チートな家臣はいかがですか?

織田っち

文字の大きさ
108 / 157
第八章~男、信孝~

師弟の絆6

しおりを挟む
「では、もしそうなった場合はどうする。」

「秀吉殿のことです。今すぐに行動するのは無謀だと理解しているはずです。故に万全の準備を整えて挑むでしょう。そこに隙があります。」

刹那の言っていることを家康は理解できなかった。

「刹那、その話は矛盾していないか?万全の準備をしていることに隙があるとはどうゆうことだ。」

「殿が万全の準備をするとなれば普段の戦支度よりも念入りに準備をいたしますよね?」

「当たり前だ。」

「ですが、念入りに準備をすればそれはそれだけの時間を有する。そこに隙があるのでございます。相手が時間を使うということはそれだけこちらにも時間の猶予が生まれるということです。秀吉の動きが読めているならばそれを利用してこちらはその上を行けば良いのです。」

そこまで刹那の話を聞いたニヤリと笑い、

「刹那。もし羽柴が動く場合こちらはどのような手を取る?」

「そうなった暁には秀吉殿には我ら徳川の天下のための人柱となっていただきます。」

刹那もまた悪い顔をしてそう家康に言った。

「そうか。ではその時をむしろ楽しみにしておくとしよう。」

そこから話は変わり、刹那からの織田家についての近況報告などが行われた。

「そうか、信孝殿の見合いがうまくいったか。」

「はい。ですが、菊はどうやら陪臣の娘が織田家当主の嫁となるということに負い目を感じている節があるのです。」

「今はそうかもしれぬが、菊の父親はあの信玄公。武田家の姫君ではないか。」

「はい。私もそう言ったのですが、「今は陪臣の娘です。」と言って悲しそうな顔を見せるのです。」

「それは信孝殿も感じているのか?」

「いえ、信孝はむしろ「自分が惚れた女子の身分など例え百姓の娘であろうと関係ない。」と申しております。」

「ふむ、では菊が気に病んでいるだけということか。」

「はい。私としてもどうにかそこを解決して清々しい気持ちで嫁に出してやりたいのですが。」

そこから家康は少し考えた後、

「ふむ。では刹那。菊を私の養女にしてはどうだ?」

と刹那に提案した。
それを聞いた刹那は慌てて止めた。

「おっ、お待ちください。それはなりませぬ。家臣の娘を養女として徳川家の娘とするならまだ知れず、家臣の家臣の娘を養女にするなど、それでは徳川家の沽券にも関わりかねます。」

「だが、私の養女となれば菊が気にしている身分の差は徳川の娘とその臣下の織田家当主との婚姻でもなんらおかしくないではないか。」

「それは、そうかもしれませんが。それでは今後、殿がどこぞの大名家に嫁を出すとなった時に陪臣の娘を掴まされたと言われる可能性が少なからず出てしまいます。それは徳川家にとってよろしくありません。有力な家臣の娘を養女としたとなれば他の大名も納得することでしょうが、家臣の家臣の娘ではそうはなりません。ゆえに、菊を殿の養女にするのは賛同できかねます。」

刹那の必死の説得に家康は、

「刹那は陪臣の娘を養女にすることに反対であって、家臣の娘を養女にすることは反対しないのだな?」

「はい、それはどの大名家でもありえることだと思いますので。」

「そうか。では、刹那。菊を刹那の養女とせよ。」

「はっ?・・・・殿、今、なんと?」

「菊を刹那の養女とせよと言った。」

「そっ、それでは神威家と織田家の婚姻となってしまい、神威家の力が家臣として更に大きくなりすぎます。それはほかの家臣衆からしても不服が出る可能性があるので陪臣の娘を養女にする以上によろしくありません。」

刹那がまくし立てるように更に否定すると家康は、

「刹那、まだ話は途中だ。菊を刹那の養女とした後に刹那の娘となった菊を私の養女とする。」

「えっ・・・・。」

「そうすれば私は筆頭家老である刹那の娘を養女として臣下の礼を取る織田家と婚姻関係になり、織田家との関係強化になる。菊としても徳川の娘として信孝殿に嫁ぐために身分の差などを感じることはない。」

家康の意見を呆気に取られながら聞いていた刹那はだったが、

「刹那。これならばお前の言った心配もすべて解決していると思うがどうだ?」

「とっ、殿の申されること。その通りだと思います。」

そう返すしかなかった。

それを見た家康はニヤリと笑い、

「やっと刹那を言い負かすことができた。どうだ?私もお前に負けぬほど成長しておるであろう?」

と言って満面の笑みを浮かべるのであった。

この話合いにより、菊はまず神威家の娘となり、その次に徳川家の娘となり、その段階で織田家の当主の嫁として嫁ぐことが決まったのである。

話を終えた家康はおとわや空に会いのんびりとくつろいでから浜松へと帰っていった。
帰り際に「菊の義父として信孝殿とは婚儀には参加するぞ。」と言い残して。
しおりを挟む
感想 9

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

ギャルい女神と超絶チート同盟〜女神に贔屓されまくった結果、主人公クラスなチート持ち達の同盟リーダーとなってしまったんだが〜

平明神
ファンタジー
 ユーゴ・タカトー。  それは、女神の「推し」になった男。  見た目ギャルな女神ユーラウリアの色仕掛けに負け、何度も異世界を救ってきた彼に新たに下った女神のお願いは、転生や転移した者達を探すこと。  彼が出会っていく者たちは、アニメやラノベの主人公を張れるほど強くて魅力的。だけど、みんなチート的な能力や武器を持つ濃いキャラで、なかなか一筋縄ではいかない者ばかり。  彼らと仲間になって同盟を組んだユーゴは、やがて彼らと共に様々な異世界を巻き込む大きな事件に関わっていく。  その過程で、彼はリーダーシップを発揮し、新たな力を開花させていくのだった!  女神から貰ったバラエティー豊かなチート能力とチートアイテムを駆使するユーゴは、どこへ行ってもみんなの度肝を抜きまくる!  さらに、彼にはもともと特殊な能力があるようで……?  英雄、聖女、魔王、人魚、侍、巫女、お嬢様、変身ヒーロー、巨大ロボット、歌姫、メイド、追放、ざまあ───  なんでもありの異世界アベンジャーズ!  女神の使徒と異世界チートな英雄たちとの絆が紡ぐ、運命の物語、ここに開幕! ※不定期更新。最低週1回は投稿出来るように頑張ります。 ※感想やお気に入り登録をして頂けますと、作者のモチベーションがあがり、エタることなくもっと面白い話が作れます。

服を脱いで妹に食べられにいく兄

スローン
恋愛
貞操観念ってのが逆転してる世界らしいです。

クラス最底辺の俺、ステータス成長で資産も身長も筋力も伸びて逆転無双

四郎
ファンタジー
クラスで最底辺――。 「笑いもの」として過ごしてきた佐久間陽斗の人生は、ただの屈辱の連続だった。 教室では見下され、存在するだけで嘲笑の対象。 友達もなく、未来への希望もない。 そんな彼が、ある日を境にすべてを変えていく。 突如として芽生えた“成長システム”。 努力を積み重ねるたびに、陽斗のステータスは確実に伸びていく。 筋力、耐久、知力、魅力――そして、普通ならあり得ない「資産」までも。 昨日まで最底辺だったはずの少年が、今日には同級生を超え、やがて街でさえ無視できない存在へと変貌していく。 「なんであいつが……?」 「昨日まで笑いものだったはずだろ!」 周囲の態度は一変し、軽蔑から驚愕へ、やがて羨望と畏怖へ。 陽斗は努力と成長で、己の居場所を切り拓き、誰も予想できなかった逆転劇を現実にしていく。 だが、これはただのサクセスストーリーではない。 嫉妬、裏切り、友情、そして恋愛――。 陽斗の成長は、同級生や教師たちの思惑をも巻き込み、やがて学校という小さな舞台を飛び越え、社会そのものに波紋を広げていく。 「笑われ続けた俺が、全てを変える番だ。」 かつて底辺だった少年が掴むのは、力か、富か、それとも――。 最底辺から始まる、資産も未来も手にする逆転無双ストーリー。 物語は、まだ始まったばかりだ。

私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。

MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。

戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件

さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。 数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、 今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、 わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。 彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。 それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。 今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。   「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」 「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」 「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」 「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」   命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!? 順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場―― ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。   これは―― 【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と 【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、 “甘くて逃げ場のない生活”の物語。   ――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。 ※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。

最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。

MP
ファンタジー
高校2年の夏。 高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。 地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。 しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。

45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる

よっしぃ
ファンタジー
2巻決定しました! 【書籍版 大ヒット御礼!オリコン18位&続刊決定!】 皆様の熱狂的な応援のおかげで、書籍版『45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる』が、オリコン週間ライトノベルランキング18位、そしてアルファポリス様の書店売上ランキングでトップ10入りを記録しました! 本当に、本当にありがとうございます! 皆様の応援が、最高の形で「続刊(2巻)」へと繋がりました。 市丸きすけ先生による、素晴らしい書影も必見です! 【作品紹介】 欲望に取りつかれた権力者が企んだ「スキル強奪」のための勇者召喚。 だが、その儀式に巻き込まれたのは、どこにでもいる普通のサラリーマン――白河小次郎、45歳。 彼に与えられたのは、派手な攻撃魔法ではない。 【鑑定】【いんたーねっと?】【異世界売買】【テイマー】…etc. その一つ一つが、世界の理すら書き換えかねない、規格外の「便利スキル」だった。 欲望者から逃げ切るか、それとも、サラリーマンとして培った「知識」と、チート級のスキルを武器に、反撃の狼煙を上げるか。 気のいいおっさんの、優しくて、ずる賢い、まったり異世界サバイバルが、今、始まる! 【書誌情報】 タイトル: 『45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる』 著者: よっしぃ イラスト: 市丸きすけ 先生 出版社: アルファポリス ご購入はこちらから: Amazon: https://www.amazon.co.jp/dp/4434364235/ 楽天ブックス: https://books.rakuten.co.jp/rb/18361791/ 【作者より、感謝を込めて】 この日を迎えられたのは、長年にわたり、Webで私の拙い物語を応援し続けてくださった、読者の皆様のおかげです。 そして、この物語を見つけ出し、最高の形で世に送り出してくださる、担当編集者様、イラストレーターの市丸きすけ先生、全ての関係者の皆様に、心からの感謝を。 本当に、ありがとうございます。 【これまでの主な実績】 アルファポリス ファンタジー部門 1位獲得 小説家になろう 異世界転移/転移ジャンル(日間) 5位獲得 アルファポリス 第16回ファンタジー小説大賞 奨励賞受賞 第6回カクヨムWeb小説コンテスト 中間選考通過 復活の大カクヨムチャレンジカップ 9位入賞 ファミ通文庫大賞 一次選考通過

処理中です...