チートな家臣はいかがですか?

織田っち

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第八章~男、信孝~

師弟の絆6

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「では、もしそうなった場合はどうする。」

「秀吉殿のことです。今すぐに行動するのは無謀だと理解しているはずです。故に万全の準備を整えて挑むでしょう。そこに隙があります。」

刹那の言っていることを家康は理解できなかった。

「刹那、その話は矛盾していないか?万全の準備をしていることに隙があるとはどうゆうことだ。」

「殿が万全の準備をするとなれば普段の戦支度よりも念入りに準備をいたしますよね?」

「当たり前だ。」

「ですが、念入りに準備をすればそれはそれだけの時間を有する。そこに隙があるのでございます。相手が時間を使うということはそれだけこちらにも時間の猶予が生まれるということです。秀吉の動きが読めているならばそれを利用してこちらはその上を行けば良いのです。」

そこまで刹那の話を聞いたニヤリと笑い、

「刹那。もし羽柴が動く場合こちらはどのような手を取る?」

「そうなった暁には秀吉殿には我ら徳川の天下のための人柱となっていただきます。」

刹那もまた悪い顔をしてそう家康に言った。

「そうか。ではその時をむしろ楽しみにしておくとしよう。」

そこから話は変わり、刹那からの織田家についての近況報告などが行われた。

「そうか、信孝殿の見合いがうまくいったか。」

「はい。ですが、菊はどうやら陪臣の娘が織田家当主の嫁となるということに負い目を感じている節があるのです。」

「今はそうかもしれぬが、菊の父親はあの信玄公。武田家の姫君ではないか。」

「はい。私もそう言ったのですが、「今は陪臣の娘です。」と言って悲しそうな顔を見せるのです。」

「それは信孝殿も感じているのか?」

「いえ、信孝はむしろ「自分が惚れた女子の身分など例え百姓の娘であろうと関係ない。」と申しております。」

「ふむ、では菊が気に病んでいるだけということか。」

「はい。私としてもどうにかそこを解決して清々しい気持ちで嫁に出してやりたいのですが。」

そこから家康は少し考えた後、

「ふむ。では刹那。菊を私の養女にしてはどうだ?」

と刹那に提案した。
それを聞いた刹那は慌てて止めた。

「おっ、お待ちください。それはなりませぬ。家臣の娘を養女として徳川家の娘とするならまだ知れず、家臣の家臣の娘を養女にするなど、それでは徳川家の沽券にも関わりかねます。」

「だが、私の養女となれば菊が気にしている身分の差は徳川の娘とその臣下の織田家当主との婚姻でもなんらおかしくないではないか。」

「それは、そうかもしれませんが。それでは今後、殿がどこぞの大名家に嫁を出すとなった時に陪臣の娘を掴まされたと言われる可能性が少なからず出てしまいます。それは徳川家にとってよろしくありません。有力な家臣の娘を養女としたとなれば他の大名も納得することでしょうが、家臣の家臣の娘ではそうはなりません。ゆえに、菊を殿の養女にするのは賛同できかねます。」

刹那の必死の説得に家康は、

「刹那は陪臣の娘を養女にすることに反対であって、家臣の娘を養女にすることは反対しないのだな?」

「はい、それはどの大名家でもありえることだと思いますので。」

「そうか。では、刹那。菊を刹那の養女とせよ。」

「はっ?・・・・殿、今、なんと?」

「菊を刹那の養女とせよと言った。」

「そっ、それでは神威家と織田家の婚姻となってしまい、神威家の力が家臣として更に大きくなりすぎます。それはほかの家臣衆からしても不服が出る可能性があるので陪臣の娘を養女にする以上によろしくありません。」

刹那がまくし立てるように更に否定すると家康は、

「刹那、まだ話は途中だ。菊を刹那の養女とした後に刹那の娘となった菊を私の養女とする。」

「えっ・・・・。」

「そうすれば私は筆頭家老である刹那の娘を養女として臣下の礼を取る織田家と婚姻関係になり、織田家との関係強化になる。菊としても徳川の娘として信孝殿に嫁ぐために身分の差などを感じることはない。」

家康の意見を呆気に取られながら聞いていた刹那はだったが、

「刹那。これならばお前の言った心配もすべて解決していると思うがどうだ?」

「とっ、殿の申されること。その通りだと思います。」

そう返すしかなかった。

それを見た家康はニヤリと笑い、

「やっと刹那を言い負かすことができた。どうだ?私もお前に負けぬほど成長しておるであろう?」

と言って満面の笑みを浮かべるのであった。

この話合いにより、菊はまず神威家の娘となり、その次に徳川家の娘となり、その段階で織田家の当主の嫁として嫁ぐことが決まったのである。

話を終えた家康はおとわや空に会いのんびりとくつろいでから浜松へと帰っていった。
帰り際に「菊の義父として信孝殿とは婚儀には参加するぞ。」と言い残して。
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