25人の怪人、日本の覇権を賭けてバトルロイヤルす

竹井ゴールド

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本編

14、お星サマ怪人の最後の願い

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お星サマ怪人はヒトデのような形状である。

顔はアニメや「ゆるキャラ」のようにファンシーなのが飼体に描かれていた。

その為、背中側(裏側)から接近すれば見えないのだ。

よって無許可ドローンを飛ばして山中に潜むお星サマ怪人を発見して、地上から徒歩で移動して翔が接近する事も可能なのである。

翔は怪人化すると問答をする事もなく不意討ちで襲いかかった。

狙うのは命ではない。

そんな事をすればあの願い事があるのでカウンターで「こっちが死ぬ」事になる。

まずは手に持ってる笹だ。あれを奪う。

「お星サマ怪人から笹を分離させれば『願い事』は叶わないはず」と考察しての判断だった。

「えっ、きゃあ、誰?」

背後からだとマジで分からないのでお星サマ怪人が人間のように驚く中、翔は彼を奪おうとしたのだが――奪えなかった。手(星の角)に付着していて。

そうなのだ。あの笹はお星サマ怪人が掴んでいるのではなかった。掴んでいるように見せて生えていたのだ。人間でいう髪や爪と一緒だ。生えてて外れない。

手刀での切断を試みたが、今の翔は弱ってる。元々切れない仕様だったのか切れなかった。

そんな中、お星サマの取った行動は、

「もう、誰よ」

飛行である。ブワっと空中に移動した。

最悪だった。翔は今飛べないのだから。

翔は空に飛んだお星サマの腕(星の角)に必死に掴まりながら笹に手を伸ばす。笹を折ろうと頑張る訳だが、さすがは怪人の身体の一部だ。折れもしない。

だが、その諦めない悪戦苦闘が良かったらしい。

笹に手を掛けてる時に偶然、飾られてた黒色の短冊に触れた。すると短冊の方がヒラッと簡単に取れたのだ。

何だ。短冊は取れるのか。

翔があの物騒な願い事の書かれている文字の残る短冊に手を伸ばした時、

「さっさと離れなさいよ」

お星サマ怪人が回転した。側転だが。それも凄い早さで。

その遠心力で翔はお星サマ怪人から空中に投げ出されて、

「うおっ」

落下を始めたのである。

(クソ、あの願い事を取れなかったっ! ってか、またかよ)

だが翔は墜落の経験者だ。この高度なら大丈夫な事を知っている。

なのでお星サマ怪人を見たのだが、むこうもようやく翔を視認した。

そしてファンシーな星型のビームを撃ってくる。

形状こそギャグだが、

「ぐああああああああ」

モロに喰らって翔は大ダメージを受けて、そのまま落下したのだった。

追撃せずにそのまま飛び去ったのはお星サマ怪人の愛華の甘さである。

重力で叩き付けられた地上でそれを見送った翔はプライドが傷付けられて、

(とどめを刺さない、だと? ――見逃された? 遊ばれてる?)

「クソ」

翔はそう悔しがったのだった。





 ◇





3時間後の事である。

翔には「半完全体」になったアドバンテージがある。

よって他の怪人の居場所が何となく分かるのだ。

更に加えれば無許可ドローンという文明の利器もある。

なので、簡単に森に潜んでいるお星サマ怪人を発見した。まあ、その後の接近する為の山歩きの方が大変だったが。何せ、山道の無い山に潜んでるので。地上から近付くのは一苦労だ。

だからだろうか。お星サマ怪人も安全だと決めて掛かって完全に無警戒だった。お陰でまたもや背後(裏側)から接近出来た。そして「願い事」の短冊に手を伸ばす。だが、文字の書かれた短冊は引っ張っても取れなかった。

(はあ? どうして取れないんだ? 願い事を叶えていないからか?)

「えっ? 誰?」

飛ばれたら面倒臭い事になる。とりあえず半殺しにして飛ばせなくするか。

問答無用で翔は手刀でお星サマの身体を貫通させようと突いた。だが堅い。翔が弱ってる上に、相手も「第2形態」だったので。2発喰らわしたがやはり無理だった。相手の防御力の方が翔の攻撃力よりも上で。裏側は駄目だ。表側を攻撃してみよう。

振り返ろうとするお星サマ怪人と翔の意見が一致して振り返ったところを翔はその顔面の眼に思いっきり手刀を突き刺した。ズシャッと手刀が眼を貫通して背中側まで貫通して飛び出す。

おっ、効いた。

「きゃあああああああ」

なら、もう1発だ。もう片方の目にも手刀を放つ。ズシャッと突いたのとお星サマ怪人がビームを放ったのは同時だった。

「きゃあああああ」

「くおおお」

両目を失ったお星サマ怪人と、ビームで吹き飛ぶ翔。

「痛い痛い痛い。眼が。両眼が」

お星サマ怪人は痛み以上に視界を失って何も見えない恐怖の方が勝っているようだ。

翔の方はビームで吹き飛び、地面のない崖まで押し出されて、

「へっ? 嘘ぉぉぉぉぉぉん」

崖下に落下していった。

なのでお星サマ怪人を邪魔する者はいない。

5分ほどの逡巡の後に、

「見えないなんて、どうすれば――そうだわ。願いで治療をすれば」

との結論に達した。

何せ、「願い」の対価が寿命だとは知らないので気楽に考えて。

短冊をもう片方の手(星の角)に出して、眼が見えない中、どうにか願い事を思い浮かべる。短冊に文字が浮かび、笹に願いを飾って発動させた。

そう、それこそが5回目の願いである。

寿命が1%しか残っていないお星サマ怪人の。

そんな訳で、お星サマ怪人の「怪我が治って眼が見えますように」というお気楽な願いは叶えられた。

そして次の瞬間、眼が見えて喜ぶお星サマ怪人の寿命が尽きて、

「あっ、見えたわ、良かった――えっ?」

そのままその場で倒れて、粒子となって空に昇っていったのだった。





お星サマ怪人が死んだ事で不思議能力の「願い事」はようやく総てキャンセルである。

崖にへばり付いてファイト一発をやってた怪人化した翔は瞬時にインテリジェンスが戻った事を悟り、

「あれ、もしかして能力が使える?」

ジェット噴射で崖の上まで飛んできて、粒子が昇る現象の最後の方を見て、

「どうして死んだんだ? そうか、寿命が尽きたのか。願い事を4回して」

勝手に考察して納得しつつ、

「ふざけた怪人だったがこれまでで一番手こずったな。あの寿命で願いが叶う能力、欲しかったんだが。蝙蝠女から奪った寿命を吸う能力があったからコンボで無限に願いを叶えられたっぽいし。寿命で死んだんならオレは使えない訳ね」

翔はそう残念がったのだった。





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