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本拠地突入編・2

オールスター、バトる(前編)

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 171-①

 フリード達の救援に駆けつけた元祖武刃団の四人を睨みつけていた01はある事に気付いた。

「オイ!! 02、03、あのガキ共がいねぇぞ!!」

 室温を10℃くらい上昇させんばかりの武刃団の名乗りにシスターズが圧倒されている隙を突いて、三人娘は武光達のもとに集結していた。

「……ナジミ、フリード達の治療を!!」
「任せて下さい、武光様!!」

 武光の指示を受け、ナジミが癒しの力でフリード達の傷を治療する。

「皆、よく無事で……良かった」
「姐さん、何も泣かなくても……」
「ありがとうございます、副隊長!!」
「た、助かりました……ナジミ副隊長」
「よし……我々も隊長殿と共に行こう!!」

 元祖武刃団と治療を終えた天照武刃団の面々がそれぞれ武器を構えたのを見た武光は、悪役感爆発の笑みを浮かべると、イットー・リョーダンの切っ先をシスターズへと勢いよく向けた。

 戦闘開始に際し、時代劇俳優として、悪役として、やはりこの台詞は言っておくべきであろう…………それでは皆様、ご唱和下さい!!



「……皆の者!! 此奴こやつらを斬れッッッ!! 斬り捨てぇぇぇいッッッ!!」



 雄叫びと共に、元祖武刃団と天照武刃団の面々は突撃した。

 171-②

 クレナとキクチナ、そしてリョエンはクウレツオウ01と対峙した。

「オイ、そこの丸眼鏡のオッサン……さっきはよくもやってくれたなぁオイ!! テメェは絶対に許さねぇ!!」

 クウレツオウ01はリョエンに憎悪のこもった視線を向けたが、リョエンは動じる事なく、剣道用の籠手こてを五本指にしたようなグローブ……火術を使う際に炎から手を守る為の《耐火籠手たいかごて》をはめた右手を、空中にいる01へと向けた。

「火術、火炎弾!!」

 無数の火の玉が01目掛けて飛んで行くが、01は敢えてそれを避けなかった。
 無数の火炎弾の直撃を受けながら、01は平然と笑う。

「ハハハハハ!! 無駄だ無駄だ、私のクウレツオウにそんな攻撃が効くもんか!!」
「ええ、ただの目眩めくらましですから、効かなくても問題ありません」
「なっ!?」
「キクチナ君!!」
「は、ハイ!!」

 “ドスッ!!”

「うっ!?」

 01の右上の翼に、キクチナの放った雷導針が突き刺さった。

「め、命中です!!」
「よろしい、それではキクチナ君の研鑽けんさんぶりを見せてもらうとしましょうか」
「は、ハイ!! 雷術……震天霹靂しんてんのへきれき!!」

 キクチナの放った一条の稲妻は雷導針に導かれて、01の翼を “バチンッ!!” と直撃した。だが、01は余裕の笑みを浮かべている。

「へっ!! 痛覚を消去してもらった今の私にそんな攻撃が効くわけ……な、何だ!? 翼が!?」

 01は突然落下し、大理石の床に叩きつけられた。

「……今だテンガイ!!」
〔ガッテンショウチ!!〕

 リョエンは墜落した01に接近すると、雷導針を打ち込む為に開発した愛槍、《機槍・テンガイ》による刺突を繰り出した。
 機槍・テンガイは、槍の穂の部分が大型の雷導針になっており、相手に突き刺した後に穂をから引き抜く事で次の穂が装填そうてんされる仕組みとなっている。
 01の左の翼を刺し貫いたリョエンは素早く後方に跳んで間合いを取った。

「くっ……こんなもの……痛くもかゆくも──」
震天霹靂しんてんのへきれきっ!!」

 再び飛び立とうとした01にクチナの放った稲妻が “バチンッ!!” と直撃し、01は飛び立つ事が出来なかった。

「グッ……何でだ!! こんな攻撃、痛くも痒くもねぇってのに……何で翼が動かねーんだよ!!」
「やれやれ、痛みも感じず、不死身に近い影魔獣の肉体を持つが故に、貴女は大事な事を見落としてしまっているようですね」
「な、何がだ!!」

 悪態をく01に対し、リョエンは冷静に告げた。

「……『痛みを感じない』という事と『攻撃が効かない』という事は全く別です。私の雷術の一番弟子と、その一番弟子の親友を傷付けた貴女には、少々痛い目に遭ってもらいます!!」
「何だとこのやろ──」
「雷術……大雷蛇だいらいじゃ!!」

 “ドォォォンッッッ!!”

「うおっ!? て、テメェ──」

 “ドォォォンッッッ!!”

「く、クソッ!! ふざけ──」

 “ドォォォンッッッ!!”

 01が身動きしようとする度にリョエンが雷を落とす。

 キクチナは、自分の雷術とは比べ物にならない威力の雷撃を涼しい顔で落とし続けるリョエンを見て、尊敬と畏怖の念が混ざった感情を抱いた。

「この……クソがぁぁぁぁぁっ!!」
「むっ!?」

 雷を落とされる度に、徐々に体の自由が効かなくなってゆく。焦った01は雷導針が突き刺さった左右の翼をトカゲの尻尾切りのように自切して雷撃から逃れると、リョエンに向かって突撃した。

「ブッ殺す!!」
「ぐっ!?」

 01が右肘みぎひじから先をナタ状へと変化させ、真っ向から振り下ろす。リョエンは咄嗟とっさにテンガイを頭上に掲げ、の部分で何とか受け止めた。

「ククク……術は得意でも、斬り合い殴り合いは苦手みたいだなぁオッサンよ?」
「うぐぐ……」
〔ガンバレ!! ワガ アルジ!!〕

 見た目は少女でも、影魔獣である。力負けし、リョエンは首を斬られそうになったが……

「副隊長直伝っ!!」
「よ、48の退魔技の一つ!!」

「「……流星跳躍蹴りゅうせいちょうやくげりっっっ!!」」

「ぐあっ!?」

 間一髪、クレナとキクチナがナジミ直伝のツープラトンのドロップキック(に酷似した技)で01を吹っ飛ばした。

「私達を忘れてもらっちゃ困るよっ!!」
「リョエン先生、近接戦は私達に任せて下さい!!」
「すまない……情けないが、近接戦闘は君達に頼った方が良さそうだ」

 再び立ち上がってきた01に対し、三人は改めて武器を構えた。

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