斬られ役、異世界を征く!! 弐!!

通 行人(とおり ゆきひと)

文字の大きさ
179 / 282
本拠地突入編・2

斬られ役、極意を語る

しおりを挟む

 179-①

 武光とイットー・リョーダンによって、サンガイハオウは三つに分断された。

 三つに分断されたかたまりがモゴモゴと動き、徐々に人型に戻ってゆく。

「どうだ……!?」
〔こ、これは……!!〕

 なんとか人型には戻ったものの、三人の姿はまるで泥とヘドロで作られた人形のような醜悪な姿であった。

「お前らー!! 大丈夫か!?」
「アア……アアア……」
「オオ……オオオ……」
「ウウ……ウウウ……」

 武光の呼びかけに対しても苦しそうなうめき声を上げるのみだ。どうやら、肉体を再生させようとしているようだが上手く再生出来ないでいるようだ。
 その様子を階段の踊り場から見下ろしていたシルエッタは嘲笑あざわらった。

「フフフ……愚かですね、敵を救おうなどと──」
「うるせぇ!!」

 武光はシルエッタに向けて “ブッ!!” と屁をこいた。

「なっ!?」
「お前なぁ、『役者でもプロレスラーでも、悪役に必要なのは優しさと礼儀正しさ』って言葉を知らんのかっ!!」

 『いや、知りませんけど……』と、困惑するシルエッタを無視して、シスターズの側に屈み込んだ。

「しっかりしろお前ら!!」
「フン……そんな失敗作達を救おうなどと……愚かで、無意味で、無駄な行為ですよ?」
「武光様の優しさを……無駄なんて言わせません!!」
「アスタトの巫女……!!」

 ナジミは武光に寄り添い、暖かな光をまとった右手を、苦しむシスターズにかざした。ナジミの癒しの力によって、シスターズが徐々に元の姿へと戻ってゆく。

「ナジミ……俺のワガママを許してくれるんか?」
「あそこでワガママ言ってくれなかったら、ちょっとだけ嫌いになってたかもしれません。それに……優しさと礼儀正しさが必要なのは、巫女だって同じです!!」

 その光景を見ていたシルエッタは忌々しげに舌打ちした。

「どこまでも不愉快な……!!」

 シルエッタの持つ聖杖の先端にめ込まれた紫の宝玉から無数の触手が出現した。現れた触手は無防備な二人の背中を貫こうとしたが……

「させるかコノヤロー!!」
「武光は……やらせない!!」

 フリードが、ミトが、そして三人娘とリョエンが、二人の盾となって迫り来る触手を斬り飛ばした。

「皆……すまん!!」
「へっ、農家だって優しさと礼儀正しさが必要なんだよ? アニキ」
「全く……本っっっ当にバカなんだから!!」
「ムッ、《素敵☆ポイント》と言え《素敵☆ポイント》と!! れ直させて悪いな?」
「アホか!! 優しさと礼儀正しさが必要なのは、王女だってそうです!!」
「その侍女である私達だって!!」
「うむ!!」
「そ、その通りです!!」
「術士だって例外ではありません!!」
「ちょっと待てやお前ら!? 皆がそれ言うてもうたら……俺の特別感無くなるやん!!」
「良いからアニキは姐さんをしっかり守って!! コレ……隊長命令だからね!!」
「お、おう!!」

 鉄壁の防御陣形を組んだフリード達に対し、シルエッタは微笑んだ。

「ふふ……無駄な事を」
「その言葉、そっくりそのまま返してやるぜ!! アニキ達には……指一本触れさせねぇ!!」
「これでもですか?」
「ゲェーーーッ!?」

 上の階からシルエッタが階段を降りて来た。だが、現れたシルエッタは……二十人もいた!!

しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

99歳で亡くなり異世界に転生した老人は7歳の子供に生まれ変わり、召喚魔法でドラゴンや前世の世界の物を召喚して世界を変える

ハーフのクロエ
ファンタジー
 夫が病気で長期入院したので夫が途中まで書いていた小説を私なりに書き直して完結まで投稿しますので応援よろしくお願いいたします。  主人公は建築会社を55歳で取り締まり役常務をしていたが惜しげもなく早期退職し田舎で大好きな農業をしていた。99歳で亡くなった老人は前世の記憶を持ったまま7歳の少年マリュウスとして異世界の僻地の男爵家に生まれ変わる。10歳の鑑定の儀で、火、水、風、土、木の5大魔法ではなく、この世界で初めての召喚魔法を授かる。最初に召喚出来たのは弱いスライム、モグラ魔獣でマリウスはガッカリしたが優しい家族に見守られ次第に色んな魔獣や地球の、物などを召喚出来るようになり、僻地の男爵家を発展させ気が付けば大陸一豊かで最強の小さい王国を起こしていた。

異世界ほのぼの牧場生活〜女神の加護でスローライフ始めました〜』

チャチャ
ファンタジー
ブラック企業で心も体もすり減らしていた青年・悠翔(はると)。 日々の疲れを癒してくれていたのは、幼い頃から大好きだったゲーム『ほのぼの牧場ライフ』だけだった。 両親を早くに亡くし、年の離れた妹・ひなのを守りながら、限界寸前の生活を続けていたある日―― 「目を覚ますと、そこは……ゲームの中そっくりの世界だった!?」 女神様いわく、「疲れ果てたあなたに、癒しの世界を贈ります」とのこと。 目の前には、自分がかつて何百時間も遊んだ“あの牧場”が広がっていた。 作物を育て、動物たちと暮らし、時には村人の悩みを解決しながら、のんびりと過ごす毎日。 けれどもこの世界には、ゲームにはなかった“出会い”があった。 ――獣人の少女、恥ずかしがり屋の魔法使い、村の頼れるお姉さん。 誰かと心を通わせるたびに、はるとの日常は少しずつ色づいていく。 そして、残された妹・ひなのにも、ある“転機”が訪れようとしていた……。 ほっこり、のんびり、時々ドキドキ。 癒しと恋と成長の、異世界牧場スローライフ、始まります!

異世界転生はどん底人生の始まり~一時停止とステータス強奪で快適な人生を掴み取る!

夢・風魔
ファンタジー
若くして死んだ男は、異世界に転生した。恵まれた環境とは程遠い、ダンジョンの上層部に作られた居住区画で孤児として暮らしていた。 ある日、ダンジョンモンスターが暴走するスタンピードが発生し、彼──リヴァは死の縁に立たされていた。 そこで前世の記憶を思い出し、同時に転生特典のスキルに目覚める。 視界に映る者全ての動きを停止させる『一時停止』。任意のステータスを一日に1だけ奪い取れる『ステータス強奪』。 二つのスキルを駆使し、リヴァは地上での暮らしを夢見て今日もダンジョンへと潜る。 *カクヨムでも先行更新しております。

異世界転生目立ちたく無いから冒険者を目指します

桂崇
ファンタジー
小さな町で酒場の手伝いをする母親と2人で住む少年イールスに転生覚醒する、チートする方法も無く、母親の死により、実の父親の家に引き取られる。イールスは、冒険者になろうと目指すが、周囲はその才能を惜しんでいる

目が覚めたら異世界でした!~病弱だけど、心優しい人達に出会えました。なので現代の知識で恩返ししながら元気に頑張って生きていきます!〜

楠ノ木雫
恋愛
 病院に入院中だった私、奥村菖は知らず知らずに異世界へ続く穴に落っこちていたらしく、目が覚めたら知らない屋敷のベッドにいた。倒れていた菖を保護してくれたのはこの国の公爵家。彼女達からは、地球には帰れないと言われてしまった。  病気を患っている私はこのままでは死んでしまうのではないだろうかと悟ってしまったその時、いきなり目の前に〝妖精〟が現れた。その妖精達が持っていたものは幻の薬草と呼ばれるもので、自分の病気が治る事が発覚。治療を始めてどんどん元気になった。  元気になり、この国の公爵家にも歓迎されて。だから、恩返しの為に現代の知識をフル活用して頑張って元気に生きたいと思います!  でも、あれ? この世界には私の知る食材はないはずなのに、どうして食事にこの四角くて白い〝コレ〟が出てきたの……!?  ※他の投稿サイトにも掲載しています。

異世界に転生したら?(改)

まさ
ファンタジー
事故で死んでしまった主人公のマサムネ(奥田 政宗)は41歳、独身、彼女無し、最近の楽しみと言えば、従兄弟から借りて読んだラノベにハマり、今ではアパートの部屋に数十冊の『転生』系小説、通称『ラノベ』がところ狭しと重なっていた。 そして今日も残業の帰り道、脳内で転生したら、あーしよ、こーしよと現実逃避よろしくで想像しながら歩いていた。 物語はまさに、その時に起きる! 横断歩道を歩き目的他のアパートまで、もうすぐ、、、だったのに居眠り運転のトラックに轢かれ、意識を失った。 そして再び意識を取り戻した時、目の前に女神がいた。 ◇ 5年前の作品の改稿板になります。 少し(?)年数があって文章がおかしい所があるかもですが、素人の作品。 生暖かい目で見て下されば幸いです。

家ごと異世界転移〜異世界来ちゃったけど快適に暮らします〜

奥野細道
ファンタジー
都内の2LDKマンションで暮らす30代独身の会社員、田中健太はある夜突然家ごと広大な森と異世界の空が広がるファンタジー世界へと転移してしまう。 パニックに陥りながらも、彼は自身の平凡なマンションが異世界においてとんでもないチート能力を発揮することを発見する。冷蔵庫は地球上のあらゆる食材を無限に生成し、最高の鮮度を保つ「無限の食料庫」となり、リビングのテレビは異世界の情報をリアルタイムで受信・翻訳する「異世界情報端末」として機能。さらに、お風呂の湯はどんな傷も癒す「万能治癒の湯」となり、ベランダは瞬時に植物を成長させる「魔力活性化菜園」に。 健太はこれらの能力を駆使して、食料や情報を確保し、異世界の人たちを助けながら安全な拠点を築いていく。

処理中です...