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第九章~西国での動き~
世代交代への波3
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「そうだな、お前達にもまだまだ頑張ってもらおう。だが、海玄、そして義父上。二人には無茶をされては困りますからな?」
刹那がそう言うと二人は苦笑いをするしかなかった。
「そうですな。海玄殿には松様のお子を見てもらわねばなりませんし、直盛殿に無茶をされては奥方様に我々が叱られます。」
左近がそう釘をさす。
「わかった、わかったからおとわの話はせんでくれ。ただですら最近は口煩いのだ。」
「わしも殿に言われ、松や菊にも叱られてはかなわんから大人しくしておるわい。」
そんな話をした後刹那が羽柴側との同盟を結んだことなどを話した。
「それでは羽柴との領土境にとりあえずは落ち着きが見られると言うことでしょうか?」
「あぁ。直虎の言う通り、一先ずは落ち着くだろう。しかし相手はあの人たらしで名を馳せた羽柴秀吉だ。皆、油断するな。家臣達に調略の手が伸びてもおかしくはないぞ。」
「「「「「「「はっ。」」」」」」」
「父上、長宗我部の件はどのように致しましょう?」
「そうだな。一先ずは放置で良い。長宗我部が河野家への侵攻をしてくるなら良し。してこぬならそれもまた良し。だが、長宗我部家には気を付けねばならむ存在が当主の元親以外にもいる。弟の香宗我部親泰だ。あの者は優れた知能と人徳を持つ。その者には気を付けろ。」
「父上、その件に関して詳しい者を連れてきているのですが、こちらに呼んでも?」
「かまわん。」
直虎は刹那から許可をもらうと部屋を出て別の部屋に控えさせていた親泰を連れてきた。
「この者は?」
「お初にお目にかかります。元、長宗我部家家臣、香宗我部親泰にございます。」
その挨拶にさすがの刹那も驚いた。
「直虎にしてやられる日が来るとはな。」
そう、直虎は親泰の存在を隠して報告をしていたのだ。
「父上が親泰をそこまで評価していたとは思いませんでしたが、戦場での立ち振舞いや指揮統制能力が凄まじかったので、降伏した後に家臣と致しました。」
「ふっ、はっはははは。」
刹那が大笑いした事に皆が驚いた。
刹那は普段感情を出さないわけではないが人前でここまで大きく感情を出すことはあまりない。しかもそれが軍議の場となれば尚更のことだ。
「直虎。」
「はっ。」
「四国で事があった場合の事は全てお前に任せる。いちいち私に許可を取る必要ことをせんでいい。それと同時に紀州の統治を任せる。孫一、良いな?」
「殿が申されることならば異存はございませぬ。」
「えっ!!」
刹那の発言に直虎は驚きを隠せなかった。
これまで直虎が総大将として軍を指揮してきたことは数あれど大事な局面ではすべて刹那へと文で知らせ伺いを立てていた。それをせず全て自分の判断に任されたこと。
そして、紀州の統治を任せること。
世間からは神威家の統治する端の国と言うイメージしか持たれていない場所ではあるが、雑賀衆を始めとする鉄砲を扱う者や鉄砲鍛冶などが多く住む箇所であり、言わば神威家の軍事力の源とも言える大切な場所である。
これまでも刹那が直接統治をしてきた箇所なのである。
それらを任されたと言うことがどれだけ刹那が直虎を信頼しているかを示すには充分だった。
そしてそれをわかった上で家臣達も異存を唱える者は誰もいなかったのである。
これは言わば刹那が直虎を正式に自分の後継者足り得る男だと認めた事に等しい出来事であった。
「父上っ。」
「期待しているぞ、直虎。」
「はっ。必ずや父上のご期待に応えられる男となってみせます。」
その後に刹那は正式な形で直虎を次期神威家当主へとすることを家康に伝え、許可が出るとすぐに領内へもその通達を出した。
これにより内外共に神威家の次期当主は直虎だとしれわたる事となり、直虎の元には多くの使者が来ることになった。
同時に刹那は次男である神威 虎次郎の元服を決定した。
虎次郎の元服の儀には当たり前のように家康も参加しており、ほかにも家臣達、佐竹義重、本願寺顕如も参加していた。
「顕如殿、本日は弟、虎次郎の元服の儀にご出席いただきましてありがとうございます。」
「これはこれはご丁寧にありがとうございます。虎次郎は私の教え子でもありますからな、この日を楽しみにしておりましたよ。」
そう、本願寺が大和の国へと移った後から刹那は虎次郎と空の師として度々顕如を霧山御所へと呼んでいたのである。
「おお、顕如殿良くお出でくださりました。」
「これは刹那殿、本日はおめでとうございます。」
「ありがとうございます。これも一重に顕如殿のお導きがあったからでございます。」
「虎次郎はどんな事にも興味を持って学ぶ子故に私も教えていて楽しかったくらいでございます。」
「おっ、顕如殿もおいでだったか。」
「殿っ。」
顕如と会話をしていると家康が直親と忠次を連れてやってきた。
「刹那、今回は忠次が次期当主を見たいと申すから連れてきたぞ。」
刹那がそう言うと二人は苦笑いをするしかなかった。
「そうですな。海玄殿には松様のお子を見てもらわねばなりませんし、直盛殿に無茶をされては奥方様に我々が叱られます。」
左近がそう釘をさす。
「わかった、わかったからおとわの話はせんでくれ。ただですら最近は口煩いのだ。」
「わしも殿に言われ、松や菊にも叱られてはかなわんから大人しくしておるわい。」
そんな話をした後刹那が羽柴側との同盟を結んだことなどを話した。
「それでは羽柴との領土境にとりあえずは落ち着きが見られると言うことでしょうか?」
「あぁ。直虎の言う通り、一先ずは落ち着くだろう。しかし相手はあの人たらしで名を馳せた羽柴秀吉だ。皆、油断するな。家臣達に調略の手が伸びてもおかしくはないぞ。」
「「「「「「「はっ。」」」」」」」
「父上、長宗我部の件はどのように致しましょう?」
「そうだな。一先ずは放置で良い。長宗我部が河野家への侵攻をしてくるなら良し。してこぬならそれもまた良し。だが、長宗我部家には気を付けねばならむ存在が当主の元親以外にもいる。弟の香宗我部親泰だ。あの者は優れた知能と人徳を持つ。その者には気を付けろ。」
「父上、その件に関して詳しい者を連れてきているのですが、こちらに呼んでも?」
「かまわん。」
直虎は刹那から許可をもらうと部屋を出て別の部屋に控えさせていた親泰を連れてきた。
「この者は?」
「お初にお目にかかります。元、長宗我部家家臣、香宗我部親泰にございます。」
その挨拶にさすがの刹那も驚いた。
「直虎にしてやられる日が来るとはな。」
そう、直虎は親泰の存在を隠して報告をしていたのだ。
「父上が親泰をそこまで評価していたとは思いませんでしたが、戦場での立ち振舞いや指揮統制能力が凄まじかったので、降伏した後に家臣と致しました。」
「ふっ、はっはははは。」
刹那が大笑いした事に皆が驚いた。
刹那は普段感情を出さないわけではないが人前でここまで大きく感情を出すことはあまりない。しかもそれが軍議の場となれば尚更のことだ。
「直虎。」
「はっ。」
「四国で事があった場合の事は全てお前に任せる。いちいち私に許可を取る必要ことをせんでいい。それと同時に紀州の統治を任せる。孫一、良いな?」
「殿が申されることならば異存はございませぬ。」
「えっ!!」
刹那の発言に直虎は驚きを隠せなかった。
これまで直虎が総大将として軍を指揮してきたことは数あれど大事な局面ではすべて刹那へと文で知らせ伺いを立てていた。それをせず全て自分の判断に任されたこと。
そして、紀州の統治を任せること。
世間からは神威家の統治する端の国と言うイメージしか持たれていない場所ではあるが、雑賀衆を始めとする鉄砲を扱う者や鉄砲鍛冶などが多く住む箇所であり、言わば神威家の軍事力の源とも言える大切な場所である。
これまでも刹那が直接統治をしてきた箇所なのである。
それらを任されたと言うことがどれだけ刹那が直虎を信頼しているかを示すには充分だった。
そしてそれをわかった上で家臣達も異存を唱える者は誰もいなかったのである。
これは言わば刹那が直虎を正式に自分の後継者足り得る男だと認めた事に等しい出来事であった。
「父上っ。」
「期待しているぞ、直虎。」
「はっ。必ずや父上のご期待に応えられる男となってみせます。」
その後に刹那は正式な形で直虎を次期神威家当主へとすることを家康に伝え、許可が出るとすぐに領内へもその通達を出した。
これにより内外共に神威家の次期当主は直虎だとしれわたる事となり、直虎の元には多くの使者が来ることになった。
同時に刹那は次男である神威 虎次郎の元服を決定した。
虎次郎の元服の儀には当たり前のように家康も参加しており、ほかにも家臣達、佐竹義重、本願寺顕如も参加していた。
「顕如殿、本日は弟、虎次郎の元服の儀にご出席いただきましてありがとうございます。」
「これはこれはご丁寧にありがとうございます。虎次郎は私の教え子でもありますからな、この日を楽しみにしておりましたよ。」
そう、本願寺が大和の国へと移った後から刹那は虎次郎と空の師として度々顕如を霧山御所へと呼んでいたのである。
「おお、顕如殿良くお出でくださりました。」
「これは刹那殿、本日はおめでとうございます。」
「ありがとうございます。これも一重に顕如殿のお導きがあったからでございます。」
「虎次郎はどんな事にも興味を持って学ぶ子故に私も教えていて楽しかったくらいでございます。」
「おっ、顕如殿もおいでだったか。」
「殿っ。」
顕如と会話をしていると家康が直親と忠次を連れてやってきた。
「刹那、今回は忠次が次期当主を見たいと申すから連れてきたぞ。」
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