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第五章~近畿大波乱~
織田包囲網始動13
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数にものを言わせていた三好勢であったが、次々に味方が打ち取られていく光景に戦意を失い始め戦線を維持できなくなってきた。
それを確認した長宗我部軍の武将が撤退の合図を出した。
「敵が引き始めたぞ。出来る限りの打ち倒せ!!」
神威勢が撤退をみすみす許すわけもなく三好勢が撤退を完了させる頃には残りの兵が3000ほどまでに減っていた。
「まっ、まさか。5000の兵で2万の敵を撃退し、17000ものの兵を倒すとは。」
「いやー、さすがに倒しすぎたねー。やっぱり一門衆は500で十分だったわ。」
その光景を笑いながら話している刹那を見て兼続は尊敬を通り越して恐怖すら覚えていた。
「(上杉は徳川、いや、神威家に刃向かってはダメだ。簡単に滅ぼされる。)」
「孫市、采配見事であった。」
「いえ、結局は直盛殿のご助力に頼る形になってしまいました。」
「なんの、あのように敵を追い込めたのも孫市殿の采配あってこそよ。」
「そうゆうことだ。よくやってくれた。直盛殿もありがとうございました。」
「まだまだわしも若い者には負けんからの。」
「兼続、改めて神威家の戦はどうだった?」
「はい。味方であって本当に良かったと思いました。これが敵であれば私は勝つ手段が思い付きませぬ。」
「兼続よ、殿は自分の策が全てだとは普段から考えておらん。殿はいつも自分の出した策を破る手段がないかを計算しながら指揮しているのだ。」
直盛の発言の意味がわからなかった兼続は首をひねった。
「自分の出した策、これを敵の立場になって考える。そうすることで今の策の弱点を見つけ出す。弱点が分かればそれを補うように動けば良いからな。」
「あぁ。そうゆうことでございますか。」
「みんな主である俺に命を預けてくれている、なら主のすることはいかにしてその家臣達の命を守りながら勝ちを手にするかだと俺は思うんだ。だから俺は家臣を無駄死にさせるようなことはけしてしない。みんなが望んでも絶対に無駄に命を散らすようなことは許さない。これが俺が戦に出る時に考えていることだよ。」
刹那の話を聞いて先程までの恐怖心がどこにいったのかと思うほど兼続の目は一直線に刹那に向けられていた。
「兼続。あなたもそうゆう人になりなさい。そうすれば大切な人を守ることができます。」
「はい、師匠!!」
「ふっはっはー、また殿を師匠と呼ぶ者が現れたわい。」
「殿、三好のことについてですが、この後どのようにするおつもりですか?」
「今、浜松の殿に意見を求めている最中だ。その返書次第になると思う。」
「そうですか、では今は警戒を強めておくだけでよろしいでしょうか?」
「あぁ。海岸線沿いを特に気にしておいてくれ。やられた長宗我部の動きが気になるからね。ほかの者には休息を与えて今日の戦の労をねぎらうことにしよう。伊勢から酒や食料を直盛殿が持ってきてくれた。」
「殿が自ら戦場にいるのだから負けるわけがないと思ってな、持ってきておいたのだ。」
「ありがとうございます。雑賀衆も喜びます。」
その日の夜の雑賀城は盛大に宴が催され、昼間に戦を行っていた場所とは思えない盛り上がりであった。
二日後、家康からの返書が届いた。
「殿、大殿はなんと。」
「あぁ、三好がこちらに攻め寄せてきたのを返り討ちにしたのを伝えたら、大義名分ができた故に三好を攻め滅ぼせとのことだ。」
「では!!」
「あぁ、伊勢より援軍を呼び阿波にいる三好の残党を壊滅させる。」
「刹那様、長宗我部はどうなさるのですか?」
「兼続、良い質問だ。長宗我部の軍がもしも我らが阿波に攻めた時に三好の援護に回ればそれを理由に土佐も奪う。もし出てこなければ、なにもしない。」
「つまりは長宗我部が生き残るには三好を見捨てることという事か。」
直盛のその一言を聞いて一同は頷いた。
長宗我部がこれ以上神威家にちょっかいを出してくるのであれば威信にかけて攻める必要があるが、もしもこれ以上関わってこないのであれば見逃してやると刹那が暗に言っているのがわかったからである。
「半蔵。」
刹那がそう言うと部屋の外から
「ここに。」
と声がした。
「今の土佐はどのような情勢にあるかを調べてほしい。また、一条家が残っていればその重臣土居宗珊の所在を調べてくれ。もしも幽閉などをされているようであれば救い出せ。」
刹那がそう言うと部屋の外にいた半蔵の気配が消えた。
「殿、その土居宗珊殿とはどのようなお方なのですか?」
孫市が初めて聞く名前に興味を持ったように聞いてきた。
「土佐一条家の重臣だよ。とても優秀な人物で暗君と言われる当主、一条兼定を懸命に補佐し、衰退する一条家を支えている人物だ。しかし、兼定は諫言ばかりする宗珊を嫌っていると言う噂もあったのでね。処刑される可能性があるんじゃないかと思っているんだ。俺も四国の情勢は詳しくないからもしかしたら手遅れかもしれないが、もし生きているなら当家に迎え入れたいと思っているほどの人物だよ。」
それを確認した長宗我部軍の武将が撤退の合図を出した。
「敵が引き始めたぞ。出来る限りの打ち倒せ!!」
神威勢が撤退をみすみす許すわけもなく三好勢が撤退を完了させる頃には残りの兵が3000ほどまでに減っていた。
「まっ、まさか。5000の兵で2万の敵を撃退し、17000ものの兵を倒すとは。」
「いやー、さすがに倒しすぎたねー。やっぱり一門衆は500で十分だったわ。」
その光景を笑いながら話している刹那を見て兼続は尊敬を通り越して恐怖すら覚えていた。
「(上杉は徳川、いや、神威家に刃向かってはダメだ。簡単に滅ぼされる。)」
「孫市、采配見事であった。」
「いえ、結局は直盛殿のご助力に頼る形になってしまいました。」
「なんの、あのように敵を追い込めたのも孫市殿の采配あってこそよ。」
「そうゆうことだ。よくやってくれた。直盛殿もありがとうございました。」
「まだまだわしも若い者には負けんからの。」
「兼続、改めて神威家の戦はどうだった?」
「はい。味方であって本当に良かったと思いました。これが敵であれば私は勝つ手段が思い付きませぬ。」
「兼続よ、殿は自分の策が全てだとは普段から考えておらん。殿はいつも自分の出した策を破る手段がないかを計算しながら指揮しているのだ。」
直盛の発言の意味がわからなかった兼続は首をひねった。
「自分の出した策、これを敵の立場になって考える。そうすることで今の策の弱点を見つけ出す。弱点が分かればそれを補うように動けば良いからな。」
「あぁ。そうゆうことでございますか。」
「みんな主である俺に命を預けてくれている、なら主のすることはいかにしてその家臣達の命を守りながら勝ちを手にするかだと俺は思うんだ。だから俺は家臣を無駄死にさせるようなことはけしてしない。みんなが望んでも絶対に無駄に命を散らすようなことは許さない。これが俺が戦に出る時に考えていることだよ。」
刹那の話を聞いて先程までの恐怖心がどこにいったのかと思うほど兼続の目は一直線に刹那に向けられていた。
「兼続。あなたもそうゆう人になりなさい。そうすれば大切な人を守ることができます。」
「はい、師匠!!」
「ふっはっはー、また殿を師匠と呼ぶ者が現れたわい。」
「殿、三好のことについてですが、この後どのようにするおつもりですか?」
「今、浜松の殿に意見を求めている最中だ。その返書次第になると思う。」
「そうですか、では今は警戒を強めておくだけでよろしいでしょうか?」
「あぁ。海岸線沿いを特に気にしておいてくれ。やられた長宗我部の動きが気になるからね。ほかの者には休息を与えて今日の戦の労をねぎらうことにしよう。伊勢から酒や食料を直盛殿が持ってきてくれた。」
「殿が自ら戦場にいるのだから負けるわけがないと思ってな、持ってきておいたのだ。」
「ありがとうございます。雑賀衆も喜びます。」
その日の夜の雑賀城は盛大に宴が催され、昼間に戦を行っていた場所とは思えない盛り上がりであった。
二日後、家康からの返書が届いた。
「殿、大殿はなんと。」
「あぁ、三好がこちらに攻め寄せてきたのを返り討ちにしたのを伝えたら、大義名分ができた故に三好を攻め滅ぼせとのことだ。」
「では!!」
「あぁ、伊勢より援軍を呼び阿波にいる三好の残党を壊滅させる。」
「刹那様、長宗我部はどうなさるのですか?」
「兼続、良い質問だ。長宗我部の軍がもしも我らが阿波に攻めた時に三好の援護に回ればそれを理由に土佐も奪う。もし出てこなければ、なにもしない。」
「つまりは長宗我部が生き残るには三好を見捨てることという事か。」
直盛のその一言を聞いて一同は頷いた。
長宗我部がこれ以上神威家にちょっかいを出してくるのであれば威信にかけて攻める必要があるが、もしもこれ以上関わってこないのであれば見逃してやると刹那が暗に言っているのがわかったからである。
「半蔵。」
刹那がそう言うと部屋の外から
「ここに。」
と声がした。
「今の土佐はどのような情勢にあるかを調べてほしい。また、一条家が残っていればその重臣土居宗珊の所在を調べてくれ。もしも幽閉などをされているようであれば救い出せ。」
刹那がそう言うと部屋の外にいた半蔵の気配が消えた。
「殿、その土居宗珊殿とはどのようなお方なのですか?」
孫市が初めて聞く名前に興味を持ったように聞いてきた。
「土佐一条家の重臣だよ。とても優秀な人物で暗君と言われる当主、一条兼定を懸命に補佐し、衰退する一条家を支えている人物だ。しかし、兼定は諫言ばかりする宗珊を嫌っていると言う噂もあったのでね。処刑される可能性があるんじゃないかと思っているんだ。俺も四国の情勢は詳しくないからもしかしたら手遅れかもしれないが、もし生きているなら当家に迎え入れたいと思っているほどの人物だよ。」
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