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大鳥家の人々、その1、夕食会
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夜7時、大鳥家の大豪邸の食堂に手塚大也がやってきた訳だが、その食堂には大也の他に8人もの大鳥家の人間が勢揃いしていた。
当主の大鳥颯太。
颯太の後妻で夫人の30代の大鳥和美。
颯太の長男で前妻の血筋の28歳の大鳥緋色。
颯太の長女で前妻の血筋の25歳の大鳥美鳥。
颯太の次男で愛人の血筋の21歳の大鳥武流雨。
颯太の三男で後妻の血筋の6歳の大鳥紀伊路。
颯太の弟で40代の大鳥宗次。
颯太の妹で40代の大鳥奏子。
「大也君、18時56分だよ?」
颯太が柱時計を指差しながら大也に教えた。
食堂内は豪奢な家具が揃い、西洋アンティークの柱時計もある。
だが、この食堂の最大の特徴は上座の壁に飾られた颯太の肖像画だった。
そして長机が置かれた食堂の席順だが、横に長い上座側には大鳥一族がずらりと並び、下座側には大也1人の席だけが用意されていた。
まるで面接されるかのような歪な席順の食事会だった。
「はい、そうですね」
「食事は夜7時からと言ったよね?」
「ですので、4分前に来ましたが?」
「次からは5分前行動を心掛けるようにね」
「はぁ~い」
大也は『面倒臭っ』と思いながらそう素直に従ったのだった。
「軽く紹介をしておこう。まずは妻の和美だ」
「和美です、よろしくね」
と会釈をしたのは真っ赤なドレスを纏った和美だったが、長い黒髪を巻き毛にして化粧は薄いが睫毛の長いバタ臭い顔でスタイルも良かった。32歳らしいが20代中盤で通る若さだ。
「若っ!」
と素のリアクションを取った大也が、
「相当女好きなんですね、颯太さんって」
「屋敷では当主と呼ぶように」
「当主は」
「それと、別に女好きじゃないから」
「そうですか。あっ、手塚です。よろしくお願いします」
「手塚島の宗家の一族でいいのよね?」
「はい、そうです」
「それは立派な家系ね」
「そうですか? 母子家庭で父が誰かも分からないんですが?」
大也がそう苦笑すると、颯太以外の全員が意味深に颯太を見た。
視線を受けた颯太が、
「ん? ワシの子ではないから安心しろ。というか、ワシの血だったら大也君を大鳥家の後継に添えてるんだがな」
「高評価、痛み入ります」
大也が白々しくお辞儀をする中、
「そこに居るのはワシの長男の緋色。大鳥家の後継だ。息子が喧嘩を売らぬ限りは潰さぬようにな、大也君」
颯太が紹介した緋色は182センチで眼鏡を掛けた青年だった。
外見であだ名を付けたら絶対に『インテリヤクザ』となる風貌でもあった。カラーシャツにネクタイなのだからそう言われても仕方がない。
「よろしくね。手塚君」
「はい、後継者様」
「次が美鳥。少し年上だが、もし良ければ付き合ってくれても構わんからな」
「もうお父様ったら。手塚の御曹司が困ってらっしゃるじゃないの」
そう答えた時、柱時計が19時の時刻を告げて夕食が運ばれてきたのだった。
当主の大鳥颯太。
颯太の後妻で夫人の30代の大鳥和美。
颯太の長男で前妻の血筋の28歳の大鳥緋色。
颯太の長女で前妻の血筋の25歳の大鳥美鳥。
颯太の次男で愛人の血筋の21歳の大鳥武流雨。
颯太の三男で後妻の血筋の6歳の大鳥紀伊路。
颯太の弟で40代の大鳥宗次。
颯太の妹で40代の大鳥奏子。
「大也君、18時56分だよ?」
颯太が柱時計を指差しながら大也に教えた。
食堂内は豪奢な家具が揃い、西洋アンティークの柱時計もある。
だが、この食堂の最大の特徴は上座の壁に飾られた颯太の肖像画だった。
そして長机が置かれた食堂の席順だが、横に長い上座側には大鳥一族がずらりと並び、下座側には大也1人の席だけが用意されていた。
まるで面接されるかのような歪な席順の食事会だった。
「はい、そうですね」
「食事は夜7時からと言ったよね?」
「ですので、4分前に来ましたが?」
「次からは5分前行動を心掛けるようにね」
「はぁ~い」
大也は『面倒臭っ』と思いながらそう素直に従ったのだった。
「軽く紹介をしておこう。まずは妻の和美だ」
「和美です、よろしくね」
と会釈をしたのは真っ赤なドレスを纏った和美だったが、長い黒髪を巻き毛にして化粧は薄いが睫毛の長いバタ臭い顔でスタイルも良かった。32歳らしいが20代中盤で通る若さだ。
「若っ!」
と素のリアクションを取った大也が、
「相当女好きなんですね、颯太さんって」
「屋敷では当主と呼ぶように」
「当主は」
「それと、別に女好きじゃないから」
「そうですか。あっ、手塚です。よろしくお願いします」
「手塚島の宗家の一族でいいのよね?」
「はい、そうです」
「それは立派な家系ね」
「そうですか? 母子家庭で父が誰かも分からないんですが?」
大也がそう苦笑すると、颯太以外の全員が意味深に颯太を見た。
視線を受けた颯太が、
「ん? ワシの子ではないから安心しろ。というか、ワシの血だったら大也君を大鳥家の後継に添えてるんだがな」
「高評価、痛み入ります」
大也が白々しくお辞儀をする中、
「そこに居るのはワシの長男の緋色。大鳥家の後継だ。息子が喧嘩を売らぬ限りは潰さぬようにな、大也君」
颯太が紹介した緋色は182センチで眼鏡を掛けた青年だった。
外見であだ名を付けたら絶対に『インテリヤクザ』となる風貌でもあった。カラーシャツにネクタイなのだからそう言われても仕方がない。
「よろしくね。手塚君」
「はい、後継者様」
「次が美鳥。少し年上だが、もし良ければ付き合ってくれても構わんからな」
「もうお父様ったら。手塚の御曹司が困ってらっしゃるじゃないの」
そう答えた時、柱時計が19時の時刻を告げて夕食が運ばれてきたのだった。
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