チートな家臣はいかがですか?

織田っち

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第九章~西国での動き~

世代交代への波6

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「直虎。」

「はいっ。」

刹那の一段下に控える直虎を呼び寄せた。

「ここに座りなさい。」

刹那はそう言うと自分が座っていた当主の席を指差した。

「えっ。」

直虎が驚きながらも当主の席に座ると刹那はその横に座り直して

「本日、この時より神威家当主を直虎にする。」

そう高らかに宣言したのである。

その発言に直虎を始め家臣一同が驚き、止まっていると

「はっはぁぁ。」

左近がそう言いながら頭を下げた。

それに習うように家臣達が一斉に頭を下げた。

「直虎、これよりはお前がこの者らの主だ。しっかり頼むぞ。」

「おっ、お待ちください父上っ!!」

「どうした。」

「姿を現されたと思えば当主を交代するとはどういうことでございますか?まさか、どこか具合でも悪いのですか!」

「いや、至って健康だ。」

「ではなぜ?」

「それが殿のご要望でもあるからだ。」

刹那はそう言うと大広間を出ていってしまった。
それに連なるように左近も静かにその場を後にした。

「殿を当主から降ろすのが家康様の要望とはどういうことだ!」

嘉隆が声をあらげて言った。

「もしや、殿のお力を恐れて排斥するとのことなのではっ。」

高虎がそう言葉を続けた。

それを黙っているかと言わんばかりに大広間は「こうなれば謀反じゃ!」「神威家の力徳川家に知らしめてやろうぞ!」とあわや戦を起こす勢いで盛り上がり始めた。

一方、自室に戻った刹那は左近と話をしていた。

「殿も最後までお人が悪いですな。」

「ん?どういうことだ?」

「あの言い方では今頃家中は謀反だと申す者も出ているやもしれませぬぞ?」

「ふっ。血の気の多いやつらはそうかも知れないな。」

「あら、どのような言い方をなされたのですか?」

「奥方様、殿は自分が当主を降りるのは家康様の要望である。とそれだけ言われてこちらへ来られたのですよ。」

「お待ちくださいっ!」

場は戻り大広間では大谷吉継そう声をあらげた。

その言葉に大広間は静まり返り

「まだ直虎様が何も申しておりませぬ。我らの意見はその後でもよろしいかと。」

その言葉に一同は皆直虎の顔を見た。

「皆、思うところはあるだろう。しかし、父上にこの神威家を任された以上、私が徳川家に牙を向けることはけしてない。父上と同じように徳川家を主と仰ぎ、家康様をお支えする一存だ。皆には私の手伝いをして欲しい。この通りだ。」

直虎はそう言うと頭を下げた。

「直虎様。」

「若にそのように言われては駄々をこねたと殿に叱られてしまうなー。」

嘉隆が頭をかきながらそう言ったのを皮切りにすべての家臣が直虎の姿勢に賛同して従うことを決めたのである。

直虎は同意が得られた後すぐにこれからの神威家の陣営について形成を始めた。

その結果新たな軍師には真田昌幸と大谷吉継が着くことになり内務の責任者に石田三成、軍の纏め役を斎藤利三と雑賀孫一を任命し、一門衆筆頭を井伊直政、筆頭家老は引き続き島左近とすることに決めた。

刹那の時代からの重臣も多くいたが、新たに若い力が中核に置かれたことは家臣一同納得するものであった。

直虎は新たな陣営が決まった後すぐに刹那の元へ報告しに行き内容を伝えた。

するとそこに同席していた左近から待ったがかかった。

「どうした左近。」

「若、いえ、殿。筆頭家老の職、御辞退させていただきたく願い奉ります。」

左近はそう言うと頭を下げた。

それを聞いて驚いた直虎は

「なっ、なぜだ!私では支えるに値する主とは認められないと言うことか?」

直虎の言葉に左近は首を横に振った。

「直虎様は刹那様がお決めになられた立派な当主だと思います。」

「ではなぜに!」

「私の生涯の主は神威刹那様だけと心に決めているからにございます。刹那様の家臣になると決めたあの日から。」

左近の気持ちを聞いた直虎は

「そうか。わかった。では筆頭家老として最後の仕事をしてくれ。」

「はっ。」

「次の筆頭家老は誰に任せれば良いと思う?」

直虎に問われた左近はふっと笑みを浮かべると

「それならば適任な者がおります。上に立つ者の苦労も理解でき、よく補佐できる者が。」

「それは誰だ?左近が言うにしても大抵の者では皆が納得しないと思うが。」

「失礼いたします。」

外からそう声が聞こえるととある人物が部屋に入ってきた。

「なるほどな。」

その人物を見て刹那は納得した。

「左近が言っていたのは長政のことであったか。」

直虎がそう言うと名前を呼ばれた本人はよくわからない顔をしていた。

「左近殿に呼ばれてここに来たのですが、殿。どのような御用だったでしょうか?」

「あぁ。長政に少し話があってな。」

「直虎、どうだ?」

「確かに長政なら皆も承知するでしょう。元大名であった長政であれば。」

「長政殿をここへ呼んだのはとあることを頼まれて欲しかったからです。」

「私に出来ることであればなんなりと。」

「長政、お前に左近の後の筆頭家老を任せたい。」

「はっ!・・・えっ?」

刹那がそうまっすぐにそう言うと長政は理解が追い付いていないような返答をした。
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