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大金持ち、戦闘力1980、ナポリー王国の残党
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ルテウス公国でお尋ね者となったオレはグリフォンでルテウス公国の西側の国境を越えて、権力の空白地のリティア大森林内にある廃墟の砦に身を隠す事となった。
ったく、世知辛い世の中だぜ。
ちょっと騎士に蹴りを入れただけでお尋ね者って。
どうせ廃墟なので砦の1階にグリフォンを入れて、オレはグリフォンが背負わされていた荷物を下ろして確認した。
白金や黄金のインゴット。
魔宝石の装飾品。
魔石の原石。
それらが一見、革袋風の【アイテムボックス】3個の中の1個にどっさりと入っていた。
うひょ~。
さすがは都市の権力者だぜ。
貯め込んでやがったな。
これでもう一生遊んで暮らせる財産が手に入った訳だが。
オレの目的は元の身体に戻る事だ。
それにはまず確認しないとならない。
オレの世界の神様は、
『太陽の女神サザンデーテ』
『月の女神ルナシー』
この2神だったが。
どうもこの世界の神様はその2人ではないらしい。
教会の聖印も違ったっぽいし。
確認する必要がある。
完全にオレの世界と違ったらこの世界の神に遭わないとダメだからな。
それにはまず知識が必要な訳で、どうしたものかな、と思ってると、
「――っ!」
オレが一番に外の気配に気付いた。
続いてアル、グリフォンと気付く。
声を潜めたアルが、
『ご主人様』
「ああ、お客さんだ。5人か。気配を消すなんて馬鹿だよなぁ~。それだと敵だと言ってるようなものだろ。今、オレ、機嫌が悪いのに」
『街を丸焼きにするご主人様を攻撃するなんて命知らずもいいところだピョン』
「うるせえよ」
という訳で、砦の外に出て、敵もまだ見えないのに、
『【氷の矢】っ!』
魔法を使った。
20本くらいを放つ。
魔法の失って何も真っ直ぐ飛ぶだけじゃないんだぜ。
【追尾】をプラスしたら砦の城壁を迂回して獲物を狙えるからな。
「ギャアア」
「グアアア」
とか遠くで聞こえたのでオレは満足して声がした方に足を運んだ。
リティア大森林の廃墟の砦の城壁の前で5人が氷漬けになったり、血を流したりして倒れていた。
「私に何の御用かしら?」
女口調で質問したのは、オレの情報を与えたくなかったからだ。
他の世界の情報を持ってるなんてバレれたら、ヤバイ秘密結社や邪教に狙われるかもしれないからな。
「・・・た、助けて下さい」
と命乞いをしたのは戦闘力140の黒髪の青年だった。
「私の命を狙ったのに命乞い?」
と馬鹿にしながら、オレが注目したのは戦闘力140ではなかった。
他に4人居た訳だが、
戦闘力300。16歳の金髪ロングの巨乳ちゃんシスター。
戦闘力1980・・・18歳の赤髪で釣り目のへそ出しお姉さん。
戦闘力160・・・40代のオッサン騎士。
戦闘力220・・・70代の老魔術師。
1人だけ変なのが混じってた。
「・・・狙ってません。グリフォンが欲しかっただけで」
一緒じゃねえか。
「他人の物を欲しがるなんて山賊の考え方だと思うけど?」
そう言いながらオレは戦闘力1980から眼を放さなかった。
赤髪ショートのビキニ甲冑のお姉さんは倒れてるが、多分、死んだふりだ。
無傷のはずだから。
耳は人間だ。
それが拙い。
人間で戦闘力500越えはかなりヤバイから。
絶対に裏技をしてる。
オレはそのお姉さんにサッカーボールキックをした。
バキッと側頭部を蹴る。
2メートルは吹き飛んだ。
「――」
ほう。
悲鳴も上げずに『死んだふり』を継続か。
やるじゃん。
「・・・ちょ、何を?」
仲間を傷付けられて戦闘力140が文句を言う中、オレが、
「私がアナタ達を助けた際の見返りは?」
「・・・この命に代えて礼はします」
戦闘力140が答えたが、オレが質問したのは戦闘力1980だ。
「私はアナタに聞いたんだけど?」
ブーツの裏で後頭部をグリグリと踏むと、
「・・・分かったわよ。恩に着てあげるから」
死んだふりを諦めた戦闘力1980のお姉さんがそう答えたのだった。
「じゃあ、何者か、今すぐ教えて。どうしてそんなに強いの?」
「鬼族の末裔らしいわ、何か」
アバウトに戦闘力1980のお姉さんは答えたのだった。
◇
ハイポーションが戦利品の中にあったので、5人に1本ずつくれてやった。
砦にも招く。
「で、何なの、アンタラ? 普通の人間にしてはそこそこ強いけど?」
オレが問うと、
「滅んだナポリー王国の残党さ。王国復興の為に活動してる」
戦闘力140が、オレが興味を削ぐような事を言ってきた。
「あっそ。頑張ってね」
「そっちは何者なんじゃ?」
戦闘力220の爺さんに質問されたので、仕方なく、
「ゼーレ王国で王太子殿下に婚約破棄された公爵令嬢よ。ムカついたから王太子を殴って逃亡中なの」
「待った。その強さは何なんじゃ? それだけ強いのに全く噂が聞こえてこなかったが? ゼーレ王国が情報統制を希いていたのか?」
「いいえ、私の強さは逃亡中にゼレクの森の古代遺跡の魔法陣が発動して妙な空間に閉じ込められた時に修行したからよ」
「修行してもそんなに強くは・・・」
「出方が分からなくてずっとね。体感にして80年かしら? 結構真面目に手記したからね」
「それって古代文明が残した修業の間では・・・ええっと、嘘じゃよな?」
少し嘘だが、
「本当よ。お陰でこの強さ。まあ、強いに越した事はないから」
オレはさらっと言うと、戦闘力140が、
「どうだろう。オレ達の仲間にならないか?」
「何? ナポリー王国の再興に協力しろって事?」
「そうだ。 その力があれば・・・」
「却下ね」
オレはあっさりと言った。
「再興後に殺されるのが眼に見えてるから」
老魔術師やオッサン騎士が苦笑するが、それだと諦めそうになかったので、オレは先手を打って、
「アナタ達、【アイテムボックス】は持ってる?」
「ああ。あるけど?」
「なら、資金提供という形で協力するわ」
そう言ってオレは白金のインゴットを【アイテムボックス】から出して並べ始めた。
その数、1000個。
それでも、白金だけでまだ3分の2は残ってる。
他の財産などは丸々残っていた。
「王国を再興したら倍にして返してね」
全員が白金のインゴットに眼を奪われる中、
「待て待て待て。どうしたんじゃ、この白金のインゴットの数は? 公爵家の個人資産なのか?」
老魔術師が質問したので、オレはさらっと、
「いいえ、違うわ。ゼーレ王国から逃亡したって言ったでしょ? その南側のミント商国でも話が行っていたのか私、手配されててね。ちょいとした行き違いから都市を丸焼きにしちゃって。逃げようとしてる権力者のグリフォンを奪ったら積まれた荷物の中に入ってたのよ、この【アイテムボックス】が」
笑い話のように白状した。
老魔術師が、
「何を笑いながら言っておる。ってか、どこまでが本当なんじゃ、今の話?」
「全部が本当」
「では、都市を襲撃してミント帝国の権力者から財産を奪ったって事ではないか。さすがににそれは拙かろう?」
「ついでに言えば、ルテウス公国に移動したらグリフォンの個人所有を認めてないらしくって、突っ掛かってきた騎士に蹴りを入れたら、また手配。それで今、この森に居るってワケ」
「おまえさん、相当、悪だのう」
老魔術師が呆れる中、
「失礼な。私は正直に生きてるわ。私にちょっかいを掛けてきた連中が馬鹿なのよ」
と胸を張って答えたのだった。
正直に話し過ぎただろうか。
二度と戦闘力140から仲間の勧誘を受けなかった。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇
登場人物。
戦闘力140・・・バジック・ロストイ。黒髪の青年。騎士の系譜。ナポリー王国の再興を夢見る。因みにナポリー王族は戦闘力160のオッサン騎士のチャック・ナポリー3世。
戦闘力1980・・・レナン。赤髪ショートのお姉さん。自称『鬼族の末裔』。
戦闘力220・・・ブルハード。70代の魔術師。元ナポリー王国の宮廷魔術師。
地名。
リティア大森林・・・大陸最大の巨大森林。幾つもの種族が住む。権力の空白地。
ったく、世知辛い世の中だぜ。
ちょっと騎士に蹴りを入れただけでお尋ね者って。
どうせ廃墟なので砦の1階にグリフォンを入れて、オレはグリフォンが背負わされていた荷物を下ろして確認した。
白金や黄金のインゴット。
魔宝石の装飾品。
魔石の原石。
それらが一見、革袋風の【アイテムボックス】3個の中の1個にどっさりと入っていた。
うひょ~。
さすがは都市の権力者だぜ。
貯め込んでやがったな。
これでもう一生遊んで暮らせる財産が手に入った訳だが。
オレの目的は元の身体に戻る事だ。
それにはまず確認しないとならない。
オレの世界の神様は、
『太陽の女神サザンデーテ』
『月の女神ルナシー』
この2神だったが。
どうもこの世界の神様はその2人ではないらしい。
教会の聖印も違ったっぽいし。
確認する必要がある。
完全にオレの世界と違ったらこの世界の神に遭わないとダメだからな。
それにはまず知識が必要な訳で、どうしたものかな、と思ってると、
「――っ!」
オレが一番に外の気配に気付いた。
続いてアル、グリフォンと気付く。
声を潜めたアルが、
『ご主人様』
「ああ、お客さんだ。5人か。気配を消すなんて馬鹿だよなぁ~。それだと敵だと言ってるようなものだろ。今、オレ、機嫌が悪いのに」
『街を丸焼きにするご主人様を攻撃するなんて命知らずもいいところだピョン』
「うるせえよ」
という訳で、砦の外に出て、敵もまだ見えないのに、
『【氷の矢】っ!』
魔法を使った。
20本くらいを放つ。
魔法の失って何も真っ直ぐ飛ぶだけじゃないんだぜ。
【追尾】をプラスしたら砦の城壁を迂回して獲物を狙えるからな。
「ギャアア」
「グアアア」
とか遠くで聞こえたのでオレは満足して声がした方に足を運んだ。
リティア大森林の廃墟の砦の城壁の前で5人が氷漬けになったり、血を流したりして倒れていた。
「私に何の御用かしら?」
女口調で質問したのは、オレの情報を与えたくなかったからだ。
他の世界の情報を持ってるなんてバレれたら、ヤバイ秘密結社や邪教に狙われるかもしれないからな。
「・・・た、助けて下さい」
と命乞いをしたのは戦闘力140の黒髪の青年だった。
「私の命を狙ったのに命乞い?」
と馬鹿にしながら、オレが注目したのは戦闘力140ではなかった。
他に4人居た訳だが、
戦闘力300。16歳の金髪ロングの巨乳ちゃんシスター。
戦闘力1980・・・18歳の赤髪で釣り目のへそ出しお姉さん。
戦闘力160・・・40代のオッサン騎士。
戦闘力220・・・70代の老魔術師。
1人だけ変なのが混じってた。
「・・・狙ってません。グリフォンが欲しかっただけで」
一緒じゃねえか。
「他人の物を欲しがるなんて山賊の考え方だと思うけど?」
そう言いながらオレは戦闘力1980から眼を放さなかった。
赤髪ショートのビキニ甲冑のお姉さんは倒れてるが、多分、死んだふりだ。
無傷のはずだから。
耳は人間だ。
それが拙い。
人間で戦闘力500越えはかなりヤバイから。
絶対に裏技をしてる。
オレはそのお姉さんにサッカーボールキックをした。
バキッと側頭部を蹴る。
2メートルは吹き飛んだ。
「――」
ほう。
悲鳴も上げずに『死んだふり』を継続か。
やるじゃん。
「・・・ちょ、何を?」
仲間を傷付けられて戦闘力140が文句を言う中、オレが、
「私がアナタ達を助けた際の見返りは?」
「・・・この命に代えて礼はします」
戦闘力140が答えたが、オレが質問したのは戦闘力1980だ。
「私はアナタに聞いたんだけど?」
ブーツの裏で後頭部をグリグリと踏むと、
「・・・分かったわよ。恩に着てあげるから」
死んだふりを諦めた戦闘力1980のお姉さんがそう答えたのだった。
「じゃあ、何者か、今すぐ教えて。どうしてそんなに強いの?」
「鬼族の末裔らしいわ、何か」
アバウトに戦闘力1980のお姉さんは答えたのだった。
◇
ハイポーションが戦利品の中にあったので、5人に1本ずつくれてやった。
砦にも招く。
「で、何なの、アンタラ? 普通の人間にしてはそこそこ強いけど?」
オレが問うと、
「滅んだナポリー王国の残党さ。王国復興の為に活動してる」
戦闘力140が、オレが興味を削ぐような事を言ってきた。
「あっそ。頑張ってね」
「そっちは何者なんじゃ?」
戦闘力220の爺さんに質問されたので、仕方なく、
「ゼーレ王国で王太子殿下に婚約破棄された公爵令嬢よ。ムカついたから王太子を殴って逃亡中なの」
「待った。その強さは何なんじゃ? それだけ強いのに全く噂が聞こえてこなかったが? ゼーレ王国が情報統制を希いていたのか?」
「いいえ、私の強さは逃亡中にゼレクの森の古代遺跡の魔法陣が発動して妙な空間に閉じ込められた時に修行したからよ」
「修行してもそんなに強くは・・・」
「出方が分からなくてずっとね。体感にして80年かしら? 結構真面目に手記したからね」
「それって古代文明が残した修業の間では・・・ええっと、嘘じゃよな?」
少し嘘だが、
「本当よ。お陰でこの強さ。まあ、強いに越した事はないから」
オレはさらっと言うと、戦闘力140が、
「どうだろう。オレ達の仲間にならないか?」
「何? ナポリー王国の再興に協力しろって事?」
「そうだ。 その力があれば・・・」
「却下ね」
オレはあっさりと言った。
「再興後に殺されるのが眼に見えてるから」
老魔術師やオッサン騎士が苦笑するが、それだと諦めそうになかったので、オレは先手を打って、
「アナタ達、【アイテムボックス】は持ってる?」
「ああ。あるけど?」
「なら、資金提供という形で協力するわ」
そう言ってオレは白金のインゴットを【アイテムボックス】から出して並べ始めた。
その数、1000個。
それでも、白金だけでまだ3分の2は残ってる。
他の財産などは丸々残っていた。
「王国を再興したら倍にして返してね」
全員が白金のインゴットに眼を奪われる中、
「待て待て待て。どうしたんじゃ、この白金のインゴットの数は? 公爵家の個人資産なのか?」
老魔術師が質問したので、オレはさらっと、
「いいえ、違うわ。ゼーレ王国から逃亡したって言ったでしょ? その南側のミント商国でも話が行っていたのか私、手配されててね。ちょいとした行き違いから都市を丸焼きにしちゃって。逃げようとしてる権力者のグリフォンを奪ったら積まれた荷物の中に入ってたのよ、この【アイテムボックス】が」
笑い話のように白状した。
老魔術師が、
「何を笑いながら言っておる。ってか、どこまでが本当なんじゃ、今の話?」
「全部が本当」
「では、都市を襲撃してミント帝国の権力者から財産を奪ったって事ではないか。さすがににそれは拙かろう?」
「ついでに言えば、ルテウス公国に移動したらグリフォンの個人所有を認めてないらしくって、突っ掛かってきた騎士に蹴りを入れたら、また手配。それで今、この森に居るってワケ」
「おまえさん、相当、悪だのう」
老魔術師が呆れる中、
「失礼な。私は正直に生きてるわ。私にちょっかいを掛けてきた連中が馬鹿なのよ」
と胸を張って答えたのだった。
正直に話し過ぎただろうか。
二度と戦闘力140から仲間の勧誘を受けなかった。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇
登場人物。
戦闘力140・・・バジック・ロストイ。黒髪の青年。騎士の系譜。ナポリー王国の再興を夢見る。因みにナポリー王族は戦闘力160のオッサン騎士のチャック・ナポリー3世。
戦闘力1980・・・レナン。赤髪ショートのお姉さん。自称『鬼族の末裔』。
戦闘力220・・・ブルハード。70代の魔術師。元ナポリー王国の宮廷魔術師。
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リティア大森林・・・大陸最大の巨大森林。幾つもの種族が住む。権力の空白地。
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