チートな家臣はいかがですか?

織田っち

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第八章~男、信孝~

師弟の絆4

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菊にそう言われた信孝は頭を上げて菊の顔を見た。

「織田家のご当主たるあなた様がみだりに頭を下げてはなりません。私は陪臣の娘なのですから身分的におかしいです。」

「身分などこの場においては関係ない。男が惚れた女子を是が非にでも手に入れたくて行動しているだけなのです。この頭を下げることで誠意が伝わるならたやすいこと。」

「あっ・・・えっ・・・。」

菊がもじもじと恥ずかしそうにしているのを見かねたおとわが、

「菊殿、信孝殿が待っておりますよ。」

そう優しく微笑みながら助け舟を出した。

「あっ、はいっ。」

菊はそう返事をすると信孝のほうを恥ずかしそうにしながらもきちんと見て、

「不束者ではございますが、どうかよしなに宜しくお願いいたします。」

と三つ指を立てて返事をした。

こうして織田信孝と菊の婚約が決定した。

「良かったですね。菊。」

「はいっ。殿の刹那様のおかげにございます。ありがとうごいます。」

「信孝、惚れた女子を嫁にもらうのです。不幸にしてはなりませんよ。菊を泣かせないようにな。」

「はいっ。師匠。」

「まっ、私をあれだけ泣かせてきたあなた様が人にそのように。」

おとわはそう言いながらふふふと微笑んだ。

「おっ、おとわっ。」

おとわの返しに少し慌てる刹那。

「父上、母上を泣かせていたのですか。」

その慌てる刹那に茶々を入れる直虎。

「あら、そうゆう直虎様にも毎晩泣かされておりますよ?」

今度は松がふふっと笑いながらそう言った。

「まっ、松っ!」

それに焦る直虎。

「ふっ、私も直虎も惚れた女子には勝てんな。」

そう言って笑う刹那だった。

「うぅうっん。父上。」

気まずい感じを直虎が咳払いをして和ませた。

「義姉上の婚約が決まっためでたい席で私からも父上にお話ししたい事がございます。」

「なんだ?」

直虎は松と共に少し前に出ると、

「松が子を身籠りました。」

そう報告した。

「ほっ、本当かっ!」

「はいっ。義父上様。薬師にも見てもらいましたので間違いございません。」

「そうか、そうか。良かった!松、良くやってくれた。身体は大事にしろ?何か必要なものがあればすぐに言うのだぞ?」

「はいっ。ありがとうございます。」

「よし、今日は信孝と菊の婚約と松の懐妊を祝って宴をやるぞっ!家臣たちにも振る舞ってやって無礼講で祝うぞっ!」

こうして大宴会が急遽開催されることとなった霧山御所であった。

祝いの宴は3日間にわたって続いた。

初日は身内のみでの小さな祝い。
二日目と三日目は家臣達なども呼んだ大きな祝いで、神威家の領内ではそれに伴い祭りのような賑わいとなった。

三日目の夜、刹那はおとわと二人で自分の部屋にいた。

「あなた様、良かったのですか?普段はこのような大きな祝いをしないように自分で抑制しておりますのに。」

「あぁ、ちょうど領民にも明るさを出してほしい時だったからね。信孝の婚姻と松の妊娠は本当に祝いたいことでもあるし、いいんだよ。」

「領民もやはり今回の織田家の騒動で困惑や不安を覚えていたからですね。」

「あぁ。信長殿の織田家は神威家と領土が繋がっている。その織田家でこのようなことが起きればその余波が神威家にも来るのではないかと思うのは当然さ。」

「ですが、それはあなた様が左近殿など、家臣達に指示を出し問題が出ないように配慮されたのでは?」

「あぁ、家臣達の動揺はそれもあってなかった。でもね、領民にはそのことは伝わっていない。故に領民は不安に駆られてしまう。それに盛大に祝い事をやったのはほかにも理由があるんだよ。」

「ほかの理由でございますか?」

「羽柴秀吉への牽制でございましょう?父上。」

部屋の襖を開けながら直虎と松が入ってきた。

「ほう、そこまで読めるようになったか直虎。」

直虎は腰を下ろしながら、

「左近達にしごかれておりますから。」

と笑いながら答えた。

「祝いの席は良かったのか?」

「えぇ、信孝殿にお任せして逃げてきてしまいました。」

「ふっ、私と同じでああいうのは苦手か。」

「はい。今回のように自分が中心となるようなものは諦めますが、できれば出たくはありませんね。」

「あなた様、私にもわかるように説明をしてくださいませ。」

「松も知りたいです。」

「直虎、説明してあげなさい。」

「はい、父上。」

刹那に言われて直虎が説明を始めた。

「今回の信孝殿の織田家誕生で一番痛手となったのは羽柴秀吉です。本来の予定であれば三法師殿の身柄を確保したことによって、信長公の織田家の領地、そのままをおのが支配下にできる算段だったでしょうから。しかし、信孝殿が新たな織田家を作ったことによって、岐阜、尾張、飛騨、越前、加賀を領土にすることができなくなってしまいました。」
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