チートな家臣はいかがですか?

織田っち

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第八章~男、信孝~

師弟の絆8

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そうこうしている間に婚礼の儀が執り行われる時刻となり、別室にいた菊が白無垢姿で入ってきた。

「これより、織田家当主、織田信孝様、徳川家の菊姫の婚礼の儀を執り行わせていただきます。」

今回の婚礼の儀の進行を任された織田家の前田利家の言葉によって儀式は行われた。

式は順調に進み、三々九度も無事に終了。
宴も皆終始笑顔で終わりを迎えた。

そして、信孝と菊は床入りの儀へと進んだのである。

「菊殿、いや、菊っ。」

「はい。旦那様。」

「これからは私の妻としてどうかよろしく頼む。」

信孝はそう言って頭を軽く下げた。

「はい。織田家当主の妻として精一杯信孝様をお支え申し上げます。」

その夜の二人はそれまでのなかなか会えなかった時間を埋めていくのだった。

翌日、徳川家側の出席者は信孝と菊とともに朝餉を取っていた。

「信孝、どうですか。愛する女子を妻にする気持ちは?」

「はい、とても心が躍るものでございます。」

「ほほっほ、菊を大事にしてやってくだされよ婿殿。」

海玄がそう笑みを浮かべながら言った。

「はい。信玄公。必ず菊を幸せにしてみせます。」

「そうですな、菊は我ら三人の娘だ。菊を泣かせるようなことがあれば皆黙ってはおらんなぁ。」

からかうように家康も同調した。

「海玄、殿。あまり信孝を困らせてはなりませんよ。」

「そうゆう刹那が一番恐ろしいではないか、のぉ、海玄。」

「確かに大殿の申される通りじゃ。殿が一番怖い怖い。」

その三人の父のやり取りを微笑ましく見る瀬名とおとわであった。

そんな朝餉も終わり、家康は迎えに来た酒井忠次とともに浜松へと帰っていった。

「では、私たちも帰るとしますか、海玄。」

「そうですな。あまり長いをしますと左近殿がお怒りになるからのぉ。」

「ということで、信孝。私達も伊勢へ帰ります。菊のことくれぐれもよろしく頼みますよ。」

刹那は見送りにきた信孝の肩を軽く叩いた。

「はい。お任せ下さい。」

「菊、なにかあればすぐに私に連絡を寄越しなさい。あなたはもう私の娘でもあるのだからね。」

「はい。ありがとうございます。義父上。」

「海玄、少し菊と話してきたらどうです?松も。家族水入らずで楽しんだらいい。」

刹那は実父である海玄と妹の松、菊だけになる時間を少し作ってやった。

「お優しいですね、あなた様。」

「自分の娘と離れるのは寂しいからね。それだけだよ。」

しばしの家族水入らずを堪能した菊はその後、刹那一行を見送って部屋へと戻った。

「菊、直虎殿、松殿に負けない素敵な夫婦になろうな。」

「はい。そのためにも旦那様には殿として、織田家を立派にしていただかねばなりませんね。」

菊はそう言ってふふふと笑うのであった。
それを見て信孝もこれからは当主だけでなく、旦那としても良き男になろうと心に誓うのであった。

信孝が菊を嫁にしたことで織田家は徳川家康の縁者となり、秀吉の三法師誘拐から不安定になっていた領内の安定度は急激に回復したのであった。

一方、清洲城を出た刹那一行は泣いている海玄をなだめながらの帰路についていた。

「海玄、もうそろそろ泣きやんだらどうですか。いくら娘が嫁に行ったといえども、同じ徳川家にいるのです。会おうと思えばいつでも行ってきていいのですよ?」

「いえ、そうは参りません。わしは今は殿の家臣。実の娘とはいえ、他家に嫁いだ娘のところにおいそれと行くわけにはいかんのです。」

そんな海玄の意地を見た刹那は、

「どうしてこううちの家臣達は硬いかなー。」

とおとわにこぼした。

「それはあなた様もそう意固地になることが多いからではないですか?」

「えっ、俺はそんなに意固地になってる?」

「えぇ、普段はあんなにもお優しいのにどこか意固地になって物事を考えてしまうことがしばしばありますよ。」

「んー、そうか。これは自分自身も気を付けないといけないかな。上の人間が硬いと下の者も柔軟に物事を考えられなくなってしまうからな。」

「えぇ、その通りにございます。もう少し頭を柔らかくですよ。旦那様。」

おとわには勝てないなと思う刹那であった。

霧山御所へと戻った刹那は留守を任せていた者達からいなかった間に起きたことの報告を受け、刹那は対応するべきことの場合はその処理を行い、夕方には全ての仕事を終えて自室へと戻っていた。

「おかえりなさいませ。今日はお早いのですね。」

「ただいま。今日はみんなで食事をしようと思ってね。早く仕事を終わらせてきたんだよ。」

「そうだったのですか。今日は戻ってきた初日ですから遅くお帰りになるものだと思っておりました。」

「信孝と菊の結婚を見てね、私ももう少し家族と一緒にいる時間を大切にしたいなと思っただけだよ。」

「ふふ、菊が結婚したことがこんなところにまで飛んでくるとは。嬉しゅうございます。」

おとわの笑顔にこれからはより一層家族を大事にしていこうと思う刹那であった。

「あっ、父上。おかえりなさいませ。」

「ちちうえ、おかえりなさいませ。」

「おっ、虎次郎に空。二人ともただいま。いい子にしていたかい?」

刹那は近くにきた虎次郎と抱きついてきた空の頭を撫でながらそう言葉を返した。

「はいっ。神威家の男子として恥ずかしくないようにとじじさまにきっちり勉学を教えていただいております。」

「そうか。じじさまの言うことを聞いてしっかり学んでいれば兄上にも負けない立派な武将になれるさ。」

「はいっ!!頑張ります。」

「空も母上のお手伝いいっぱいしているよ。」

「空も母上のような素敵な女性になれるように頑張ろうな。」

祖父である直盛に様々なことを学んで最近しっかりしてきた虎次郎とおとわの手伝いを積極的にするようになってきた空の成長を見て微笑ましくなる刹那であった。
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