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第九章~西国での動き~
世代交代への波4
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「徳川家にとって神威家は最早なくてはならない家ですからね。次期当主殿のことをきちんと見たかったのですよ。」
忠次は笑いながら言っていたがそれは家康が認めた武将、その目の奥は鋭く光っていた。
「殿、酒井様、ようこそおいで下さりました。神威刹那が嫡男、神威直虎でございます。」
「おお、直虎、久しいな。」
「殿の元へなかなか行けず申し訳ございません。」
「よいよい、お主が来ては刹那も来てしまうからな。」
家康は笑いながらそう言った。
「この若者が。」
「どうした忠次。」
「あっ、いえ、さすがは刹那殿のご子息様だと思いましてな。」
忠次は驚いていた、いくら父親が出来る者だからとは言え、若者が歴戦の武将を驚かせるほどの雰囲気と佇まいをするものだろうかと。
「これは、神威家は次期当主になっても安心ですな。」
「直親、お前も息子に会ってくるがいい。」
家康は直親をそう言って自分の側から離すと直虎の近くに寄り、耳元で
「早く神威家の当主となれ。」
と刹那が周りの対応をして見えていない時を狙ってこっそりと呟いた。
家康はそう声をかけると刹那の元へ行った。
「今のは・・・。」
その後は、出席者が全て揃った後、虎次郎の元服の儀は執り行われ、名を直春と改めた。
その夜、直虎は刹那の元へ赴いた。
「父上、直虎にございます。よろしいでしょうか。」
すると中から「かまわん。」と声がしたので部屋に入るとそこには刹那とおとわの姿があった。
「母上もおいででしたか。ではまた時を改めます。」
「かまわぬ。」
「はぁ。」
「それで、こんな時間に来るとはどうした?」
「実は。」
直虎が昼間家康から言われたことを話すと
「そうか。殿がそんなことを。」
「どうなさいましょう。殿は父上のお力を恐れておいでになるのでは?」
「確かにその可能性はなくはないだろう。当家は徳川家の家臣ながらそれに対抗できるほどの力を有している。そして、ご自身も子が大きくなり先々の事を考えておられる。これ以上私に色々動かれては子の世代になった時に当家が謀反をするかもと考えられてもおかしくはない。ならば今のうちに直虎を手懐けてしまったほうが良いと考えるかも知れんな。」
「ですが、謀反など父上のお考えにはありませぬ。」
「それは通じぬよ。私はあまりに殿の側を離れすぎている。殿が疑いを抱いたとしても不思議はない。むしろよく今までそのような話が出なかったと思うほどだ。」
「ですがっ。」
「良い、お前は次期当主として先の事を考えよ。」
「はい。」
そう言って直虎を退出させた。
「あなた、どうなさるのですか?」
「そうだな。殿に疑いを抱かせてしまっているのだとしたらそれは私の力不足と言わざるおえない。家臣達のためにも、徳川家のためにも、内輪揉めをするのはよろしくない。確かに今徳川家と戦えば勝てる可能性があるほど当家は優れた兵や将を備えている。だが、それは私の望むところではない。」
「あなたは若き頃より家康様を天下人にと頑張ってこられましたからね。」
「あぁ。そうだ。神威家は常に徳川家の味方であると思ってお仕えしてきたのだ。それを違えるわけにはいかないよ。」
おとわは刹那の手に自分の手を添えると
「おとわは刹那様がどのような道を選ぼうとずっとあなたの側におります。」
そう微笑みながら話した。
翌日から刹那は1週間、部屋に籠った。
その間会うのは妻であるおとわのみ、直虎にも、ましてや筆頭家老である左近にも会うことはなかった。
刹那が部屋に籠っている噂はすぐに家臣達の知るところとなり、己が領地にいた者達まで心配して霧山御所に来る始末となった。
「左近殿、殿はどうされたのですか?まさかご病気でもなされたのでは!」
「分からぬ。私も殿と会えておらぬし、若ですらお会いになれていないのだ。」
「もしやそれほどにお身体の具合が宜しくないのでは!!」
刹那がこれまで誰とも会わない状況などなかったため、家臣達の不安はより拍車をかけた。
「皆、落ち着け!!」
「若。」
「父上がお部屋から出てこなくて心配なのはわかる。だが、父上がいないだけでこれほど動揺していては父上が悲しむぞ。「私の家臣達はこれほどに頼りないのか!」と言われてしまうぞ。父上がいない今だからこそしっかりとしないでどうする!!」
直虎の言葉に家臣達の動揺は落ち着きを取り戻した。
それから更に1週間が経過した。
その間、直虎は当主代行としておおいに仕事をこなしていた。
2週間も刹那が出てこないことを受けて直親の耳にもそのことが伝わり、直親を通じて家康の耳にも入ることとなった。
「なにっ!!刹那が2週間も姿を現さないだと!!」
「はい、直政から知らせがあり、もう2週間になるそうです。」
「具合でも悪いのか?」
「わかりませぬ。奥方様以外とは誰とも会っていないようで。」
「直親、すぐに行くぞ。支度せよ。」
「とっ、殿っ!!」
家康はすぐに霧山御所へと向かった。
「直虎っ。」
「とっ、殿っ。いかがなさいましたかっ!!」
「どうしたもこうしたもないわっ。刹那が出てこないとはどういうことだ!!」
忠次は笑いながら言っていたがそれは家康が認めた武将、その目の奥は鋭く光っていた。
「殿、酒井様、ようこそおいで下さりました。神威刹那が嫡男、神威直虎でございます。」
「おお、直虎、久しいな。」
「殿の元へなかなか行けず申し訳ございません。」
「よいよい、お主が来ては刹那も来てしまうからな。」
家康は笑いながらそう言った。
「この若者が。」
「どうした忠次。」
「あっ、いえ、さすがは刹那殿のご子息様だと思いましてな。」
忠次は驚いていた、いくら父親が出来る者だからとは言え、若者が歴戦の武将を驚かせるほどの雰囲気と佇まいをするものだろうかと。
「これは、神威家は次期当主になっても安心ですな。」
「直親、お前も息子に会ってくるがいい。」
家康は直親をそう言って自分の側から離すと直虎の近くに寄り、耳元で
「早く神威家の当主となれ。」
と刹那が周りの対応をして見えていない時を狙ってこっそりと呟いた。
家康はそう声をかけると刹那の元へ行った。
「今のは・・・。」
その後は、出席者が全て揃った後、虎次郎の元服の儀は執り行われ、名を直春と改めた。
その夜、直虎は刹那の元へ赴いた。
「父上、直虎にございます。よろしいでしょうか。」
すると中から「かまわん。」と声がしたので部屋に入るとそこには刹那とおとわの姿があった。
「母上もおいででしたか。ではまた時を改めます。」
「かまわぬ。」
「はぁ。」
「それで、こんな時間に来るとはどうした?」
「実は。」
直虎が昼間家康から言われたことを話すと
「そうか。殿がそんなことを。」
「どうなさいましょう。殿は父上のお力を恐れておいでになるのでは?」
「確かにその可能性はなくはないだろう。当家は徳川家の家臣ながらそれに対抗できるほどの力を有している。そして、ご自身も子が大きくなり先々の事を考えておられる。これ以上私に色々動かれては子の世代になった時に当家が謀反をするかもと考えられてもおかしくはない。ならば今のうちに直虎を手懐けてしまったほうが良いと考えるかも知れんな。」
「ですが、謀反など父上のお考えにはありませぬ。」
「それは通じぬよ。私はあまりに殿の側を離れすぎている。殿が疑いを抱いたとしても不思議はない。むしろよく今までそのような話が出なかったと思うほどだ。」
「ですがっ。」
「良い、お前は次期当主として先の事を考えよ。」
「はい。」
そう言って直虎を退出させた。
「あなた、どうなさるのですか?」
「そうだな。殿に疑いを抱かせてしまっているのだとしたらそれは私の力不足と言わざるおえない。家臣達のためにも、徳川家のためにも、内輪揉めをするのはよろしくない。確かに今徳川家と戦えば勝てる可能性があるほど当家は優れた兵や将を備えている。だが、それは私の望むところではない。」
「あなたは若き頃より家康様を天下人にと頑張ってこられましたからね。」
「あぁ。そうだ。神威家は常に徳川家の味方であると思ってお仕えしてきたのだ。それを違えるわけにはいかないよ。」
おとわは刹那の手に自分の手を添えると
「おとわは刹那様がどのような道を選ぼうとずっとあなたの側におります。」
そう微笑みながら話した。
翌日から刹那は1週間、部屋に籠った。
その間会うのは妻であるおとわのみ、直虎にも、ましてや筆頭家老である左近にも会うことはなかった。
刹那が部屋に籠っている噂はすぐに家臣達の知るところとなり、己が領地にいた者達まで心配して霧山御所に来る始末となった。
「左近殿、殿はどうされたのですか?まさかご病気でもなされたのでは!」
「分からぬ。私も殿と会えておらぬし、若ですらお会いになれていないのだ。」
「もしやそれほどにお身体の具合が宜しくないのでは!!」
刹那がこれまで誰とも会わない状況などなかったため、家臣達の不安はより拍車をかけた。
「皆、落ち着け!!」
「若。」
「父上がお部屋から出てこなくて心配なのはわかる。だが、父上がいないだけでこれほど動揺していては父上が悲しむぞ。「私の家臣達はこれほどに頼りないのか!」と言われてしまうぞ。父上がいない今だからこそしっかりとしないでどうする!!」
直虎の言葉に家臣達の動揺は落ち着きを取り戻した。
それから更に1週間が経過した。
その間、直虎は当主代行としておおいに仕事をこなしていた。
2週間も刹那が出てこないことを受けて直親の耳にもそのことが伝わり、直親を通じて家康の耳にも入ることとなった。
「なにっ!!刹那が2週間も姿を現さないだと!!」
「はい、直政から知らせがあり、もう2週間になるそうです。」
「具合でも悪いのか?」
「わかりませぬ。奥方様以外とは誰とも会っていないようで。」
「直親、すぐに行くぞ。支度せよ。」
「とっ、殿っ!!」
家康はすぐに霧山御所へと向かった。
「直虎っ。」
「とっ、殿っ。いかがなさいましたかっ!!」
「どうしたもこうしたもないわっ。刹那が出てこないとはどういうことだ!!」
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