チートな家臣はいかがですか?

織田っち

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第二章~国持ち大名~

焦りと発展10

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一人になった刹那は

「これで藤堂高虎、石田三成が虎千代の補佐をしてくれるようになる。虎千代のためにももっと優秀な者を集めたいところだな。それにその親の虎高は武勇に優れているし、正継、そして嫡男の正澄は内務に向いている。これで領内のいざこざも今よりも早く穏便に解決できるはずだ。」

虎千代の代のことを考えながらも自分の治世がうまくいくように頭を二重にも三重にも捻る刹那の欲深さが垣間見えた瞬間であった。

刹那は新たに神威塾を開校し、見込みのある子供達をそこで教育し始めた。
身分に格差をつけずに城下の寺子屋などで優れていると刹那が判断した子供は農民の出だろうが商人の出だろうが、武士の出であろうがスカウトして行った。
また、神威塾に通う子どものいる家には支援金を交付して領民の勉学意識を高めることにした。
神威塾の中には石田佐吉、藤堂与吉の姿ももちろんあった。

刹那はそれから2年間の間、伊勢、志摩の治世に専念しながらも家臣の教育、兵の指導などを進めた。また、家康の元に何度も赴き、伊勢の状況を報告したり、三河、遠江、駿河の情勢を忠次達と会議したりなど、徳川家の磐石な地盤を作ることに奔走した。
武田との交流も盛んに行い、今では徳川領内と武田領内での民の移動はスムーズに行えるほどになっていた。お忍びで武田信玄が家康の元に赴いたりもしているほど両家の関係は良好であった。

しかし、これに恐怖を覚えている者がいた。
織田信長である。
信長は岐阜での統治が思うように受け入れられず、上洛の機会を伺っている日々を過ごすことになってしまっていた。しかし、その信長にも好機が訪れた。それが前将軍足利義輝の弟の足利義昭が朝倉から織田を頼ってやってきたことである。

「よし、これで上洛の大義名分が立ったぞ。これで京へ歩を進めることができる。家康に伊勢は抑えられてしまったが、京はこの信長のものぞ。」

「殿、上洛の兵はいつおあげになりますか?」

「光秀、どのくらいで兵の準備は整う。」

「どのくらいの兵力を動員するかによりますが、一月もあればほぼ全兵力を動員することは可能です。」

「そうか、では尾張、美濃にそれぞれ兵を一万ほど残し、それ以外の全兵力を上洛軍とする。浅井、徳川にも兵を出すように使者を送れ。出陣は一月後とな。」

「はっ、承知致しました。」

「これで天下は我のものだ。将軍など今は何の力もないが大義名分のためには役に立つ。存分に使わせてもらおうぞ。」

信長はそう言いながら高笑いをしていた。

その1ヶ月後、刹那は家康と共に岐阜城にいた。

「これはこれは家康殿、よくおいでくださった。」

「信長殿おひさしゅうございます。こたびは御上洛の兵を挙げると言うことでしたので、微力ながらお供させていただきます。」

「かたじけない。三河武士が味方とあれば何も恐れるものはない。」

「ありがたきお言葉にございます。」

「ところで後ろに控えるはいつぞやの若者かな?」

「はい、徳川の重臣の神威刹那にございます。刹那。」

「はっ。お久しゅうございます。徳川家家臣神威刹那にございます。同盟の儀の折りには失礼な振る舞いを致しまして申し訳ございませんでした。」

「よいよい、ところで伊勢を治めておるのはお主か?」

「はい、家康様より御拝領致しまして伊勢を治めさせていただいております。」

「噂には聞いておる。伊勢を数ヵ月でまとめあげ大きないざこざもなかったとな。その治世の手腕が我にも欲しかったわ。」

「恐れ入ります。」

刹那は信長の問いに淡々と答え機嫌を損ねないようにと配慮していた。

「殿、失礼いたします。浅井長政殿、御到着にございます。」

「うむ、ここへ通せ。」

信長と会話してる間に信長の義弟である北近江領主浅井長政が岐阜城に着いた。

「義兄上、浅井長政今到着致しました。」

「長政殿、よく来てくれた。紹介しよう。こちらが徳川家康殿だ。家康殿、こちらが我が義弟の浅井長政だ。」

信長が両者を紹介すると二人は軽く挨拶を済ませた。

「して、家康殿の後ろに控えている者はどなたですかな?」

「後ろに控えるは我が家臣の神威刹那でございます。」

長政は刹那の名前を聞くなり驚いた。

「この者が徳川に神威ありと言われておる神威殿でありましたか。私はてっきりもっと年を召した者だとばかり思っておりましたが。これほどの若者とは。家康殿とほとんど変わらないではありませんか。」

「(俺ってそんなに知名度あったのか。)」

心の中でそんなことを思った刹那であった。

それから話は進み、夕食も共にすることになった。
家臣である刹那は下がろうとしたが、信長と長政から止められてしまったため領主三人と家臣一人というなんとも異様な状態での夕食となった。

翌日、軍を編成した信長は先陣に柴田勝家、明智光秀を配置し、まず南近江の六角氏を攻めることにした。
徳川、浅井軍は後詰めへと配置されたためのんびりと進軍していた。

「とりあえずは後詰めとなりよかった。刹那が工作したのか?」

忠次がホッとした表情をしながら刹那に話をふってきた。

「はい。この上洛はあくまで織田の戦です。我らが率先して戦う必要はありません。我らは後ろでも軍を共にしているということが大事だと思いまして。」

「確かにな。殿のためなら死ぬのは本望だが、信長などのためになど死ねぬわ。」

「忠世殿、そんな大きな声で申してはほかの者に聞かれてしまいますぞ。」

「これはすまんかった。だが、刹那よくやったな。」

「お褒めに預かり光栄にございます。」

「刹那、お主に任せている兵のほうはどうなっておる。」

家康は上洛軍とは別に伊勢の兵を使い刹那に筒井家を攻めさせていた。

「はい。総大将に井伊直盛殿を配置し、補佐には島左近、榊原康政、藤堂虎高という布陣にしてありますので心配はないと思います。何かあれば忍びが連絡を寄越すようになっていますのでその都度ご報告致します。」

「そうか、刹那がそう言うなら問題はないのだろうな。上洛をしたところで我らに利は薄い。ならば少しでも領地を増やしておくことが上策と忠次が言ってきたは正解であったな。」

「上洛軍を三河、遠江、駿河の兵で賄えば刹那殿が鍛えた伊勢の兵をほかのことに使えると思い申し上げましたが、ここまで順調に進めたのは刹那殿やその家臣達の手腕の成せる技にございましょう。」

「いえ、ただ私は殿を天下人にするために動いているだけにございます。その思いは忠次様、忠世様、そして多くの徳川家家臣達と変わりません。」
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