斬られ役、異世界を征く!! 弐!!

通 行人(とおり ゆきひと)

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両雄激闘編

斬られ役、教皇に襲いかかる

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 206-①

「「うおおおおおおおおおおっ!!」」
「ハァ……つくづく目障りな……」

 勢い良く階段目掛けて駆け出した武光と影光に対し、シルエッタが掲げた長い杖の先にめ込まれた宝玉から、無数の黒い触手が現れた。

「消え失せなさい……悪しき者共よ!!」

 先端が鋭く尖った触手が武光と影光に襲いかかる。

「下がってな本体!! 行くぜ、ネキリ・ナ・デギリ!! 超赤熱ッッッ……」
〔ファイヤーヒート斬りッッッ!!〕

 武光の前に飛び出した影光が、炎を纏い刀身が赤熱化したネキリ・ナ・デギリで迫り来る無数の触手を斬り飛ばす。
 触手を一掃した影光は、あごで武光に「行け」というジェスチャーをした。

「よっしゃ……俺らもガツーン行ったるでイットー!! 魔っつん!!」
〔ああ、行こう!!〕
〔制裁だヒャッハーーーーー!!〕

 武光はイットー・リョーダンと魔穿鉄剣を手に突撃した。
 そう、突撃したものの……

(どないしよ……思ったよりおじいちゃんやんけ……これガツーン行って大丈夫かいな……? それに……お年寄りにガツーン行くのはやっぱ良心の呵責かしゃくが……あんまりガツーン行き過ぎたらまたミトが悲しむでコレ……)

 いざとなればやるとは言え、根が小心者で凡人の武光は、イットー・リョーダンと魔穿鉄剣を、振り上げた。(出来ればブン殴る前に……ビビって謝ってくれー!! 謝ったら寸止めしたるから!!)と願いながら。

 ちなみに『4の力』というのは時代劇俳優としての経験から武光が得た刀を振るう時のコツのようなもので、刀を振るう時は力が要る。しかし、刀を止めるのにも同じくらいの力が要る。
 時代劇俳優たる者、相手がトチって想定外の動きをした場合でも瞬時に寸止めが出来ねばならない。
 仮に自分の全力が『10』だとして、刀を振るうのに『9』もの力を割いてしまっていると、咄嗟とっさに振った刀を止めようとしても『1』の力しか込める事が出来ず、刀を止める事は出来ない。
 本当の斬り合いならば相手を仕止める為には『10』や『9』の力で刀を振るうべきなのかもしれないが、芝居でそれをやると大惨事を招く。 

 試しに腕を上に振り上げて、限界まで力を込めた状態と適度に力を抜いた状態で腕を振り下ろした場合、どちらが自分の思った位置で腕を止めやすいか実験してみると面白いかもしれない。

 故に『4』の力である。『4』の力で刀を振るっていれば、いざという時、振る力よりも強い『6』の力で刀をピタリ止める事が出来る。
 一応、『5』の力でも振った刀を止める事は可能なのだが、普段から『5』の力で刀を振るってしまっていると、本番では気合いが入り過ぎて、『6』の力で振るってしまうという事を自覚している武光が導き出した数字である。

 ……長々と解説してしまったが、要は武光は時代劇俳優としてのスキルを活かして、

はたから見たぶんには渾身の力で双刀を振り上げたように見せつつも、いざとなればいつでも寸止め出来るように双刀を振り上げた』

 という事だ。

(…………くっ!! ごめんな、ミト!!)

「教皇ヴアン=アナザワルド……覚悟ッッッ!!」

 武光は手首のスナップを効かせて左右の剣を峰打ちに持ち替えると、双刀を振り下ろした。

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