77 / 157
第五章~近畿大波乱~
崩壊、そしてゼロからのスタート10
しおりを挟む
浅井領での統治を難なく済ませた知らせは周りの大名家にも伝わり、神威刹那の名が更に知られることになり、他家の領民の中には刹那の統治を望む者まで現れ始める始末であった。
そんな中、刹那は信長に呼び出しを受け、安土城へと赴いた。
「徳川家家臣、神威刹那。織田様のお呼びとあり参上いたしました。」
「うむ。刹那、よく来た。まずはこちらへ参れ。」
「はっ。」
同盟国の君主である信長に最大限の敬意を示しながらもけして引かない姿で徳川家が対等な同盟国であることを刹那は行動の一つ一つで両側に座る織田家家臣達に示した。
「ふっ、刹那。その圧もほどほどにしてやれ、家臣どもがお主に恐怖や敵意を向けてしまうわ。」
信長にそう言われた刹那は徳川家の筆頭家老としての顔を一度抑えた。
するとその場に漂っていた緊張感はすっとなくなった。
「いやいや、少し戯れが過ぎましたか。」
「まったくだ。今や日の本に名を轟かす刹那の圧にわしの家臣もたじたじだ。だらしがない。」
「いえいえ、信長様の圧に比べれば私などひよっこも同然にございましょう。」
織田家の家臣の中で新参者である者たちは刹那が信長と対等に近い状態で会話をしていることが信じられないと言った状態であった。
二人の会話に違和感なくいるのは柴田勝家をはじめとした織田家の重臣たちだけであった。
「して、今回のお呼び出しはどのような件でございましょうか。徳川家に何か依頼というものでしょうか。」
「うむ。今回の浅井攻めで北近江が徳川家の領地となったな。」
「はい。織田軍の援軍で始まった戦ではありますが、実質的に小谷城を落としたのは徳川の力でございますれば。しかし、そのために織田家には多大な金子と米や徳川の名産物をお送りしましたが。」
刹那は信長が北近江をよこせと言ってくるのではないかと思い先手を打って金子や食料などを大量に送りつけていた。
「うむ。そのために織田家の援軍で来たのだから北近江を明け渡せと言えなくなったわっ。」
信長は笑いながらそう言った。
「北近江をよこせというものでなければ今回のお呼び出しは別の件ということにございますか?」
「うむ。北近江が他家の領地であるということは織田の本拠地である安土が他家と隣接することに変わりはない。」
「本来であればその地はどうしても織田家の領地にせねばならん。しかし、それは刹那がいる徳川と敵対せねばならん。そのような馬鹿げたことをして織田の力を弱めるわけには今はゆかん。そこでだ。」
信長はそこで言葉を区切ると刹那の元に近づいて、
「織田と徳川の絆を強めることにした。」
「はぁ。」
「刹那、お主の元にわしの子である信孝を預けたい。」
とんでもないお願いを投げかけてきたのである。
織田信孝、別名、神戸信孝。
織田信長の三男であり、史実では織田家が伊勢を支配する時に伊勢の豪族神戸氏の養子となった男である。
伊勢は刹那が支配しているため、この信孝は織田家の三男として普段は岐阜城に住んでいる。
「なにを申されます。他家にご自身の御子息を御預けになるなど!!」
「別に驚くことではあるまい。お主は既に真田幸隆の息子を預かった経緯があるではないか。」
「確かに、幸隆が武田の重臣であった時に子の昌幸を家臣とする形で預かりましたが、幸隆は武田の重臣です。今回とはわけが違います。信長様は我が徳川の同盟相手の主、信孝殿はその御子息なのですよ。」
「そうかもしれんが信孝は嫡男にあらず、他家に出すのも問題はなかろう。」
「しかし・・・。」
「まぁ、決断はそうすぐに出さんでも良い。今宵はこの安土に留まれ。」
そう言うと信長はその場を後にしてしまった。
信長がいなくなるとその周りに居た家臣たちもその場を一人一人と離れた。
その中で織田家の筆頭家老を務める柴田勝家が刹那の元に寄ってきて、
「刹那、済まないな。我らも止めたのだが、信孝様を出すと言って聞かないのだ。」
「そう言われましても同盟国に主の御子息をそう簡単に出すなど。」
「それだけ信長様も徳川のことを敵対して得がない、敵にしてはならないと考えてるということであろう。」
と小声で話してきた。
「今宵はゆるりと休まれよ。明日もまた信長様と会うことになるだろうしな。」
そう言って勝家もその場を後にした。
その日の夜、刹那が用意された屋敷で夕餉を取っていると信長がお忍びで訪れてきた。
「これは信長様、このような時間にお一人でどうなされましたか。」
そんな中、刹那は信長に呼び出しを受け、安土城へと赴いた。
「徳川家家臣、神威刹那。織田様のお呼びとあり参上いたしました。」
「うむ。刹那、よく来た。まずはこちらへ参れ。」
「はっ。」
同盟国の君主である信長に最大限の敬意を示しながらもけして引かない姿で徳川家が対等な同盟国であることを刹那は行動の一つ一つで両側に座る織田家家臣達に示した。
「ふっ、刹那。その圧もほどほどにしてやれ、家臣どもがお主に恐怖や敵意を向けてしまうわ。」
信長にそう言われた刹那は徳川家の筆頭家老としての顔を一度抑えた。
するとその場に漂っていた緊張感はすっとなくなった。
「いやいや、少し戯れが過ぎましたか。」
「まったくだ。今や日の本に名を轟かす刹那の圧にわしの家臣もたじたじだ。だらしがない。」
「いえいえ、信長様の圧に比べれば私などひよっこも同然にございましょう。」
織田家の家臣の中で新参者である者たちは刹那が信長と対等に近い状態で会話をしていることが信じられないと言った状態であった。
二人の会話に違和感なくいるのは柴田勝家をはじめとした織田家の重臣たちだけであった。
「して、今回のお呼び出しはどのような件でございましょうか。徳川家に何か依頼というものでしょうか。」
「うむ。今回の浅井攻めで北近江が徳川家の領地となったな。」
「はい。織田軍の援軍で始まった戦ではありますが、実質的に小谷城を落としたのは徳川の力でございますれば。しかし、そのために織田家には多大な金子と米や徳川の名産物をお送りしましたが。」
刹那は信長が北近江をよこせと言ってくるのではないかと思い先手を打って金子や食料などを大量に送りつけていた。
「うむ。そのために織田家の援軍で来たのだから北近江を明け渡せと言えなくなったわっ。」
信長は笑いながらそう言った。
「北近江をよこせというものでなければ今回のお呼び出しは別の件ということにございますか?」
「うむ。北近江が他家の領地であるということは織田の本拠地である安土が他家と隣接することに変わりはない。」
「本来であればその地はどうしても織田家の領地にせねばならん。しかし、それは刹那がいる徳川と敵対せねばならん。そのような馬鹿げたことをして織田の力を弱めるわけには今はゆかん。そこでだ。」
信長はそこで言葉を区切ると刹那の元に近づいて、
「織田と徳川の絆を強めることにした。」
「はぁ。」
「刹那、お主の元にわしの子である信孝を預けたい。」
とんでもないお願いを投げかけてきたのである。
織田信孝、別名、神戸信孝。
織田信長の三男であり、史実では織田家が伊勢を支配する時に伊勢の豪族神戸氏の養子となった男である。
伊勢は刹那が支配しているため、この信孝は織田家の三男として普段は岐阜城に住んでいる。
「なにを申されます。他家にご自身の御子息を御預けになるなど!!」
「別に驚くことではあるまい。お主は既に真田幸隆の息子を預かった経緯があるではないか。」
「確かに、幸隆が武田の重臣であった時に子の昌幸を家臣とする形で預かりましたが、幸隆は武田の重臣です。今回とはわけが違います。信長様は我が徳川の同盟相手の主、信孝殿はその御子息なのですよ。」
「そうかもしれんが信孝は嫡男にあらず、他家に出すのも問題はなかろう。」
「しかし・・・。」
「まぁ、決断はそうすぐに出さんでも良い。今宵はこの安土に留まれ。」
そう言うと信長はその場を後にしてしまった。
信長がいなくなるとその周りに居た家臣たちもその場を一人一人と離れた。
その中で織田家の筆頭家老を務める柴田勝家が刹那の元に寄ってきて、
「刹那、済まないな。我らも止めたのだが、信孝様を出すと言って聞かないのだ。」
「そう言われましても同盟国に主の御子息をそう簡単に出すなど。」
「それだけ信長様も徳川のことを敵対して得がない、敵にしてはならないと考えてるということであろう。」
と小声で話してきた。
「今宵はゆるりと休まれよ。明日もまた信長様と会うことになるだろうしな。」
そう言って勝家もその場を後にした。
その日の夜、刹那が用意された屋敷で夕餉を取っていると信長がお忍びで訪れてきた。
「これは信長様、このような時間にお一人でどうなされましたか。」
0
あなたにおすすめの小説
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
還暦の性 若い彼との恋愛模様
MisakiNonagase
恋愛
還暦を迎えた和子。保持する資格の更新講習で二十代後半の青年、健太に出会った。何気なくてLINE交換してメッセージをやりとりするうちに、胸が高鳴りはじめ、長年忘れていた恋心に花が咲く。
そんな還暦女性と二十代の青年の恋模様。
その後、結婚、そして永遠の別れまでを描いたストーリーです。
全7話
最難関ダンジョンをクリアした成功報酬は勇者パーティーの裏切りでした
新緑あらた
ファンタジー
最難関であるS級ダンジョン最深部の隠し部屋。金銀財宝を前に告げられた言葉は労いでも喜びでもなく、解雇通告だった。
「もうオマエはいらん」
勇者アレクサンダー、癒し手エリーゼ、赤魔道士フェルノに、自身の黒髪黒目を忌避しないことから期待していた俺は大きなショックを受ける。
ヤツらは俺の外見を受け入れていたわけじゃない。ただ仲間と思っていなかっただけ、眼中になかっただけなのだ。
転生者は曾祖父だけどチートは隔世遺伝した「俺」にも受け継がれています。
勇者達は大富豪スタートで貧民窟の住人がゴールです(笑)
クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?
青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。
最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。
普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた?
しかも弱いからと森に捨てられた。
いやちょっとまてよ?
皆さん勘違いしてません?
これはあいの不思議な日常を書いた物語である。
本編完結しました!
相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです!
1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…
【完結】離縁ですか…では、私が出掛けている間に出ていって下さいね♪
山葵
恋愛
突然、カイルから離縁して欲しいと言われ、戸惑いながらも理由を聞いた。
「俺は真実の愛に目覚めたのだ。マリアこそ俺の運命の相手!」
そうですか…。
私は離婚届にサインをする。
私は、直ぐに役所に届ける様に使用人に渡した。
使用人が出掛けるのを確認してから
「私とアスベスが旅行に行っている間に荷物を纏めて出ていって下さいね♪」
天才天然天使様こと『三天美女』の汐崎真凜に勝手に婚姻届を出され、いつの間にか天使の旦那になったのだが...。【動画投稿】
田中又雄
恋愛
18の誕生日を迎えたその翌日のこと。
俺は分籍届を出すべく役所に来ていた...のだが。
「えっと...結論から申し上げますと...こちらの手続きは不要ですね」「...え?どういうことですか?」「昨日、婚姻届を出されているので親御様とは別の戸籍が作られていますので...」「...はい?」
そうやら俺は知らないうちに結婚していたようだった。
「あの...相手の人の名前は?」
「...汐崎真凛様...という方ですね」
その名前には心当たりがあった。
天才的な頭脳、マイペースで天然な性格、天使のような見た目から『三天美女』なんて呼ばれているうちの高校のアイドル的存在。
こうして俺は天使との-1日婚がスタートしたのだった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる