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第九章~西国での動き~
西日本大騒動5
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「直政。」
「はっ。」
「こたび、お前は私と共に羽柴との領土境に軍を進める。そこで様々なものを吸収しなさい。」
「承知いたしました。御指導御鞭撻、なにとぞよろしくお願い致します。」
「お前には大きく期待しているぞ。」
「もったいなきお言葉。」
「海玄、幸隆は今回は留守を任せる。なにかあれば対処してくれ。」
「「はっ。」」
こうして神威家は二つの軍を編制した。
一つは直虎率いる河野家援軍に向かう軍。
そしてもう一つは羽柴軍を引き付けるための軍、こちらは刹那本人が総大将を務めることとなった。
配下には直虎側に大谷吉継、藤堂高虎、石田三成、雑賀孫一、原昌胤、北条康成らが付き、刹那側には島左近、井伊直政、成田長親、真田昌幸、蒲生氏郷、天海、斎藤利三らが付いた。
軍を編成してから10日ほどしたある日、佐竹からの使者がやってきた。
「お久しゅうございます。神威殿。」
「これはこれは和田殿ではないですか。此度は義重殿からの使者と言うことでよろしいか?」
「はい。ですが、正確には我らは仲介に過ぎませぬ。此度の本命の使者はこちらに控えます方でございます。」
「ほう、どちらの御使者ですかな。」
刹那がそう言うのを確認した和田昭為は後ろにいる男を促した。
「お初にお目にかかります。私は河野通直が家臣、大野直昌と申します。」
「大野殿ですか。河野家からの御使者とのことですが、当家にどのような御用でしょうか?」
「本日はお願いがあり参りました。当家は今長宗我部からの侵攻の脅威に晒されております。そこで神威殿にご助力を願えないかと思い参りました。」
「河野家は毛利家と誼を通じておる家柄なはず、それを当家やその主家、徳川が助力するのは毛利家に申し訳が立たないと思うのですが。」
「毛利家に助力を願い出ましたが、援軍は出せぬと言われまして。しかし、それでは当家は領土を守ることができませぬ。そこで大きな力を有している徳川家、その徳川家の筆頭家老である神威殿にご助力を願いたいのです。」
「当家としても長宗我部が領土を拡大するのは佐竹家に危機が及ぶ可能性があるので避けたいところです。しかし、毛利家との関係性を悪くするのは更に芳しくありません。ですので、大野殿の願いは聞けぬ話でございます。」
そう言うと刹那は席を立った。
「お待ちをっ!!」
直昌がそう声をかけても刹那は部屋を出た。
「今日は部屋をご用意いたします。そちらでお休みくだされ。」
落胆の顔を見せている直昌に左近がそう声をかけた。
その夜、和田昭為は刹那の元へ一人呼ばれていた。
「驚きました。まさかお断りになるとは。」
「毛利家の面目を潰すことになりかねませんからね。」
「そう言いながらも神威殿のことでございます。なにか考えがあってのことなのでしょう?私をここへ呼んだのも含めて。」
「さすがは佐竹家の知恵者。お分かりですか。」
「神威殿には煮え湯を飲ませられた経験がございますからな。あなた様の才はよく知っているつもりです。今回の河野家への援軍成功すれば間違いなく徳川の利となる。そのような出来事を神威殿が見過ごすとは思えませぬ。」
「ふふふ、そこまで買い被られると恥ずかしいですな。ですが、今回和田殿をお呼びしたのはお手伝いを願いたいがためと言うのは和田殿のご推察通りです。」
「私めにどのような頼みが?」
「明日、私は予定があると言うことにして大野殿には会いません。そこで大野殿が息子、直虎に会うように進めていただきたいのです。」
「御子息にでございますか?」
「ええ、今回の援軍、秘密裏に用意しているのですが、その総大将は直虎なのですよ。」
「ほう、そうでしたか。では、御子息に河野家をうまく徳川につけるように飴の役割を任せるわけですな?」
「その通りです。飴と鞭、これをうまく使ってこそ策略は成功します。大野殿は今日、当主である私から直々に鞭を食らいました。それが明日、次期当主である直虎から飴をもらう。」
「さすれば大野殿は神威に、ひいては徳川に靡く。と言うことですな。」
「そうゆうことにございます。」
「これはこれはさすがは神威殿だ。敵にすればあれだけ苦しいお方だが、味方にあなたがいると思うととても心強い。」
「私も和田殿が味方にいてくださって心強い思いです。」
そこから二人は日付が変わる頃まで様々な話をした。
翌日、大野直昌は再度刹那に目通りを願い出たが断られ絶望にくれていた。
「大野殿。大丈夫ですかな。」
「これは和田殿。本日も神威殿にお会いしたいと願い出たのですが、予定があると言われて目通り叶いませんでした。」
「そうですか。」
昭為は少し考えるそぶりを見せてから、
「大野殿、では、直虎殿にはお願いしてはいかがだろうか?」
「直虎殿?」
「神威刹那殿の御子息で、神威家の次期当主だそうですよ。」
「お会いしていただけるでしょうか?」
「私からもお願いして見ましょう。もし、直虎殿に援軍を出すおつもりになっていただければ刹那殿の考えも変わるかも知れませんぞ。」
「そうですな。やってみます。」
先ほどまで沈んでいた直昌の心に少しの希望が甦ってきた。
「はっ。」
「こたび、お前は私と共に羽柴との領土境に軍を進める。そこで様々なものを吸収しなさい。」
「承知いたしました。御指導御鞭撻、なにとぞよろしくお願い致します。」
「お前には大きく期待しているぞ。」
「もったいなきお言葉。」
「海玄、幸隆は今回は留守を任せる。なにかあれば対処してくれ。」
「「はっ。」」
こうして神威家は二つの軍を編制した。
一つは直虎率いる河野家援軍に向かう軍。
そしてもう一つは羽柴軍を引き付けるための軍、こちらは刹那本人が総大将を務めることとなった。
配下には直虎側に大谷吉継、藤堂高虎、石田三成、雑賀孫一、原昌胤、北条康成らが付き、刹那側には島左近、井伊直政、成田長親、真田昌幸、蒲生氏郷、天海、斎藤利三らが付いた。
軍を編成してから10日ほどしたある日、佐竹からの使者がやってきた。
「お久しゅうございます。神威殿。」
「これはこれは和田殿ではないですか。此度は義重殿からの使者と言うことでよろしいか?」
「はい。ですが、正確には我らは仲介に過ぎませぬ。此度の本命の使者はこちらに控えます方でございます。」
「ほう、どちらの御使者ですかな。」
刹那がそう言うのを確認した和田昭為は後ろにいる男を促した。
「お初にお目にかかります。私は河野通直が家臣、大野直昌と申します。」
「大野殿ですか。河野家からの御使者とのことですが、当家にどのような御用でしょうか?」
「本日はお願いがあり参りました。当家は今長宗我部からの侵攻の脅威に晒されております。そこで神威殿にご助力を願えないかと思い参りました。」
「河野家は毛利家と誼を通じておる家柄なはず、それを当家やその主家、徳川が助力するのは毛利家に申し訳が立たないと思うのですが。」
「毛利家に助力を願い出ましたが、援軍は出せぬと言われまして。しかし、それでは当家は領土を守ることができませぬ。そこで大きな力を有している徳川家、その徳川家の筆頭家老である神威殿にご助力を願いたいのです。」
「当家としても長宗我部が領土を拡大するのは佐竹家に危機が及ぶ可能性があるので避けたいところです。しかし、毛利家との関係性を悪くするのは更に芳しくありません。ですので、大野殿の願いは聞けぬ話でございます。」
そう言うと刹那は席を立った。
「お待ちをっ!!」
直昌がそう声をかけても刹那は部屋を出た。
「今日は部屋をご用意いたします。そちらでお休みくだされ。」
落胆の顔を見せている直昌に左近がそう声をかけた。
その夜、和田昭為は刹那の元へ一人呼ばれていた。
「驚きました。まさかお断りになるとは。」
「毛利家の面目を潰すことになりかねませんからね。」
「そう言いながらも神威殿のことでございます。なにか考えがあってのことなのでしょう?私をここへ呼んだのも含めて。」
「さすがは佐竹家の知恵者。お分かりですか。」
「神威殿には煮え湯を飲ませられた経験がございますからな。あなた様の才はよく知っているつもりです。今回の河野家への援軍成功すれば間違いなく徳川の利となる。そのような出来事を神威殿が見過ごすとは思えませぬ。」
「ふふふ、そこまで買い被られると恥ずかしいですな。ですが、今回和田殿をお呼びしたのはお手伝いを願いたいがためと言うのは和田殿のご推察通りです。」
「私めにどのような頼みが?」
「明日、私は予定があると言うことにして大野殿には会いません。そこで大野殿が息子、直虎に会うように進めていただきたいのです。」
「御子息にでございますか?」
「ええ、今回の援軍、秘密裏に用意しているのですが、その総大将は直虎なのですよ。」
「ほう、そうでしたか。では、御子息に河野家をうまく徳川につけるように飴の役割を任せるわけですな?」
「その通りです。飴と鞭、これをうまく使ってこそ策略は成功します。大野殿は今日、当主である私から直々に鞭を食らいました。それが明日、次期当主である直虎から飴をもらう。」
「さすれば大野殿は神威に、ひいては徳川に靡く。と言うことですな。」
「そうゆうことにございます。」
「これはこれはさすがは神威殿だ。敵にすればあれだけ苦しいお方だが、味方にあなたがいると思うととても心強い。」
「私も和田殿が味方にいてくださって心強い思いです。」
そこから二人は日付が変わる頃まで様々な話をした。
翌日、大野直昌は再度刹那に目通りを願い出たが断られ絶望にくれていた。
「大野殿。大丈夫ですかな。」
「これは和田殿。本日も神威殿にお会いしたいと願い出たのですが、予定があると言われて目通り叶いませんでした。」
「そうですか。」
昭為は少し考えるそぶりを見せてから、
「大野殿、では、直虎殿にはお願いしてはいかがだろうか?」
「直虎殿?」
「神威刹那殿の御子息で、神威家の次期当主だそうですよ。」
「お会いしていただけるでしょうか?」
「私からもお願いして見ましょう。もし、直虎殿に援軍を出すおつもりになっていただければ刹那殿の考えも変わるかも知れませんぞ。」
「そうですな。やってみます。」
先ほどまで沈んでいた直昌の心に少しの希望が甦ってきた。
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