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魔王軍進撃編
融合聖獣、吼える
しおりを挟む190-①
迫り来る魔王城を迎撃するべく、ホン・ソウザンを飛び立ったサンガイハオウ部隊は魔王城へと向かっていた。
「見えてきたわね……ええと、貴女は……?」
「私はシスターズ13《イチサン》……14《イチヨン》と15《イチゴ》は消えちゃった」
「そう……私は20《ニゼロ》よ」
二人に続いて、周囲のサンガイハオウも『私は06《ゼロロク》』『08《ゼロハチ》』『11《イチイチ》』『17《イチナナ》』……と自分の名前を名乗ってゆく。
彼女達は皆、魔王城迎撃の際に、他のシスターズと強制融合させられて分離が出来なくなり、それによって生じた人格の淘汰を生き延びた者達だった。
運良く消滅を免れた者、他の二人の核を外から砕いて生き残った者、人格が混ざり合ってしまった者など、境遇は様々だったがその声は一様に暗い。
そんなどんよりした雰囲気を払拭しようと、先頭を飛翔していたシスターズ20は敢えて明るく振る舞った。
「皆、落ち込むのはここまでにしましょう!! せっかく生き残ったんですもの、あの城を破壊して、皆で生きて帰り──」
“ざんっ!!”
「え……っ」
20は自分に何が起きたのか理解出来なかった。魔王城の方で、何かが紅く煌いたと思った次の瞬間、胸から下が無くなっていた。
「そんな……何が起き──」
“ざんっ!!”
何かがまた光ったと思った次の瞬間、シスターズ20は核ごと残った上半身を縦に両断され消滅した。
20の左右の斜め後ろを飛んでいたシスターズ26《ニロク》と32《サンニ》は見た。突如として城の方から飛んで来た真紅の光刃が、シスターズ20を……それも合体してサンガイハオウ形態となっているシスターズ20を、いとも容易く斬り裂き、消滅させたのを。
シスターズ26とシスターズ32は慌てて周囲の味方に警告した。
「皆、散開しろ!!」
「密集していると危険──」
“ざんっ!!”
「あ……」
「26ッッッ!!」
今度は26が飛来した光刃により核を両断され消滅した。
「一体何が…………あ、あれは……っ!!」
シスターズ08は見つけた。次々と飛来する光刃のその向こう、城のバルコニーで一振りの剣を構えた一体の影魔獣を。
シルエッタの記憶の一部を複製されて作られたシスターズの一人である、シスターズ08は怒りに震える声で叫んだ。
「またお前か……失敗作の分際で、どこまでも私の邪魔をするというの……? 実験体……14号ぉぉぉぉぉっ!!」
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