戸惑いながらも理由を聞いた。
「俺は真実の愛に目覚めたのだ。マリアこそ俺の運命の相手!」
そうですか…。
私は離婚届にサインをする。
私は、直ぐに役所に届ける様に使用人に渡した。
使用人が出掛けるのを確認してから
「私とアスベスが旅行に行っている間に荷物を纏めて出ていって下さいね♪」
天才天然天使様こと『三天美女』の汐崎真凜に勝手に婚姻届を出され、いつの間にか天使の旦那になったのだが...。【動画投稿】
田中又雄
恋愛
18の誕生日を迎えたその翌日のこと。
俺は分籍届を出すべく役所に来ていた...のだが。
「えっと...結論から申し上げますと...こちらの手続きは不要ですね」「...え?どういうことですか?」「昨日、婚姻届を出されているので親御様とは別の戸籍が作られていますので...」「...はい?」
そうやら俺は知らないうちに結婚していたようだった。
「あの...相手の人の名前は?」
「...汐崎真凛様...という方ですね」
その名前には心当たりがあった。
天才的な頭脳、マイペースで天然な性格、天使のような見た目から『三天美女』なんて呼ばれているうちの高校のアイドル的存在。
こうして俺は天使との-1日婚がスタートしたのだった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる