チートな家臣はいかがですか?

織田っち

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第八章~男、信孝~

師弟の絆7

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家康が帰った後、刹那は海玄と菊を自室に呼んだ。
そこには事前に話をしてあるおとわも当主の妻として参加していた。

「殿、お呼びと言うのは信孝殿との婚姻についてですかな?」

「あぁ、その関連だ。そのために海玄と菊に来てもらった。」

「ほう、てっきり日取りが決まったと言うお話かと思いましたが、そうではなさそうですな。」

「あぁ。実はな。」

刹那は菊に視線をやり、

「菊、お前を殿の娘とすることにした。」

「なっ。」

「えっ?」

両者ともに驚きの顔を隠せないでいた。

「菊は陪臣の娘が織田家当主の嫁となることを気にしていたね?」

「はっ、はい。」

「そこを殿に相談した時に徳川の娘として行かせればいいとなってね。」

それを聞いた海玄が勢いよく反対した。

「殿、それはならん。徳川家の威信を貶めるぞっ!!」

そう言う海玄の目は普段の好々爺ではなく、まさに甲斐の虎の顔であった。

「海玄、落ち着いて。」

「いや、いくら殿の言葉でもこればかりは認められん。」

「海玄っ!!とりあえず最後まで話を聞いてっ!!」

刹那の言葉にまだ言葉を続けようとしていた海玄は一度黙った。

「殿の養女にすると言うのは本当だ。しかし、海玄の危惧していること。それは私も思うところだったから海玄と同じようにもちろん最初は反対したよ。でもね。殿はその時に菊をまず私の養女とせよ。と言ってきたんだ。つまりは菊はまず、神威家の養女になり、その後に徳川家の養女となり、織田家へは徳川家の娘として嫁ぐ。」

刹那の話を最後まで聞いた海玄は笑い出した。

「ふっ、ふふふ。徳川の小僧め。面白いことを考えよる。」

海玄はそう言った後に咳払いを一つして。

「菊の養女の件、何卒よろしくお願いいたします。」

と頭を下げた。

「甲斐の虎もこれは想像できなかったみたいだね。」

「ふっ、殿に予想できんものをわしができるわけがない。」

そう言いながら二人は笑った。

その様子を見ていた菊はまだ話がよく理解できていない様子だった。
それを見たおとわが、

「菊殿。」

「はい。」

「これからあなたは私たちの娘になるのです。海玄殿は変わらず父上でありますが、ここにいる殿もまたあなたの義父です。そして私があなたの義母になります。」

「そうだ。菊。これからは私もお前の義父上だ。つまり、この霧山御所が家になる。そして、その後に我が殿、徳川家康様の娘にもなる。つまりは実の父である海玄、養父である私と家康様。この三人がお前を守る存在となるのだ。」

「これからは殿などと呼ばずに義父上、義母上と呼んで欲しいですね。ねぇ、あなた様。」

「そうだね。菊わかったかい?」

「はっ、はい。義父上様、義母上様。」

こうして菊はまず、神威家の娘となった。

神威家の娘となった後、刹那はそのことを浜松の家康に文で報告して、改めて今度は徳川の娘となるべく、刹那とともに浜松へと出向いた。
その中には実父である海玄の姿ももちろんあった。

菊が家康の養女となってから一月、ついに織田信孝への輿入れの日となった。

菊は浜松城から徳川の三つ葉葵の家紋の入った駕篭に乗り、護衛2千とともに織田家の本拠地であり、夫となる織田信孝が待つ清洲城へと向かった。
その軍勢の中には実父の信濃海玄、義父である神威刹那も同行しており、菊が徳川家にとっても神威家にとってもとても大事な娘であることを世間に知らしめながらの嫁入り行列であった。

その行列見たさに道中の宿場や城下町では普段の数倍以上の客足があり、大きな賑わいを見せた。

菊の姿を見た町娘は羨望の眼差しを向けていたという。

数日をかけて菊は清洲城へと入った。

菊はまず、控えの部屋へと通されて婚礼の儀が行われるのを待っていた。

菊が婚礼の儀を待つ間、家康、刹那、海玄の父三人は花嫁側の縁者席へと座っていた。
その対面には織田家家臣が一同に会しており、これから行われる婚儀がどれほど大切なものなのかをその場にいた者全員が理解するには十分なほどであった。

また、家康の養女の婚儀、そして、刹那の養女でもあると言うことで徳川家でも有力な家臣もこぞって参加を希望したが、家康はあまりにおおごとにすると菊が恥ずかしがるというのを刹那から聞いていたためにこの場に出席しているのは父三人と義兄弟となる直虎、そして花嫁の妹である松、菊の義理の母になったおとわ、最後に家康の正室である瀬名だけであった。

女性たちは自分たちのことを思い出したのか笑顔で話をしていた。
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