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本拠地突入編・2
隊員達、突入する
しおりを挟む163-①
「あれだな……!!」
フリード達の眼前にソウザン城の正門が迫る。
「行くぞ……黒王ッッッ!!」
フリードが右手に力を込めると、フリードの右手が指先から徐々に黒く染まってゆき、右肘の辺りまで侵食したソレは、竜の頭部へと姿を変えた。
「よーし……行けぇぇぇぇぇぇぇぇぇっ!! 黒王……紫炎咆ーーーーーーーーーッッッ!!」
“グォアアアアアアアアアッッッ!!”
フリードが振り上げた右拳を勢いよく前方に突き出すと、右手の黒王が紫色の炎を吐いた。
黒王が吐き出した猛烈な炎が分厚い城門を焼き、破壊してゆく。
突然の襲撃者に対し、門番達が慌てて出て来るが、炎のあまりの勢いにフリード達に近付けないでいる。そしてとうとう……門に巨大な穴が空いた。
「……っしゃあああああ!! ブチ破ってやったぞ!! 俺に続けーーー!!」
「「「「応ッッッ!!」」」」
門の破壊に成功したフリード達は勢い良く城内に突入していった。
そして、その様子を馬上から遠眼鏡で見ていたロイは、遠眼鏡をしまうと、武光から預かったリヴァルの剣、獅子王鋼牙をゆっくりとソウザン城の方へ向けた。
「全軍……突入せよ!!」
163-②
ソウザン城の門番は城内に侵入した狼藉者を追いかけようとして足を止めた。
……後方から蹄の音が聞こえる。それも一つや二つではない、かなりの数だ。
その音が徐々に近付いて来る。
門番が恐る恐る振り向くと、五十騎以上の騎馬軍団が土煙を巻き上げながら、一直線にこちらに向かって来るではないか。
更に、騎馬軍団の先頭で馬を駆る人物を見て、門番は言葉を失った。
紫の外套に、鈍く輝く銀の鎧、そして……ギラリと輝く髑髏の仮面……間違い無い……馬上の人物こそ、王国軍最強・『白銀の死神』ロイ=デストであると。
腰を抜かしてへたり込む門番の眼前で、ロイは全軍停止の指示を出すと、眼下の門番に声をかけた。
「おい……貴様」
「は、ハイッ!!」
「我々は、畏れ多くもヴアン=アナザワルド大公殿下の御命を狙う不届き者を追っている。通してもらうぞ?」
断る事など出来ようはずもなかった。ロイの放つ、殺気に満ちた威圧感を前に、門番は言葉を発する事も出来ずにただ頷く事しか出来なかった。
「よし……お前達、何としてもヴアン大公の身柄を確保し、お守りするのだ!!」
命令を受けたロイの麾下の精兵達は次々と下馬し、城内に突入した。
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