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魔王軍進撃編
斬られ役(影)、発見する
しおりを挟む198-①
アナザワルド王国を混乱に陥れた暗黒教団の首魁……『教皇』ヴアン=アナザワルドが率いる暗黒教団。
そのヴアン=アナザワルドの捕縛と、彼に捕縛されている勇者リヴァルの救出を目的にソウザン城に乗り込んだ武光の率いる天照武刃団と、ロイの率いる冥府の群狼、そしてそこに合流したミト姫と彼女の親衛隊。
そしてその大捕物の真っ最中に、自分達の脅威となる暗黒教団を叩き潰すべく乱入してきた影光率いる新生魔王軍。
今やソウザン城の城内は、色んな奴らが乗り込みに乗り込み、殴り込みに殴り込み倒した結果、人間と魔族と影魔獣によって『お好み焼きの生地か!!』とツッコミたくなるくらい様々なものが混ざり合い、グッチャグチャの大混戦状態であった。
「ったく、次から次へと……って、お前ら……何でここに!?」
乱戦の最中、影光は影魔獣と戦っている四天王と遭遇した。
「む、影光か!!」
「オイ!? お前ら、部隊の指揮はどうした、指揮は!?」
「グォッゴアッ!!」
「あ……飽きただとおっ!?」
「うむ!! やはり、後方での指揮など俺の性に合わん!!」
何がうむだ!! ガロウとレムのすけの言葉に影光は唖然とした。
「こぉぉんなに楽しそうな、血と刃で彩られた舞台を後ろの客席で見てろっての?」
「ぐぬぬ……ヨミはともかく、キサイ、お前まで……」
「いや、僕は三人を引き止めようとして追いかけてきたら乱戦に巻き込まれちゃって……で、でも僕はちゃんと副官に指揮を引き継いでから離れてますからね!?」
それを聞いたガロウ、レムのすけ、ヨミは『俺も俺も!!』と言わんばかりに勢いよく手を挙げた。
「俺だって猫娘や配下共に命令を残して来たぞ!?」
「ゴアッ……オレモ……!!」
「私も三バカや下僕共にきちんと命令を残してきたわ!!」
「…………お前ら、どんな命令残してきたんだ……?」
ジトッとした目でガロウ達を見る影光に対し、三人は胸を張り、これでもかと言わんばかりのドヤ顔で答えた!!
「「「片っ端から……捻り潰せ!!」」」
「お、お前らなぁ……」
呆れた脳筋共である。影光は盛大に溜め息を吐いた。
「ったく……お前ら、一緒に来い!!」
四天王と合流した影光は、三階へと続く階段を探してだだっ広い城内を駆けずり回った。
ソウザン城は生活の利便性よりも、戦闘を重視して設計された城であり、1階から最上階までを繋ぐ螺旋階段などは存在しない。
この城は、敵軍が城内に侵入して来た際に、城主のいる上階まで一気に侵入されないように、一階と二階を繋ぐ階段や、二階と三階を繋ぐ階段など、各階層を繋ぐ階段は全てバラバラに分散配置されていた。
そして、この城を設計した者の思惑通り、影光達はまんまと城内を駆けずり回らされていた。
「クソ……こっちか!?」
影光は目の前の扉を蹴破った。長い廊下の先、広い空間があり、影光から見て右手側に階段が見えた。
「よし……見つけた、三階への階段だ!! 行くぞお前ら!!」
「うむ!!」
「ゴアッ!!」
「はい、行きましょう!!」
「ええ!!」
三階への階段に向けて影光は突っ走ったが、階段の手前で急ブレーキをかけた。
誰かが倒れている。そして、その倒れている人物を認識した瞬間、影光は自分の目を疑った。
紫の外套に、鈍く輝く銀の鎧、そして……ギラリと輝く髑髏の仮面……
「こ……コイツは……シュワルツェネッ太ぁぁぁっ!?」
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