105 / 157
第八章~男、信孝~
師弟の絆3
しおりを挟む
「父上政略結婚を望んでいないからだろうな。」
「直虎様。」
「私たちの時もそうだっただろ?私たち二人の気持ちを確かめ、互いに好いていることを確認してから婚儀が行われた。父上は義姉上にもそれをしているのだろうよ。」
「でも、姉上は織田家のご当主様を好いておりますよ?」
「では信孝様はどうなのであろうな。義姉上、信孝様より何かそのようなことは言われてないのですか?」
「えっ、えぇ。その、言葉で好いているなどと言うことは聞いておりません。」
「ふむ。」
「でっ、でも、姉上にこうして文を送ってきているではないですか!!」
「そうだね。義姉上。」
「はい。」
「信孝様に好きだと文でもなんでも伝えておりますか?」
直虎がそう聞くと菊は顔を赤くして、
「いっ、いえっ・・・・・。」
そう下を向きながら答えた。
それを見た直虎と松は顔を合わせてやれやれといった感じで菊を見た。
「姉上、そのようなことではいつまでたってもご当主様の妻にはなれませんよ。義父上は互いに好き合っていないとけして婚姻はなされません。」
「そっ、そうなのですね。」
菊は寂しそうな顔で下を向いた。
「では。では、松と直虎殿は好きと言い合ったのですか?」
菊のその問に直虎は、
「はい。父上に松を嫁にしたいと伝えました。もちろん、その前に松にも嫁に来て欲しいと伝えておりましたから。」
「はい。義父上にお話なさる前夜に直虎様よりそのように言っていただいております。」
それを聞いた菊は「そうなのですね。」と一言話した後少し黙った。
「とりあえず私のほうから父上に義姉上のことを伝えておきましょうか?」
「はい。直虎殿、お手数ですがどうぞよろしくお願いいたします。」
「承知致しました。では、松、私たちはそろそろ失礼しようか。」
直虎はそう言うと松を連れて部屋を後にした。
「良かったですね、菊様。」
「おみつ。」
直虎が菊と話してから2週間ほどが経過したある日、おみつが慌てた様子で菊の前に現れた。
「お菊様、大変でございます。」
「どっ、どうしたのですかおみつ。」
「そっ、それが。それが。」
「落ち着きなさい。そうでないと言いたいことが伝わりませんよ。」
「しっ、失礼致しました。きっ、清洲より殿と信孝様がいらっしゃいました。」
「せっ、刹那様と信孝様がっ!!」
「菊、失礼するよ。」
菊が驚いているとおみつの後ろに刹那の姿を見た。
「せっ、刹那様。お帰りなさいませ。」
「うん、ただいま。急にごめんね。今大丈夫だったかな?」
「はっ、はい。大丈夫でございます。」
「そうか。んじゃ、話に入らせてもらうね。率直に聞くよ。信孝のことをどう思っている?」
「すっ。」
菊はそう言うと下を向いてしまう。
「す?」
しかし、顔を上げ、刹那の顔を見ながら、
「信孝様を好いております。」
そう顔を赤らめながら伝えた。
「そうか。菊が私の顔や海玄の顔を気にしているのではないかと少し心配したがそれは必要なかったようだね。」
「ほっほっほ、だから言ったではないですか、殿。」
海玄が部屋の外から顔を出して笑っていた。
「父上。」
「菊のそのような女子の顔は初めて見たのぉ。相当信孝殿に惚れていると見える。」
「あっ・・・・・。」
「よかった。菊、信孝が別の部屋にいます。心の準備は出来ていますか?」
菊は1拍間を開けてから、
「はいっ。」
そう笑顔で返事を返した。
それから菊は刹那と海玄と共に信孝の待つ部屋へと移動するとそこには信孝だけでなく、直虎と松、刹那の正室であるおとわの姿まであった。
「信孝様。」
「菊殿。」
刹那に促され菊は信孝の隣に座った。
「菊殿、お久しぶりですね。」
「はいっ。清洲での見合い以来にございます。」
「本日は、どうしても菊殿に話したいことがあり、師匠に頼んでこちらへ参りました。」
信孝はそう言うと深呼吸をしてから、
「菊殿、清洲で見合いをした時からあなたのことが忘れられません。あなたのあの笑顔が清洲での忙しい日々で思い出されるたびに私は元気をもらった。あなたからの文が来るのを今か今かと心待ちにしてしまうほどに。」
信孝は顔を若干赤らめながらも言葉を続けた。
「菊殿、私の妻になってくださらんかっ。」
信孝はそう言うと頭を下げた。
「のっ、信孝様っ。」
あまりのことに菊は驚いた。
織田家の当主たる人物は徳川家の陪臣の娘である自分に頭を下げたのだから無理もない。
「のっ、信孝様、頭をお上げください。」
「直虎様。」
「私たちの時もそうだっただろ?私たち二人の気持ちを確かめ、互いに好いていることを確認してから婚儀が行われた。父上は義姉上にもそれをしているのだろうよ。」
「でも、姉上は織田家のご当主様を好いておりますよ?」
「では信孝様はどうなのであろうな。義姉上、信孝様より何かそのようなことは言われてないのですか?」
「えっ、えぇ。その、言葉で好いているなどと言うことは聞いておりません。」
「ふむ。」
「でっ、でも、姉上にこうして文を送ってきているではないですか!!」
「そうだね。義姉上。」
「はい。」
「信孝様に好きだと文でもなんでも伝えておりますか?」
直虎がそう聞くと菊は顔を赤くして、
「いっ、いえっ・・・・・。」
そう下を向きながら答えた。
それを見た直虎と松は顔を合わせてやれやれといった感じで菊を見た。
「姉上、そのようなことではいつまでたってもご当主様の妻にはなれませんよ。義父上は互いに好き合っていないとけして婚姻はなされません。」
「そっ、そうなのですね。」
菊は寂しそうな顔で下を向いた。
「では。では、松と直虎殿は好きと言い合ったのですか?」
菊のその問に直虎は、
「はい。父上に松を嫁にしたいと伝えました。もちろん、その前に松にも嫁に来て欲しいと伝えておりましたから。」
「はい。義父上にお話なさる前夜に直虎様よりそのように言っていただいております。」
それを聞いた菊は「そうなのですね。」と一言話した後少し黙った。
「とりあえず私のほうから父上に義姉上のことを伝えておきましょうか?」
「はい。直虎殿、お手数ですがどうぞよろしくお願いいたします。」
「承知致しました。では、松、私たちはそろそろ失礼しようか。」
直虎はそう言うと松を連れて部屋を後にした。
「良かったですね、菊様。」
「おみつ。」
直虎が菊と話してから2週間ほどが経過したある日、おみつが慌てた様子で菊の前に現れた。
「お菊様、大変でございます。」
「どっ、どうしたのですかおみつ。」
「そっ、それが。それが。」
「落ち着きなさい。そうでないと言いたいことが伝わりませんよ。」
「しっ、失礼致しました。きっ、清洲より殿と信孝様がいらっしゃいました。」
「せっ、刹那様と信孝様がっ!!」
「菊、失礼するよ。」
菊が驚いているとおみつの後ろに刹那の姿を見た。
「せっ、刹那様。お帰りなさいませ。」
「うん、ただいま。急にごめんね。今大丈夫だったかな?」
「はっ、はい。大丈夫でございます。」
「そうか。んじゃ、話に入らせてもらうね。率直に聞くよ。信孝のことをどう思っている?」
「すっ。」
菊はそう言うと下を向いてしまう。
「す?」
しかし、顔を上げ、刹那の顔を見ながら、
「信孝様を好いております。」
そう顔を赤らめながら伝えた。
「そうか。菊が私の顔や海玄の顔を気にしているのではないかと少し心配したがそれは必要なかったようだね。」
「ほっほっほ、だから言ったではないですか、殿。」
海玄が部屋の外から顔を出して笑っていた。
「父上。」
「菊のそのような女子の顔は初めて見たのぉ。相当信孝殿に惚れていると見える。」
「あっ・・・・・。」
「よかった。菊、信孝が別の部屋にいます。心の準備は出来ていますか?」
菊は1拍間を開けてから、
「はいっ。」
そう笑顔で返事を返した。
それから菊は刹那と海玄と共に信孝の待つ部屋へと移動するとそこには信孝だけでなく、直虎と松、刹那の正室であるおとわの姿まであった。
「信孝様。」
「菊殿。」
刹那に促され菊は信孝の隣に座った。
「菊殿、お久しぶりですね。」
「はいっ。清洲での見合い以来にございます。」
「本日は、どうしても菊殿に話したいことがあり、師匠に頼んでこちらへ参りました。」
信孝はそう言うと深呼吸をしてから、
「菊殿、清洲で見合いをした時からあなたのことが忘れられません。あなたのあの笑顔が清洲での忙しい日々で思い出されるたびに私は元気をもらった。あなたからの文が来るのを今か今かと心待ちにしてしまうほどに。」
信孝は顔を若干赤らめながらも言葉を続けた。
「菊殿、私の妻になってくださらんかっ。」
信孝はそう言うと頭を下げた。
「のっ、信孝様っ。」
あまりのことに菊は驚いた。
織田家の当主たる人物は徳川家の陪臣の娘である自分に頭を下げたのだから無理もない。
「のっ、信孝様、頭をお上げください。」
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
熟女愛好家ユウスケの青春(熟女漁り)
MisakiNonagase
恋愛
高校まで勉強一筋で大学デビューをしたユウスケは家庭教師の教え子の母親と不倫交際するが、彼にとって彼女とが初の男女交際。そこでユウスケは自分が熟女好きだと自覚する。それからユウスケは戦略と実戦を重ねて、清潔感と聞き上手を武器にたくさんの熟女と付き合うことになるストーリーです。
戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件
さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。
数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、
今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、
わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。
彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。
それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。
今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。
「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」
「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」
「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」
「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」
命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!?
順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場――
ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。
これは――
【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と
【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、
“甘くて逃げ場のない生活”の物語。
――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。
※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。
クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?
青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。
最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。
普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた?
しかも弱いからと森に捨てられた。
いやちょっとまてよ?
皆さん勘違いしてません?
これはあいの不思議な日常を書いた物語である。
本編完結しました!
相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです!
1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…
最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。
MP
ファンタジー
高校2年の夏。
高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。
地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。
しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる