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第五章~近畿大波乱~
崩壊、そしてゼロからのスタート10
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浅井領での統治を難なく済ませた知らせは周りの大名家にも伝わり、神威刹那の名が更に知られることになり、他家の領民の中には刹那の統治を望む者まで現れ始める始末であった。
そんな中、刹那は信長に呼び出しを受け、安土城へと赴いた。
「徳川家家臣、神威刹那。織田様のお呼びとあり参上いたしました。」
「うむ。刹那、よく来た。まずはこちらへ参れ。」
「はっ。」
同盟国の君主である信長に最大限の敬意を示しながらもけして引かない姿で徳川家が対等な同盟国であることを刹那は行動の一つ一つで両側に座る織田家家臣達に示した。
「ふっ、刹那。その圧もほどほどにしてやれ、家臣どもがお主に恐怖や敵意を向けてしまうわ。」
信長にそう言われた刹那は徳川家の筆頭家老としての顔を一度抑えた。
するとその場に漂っていた緊張感はすっとなくなった。
「いやいや、少し戯れが過ぎましたか。」
「まったくだ。今や日の本に名を轟かす刹那の圧にわしの家臣もたじたじだ。だらしがない。」
「いえいえ、信長様の圧に比べれば私などひよっこも同然にございましょう。」
織田家の家臣の中で新参者である者たちは刹那が信長と対等に近い状態で会話をしていることが信じられないと言った状態であった。
二人の会話に違和感なくいるのは柴田勝家をはじめとした織田家の重臣たちだけであった。
「して、今回のお呼び出しはどのような件でございましょうか。徳川家に何か依頼というものでしょうか。」
「うむ。今回の浅井攻めで北近江が徳川家の領地となったな。」
「はい。織田軍の援軍で始まった戦ではありますが、実質的に小谷城を落としたのは徳川の力でございますれば。しかし、そのために織田家には多大な金子と米や徳川の名産物をお送りしましたが。」
刹那は信長が北近江をよこせと言ってくるのではないかと思い先手を打って金子や食料などを大量に送りつけていた。
「うむ。そのために織田家の援軍で来たのだから北近江を明け渡せと言えなくなったわっ。」
信長は笑いながらそう言った。
「北近江をよこせというものでなければ今回のお呼び出しは別の件ということにございますか?」
「うむ。北近江が他家の領地であるということは織田の本拠地である安土が他家と隣接することに変わりはない。」
「本来であればその地はどうしても織田家の領地にせねばならん。しかし、それは刹那がいる徳川と敵対せねばならん。そのような馬鹿げたことをして織田の力を弱めるわけには今はゆかん。そこでだ。」
信長はそこで言葉を区切ると刹那の元に近づいて、
「織田と徳川の絆を強めることにした。」
「はぁ。」
「刹那、お主の元にわしの子である信孝を預けたい。」
とんでもないお願いを投げかけてきたのである。
織田信孝、別名、神戸信孝。
織田信長の三男であり、史実では織田家が伊勢を支配する時に伊勢の豪族神戸氏の養子となった男である。
伊勢は刹那が支配しているため、この信孝は織田家の三男として普段は岐阜城に住んでいる。
「なにを申されます。他家にご自身の御子息を御預けになるなど!!」
「別に驚くことではあるまい。お主は既に真田幸隆の息子を預かった経緯があるではないか。」
「確かに、幸隆が武田の重臣であった時に子の昌幸を家臣とする形で預かりましたが、幸隆は武田の重臣です。今回とはわけが違います。信長様は我が徳川の同盟相手の主、信孝殿はその御子息なのですよ。」
「そうかもしれんが信孝は嫡男にあらず、他家に出すのも問題はなかろう。」
「しかし・・・。」
「まぁ、決断はそうすぐに出さんでも良い。今宵はこの安土に留まれ。」
そう言うと信長はその場を後にしてしまった。
信長がいなくなるとその周りに居た家臣たちもその場を一人一人と離れた。
その中で織田家の筆頭家老を務める柴田勝家が刹那の元に寄ってきて、
「刹那、済まないな。我らも止めたのだが、信孝様を出すと言って聞かないのだ。」
「そう言われましても同盟国に主の御子息をそう簡単に出すなど。」
「それだけ信長様も徳川のことを敵対して得がない、敵にしてはならないと考えてるということであろう。」
と小声で話してきた。
「今宵はゆるりと休まれよ。明日もまた信長様と会うことになるだろうしな。」
そう言って勝家もその場を後にした。
その日の夜、刹那が用意された屋敷で夕餉を取っていると信長がお忍びで訪れてきた。
「これは信長様、このような時間にお一人でどうなされましたか。」
そんな中、刹那は信長に呼び出しを受け、安土城へと赴いた。
「徳川家家臣、神威刹那。織田様のお呼びとあり参上いたしました。」
「うむ。刹那、よく来た。まずはこちらへ参れ。」
「はっ。」
同盟国の君主である信長に最大限の敬意を示しながらもけして引かない姿で徳川家が対等な同盟国であることを刹那は行動の一つ一つで両側に座る織田家家臣達に示した。
「ふっ、刹那。その圧もほどほどにしてやれ、家臣どもがお主に恐怖や敵意を向けてしまうわ。」
信長にそう言われた刹那は徳川家の筆頭家老としての顔を一度抑えた。
するとその場に漂っていた緊張感はすっとなくなった。
「いやいや、少し戯れが過ぎましたか。」
「まったくだ。今や日の本に名を轟かす刹那の圧にわしの家臣もたじたじだ。だらしがない。」
「いえいえ、信長様の圧に比べれば私などひよっこも同然にございましょう。」
織田家の家臣の中で新参者である者たちは刹那が信長と対等に近い状態で会話をしていることが信じられないと言った状態であった。
二人の会話に違和感なくいるのは柴田勝家をはじめとした織田家の重臣たちだけであった。
「して、今回のお呼び出しはどのような件でございましょうか。徳川家に何か依頼というものでしょうか。」
「うむ。今回の浅井攻めで北近江が徳川家の領地となったな。」
「はい。織田軍の援軍で始まった戦ではありますが、実質的に小谷城を落としたのは徳川の力でございますれば。しかし、そのために織田家には多大な金子と米や徳川の名産物をお送りしましたが。」
刹那は信長が北近江をよこせと言ってくるのではないかと思い先手を打って金子や食料などを大量に送りつけていた。
「うむ。そのために織田家の援軍で来たのだから北近江を明け渡せと言えなくなったわっ。」
信長は笑いながらそう言った。
「北近江をよこせというものでなければ今回のお呼び出しは別の件ということにございますか?」
「うむ。北近江が他家の領地であるということは織田の本拠地である安土が他家と隣接することに変わりはない。」
「本来であればその地はどうしても織田家の領地にせねばならん。しかし、それは刹那がいる徳川と敵対せねばならん。そのような馬鹿げたことをして織田の力を弱めるわけには今はゆかん。そこでだ。」
信長はそこで言葉を区切ると刹那の元に近づいて、
「織田と徳川の絆を強めることにした。」
「はぁ。」
「刹那、お主の元にわしの子である信孝を預けたい。」
とんでもないお願いを投げかけてきたのである。
織田信孝、別名、神戸信孝。
織田信長の三男であり、史実では織田家が伊勢を支配する時に伊勢の豪族神戸氏の養子となった男である。
伊勢は刹那が支配しているため、この信孝は織田家の三男として普段は岐阜城に住んでいる。
「なにを申されます。他家にご自身の御子息を御預けになるなど!!」
「別に驚くことではあるまい。お主は既に真田幸隆の息子を預かった経緯があるではないか。」
「確かに、幸隆が武田の重臣であった時に子の昌幸を家臣とする形で預かりましたが、幸隆は武田の重臣です。今回とはわけが違います。信長様は我が徳川の同盟相手の主、信孝殿はその御子息なのですよ。」
「そうかもしれんが信孝は嫡男にあらず、他家に出すのも問題はなかろう。」
「しかし・・・。」
「まぁ、決断はそうすぐに出さんでも良い。今宵はこの安土に留まれ。」
そう言うと信長はその場を後にしてしまった。
信長がいなくなるとその周りに居た家臣たちもその場を一人一人と離れた。
その中で織田家の筆頭家老を務める柴田勝家が刹那の元に寄ってきて、
「刹那、済まないな。我らも止めたのだが、信孝様を出すと言って聞かないのだ。」
「そう言われましても同盟国に主の御子息をそう簡単に出すなど。」
「それだけ信長様も徳川のことを敵対して得がない、敵にしてはならないと考えてるということであろう。」
と小声で話してきた。
「今宵はゆるりと休まれよ。明日もまた信長様と会うことになるだろうしな。」
そう言って勝家もその場を後にした。
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