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聖剣士強襲編
少女達、懇願する
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武光は戸惑った。
「……え? ちょっと待って……その犬の名前、『たけみつ』って言うんか……?」
「そ、そうよ!! それがどうしたって言うのよ!!」
武光の質問に対し、赤い鎧の少女は噛み付くように答えた。
「いや、俺と同じ名前やから……」
「はぁ!? 適当な事言わないでよ!! 貴方みたいな野盗と……姫様の愛犬の名前が同じワケないでしょ!!」
「お、おいクレナ!!」
「く、クレナさん!!」
「ハッ!? ご、ごめん……ミーナ、キクちゃん!!」
『ミーナ』こと、青い鎧の少女、ミナハ=ブルシャークと、『キクちゃん』こと、黄色い鎧の少女キクチナ=イェロパンサに咎められ、赤い鎧の少女……クレナ=レディーグルは慌てて口を押さえたものの、『時、既に遅し』である。
焦りまくる少女達に武光は質問した。
「その犬が『姫様の愛犬』っちゅう事は……この先に飼い主の姫様とやらもおるって事やな?」
「く、口が裂けてもそれは言えん!!」
「そーよ!! 言えないわ!!」
「い、言えません!!」
「うん、その反応は『います』って言うてるようなもんやな」
武光にツッコまれて、少女達はぐぬぬと唸った。
「もしかしてやけど、その『姫様』って……ミトの事か?」
武光は、前回この世界に連れて来られた際に、共に魔王討伐の旅をした剣の天才にして、アナザワルド王国第三王女である少女の名を出したが、名前を出した途端、少女達に激しく睨みつけられた。
「き、貴様っ……!! 我らが姫、アナザワルド王国第三王女、ミト=アナザワルド様を呼び捨てにするとは……!!」
「野盗め……何て無礼なの……!!」
「ゆ、許せません……!!」
「ちょっ、ちょっと待て……って、わーーーーーっ!?」
怒れる少女達にボコボコにされる武光を見て、武光が強いのか弱いのか、再び分からなくなってしまったフリードであった。
「くっ……ええ加減にせえコラアアアアア!!」
ボコボコにされていた武光が、とうとうキレた。大声一喝、武光は少女達を黙らせると、懐から一枚の紙を取り出し、水○黄門の印籠の如く、少女達に突き付けた。
「ええぃ……者共、控えぃ!! これが目に……入らぬかーーーっ!!」
「何だこの紙キレは……?」
「友人……御免状……!?」
「い、一体何なんでしょう……?」
武光の取り出した紙を、怪訝な表情で見つめていた少女達だったが、紙に書いてある内容を読むにつれ、その表情は次第に驚愕へと変わっていった。
武光が少女達に突き付けた紙には、アナザワルド王国第三王女である、ミト=アナザワルドに対し、『臣下の礼を取る事なく、対等に振る舞う事を許す』という旨の文が、現国王、ジョージ=アナザワルド3世の署名と共に書かれており、王家の花押もバッチリ押してあった。
武光が取り出した紙……《友人御免状》は、先の大戦の折、アナザワルド王国の第三王女であるミトが、武光やナジミと魔王討伐の旅をする事となった際、国王がワガママ娘を諌める為に武光とナジミに下賜した物で、これを持っていない者が王家の姫君を呼び捨てになどしようものなら……不敬罪で打ち首は免れない。
「そう言えば聞いた事がある……!!」
ただただ唖然としていた三人だったが、しばらくして、ミナハが声を発した。
「姫様の犬の名前は……先の大戦の折、一緒に旅をした仲間の名から取った……と」
「へ、変な名前だと思っていたけど、そんな由来が……」
「ああ、眉毛がそっくりだと仰っていた」
それを聞いたキクチナは仔犬を抱き上げると、仔犬と武光の顔を交互に見比べた。
「た、確かに似てます!! ま、眉毛がそっくりです!!」
三人の少女は互いに見合わせ、頷き合った後、意を決したように武光に問うた。それは、かつてミト姫と共に旅をしていたという仲間が、困難に立ち向かわねばならぬ時、自分を奮い立たせる為によく言っていたという異国の言葉……
「「「 へのつっぱりは……!?」」」
少女達からの問いに、武光は力強く答えた。
「いらんですよ!!」
少女達はぶるりと身を震わせた。
「おお……!!」
「言葉の意味は分からないけど……!!」
「と、とにかく凄い自信です……!!」
武光の答えを聞いた少女達は、力が抜けたかのように崩折れた。
「お、おい!? どないしたんや、大丈夫か!?」
武光達は少女達に駆け寄ったが、三人共ボロボロと大粒の涙を流している。武光はクレナを落ち着かせるように優しく声をかけた。
「何があったんや……?」
「ううっ……お、お願い……しますっ……姫様を……姫様を助けてぇぇぇっ!!」
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