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卒業パーティー前 〜宮殿内でも移動するのに護衛が付く王太子の浮気がバレないなんて物語は存在しない〜
17、結局は北の塔に場所を移して謹慎日数20日追加
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国王カミルが宰相ブラックス・サンドスに調べさせると。
まあ、一国の宰相に調べさせた案件にしては馬鹿馬鹿し過ぎるくらいショボイ案件なのだが。
本当に王太后ムーラの言った通りだった。
「王太子ハミルは先触れを出す事もなくマリーハルケン公爵邸に出向く」という不作法を働いただけではなく、中庭のガゼボで催された「貴婦人達のお茶会に乱入」、皆の前でせめて誕生日パーティーの欠席をエルゼーシア嬢に詫びていれば情状酌量の余地もあったのだが。
婚約者にまさかの「別の令嬢の擁護を命令」。
この場合の別の令嬢とはアンヌ・ラリー子爵令嬢なのだが。
どうも「前日に貴族学校で噴水に突き落とされた子爵令嬢の件」を「エルゼーシア嬢がやらせた」と勘違いしたようだ。
因みに「誰がやらせたか」と言えば、エルゼーシアが口にした通り「王太后ムーラ」だ。
これは国王カミルも断言出来る。
何せ、王太后ムーラが国王カミルと王妃ミラリーと宰相ブラックス・サンドスの3人に相談して決行した王家からその子爵令嬢に対しての「王家の政略に干渉した事に対する警告」なのだから。
それなのにハミルが何を勘違いしたのか、エルゼーシア嬢に喰ってかかっている。
それも満座で。
2人っきりならエルゼーシア嬢に頼んでマリーハルケン公爵家にも黙って貰って「なかった事」に出来なくもなかったが、20人近くが見ていた以上、それも出来ない。
王太子ハミルを処分しない訳にはいかないのだ。
翌日にはアンゼル宮殿の国王執務室に王太子ハミルを呼び出して、
「昨日の顛末の事を聞いたぞ、ハミル。少しは反省したかと見直せば、まさかエルゼーシア嬢に難癖を付けに出向いただけで謝罪もしていないとはな」
「難癖? いえ貴族学校での噴水の件は絶対にエルゼが・・・」
「その貴族学校での子爵令嬢が噴水に落ちた件は王太后の指図だ。余も王妃も宰相も知ってるな」
当然、国王執務室内だけのオフレコである。
貴族令嬢に対してそんな事を「王家がした」などとは口が裂けても言えないので。
だが、王太子ハミルは怒りで視野が狭くなっているのか、
「ですからエルゼが王太后陛下に頼み込んで・・・」
「違うわ。王太后が貴族に頼まれてそのような事をする訳がなかろうが。王家だぞ。そんな事も分からぬとはな。自室での謹慎など生ぬるい。抜け出した罰だ。ハミルを北の塔の最上室に入れよ。追加で謹慎20日だ」
聞き訳の悪い王太子ハミルに対して、国王カミルは追加で処罰を下したのだった。
◇
アンゼル宮殿からマリーハルケン公爵邸に書状が届いた。
届けられた書状は王妃ミラリーによるハミルのヤラカシによる詫び状だった。
使者は手紙を届けてさっさと帰っていったが、マリーハルケン公爵に滞在中のエドモンドが手紙を読み、
「王家は詫び状だけで済ませるつもりか? 我がマリーハルケン公爵家も随分と舐められたものだな。ワシが当主の頃は利権や役職を王家からむしり取ったものだが。エドック、ちゃんとやっておるのか?」
少し心配そうに息子である現当主のエドックを見た。
この場所は執務室で、現在はエドックとエドモンドの2人しかいない。
エドックは父親のがめつい性分に苦笑しながらも、
「いいではありませんか、殿下も北の塔で反省しているようですし」
「反省するかのう。逆だと思うがな。エルゼのせいだ、と今頃怒り狂ってると思うが」
と笑ったエドモンドがもう1つのエドモンド宛てに届いた手紙を手でヒラヒラとさせて、
「それに比べて、我が義姉、王太后陛下は相変わらず怖いわ」
「なんて書いてあったのですか?」
「王都アンゼルから帰る日時を合わせようと言ってきたわ」
「それのどこが怖いのですか?」
「ん? 分からぬのか、エドック? ・・・そうか、あれがあったのは40年前だからのう。分からぬではなく知らぬのか」
真意が分からず真顔で問うエドックにエドモンドが納得したように呟いた。
「?」
「まあ、嫌でもその日になれば分かるわ。楽しみに待っておれ」
まあ、一国の宰相に調べさせた案件にしては馬鹿馬鹿し過ぎるくらいショボイ案件なのだが。
本当に王太后ムーラの言った通りだった。
「王太子ハミルは先触れを出す事もなくマリーハルケン公爵邸に出向く」という不作法を働いただけではなく、中庭のガゼボで催された「貴婦人達のお茶会に乱入」、皆の前でせめて誕生日パーティーの欠席をエルゼーシア嬢に詫びていれば情状酌量の余地もあったのだが。
婚約者にまさかの「別の令嬢の擁護を命令」。
この場合の別の令嬢とはアンヌ・ラリー子爵令嬢なのだが。
どうも「前日に貴族学校で噴水に突き落とされた子爵令嬢の件」を「エルゼーシア嬢がやらせた」と勘違いしたようだ。
因みに「誰がやらせたか」と言えば、エルゼーシアが口にした通り「王太后ムーラ」だ。
これは国王カミルも断言出来る。
何せ、王太后ムーラが国王カミルと王妃ミラリーと宰相ブラックス・サンドスの3人に相談して決行した王家からその子爵令嬢に対しての「王家の政略に干渉した事に対する警告」なのだから。
それなのにハミルが何を勘違いしたのか、エルゼーシア嬢に喰ってかかっている。
それも満座で。
2人っきりならエルゼーシア嬢に頼んでマリーハルケン公爵家にも黙って貰って「なかった事」に出来なくもなかったが、20人近くが見ていた以上、それも出来ない。
王太子ハミルを処分しない訳にはいかないのだ。
翌日にはアンゼル宮殿の国王執務室に王太子ハミルを呼び出して、
「昨日の顛末の事を聞いたぞ、ハミル。少しは反省したかと見直せば、まさかエルゼーシア嬢に難癖を付けに出向いただけで謝罪もしていないとはな」
「難癖? いえ貴族学校での噴水の件は絶対にエルゼが・・・」
「その貴族学校での子爵令嬢が噴水に落ちた件は王太后の指図だ。余も王妃も宰相も知ってるな」
当然、国王執務室内だけのオフレコである。
貴族令嬢に対してそんな事を「王家がした」などとは口が裂けても言えないので。
だが、王太子ハミルは怒りで視野が狭くなっているのか、
「ですからエルゼが王太后陛下に頼み込んで・・・」
「違うわ。王太后が貴族に頼まれてそのような事をする訳がなかろうが。王家だぞ。そんな事も分からぬとはな。自室での謹慎など生ぬるい。抜け出した罰だ。ハミルを北の塔の最上室に入れよ。追加で謹慎20日だ」
聞き訳の悪い王太子ハミルに対して、国王カミルは追加で処罰を下したのだった。
◇
アンゼル宮殿からマリーハルケン公爵邸に書状が届いた。
届けられた書状は王妃ミラリーによるハミルのヤラカシによる詫び状だった。
使者は手紙を届けてさっさと帰っていったが、マリーハルケン公爵に滞在中のエドモンドが手紙を読み、
「王家は詫び状だけで済ませるつもりか? 我がマリーハルケン公爵家も随分と舐められたものだな。ワシが当主の頃は利権や役職を王家からむしり取ったものだが。エドック、ちゃんとやっておるのか?」
少し心配そうに息子である現当主のエドックを見た。
この場所は執務室で、現在はエドックとエドモンドの2人しかいない。
エドックは父親のがめつい性分に苦笑しながらも、
「いいではありませんか、殿下も北の塔で反省しているようですし」
「反省するかのう。逆だと思うがな。エルゼのせいだ、と今頃怒り狂ってると思うが」
と笑ったエドモンドがもう1つのエドモンド宛てに届いた手紙を手でヒラヒラとさせて、
「それに比べて、我が義姉、王太后陛下は相変わらず怖いわ」
「なんて書いてあったのですか?」
「王都アンゼルから帰る日時を合わせようと言ってきたわ」
「それのどこが怖いのですか?」
「ん? 分からぬのか、エドック? ・・・そうか、あれがあったのは40年前だからのう。分からぬではなく知らぬのか」
真意が分からず真顔で問うエドックにエドモンドが納得したように呟いた。
「?」
「まあ、嫌でもその日になれば分かるわ。楽しみに待っておれ」
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